包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表(令和4年1月13日公表)

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ページ番号1011944  更新日 2025年2月16日

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広島市監査公表第1号
令和4年1月13日

広島市監査委員 政氏 昭夫
同 井戸 陽子
同 宮崎 誠克
同 森畠 秀治

地方自治法第252条の38第6項の規定により、広島市長から監査の結果に基づき措置を講じた旨の通知があったので、当該通知に係る事項を別紙のとおり公表する。
なお、併せて通知のあった監査の意見に対する対応結果についても、当該通知に係る事項を公表する。

(別紙)

平成30年度包括外部監査の結果に基づいて講じた措置等の公表(こども未来局)

1 監査結果及び監査意見公表年月日

平成31年2月5日(広島市監査公表第1号)

2 包括外部監査人

大濱 香織

3 監査結果に基づいて講じた措置及び監査意見に対する対応結果通知年月日

令和3年12月24日(広こ家第573号)

4 監査のテーマ

子ども・子育て支援事業の事務の執行について

5 監査の結果(指摘事項)及び措置の内容

(1)母子家庭等就業支援事業(委託事業に係る事業実績報告等の確認が不十分であったため、委託料が過大に支払われたことについて)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)

監査の結果

広島市は、母子家庭等就業支援事業を委託し実施している。委託先は担当課に「平成29年度母子家庭等就業支援事業実績報告書」(以下5において「実績報告書」という。)、「平成29年度母子家庭等就業支援事業決算書」(以下5において「決算書」という。)及び「精算書」を提出し、これを受けて、こども未来局こども・家庭支援課長が決裁の上、委託先に対して、適正に事業を執行されたことを承認する旨を記載した「平成29年度母子家庭等就業支援事業委託契約に係る実績報告の承認について」(以下5において「承認通知」という。)を交付した。結果として、委託先への委託料は21,543,757円で確定した。監査人が、こども・家庭支援課を通じ委託先から提出を受けた本委託業務に関する委託先作成の会計帳簿、会計伝票、納品書、請求書、領収証等の関連証憑と、決算書を照合したところ、委託先の不適切な経理処理と担当課による審査が十分でなかったため、委託料が合計で1,209,672円過大に支払われている事案が見受けられた。
広島市契約規則第35条第2項では、「委託契約の給付の完了の確認については、契約書その他の関係書類に基づき、給付の内容及び数量について検査を行なわなければならない」と定めている。債務を確定する上で必要な委託先から提出される実績報告書及び決算書等について担当課において確認はしているものの不十分であったため、決算書に誤りがあることを見つけられなかった。その結果として、委託料が過大に支出されることとなったことから、同項で定める検査を適切に実施したとは言えない。

担当課は、承認通知を出す際の審査においては、決算書に計上された決算額を構成する個別の取引内容について確認を行う必要がある。
委託先との本事業に関する委託契約は、母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づき単年度契約を毎年度締結し、平成30年度においても委託事業を継続している。
受講生負担金を財源とした支出が就業支援講習会事業の経費の使途として不適切であると認められる件や、消費税の重複計上等により委託料が過大に支払われたという不適切な経理処理は、本事業が開始された当初から委託先において行われている可能性が考えられる。
担当課は、平成25年度から平成28年度までの本事業について、各年度の決算書に計上された金額を構成する個別の取引について、委託先が作成した会計帳簿及び関連証憑の精査を実施し、委託料の金額が適正であったかどうか検証し、必要に応じて委託料の返還を委託先に求めるべきである。

措置の内容

監査の結果を受けて、委託先に対して、決算書及び実績報告書を再確認の上、訂正し再提出するよう指示した。再提出された決算書及び実績報告書の内容を審査したところ、適正と認められたことから、これらを承認し、その旨通知するとともに、指摘を受けた1,209,672円について精査し、過払となった委託料1,095,510円の返還を求め((3)の受講生負担金460,000円は(2)の受講生負担金4,000円を含んでいたため正しくは456,000円、(6)の消費税635,472円は交通費480円を非課税分としており正しくは38円多い635,510円であった。(9)の平成29年度委託料で支出済みの平成30年度事業に用いる収入印紙代及びパスピーチャージ代金110,200円については、平成30年度委託料で減額調整することとした。)、その全額が返還された。

