トランプ米国大統領への被爆地訪問を求める要請(2025年10月10日)
アメリカ合衆国大統領 ドナルド・トランプ 閣下
謹啓 清秋の候、貴台にはますます御清祥のことと心からお喜び申し上げます。
この度、日米両政府によって、本年10月31日から韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、貴台の日本訪問を調整中であるとの報に接しました。
本年1月にも、貴台の被爆地訪問を要請したところですが、訪日が実現するのであれば、是非この機会に、被爆地広島・長崎を訪問していただきますよう、重ねてお願い申し上げます。
広島・長崎への原子爆弾の投下、また第二次世界大戦の終結から80年が経過した今、国際社会における対立と分断は深まり、世界各地で戦火が続いています。そのような中で、「核兵器は使ってはならない」という国際社会の人道的な規範が大きく揺らぎ、核兵器使用のリスクが一層高まっています。
同時に、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」と、自らの壮絶な体験を語り、核兵器廃絶を訴えてきた被爆者の平均年齢は86歳を超え、「被爆者のいない時代」が刻一刻と近づいています。
こうした人類の重要な岐路にある今だからこそ、核超大国の大統領である貴台に被爆地を訪問していただき、被爆者の声に直接耳を傾け、きのこ雲の下で何が起きたのか、核兵器の使用がいかに非人道的な結末をもたらすのかを、心で感じ取っていただきたく存じます。
その上で、核兵器は決して使ってはならないとの信念をより強固にしていただき、「核兵器のない世界」の実現に向けた揺るぎない決意を被爆地から発信していただければ、核兵器廃絶への国際的な機運を再び取り戻す大きな力になると確信しています。
また、貴台には、来年開催されるNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議において、核軍縮の進展に向けた具体的道筋を示すべく、リーダーシップを発揮していただくことを期待しております。
末筆ながら、貴台のますますの御活躍と御健勝を心からお祈りいたします。
謹白
2025年10月10日
広島市長 松井 一實
長崎市長 鈴木 史朗
このページに関するお問い合わせ
市民局国際平和推進部 平和推進課
〒730-8586 広島市中区国泰寺町一丁目6番34号
電話:082-504-2898(代表) ファクス:082-504-2986
[email protected]