エコライフにちょうせん
お手本は江戸時代広島城下にあり

江戸時代(えどじだい)の広島というと、みんなはどんなイメージを持つかな。お城(しろ)?ちょんまげ?
当時、広島の城下町(じょうかまち)には約6万8千人が住んでいたんだ。今とくらべると、車はないし、食べ物や着る物もたくさんはなかった。でも、みんな工夫して、物や資源(しげん)(※)をむだなく大切に使おうと考えてくらしていたから、ごみも少ないし、空気もきれいな、環境(かんきょう)にやさしいまちだったんだ。
今の私たちは、使いすてのくらしになれて、ふえ続けるごみやどんどんあたたかくなる地球、少なくなっていく資源など、いろいろな環境問題(もんだい)になやんでいる。これから昔のくらしに戻ることはできないけれど、見習うべき点はたくさんあるはず。
「広島城下絵屏風(ひろしまじょうかえびょうぶ)」にえがかれた人々のくらしをお手本に、環境にやさしいくらし「エコライフ」に挑戦しよう。
(※ 資源(しげん)とは、水や木、石油(せきゆ)、鉄(てつ)など、ものを作ったり、くらしにつかったりするために、自然からとれるものだよ。)
排気(はいき)ガス、ゼロ!
出かけるときは、歩くか、かごや馬、舟(ふね)などに乗ったりした。
もちろん、当時はエンジンがまだないから、排気ガスは出ないし、地球がどんどんあたたかくなることとも関係なかったね。
資源を大切に使おう!

左の絵には、まきを運んでいる人も、えがかれている。
ご飯はまきや炭などをもやしてたき、夜は菜の花のたねからとった油であかりをつけていたんだ。
今は石油やガスなどをどんどん使って便利で快適(かいてき)にくらしているよね。
でも、昔は草木からとれる資源を大切に使っていたんだ。まきをもやした後の灰(はい)も、肥料(ひりょう)や染め物(そめもの)の材料などとして使ったんだよ。
お見事!循環(じゅんかん)システム

左の絵のように城下町の通りには、「公衆(こうしゅう)トイレ」もあったんだ。
そこにたまった排せつ物(はいせつぶつ)は農家に売られ、それを肥料として、米や野菜ができ、さらに、それを食べた人が、また排せつ物を出す。見事な循環(じゅんかん)(※)だね。
(※ 循環(じゅんかん)とは、ものがぐるぐるまわって、またもとにもどることだよ。)
入れ物を持って買い物へ。必要なものだけを買う。

角だるを持って酒を買いに来た人。買い物には、入れ物を持って行ったから、お店で包む紙やビニールのごみは出なかったんだ。(右の絵1)
魚を売る商人と客も、えがかれている。昔は、冷蔵庫(れいぞうこ)なども無いので、その日に必要な分量しか買わなかった。だから、余(あま)り物による生ごみはほとんどなかったんだ。生ごみが出ても農作物の肥料や、犬・ねこのエサになったんだ。
(右の絵2)
何でもリサイクル(※)!

この絵は今の胡町(えびすちょう)あたり。中央は「古着屋」。当時の布は一枚一枚手でおっていたから、新しい着物はたいへん高かった。庶民(しょみん)は古着を着ていたんだ。破れたら(やぶれたら)何度もほかの布をぬいつけて直して、ボロボロになったら最後にぞうきんにした。物をむだにしないで、「もったいない。もったいない。」と、くりかえし直して大切に使っていたから、家庭から出るごみは少なかったんだ。

通りには、こわれた物を直してくれるいろいろなお店があった。右の絵には「かさ屋」がえがかれ、油紙をはったばかりのかさをほしている。(右の絵)
当時のかさは油紙と竹でできていたから、「古かさ買い」の人が、こわれたかさの柄(え)と骨(ほね)を買い集め、油紙をはりかえて売っていたんだ。そのほかにも、なべやかま、おけなどを直してくれる店もあった。(右の絵下)
(※ リサイクルとは、つかい終わったものをすてないで、もう一度つかえるようにすることだよ。)
進め!ごみ減量の道
「昔は、物を簡単(かんたん)にすてるとばち当たりもんと怒られた」