また、平成25年度から平成28年度までの委託事務の決算及び実績報告の内容を再審査するため、本事業に係る帳簿等会計関係書類の提出を求め、各年度の決算書及び実績報告書と照合した。その結果、消費税が、平成25年度に309,553円、平成26年度に664,154円、平成27年度に619,595円、平成28年度に648,283円重複計上されていたことから、各年度の決算書を訂正し再提出するよう指示した。再提出された決算書の内容を審査したところ、適正と認められたことから、これらを承認し、その旨を通知するとともに、過払となった各年度の委託料の返還を求め、その全額が返還された。
なお、受講生負担金については、平成26年度から平成28年度までは、テキスト代等に充てられており、就業支援講習会事業の経費の使途として認められるものであったことに加え、剰余金も発生していなかったため、返還は求めていない(平成25年度は受講生負担金を徴取していない。)。
さらに、適正な事務処理を行うための確認ポイントを明記した「母子家庭等就業支援委託事業チェックリスト」(以下「チェックリスト」という。)を新たに作成し、複数の職員で処理内容を確認できるようにした上で、チェックリストを活用しながら、契約書、仕様書、関係法令等に従って事務を行うよう指導した。併せて、委託先から四半期ごとに提出させる請求書及び実績報告書にそのチェックリストを添付させることとし、こども・家庭支援課においても、事務処理が適正に行われているかどうか確認に努めることとした。
今後とも、こども・家庭支援課において、適正な業務執行のため必要な助言・指導を行っていくこととする。

(2)母子家庭等就業支援事業(受講生負担金返金額が誤って講習会諸費として計上され委託料が支払われたことについて)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)

監査の結果

委託料が、適正に支出(委託業務の内容に沿った支出)されているかを監査するため、こども・家庭支援課を通じ委託先から提出を受けた会計帳簿を確認したところ、委託先は、パソコン講習会の受講生1名から徴収したパソコン講習会の受講生負担金5千円のうち、4千円を平成29年8月28日に当該受講生に返金した。
受講生から徴収した受講生負担金の返金額は費用には該当せず、委託料の対象にはならないものであるが、決算書を作成する際に、委託先が集計作業を誤ったことにより、就業支援講習会パソコン「講習会諸費」の決算額に受講生負担金の返金額4千円を計上したため、委託料が4千円過大に支払われることとなった。
したがって、この4千円は委託先から広島市に返還されるべきであり、担当課は委託先に対してこの返還を求めるべきである。

措置の内容

監査の結果を受けて、前記(1)のとおり委託料の精査をし、過払となった委託料の一部4,000円について返還を求め、その全額が返還された。
また、チェックリストに「経理処理」の項目を設け、支払事務が適正に行われているかどうか、複数の職員で確認するよう指導した。併せて、委託先から四半期ごとに提出させる請求書及び実績報告書にそのチェックリストを添付させることとし、こども・家庭支援課においても、事務処理が適正に行われているかどうか確認に努めることとした。
今後とも、こども・家庭支援課において、適正な業務執行のため必要な助言・指導を行っていくこととする。

(3)母子家庭等就業支援事業(受講生負担金を財源とした支出は、平成29年度就業支援講習会事業の使途として不適切であることについて)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)

監査の結果

委託料が、適正に支出(委託業務の内容に沿った支出)されているかを監査するため、こども・家庭支援課を通じ委託先から提出を受けた会計帳簿を確認したところ、委託先は、就業支援講習会を行い、受講生負担金を徴収している。平成29年度の就業支援講習会に参加した受講生から委託先が徴収した受講生負担金の額の合計額は460千円であった。
就業支援講習会の受講生の募集は、委託先のホームページに募集のためのチラシを掲載し、並行して、広島市の広報紙「ひろしま市民と市政」において募集の告知記事を掲載している。受講生から受講生負担金を徴収して開催する講習会の募集の機会は、平成29年度に合計で8回(パソコン講習会は3回、それ以外の簿記2級・3級講習会、介護職員実務者研修、介護職員初任者研修、医療事務講習会及びガイドヘルパーは各1回)あった。8回のうち介護職員実務者研修を除く7回については、チラシ又は「ひろしま市民と市政」の募集要項の受講料に関する記載に、「受講料(テキスト代含む。)」などと明記し、受講生負担金の一部は講習会で使用するテキスト代に充てられる旨が記載されていた。介護職員実務者研修については、「受講料10,000円」と記載されていた。しかし、実際には、就業支援講習会で使用するテキスト代は決算書の就業支援講習会事業の決算額に計上され、委託料の対象になっており、受講生負担金はテキスト代に充当されていない。
委託先の会計帳簿によれば、実際には、受講生負担金相当額は次のように使われている。

  • (a)平成30年3月29日 パンフレット140,940円
  • (b)平成30年3月29日 事務処理費180千円
  • (c)平成30年3月31日 ポット2台7,688円
  • (d)平成30年3月31日 講習会消耗品・事務用品費他 132,372円
    (a)から(d)までの合計461千円

