第9回アフリカ開発会議(TICAD9)開催時における被爆地訪問を求める要請(2024年11月14日)
謹啓 残秋の候、貴台にはますます御清祥のことと心からお喜び申し上げます。
来年8月、我が国で開催される「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」の機会 に、是非とも貴台に被爆地広島・長崎を訪問していただきたいとの願いをお伝えした いと存じます。
1945年8月の原子爆弾の投下により、広島と長崎の街は焦土と化し、多くの人々の命や日常生活が奪われました。そして、心身に悪影響を及ぼす放射線は、今なお被爆者に様々な苦しみを与え続けています。
昨今の厳しい世界情勢は国家間の疑心暗鬼をますます深め、他国より優位に立ち続けるための核戦力を含む軍拡競争を拡大させています。世論においても武力に頼らざるを得ないという考えが強まっていけば、平和な世界の実現は遠のくばかりです。こうした中で、来年、被爆から80周年の節目の年を迎えます。これまで、広島・長崎は、世界各国の為政者に対して、過去の悲しみに耐え、憎しみを乗り越えて、真の世界平和の実現を祈念する被爆者の願いを深く理解し、共感いただくために、被爆地訪問を要請してきました。
アフリカは 2009 年に非核兵器地帯条約が発効するなど、国際的な核不拡散体制の強化に貢献されてきた地域であり、貴台にも、この節目の年にぜひ広島、長崎を訪問し、直接、被爆の実相に触れ、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という平和への願いを受け止めていただくとともに、廃墟から平和を象徴する街へと復興を遂げた現在の姿をご覧いただきたいと思っています。そして、核抑止力に依存する為政者が対話による平和的解決に向けた外交政策へと転換することができるよう、世界の8,400を超える都市で構成する平和首長会議の活動に一層の御支援をいただくとともに、核兵器廃絶に向けて行動を起こしていただくことを望んでおります。
被爆地の市民は、貴台の訪問を心から歓迎いたしますとともに、貴国と共に核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向けて取り組んでいくことを希望しています。
末筆ながら、貴台のますますの御活躍と御健勝を心からお祈りいたします。
謹白
2024年11月14日
広島市長 松井 一實
長崎市長 鈴木 史朗
このページに関するお問い合わせ
市民局国際平和推進部 平和推進課
〒730-8586 広島市中区国泰寺町一丁目6番34号
電話:082-504-2898(代表) ファクス:082-504-2986
[email protected]