江戸時代は、物をむだにしないで、大切に使っていたから、ごみが少なかった。昔を見習って、家の中から出るごみの量を調べて、ごみをへらす工夫をしよう。
調べ方
- 1週間続けて、毎日、もやせるごみ、もやせないごみ、資源ごみ、ペットボトルなど種類ごとのごみの重さを量る。市民一人が1日に家庭から出すごみの量は461グラム(令和6年度)。君の家はこれより多い、少ない?
- 今、ごみをへらすためにやっていることとやっていないことを下の「ごみ減量(げんりょう)への道しるべ」で確認。やっていないことは家族みんなでやってみよう!
ごみ減量への道しるべ
やっていることにチェックをしてみよう。ほかにもごみを減らすためにできることを考えてみよう。
- 買い物のときはマイバッグを持っていく。いらない紙やビニールで包むのはことわる。
- 洗剤(せんざい)やシャンプーはつめ替え(かえ)用をえらぶ。
- お店で割り箸(わりばし)やスプーンをもらわないで、自分の箸(はし)やスプーンを使う。
- 飲みものは、水筒(すいとう)に入れて持ち歩く。
- 野菜やくだものは、ビニールやトレーに入っていないバラのものをえらぶ。
- スーパーでは野菜やくだものなどの食べ物を買いすぎない。
- 料理のときは、野菜の皮をうすくむいて、むだにしないようにする。
- ごはんは、食べのこしが出ない量を作って、全部食べる。
- ペットボトル、食品トレー、牛乳(ぎゅうにゅう)パック、使い終わった天ぷら油、スマートフォンやゲーム機、ドライヤーといった小さい家電は、スーパーなどにある回収(かいしゅう)ボックスに入れてリサイクルをする。
- いらないものはリサイクルショップに持って行ったり、フリーマーケットに出したりして、必要な人に使ってもらう。
- 生ごみは水をよく切る。生ごみ処理機(しょりき)などを使って、肥料を作る。
リサイクルの目印をさがせ
「昔は、かさや紙、ろうそくなど何でもリサイクルしたもんじゃ」

昔は、知恵(ちえ)をしぼってリサイクルをした。
今は、商品にリサイクルしやすくするためのマーク(印)、また、リサイクルされたことを表すマークがついているよ。どんな商品にどんなマークがついているか、何がどんなものにリサイクルされているのか調べてみよう。
調べ方
- 下記のマークのついた商品の中身、値段(ねだん)、マークのまわりに書いてある言葉、マークがついているわけなどを調べる。わからないときは、図書館に行ったり、インターネットで検索(けんさく)したりしてみよう。
- 調べた結果をまとめる。
- リサイクルを進めるため、何を買って、使った後はどうすればいいか考えてみよう。
マークの例
容器包装の識別表示

このマークは、お菓子(かし)などのプラスチック製(せい)の袋(ふくろ)、マヨネーズの容器(ようき)などについているよ。
リサイクルされると、文房具(ぶんぼうぐ)、日用品などのプラスチック製品(せいひん)になるよ。

このマークは、ジュース、しょうゆなどのペットボトルについているよ。
リサイクルされると、シャツなどの服、卵(たまご)パックなどになるよ。

このマークは、ジュースやコーヒーなどのスチール製の缶(かん)についているよ。
リサイクルされると、スチール缶、鉄筋(てっきん)などになるよ。

このマークは、ジュースやコーヒーなどのアルミ製の缶についているよ。
リサイクルされると、アルミ缶、自動車の部品などになるよ。

このマークは、お菓子の外箱、ティッシュペーパーの箱などについているよ。
リサイクルされると、トイレットペーパー、ティッシュペーパーなどになるよ。
エコマーク

このマークは、環境にやさしい商品、リサイクル品などについているよ。
グリーンマーク

このマークは、古い紙をリサイクルしてつくったノートやトイレットペーパーなどについているよ。
再生紙使用マーク

このマークは、リサイクルした古い紙が何パーセント入っているか表しているよ。どのくらい古い紙を使ったかによって数字の部分がかわります。
ペットボトルリサイクル推奨(すいしょう)マーク