委託先は受講生負担金を上記(a)から(d)までの用途に使っているが、取引日付けは、平成30年3月29日と平成30年3月31日であり、年度末に集中している。平成29年度の就業支援講習会はそれより1か月以上前に全て終了しており、受講生から徴収した受講料を、当該受講生の講習のために使ったとはいえない。取引内容を見ても、受講生負担金から支出すべきものではない。
受講生負担金460千円の使途は不適切であり、本来は、決算書に計上された就業支援講習会事業の決算額4,185,062円の一部に460千円を充当するべきである。その結果、委託料に同額の剰余金が生じることとなり、460千円は広島市に返還されるべきであり、担当課はこの返還を求めるべきである。

措置の内容

監査の結果を受けて、前記(1)のとおり委託料の精査をし、過払となった委託料の一部456,000円について返還を求め(受講生負担金460,000円は前記5の(2)の受講生負担金4,000円を含んでいたため、正しくは456,000円であった。)、その全額が返還された。
また、チェックリストに「経理処理」の項目を設け、支払事務が適正に行われているかどうか、複数の職員で確認するよう指導した。併せて、委託先から四半期ごとに提出させる請求書及び実績報告書にそのチェックリストを添付させることとし、こども・家庭支援課においても、事務処理が適正に行われているかどうか確認に努めることとした。
今後とも、こども・家庭支援課において、適正な業務執行のため必要な助言・指導を行っていくこととする。

(4)母子家庭等就業支援事業(受講生負担金の使途の定めについて)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)

監査の結果

受講生負担金の使途の適否を検討する前提となる考え方として、委託先は、使用した経費につき、まず受講生負担金を充て、これに不足する部分に委託料を充てるべきである。そして、委託料剰余金を広島市母子家庭等就業支援事業委託契約約款(以下「委託契約約款」という。)第6条に基づいて精算する。広島市と委託先との委託契約は、概算精算方式を採用しており、委託先が事業のために使用した経費は、委託料限度額の範囲内で広島市が負担することとしている。このように公金によって経費が負担された事業において、事業を行う者が受講生から受講料を徴収し利益を上げることは、一般市民の理解を得ることができないために、これは当然の取扱いであると言える。
現状では、委託契約書、委託契約約款、及び仕様書においては、受講生負担金の使途について何ら定めがない。すなわち、委託先がこの受講生負担金を使用してよい経費の範囲はどの範囲なのか、あるいは委託契約約款第6条に定める剰余金を精算する場合において、経費から受講生負担金分を控除した金額をもって精算を行うべきなのかなどについて、何ら定めがない。
受講生負担金の取扱いを契約約款に定める場合、以下の方向が相当である。
a 受講生負担金を使用してよい経費の範囲は、委託契約約款添付の仕様書に定める委託料の使途と同一とする。
b 使用した経費につき、まず受講生負担金を充て、これに不足する部分に委託料を充てるべきである。そして、委託料剰余金を委託契約約款第6条に基づいて精算する。
受講生負担金の取扱いにより、剰余金の精算額が左右され得るので、この受講生負担金の取扱いは、契約約款に定められるべきである。

措置の内容

監査の結果を受けて、平成31年度から委託契約約款第3条に定める別紙仕様書に、受講料の項目を設け、受講生負担金を経費として使用できる範囲を明記した。平成30年度についても、使用した経費につき、まず受講生負担金を充て、これに不足する部分に委託料を充て、委託料剰余金を委託契約約款第6条に基づいて精算した。平成26年度から平成28年度までについては、前記(1)のとおりである。
今後とも、こども・家庭支援課において、適正な業務執行のため必要な助言・指導を行っていくこととする。

(5)母子家庭等就業支援事業(「事務処理費」及び「年度末事務処理費」に関する仕様書、予算、決算及び金額の算定根拠について)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)

監査の結果

委託料が、適正に支出(委託業務の内容に沿った支出)されているかを監査するため、こども・家庭支援課を通じ委託先から提出を受けた会計帳簿を確認したところ、委託先は、平成29年度に「事務処理費」として1,488千円、「年度末事務処理費」として165千円、「事務処理費」及び「年度末事務処理費」合計で1,653千円を決算書に計上し、委託料の対象としている事案が見受けられた。「事務処理費」及び「年度末事務処理費」は、委託先就労支援事業会計から委託先法人会計への内部振替であり、この取引に係る領収証は、月に1枚、委託先の経理職員が手書きで発行している。
担当課によれば、「事務処理費」及び「年度末事務処理費」は委託事業に係る経理業務の対価であるとのことだが、委託事業に係る経理業務の対価が委託料の使途に含まれることが、委託契約に係る仕様書上、明確に示されていない。仕様書の「等」に含むという曖昧な形ではなく、仕様書の「委託料の使途」に、委託事業に係る経理業務を明確に記載することが望ましい。
また、この「事務処理費」及び「年度末事務処理費」については、年度当初の事業計画における「平成29年度広島市母子家庭等就業支援事業予算書」(以下5の(5)において「予算書」という。)には計上されておらず、年度途中において事業計画の変更手続による予算書への計上が承認された事実もない。
「事務処理費」及び「年度末事務処理費」はプログラム策定事業の「プログラム策定員・報酬」「プログラム策定員・期末手当」、就業支援活動事業の「就労相談員・報酬」「事務職員・報酬」「事務職員・期末手当」の人件費の科目に分散して計上されているが、その事実は決算書の表示上は明らかにされていない。プログラム策定員・報酬等の人件費の科目について、決算書の備考欄には「(1名分)」又は「(2名分)」と記載されており、あたかも1人分又は2人分の人件費のみが計上されているように表示されているが、実際には人件費ではない「事務処理費」及び「年度末事務処理費」も含まれており、決算書は人件費の正しい金額を示していない。

以上のとおり、「事務処理費」及び「年度末事務処理費」は予算書に計上されておらず、決算書では表に出ない形で計上されているため、担当課は委託先に対して、当初の事業計画に定めていない支出が必要となった場合においては、事業計画の変更承認手続が必要である旨を厳重に指導し、適正な事務処理を行うよう努められたい。また、決算書の訂正を委託先に対し求める必要がある。
加えて「事務処理費」及び「年度末事務処理費」は委託先の本委託事業に係る会計と他会計との取引であり、金額について委託先の恣意性が介入しやすい性質の取引であることに鑑みれば、その金額の算定根拠は合理的かつ客観的に検証可能なものであることが必要である。しかし、「事務処理費」及び「年度末事務処理費」についての関連証憑は、委託先の経理担当職員による手書きの領収証のみであり、領収証には金額の算定根拠は示されていない。監査人は担当課を通じて、「事務処理費」1,488千円、「年度末事務処理費」165千円、合計1,653千円の金額の算定根拠について委託先に説明を求めたが、明確な回答を得ることはできなかった。
委託事業に係る経理業務の対価の算定方法については、合理的かつ客観的に検証可能な一定のルールをあらかじめ定めておくことが望ましい。
監査人が担当課にヒアリングを行ったところ、「事務処理費」及び「年度末事務処理費」が計上されていることは、監査人が照会を行うまで担当課は認識していなかった。また、担当課を通じて委託先に事実関係を確認したところ、「賃金、期末手当より事務処理費等を計上してもよいと聞いており、長年、この方法で会計処理をしていた」旨回答がなされた。誰が何の権限に基づいて「賃金、期末手当より事務処理費等を計上してもよい」と言ったのかは明らかではないが、少なくとも、この会計処理は、予算書には計上されておらず、決算書では表に出ない形で計上され、正式な権限に基づいた承認もなされていないため、平成28年度以前の「事務処理費」及び「年度末事務処理費」についても、担当課は金額を精査し、委託先に決算書の訂正を求める必要がある。

措置の内容

監査の結果を受けて、委託先に対して、当初の事業計画及び予算書に定めていない事業内容を実施する場合には、事前に事業計画及び予算書の変更承認手続が必要である旨を指導するとともに、「事務処理費」及び「年度末事務処理費」を平成30年度の「母子家庭等就業支援事業予算書」(以下「予算書」という。)及び事業計画書に明記して、変更申請を行うよう指示した。再提出された予算書及び事業計画書の内容を確認したところ、適正と認められたことから、これらを承認し、その旨を通知した。
加えて、平成31年度から、仕様書に「委託料の使途」として、「事業の実施にかかる事務処理費」を明記した。さらに、委託先に対して、平成25年度から平成29年度までの「事務処理費」及び「年度末事務処理費」を各年度の決算書に明記し、再提出するよう指示し、再提出された決算書を、こども・家庭支援課で確認し、これを承認することとした。
今後とも、こども・家庭支援課において、適正な業務執行のため必要な助言・指導を行っていくこととする。

(6)母子家庭等就業支援事業(消費税の重複計上について)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)

監査の結果

決算書に計上された消費税1,511,389円には、税込み金額にさらに8%を乗じて計算した金額が含まれており、消費税が重複している分、委託料の支払が635,472円過大になっている。
担当課は委託先に対して635,472円の返還を求めるべきである。
また、税込み金額にさらに8%を乗じて委託料に係る消費税額を計算するという計算誤りは、「ひとり親家庭学習支援事業」の指摘事項「消費税の重複計上について」に記載したとおり、他の委託事業においても同様の問題が生じている。このことから、委託先においては委託事業全般について、消費税の重複計上を行っている可能性が否定できない。
担当課においては、本事業の平成28年度以前の消費税の再確認を行うのはもちろんのこと、委託先への委託事業のうち監査対象とした2事業以外の委託事業の消費税計算についても、重複計上の事実がないか、確認することが望ましい。