このマークは、ペットボトルをリサイクルしてつくった商品についているよ。
牛乳パック再利用マーク

このマークは、牛乳パックをリサイクルしてつくった商品についているよ。
紙パックマーク

このマークは、ジュースなどの紙パックについていて、リサイクルできる紙パックであることを表しているよ。
国際エネルギースタープログラム

このマークがついているパソコンなどは、つかっていないときに電気をあまり使わないように工夫されているんだよ。
どれだけしっていたかな。
節約の心で地球と家計をすくえ
「昔は、むだ使いをすると、ひどく油をしぼられた(※)ものですよ」
(※ 油をしぼられる、とは、しかられるという意味だよ。)

昔は電気やガスなどの代わりに、まきや菜の花のたねからとった油などを大切に使っていた。
家庭でできることと、1年間でどれくらいお金を節約できるかをしょうかいするよ。やっていることをチェックしてみよう。もし、まだやっていないことがあったら、これからやってみよう。
リビングでは
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1年間で節約できるお金 |
1年間で減らすことのできる二酸化炭素(にさんかたんそ)(※)の量 |
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冷暖房(れいだんぼう)(2.2キロワット)の温度の調節 |
約2,590円 (冷房を27度から28度に1度上げ、暖房は21度から20度に1度下げた場合) |
40.7キログラム |
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冷暖房(2.2キロワット)はちゃんと切る |
約1,840円 (冷房(28度)、暖房(20度)の使用を1日1時間へらした場合) |
29.1キログラム |
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人のいない部屋の明かりはこまめに消す |
約85円 (電球形LEDランプ(7.5ワット)の使用を1日1時間へらした場合) |
1.2キログラム |
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約385円 (LED照明器具(34ワット)の使用を1日1時間へらした場合) |
5.3キログラム |
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テレビを見る時間をへらす |
約895円 (50V型テレビで1日1時間へらした場合) |
12.4キログラム |
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電気製品を使わないときには電源(でんげん)を切る |
約980円 (デスクトップ型パソコンの場合) |
15.4キログラム |
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約170円 (ノート型パソコンの場合) |
2.7キログラム |
(※ 二酸化炭素(にさんかたんそ)は、地球をあたたかくする大気中のガスの1つだよ。)
台所では
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家庭でできること |
1年間で節約できるお金 |
1年間で減らすことのできる二酸化炭素の量 |
|---|---|---|
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冷蔵庫(れいぞうこ)の温度の調節 |
約3,270円 (冷蔵庫内の温度を「強」から「中」にし、整理整頓(せいりせいとん)をした場合) |
51.5キログラム |
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冷蔵庫は壁(かべ)からはなす |
約1,400円 (上と両側が壁にくっついているのを、片側だけ壁にくっつくようにした場合) |
22.0キログラム |
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冷蔵庫の開け閉め(あけしめ) |
約510円 (冷蔵庫を開ける回数を少なくし時間も短く(20秒間から10秒間に)した場合) |
8.1キログラム |
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電気ポットを長時間保温(ほおん)しない |
約3,330円 (使うたびにわかし、使わないときはプラグを抜いた場合) |
52.4キログラム |
浴室(よくしつ)・洗面所(せんめんじょ)では
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家庭でできること |
1年間で節約できるお金 |
1年間で減らすことのできる二酸化炭素の量 |
|---|---|---|
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急ぎでない物はまとめてあらう |
約4,510円 (洗濯機(せんたくき)の容量の4割入れて毎日あらう場合から、8割入れて2日に1回あらうように変更した場合) |
2.9キログラム |
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おふろは家族みんなが続けて入り、追いだきはしない |