措置の内容

監査の結果を受けて、前記(1)のとおり委託料の精査をし、過払となった委託料の一部635,510円について返還を求め、その全額が返還された。(消費税635,472円は交通費480円を非課税分としており、正しくは38円多い635,510円であった。)平成25年度から平成28年度までの委託料についても前記(1)のとおり消費税の重複分に係る過払分の返還を受けた。
また、チェックリストに「実績報告・精算」の項目を設け、支払事務が適正に行われているかどうか、複数の職員で確認するよう指導した。併せて、委託先から四半期ごとに提出させる請求書及び実績報告書にそのチェックリストを添付させることとし、こども・家庭支援課においても、事務処理が適正に行われているかどうか確認に努めることとした。
今後とも、こども・家庭支援課において、適正な業務執行のため必要な助言・指導を行っていくこととする。
加えて、監査対象の2事業以外の委託事業の消費税計算についても可能な範囲で確認に努めることとする。

(7)母子家庭等就業支援事業(プログラム策定員の期末手当に計上した昼食代について)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)

監査の結果

委託料が、適正に支出(委託業務の内容に沿った支出)されているかを監査するため、こども・家庭支援課を通じ委託先から提出を受けた会計帳簿を確認したところ、決算書のプログラム策定事業の「プログラム策定員・期末手当」の決算額には、平成30年3月23日付けで「就労プログラム策定会議昼食代」として会計処理した昼食代の8,640円が含まれている事案が見受けられた。
この「昼食代」は、事業計画における「平成29年度広島市母子家庭等就業支援事業予算書」(以下5の(7)において「予算書」という。)に計上されていない。言うまでもないことであるが、決算書における「プログラム策定員・期末手当」には、本来、自立支援プログラム策定事業に携わるプログラム策定員2人分の期末手当が計上されるべきである。
すなわち「プログラム策定員・期末手当」に計上した昼食代8,640円は、予算書に基づかず、決算書上も明らかでない。担当課は、決算書の訂正を委託先に求める必要がある。
また、当初の事業計画に定めていない支出が必要となった場合においては、事業計画の変更承認手続が必要である旨を委託先に対し厳重に指導し、適正な事務処理を行うよう努められたい。

措置の内容

監査の結果を受けて、委託先に対して、当初の事業計画及び予算書に定めていない事業内容を実施する場合には、事前に事業計画及び予算書の変更承認手続が必要である旨を指導するとともに、「就労プログラム策定会議昼食代」を平成29年度の予算書及び事業計画書に明記して、変更申請を行うよう指示した。再提出された予算書では昼食代8,640円を会議費として計上しており、本事業に必要な経費と認められることからこれを承認し、併せて、決算書の訂正を指示しその提出を受けた。
また、チェックリストに「事業計画・予算」「再委託」「経理処理」「事業計画・予算の変更」の項目を設け、承認を受けた事業計画に従って実施しているかどうか、支払事務が適正に行われているかどうか、複数の職員で確認するよう指導するとともに委託先から四半期ごとに提出させる請求書及び実績報告書にそのチェックリストを添付させることとし、こども・家庭支援課においても、事務処理が適正に行われているかどうか確認に努めることとした。
今後とも、こども・家庭支援課において、適正な業務執行のため必要な助言・指導を行っていくこととする。

(8)母子家庭等就業支援事業(就業支援活動事業用のパソコン購入について)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)

監査の結果

委託料が、適正に支出(委託業務の内容に沿った支出)されているかを監査するため、こども・家庭支援課を通じ委託先から提出を受けた会計帳簿を確認したところ、委託先は、平成30年2月27日にノートパソコン147,960円を購入し、決算書の就業支援活動事業の「通信運搬費」に計上している事案が見受けられた。
パソコン購入代金は、通常の語義としての「通信運搬費」には該当しない。したがって、パソコン購入代金は、広島市と委託先との委託契約書に添付された「平成29年度広島市母子家庭等就業支援事業仕様書」(以下5の(8)において「仕様書」という。)第4項(3)に定める「通信運搬費」には該当しない。
事業計画における「平成29年度広島市母子家庭等就業支援事業予算書」(以下5の(8)において「予算書」という。)上、パソコン購入代は計上されていない。上記のとおり、パソコン購入代は「通信運搬費」には該当しないから、予算、決算上において通信運搬費の承認を受けたことをもって、パソコン購入代の支出が承認されたことにもならない。

仕様書のうち第4項の委託料の使途の欄には、例えば「備品の購入」といった明文は存在しないが、担当課の説明によれば、このパソコン購入代の支出は、仕様書の中で委託料の使途として定めている(3)「就業支援活動事業」の「就業相談、求人情報の提供及び啓発活動に必要な運営費(人件費、通信運搬費、消耗品費、パンフレット等の印刷代、インターネット経費、打合せ等の会議に要する費用等)」に該当するものであり、本事業の実施に必要な経費であるため、委託料として認められるとのことである。
担当課の説明のとおり委託料として認められるとしても、パソコン購入代は、「備品費」として計上されるものであり、担当課は、決算書の訂正を委託先に求める必要がある。
また、当初の事業計画に定めていない支出が必要となった場合においては、事業計画の変更承認手続が必要である旨を委託先に対し厳重に指導し、適正な事務処理を行うよう努められたい。
加えて、備品の購入を認めるのであれば、その旨を仕様書において明確に定めるべきである。あわせて、委託契約書において委託料で購入した備品は本事業のみに使用できること、当該備品を相当な期間は使用すること及び当該備品の売却処分代金の取扱いについて、明確に定めることが望ましい。

措置の内容

監査の結果を受けて、委託先に対して、当初の事業計画及び予算書に定めていない事業内容を実施する場合には、事前に事業計画及び予算書の変更承認手続が必要である旨を指導するとともに、パソコン購入にあたっては、委託先に本事業の実施目的以外に使用しないこと、パソコン本体に本事業備品であることを明示するとともに備品管理台帳へ記載し、適正に管理すること、耐用年数経過等により廃棄する場合は、事前に広島市へ協議することを指導した。
その上で、パソコン購入代を平成29年度の予算書及び事業計画書に明記して、変更申請を行うよう指示した。再提出された予算書ではパソコン購入代を備品購入費として計上しており、本事業に必要な経費と認められることからこれを承認し、併せて、決算書の訂正を指示しその提出を受けた。
また、チェックリストに「事業計画・予算」「再委託」「経理処理」「事業計画・予算の変更」の項目を設け、承認を受けた事業計画に従って実施しているかどうか、支払事務が適正に行われているかどうか、複数の職員で確認するよう指導した。併せて、委託先から四半期ごとに提出させる請求書及び実績報告書にそのチェックリストを添付させることとし、こども・家庭支援課においても、事務処理が適正に行われているかどうか確認に努めることとした。
今後とも、こども・家庭支援課において、適正な業務執行のため必要な助言・指導を行っていくこととする。

(9)母子家庭等就業支援事業(平成29年度の委託料の対象に平成30年度の事業に用いるためのものが含まれていたことについて)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)

監査の結果

委託料が、適正に支出(委託業務の内容に沿った支出)されているかを監査するため、こども・家庭支援課を通じ委託先から提出を受けた会計帳簿を確認したところ、平成30年度の事業に用いる収入印紙代30,200円、パスピーチャージ代金80千円の合計110,200円が平成29年度の委託料の対象に含まれている事案が見受けられた。
委託契約約款には、委託業務の実施期間は平成29年4月1日から平成30年8月31日までとし、精算により剰余金が生じた場合は、速やかに甲に返還しなければならないと定められている。
このように本事業は、単年度契約単年度精算の形式をとっている。この前提の下で、同約款第5条第3項は「乙は、委託料を委託業務を処理するための経費以外に使用してはならない。」と定めている。したがって、当該年度の委託料は、当該年度の委託業務のみに使用されるべきである。
担当課は、平成30年度の委託料の精算時に、平成29年度の委託料で負担した収入印紙代30,200円、パスピーチャージ代金80千円の合計110,200円を委託先から広島市に返還させる必要がある。

措置の内容

監査の結果を受けて、指摘を受けた平成29年度委託料で支出済みの平成30年度事業に用いる収入印紙代30,200円、パスピーチャージ代金80,000円については、平成30年度委託料で減額調整することとした。
なお、委託先に対して、パスピーの出納簿により残額を適宜確認して、委託契約期間内に必要なもののみチャージするよう指導した。
また、チェックリストに「経理処理」の項目を設け、購入するものが委託契約期間内に必要かどうか、複数の職員で確認するよう指導した。併せて、委託先から四半期ごとに提出させる請求書及び実績報告書にそのチェックリストを添付させることとし、こども・家庭支援課においても、事務処理が適正に行われているかどうか確認に努めることとした。
今後とも、こども・家庭支援課において、適正な業務執行のため必要な助言・指導を行っていくこととする。

6 監査の意見及び対応の内容

(1)母子家庭等就業支援事業(決算書に計上した科目の修正について)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)