約6,190円 (2時間の放置により4.5度低下した湯(200L)を追いだきした場合から、追いだきしないように変更した場合) |
85.7キログラム |
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シャワーを1日1分へらす |
約3,210円 (45度の湯を流す時間を1分間へらした場合) |
28.7キログラム |
車に乗るとき
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家庭でできること |
1年間で節約できるお金 |
1年間で減らすことのできる二酸化炭素の量 |
|---|---|---|
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急発進・急加速をしない |
約16,140円 (5秒間で20キロメートル/h程度に加速し、加速・減速の少ない運転をした場合) |
262.0キログラム |
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アイドリング(空ぶかし)をしない |
約2,480円 (5秒の停止でアイドリングストップをした場合) |
40.2キログラム |
※2,000cc普通乗用車で年間走行距離10,000キロメートル、平均燃費11.6キロメートル/Lの場合。アイドリングストップは30キロメートルごとに4分間の割合とする。
出典:「無理のない省エネ節約」経済産業省資源エネルギー庁
環境なぜなにQ&A
Q なぜ、ごみは分けて出すの?
A 市では、市民のみなさんにごみを出すとき8通りに分けてもらっているよ。ごみをへらし、リサイクルを進めて、環境を守るためだよ。
例えば、ジュースを飲んだとき、そのアルミの空き缶を、もやせないごみと一緒(いっしょ)にすててしまうと、ごみとしてうめられてしまう。でも、アルミ缶だけを分けて資源ごみとして出せば、もう一度新しいアルミ缶に生まれかわることができるんだ。
アルミ缶を作るときにかかるエネルギーも節約できるよ。リサイクルの場合は、材料の石(ボーキサイト)から新品を作る場合の3パーセントですむ。つまり、缶を1個リサイクルすると、40ワットの電球を約10時間ともせる電気が節約できるんだ。
Q リサイクルしている量は?
A 広島市では、令和6年度の1年間で、ペットボトル2,291トン、アルミ缶761トン、紙19,093トンなどをリサイクルしたよ。
でも、それは市内で使われているものの一部にすぎないんだ。
Q リサイクルはなぜするの?
A ごみをへらすことと、もう一つ、このまま使いすてのくらしを続けていると地球から資源がなくなってしまうからだよ。例えば、紙は木からできていて、紙を作るために世界中でたくさんの木が切られている。木は育つのに何十年とかかるから、このままでは木がなくなってしまうのではと心配されているんだ。
1トンの紙をリサイクルすると木20本が救えるといわれている。令和6年度に広島市内で集められ、リサイクルされた紙は19,093トンで、約381,860本の木を救った計算になるよ。
Q リサイクルできないごみはどうするの?
A リサイクルできないごみはもやしたり、うめたりしているよ。ごみをもやす工場では一度にたくさんのごみをもやすことはできないし、ごみをうめる場所に入れられるごみの量にはかぎりがあるから、もっとごみを減らす必要があるんだ。
Q 一人が出すごみはどれぐらい?
A 市民一人が1日に家庭や会社、お店などから出すごみの量は、約775グラム(令和6年度)。ごみをもやした後の灰も含(ふく)めると広島市全体で1日のごみ量は約988トン(令和6年度)になるよ。これは半月でマツダスタジアムがいっぱいになってしまうほどの量なんだ。この1日のごみを処理(しょり)するには約3,900万円(令和6年度)ものお金が必要だよ。1日分のごみを処理するのに、こんなにお金がかかっているんだね。
Q 地球の気温は上がっているの?
A 2024年(令和6年)の世界平均気温は、1850~1900年の気温よりも1.55度上がったんだ。すでに、北極圏(ほっきょくけん)の氷がとけたり、農作物への被害があったりと、さまざまなかたちで影響(えいきょう)が現れはじめているよ。温室効果ガス(※)の排出が非常に多い場合、2100年までに3.3~5.7度も気温が上がると予測(よそく)されているんだ。
(※ 温室効果ガスとは、地球をあたたかくする大気中のガスのことだよ。二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素(いっさんかにちっそ)などがあるよ。)
Q なぜ気温が上がるの?
A 温室効果ガスが大気の中にふえたからだよ。地球は、太陽の熱であたたまったあと、熱を宇宙ににがして気温をちょうせつしているよ。でも、温室効果ガスがふえすぎると、熱がにげにくくなって、地球がどんどんあたたかくなるんだ。
Q 気温上昇はどうしたらふせげるの?
A 二酸化炭素は、石炭や石油などをもやすと出るガスで、電気やガス、車を使うときにも出るんだ。だから、むだな電気やガスを使わないようにする『省エネ』がとても大切なんだ。
広島市では、市民のみなさんや会社、工場、市役所などが協力して、市内から出る温室効果ガスの量を2050年までに実質ゼロにすることを目指しているよ。
関連情報
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