監査の意見

委託料が、適正に支出(委託業務の内容に沿った支出)されているかを監査するため、こども・家庭支援課を通じ委託先から提出を受けた会計帳簿を確認したところ、「平成29年度母子家庭等就業支援事業決算書」(以下6において「決算書」という。)就業支援活動事業「事務職員・期末手当」の決算額には、平成30年2月5日付け「平成29年度就労促進連絡会議出張費」として51,080円、同日付け「平成29年度就労促進連絡会議参加費」として1,000円の合計52,080円が含まれていた。
就労促進連絡会議出張費及び参加費の支払は、決算書の就業支援活動事業の「会議費」に計上することが妥当である。担当課は委託先に、決算書を修正させる必要がある。

対応の内容

監査の意見を受けて、委託先に対し、決算書を訂正し再提出するよう指示した。再提出された決算書においては、「平成29年度就労促進連絡会議出張費」の51,080円及び「平成29年度就労促進連絡会議参加費」の1,000円の合計52,080円を就業支援活動事業の「会議費」に記載されていたことから、これを承認した。
また、チェックリストに「実績報告・精算」の項目を設け、経費区分が適正か、複数の職員で確認するよう指導した。併せて、委託先から四半期ごとに提出させる請求書及び実績報告書にそのチェックリストを添付させることとし、こども・家庭支援課においても、事務処理が適正に行われているかどうか確認に努めることとした。
今後とも、こども・家庭支援課において、適正な業務執行のため必要な助言・指導を行っていくこととする。

(2)母子家庭等就業支援事業(各種手当に関する源泉徴収漏れについて)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)

監査の意見

決算書に計上した各種手当66,950円について、委託先は源泉徴収を行っていない。特に「広島市母子家庭等就業支援事業実施要綱」には、本事業は一般財団法人Aに委託することが定められており、Aは本事業にとって重要な団体である。当然のことながら事業に関して適正な会計税務処理をすることが求められる。担当課は、委託先が所得税法を遵守し、適正に源泉徴収事務を履行するよう助言する必要がある。

対応の内容

監査の意見を受けて、委託先に対して、過去の源泉徴収事務が適正に行われていたかどうか点検し、徴収していないときは遡って適正に事務を行うよう助言・指導した。
また、チェックリストに「実績報告・精算」の項目を設け、適正に源泉徴収事務を行っているかどうか、複数の職員で確認するよう助言・指導した。併せて、委託先から四半期ごとに提出させる請求書及び実績報告書にそのチェックリストを添付させることとし、こども・家庭支援課においても、事務処理が適正に行われているかどうか確認に努めることとした。
今後とも、こども・家庭支援課において、適正な業務執行のため必要な助言・指導を行っていくこととする。

平成31年度包括外部監査の結果に基づいて講じた措置等の公表(教育委員会)

1 監査結果及び監査意見公表年月日

令和2年2月6日(広島市監査公表第3号)

2 包括外部監査人

大濱 香織

3 監査結果に基づいて講じた措置及び監査意見に対する対応結果通知年月日

令和4年1月6日(広市教青育第157号)

4 監査のテーマ

広島市が出資している法人の「ヒト・モノ・カネ」に関する財務事務の執行について

5 監査の結果(指摘事項)及び措置の内容

(1)広島市青少年センター(指定管理)(青少年センター使用料の返還事務について)(所管課:教育委員会事務局青少年育成部育成課)

監査の結果

令和元年5月31日に、一般財団法人A社に147,060円の使用料返還金が支払われている。大きなイベントの主催者である一般財団法人A社が5部屋を予約していたが、詳細がわかるにつれ、不要な部屋を解約してきたものであった。起票者の間違いにより、令和元年度で返還処理すべきものを平成30年度で処理していた。
広島市起案用紙の記載には、起案日:平成31年3月31日、決裁日:31.3.31、その他件名と伺いの記載があり、回議先には、起案者、課長補佐(事)主任、決裁者(育成課長)の押印がある。
担当課においては、「広島市起案用紙」において回議先として起案者から決裁者の押印を必要とする意味を再認識され、添付資料の内容確認も怠ることなく回議先としての使命を果たすようにすべきである。

措置の内容

起票者の間違いにより、領収すべき年度を誤って返還処理した。
監査の結果を受け、今後は、調定書及び関係書類、入金日を各回議先において入念に確認させ、事務処理誤りが生じないように努める。

6 監査の意見及び対応の内容

(1)広島市三滝少年自然の家・広島市グリーンスポーツセンター(指定管理)(指定管理期間開始年度の平成30年4月1日において、切手の在庫が766枚あったことについて)(所管課:教育委員会事務局青少年育成部育成課)

監査の意見

往査時に、切手受払簿の確認を行った。
指定管理期間の開始年度にもかかわらず、平成30年4月1日に前年度より切手等12種、766枚、金額46,582円の繰越がされていた。
平成30年度に購入した切手は、平成31年1月10日に82円切手200枚、100円切手100枚の合計26,400円のみで、他の種類の切手等は、同年度中には購入されておらず、270円切手、300円切手及び50円ハガキに至っては、平成30年度中には使用されていなかった。
担当課によれば、指定管理期間満了時の事務処理について、基本協定書の第41条に「本協定の終了時に際し、備品等の扱いについては、次のとおりとする。」(1)「備品等(1種)については、乙は、甲又は甲が指定するものに引き継がなければならない。」と規定されていることから、「切手受払簿」と切手を次の指定管理者に引き継いだものであり問題はないとの回答であった。
しかしながら、切手購入について、必要枚数を超えて購入したようにも見受けられるとともに、現金等価物である切手を必要以上に多く保有することは、盗難や横領のリスクを伴う。担当課においては、指定管理期間の満了に伴うこれらの物品等の引継ぎについて、内部統制の観点から指定管理者に対し、必要な指導を行うべきである。

対応の内容

監査の実施を受け、育成課から指定管理者に対し、今後、郵便物を送る際には保有している切手から使用すること及び切手を購入する際は、必要な枚数のみ購入することを指導した。

(2)広島市三滝少年自然の家・広島市グリーンスポーツセンター(指定管理)(使用料の歳入決算が歳入予算を大幅に下回っていることについて)(所管課:教育委員会事務局青少年育成部育成課)

監査の意見

三滝少年自然の家等では、この使用料収入は広島市の歳入に計上され、三滝少年自然の家等の指定管理料の一部に充てられている。
歳入決算額は歳入予算額を大幅に下回っており、当初予算に対する決算の達成率(歳入決算÷当初予算)は、平成27年度は43.29%、平成28年度は46%、平成29年度は41%、平成30年度は38%にとどまっている。
三滝少年自然の家は、早急に耐震補強か建替えか用途変更かの判断が必要となる。これらの判断基準の一つとなるのが、利用者数や歳入額などである。
予算額と決算額に2倍以上の乖離があることは、次に資金を投じるか、用途変更か、縮小するか、撤廃するかの判断を誤らせることにもなりかねない。
担当課は、使用料収入の予算額と決算額の大幅な乖離を解消すべきである。

対応の内容

歳入予算は、これまで定員に目標とする利用率や開所日数を乗じて延べ利用者数を算出し、これに使用料単価を乗じて積算していた。
監査の意見を受け、令和2年度予算から、使用料収入の予算額は、過去の決算額を基に積算することとした。

(3)広島市似島少年自然の家(指定管理)(使用料の歳入決算が歳入予算を大幅に下回っていることについて)(所管課:教育委員会事務局青少年育成部育成課)

監査の意見

似島臨海少年自然の家の使用料は、広島市の歳入に計上され、似島臨海少年自然の家の指定管理料の一部に充てられている。
平成27年度から令和元年度までの使用料の歳入予算額は毎年約2,600万円であるが、歳入決算額は平成27年度から平成29年度までは700万円台で推移しており、平成30年度は西日本豪雨災害の影響で533万円となった。
歳入予算は、一応の見込みであり、結果として予算に対して過不足が生じることはあり得るが、本件について歳入予算と歳入決算の比較分析を行ったところ、当初予算に対する決算の達成率(歳入決算÷当初予算)は、平成27年度は28.0%、平成28年度は28.5%、平成29年度は27.4%、平成30年度は20.6%にとどまり、歳入予算に対して歳入決算が大幅に未達となる状況が続いている。
担当課の説明によれば、利用者の増加に向けた対策を講じているが、目標値に達していない。こうした中、広島市は、「似島臨海少年自然の家等の有効活用に係る基本計画」(以下「基本計画」という。)を策定し、施設環境の整備、活動・研修プログラムの充実や魅力的な事業の実施・誘致などの取組について検討しているとのことである。
基本計画では、概算事業費約10億円で施設の再整備を行い、年間宿泊利用者数5万人(平成29年度宿泊利用者数2.2万人)を目指すとしている。なお、基本計画が目標とするとおり利用者が増加するとしても、数年先の将来のことである。
担当課は、使用料収入について、予算額と決算額の大幅な乖離を解消するよう努めるべきである。

対応の内容

歳入予算は、これまで定員に目標とする利用率や開所日数を乗じて延べ利用者数を算出し、これに使用料単価を乗じて積算していた。
監査の意見を受け、令和2年度予算から、使用料収入の予算額は、過去の決算額を基に積算することとした。

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