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概算払による委託金の精算について

ページ番号:0000004037 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第1号
平成30年1月14日

 平成29年11月15日付けで受け付けた広島市職員に関する措置請求について、その監査結果を地方自治法第242条第4項の規定により、別紙のとおり公表する。

広島市監査委員 佐伯 克彦
同 井上 周子
同 原 裕治
同 桑田 恭子

別紙

広監第137号
平成30年1月14日

請求人
(略)

広島市監査委員 佐伯 克彦
同 井上 周子
同 原 裕治
同 桑田 恭子

広島市職員に関する措置請求に係る監査結果について(通知)

 平成29年11月15日付けで受け付けた広島市職員に関する措置請求(以下「本件措置請求」という。)について、地方自治法第242条第4項の規定により監査を行ったので、その結果を同項の規定により次のとおり通知する。

第1 請求の要旨

 平成29年11月15日付けで提出のあった広島市職員措置請求書に記載された内容は、以下のとおりである。

広島市健康福祉局保険年金課による、「I会」(以下「会」という)に対する委託金の不当な支出に関する措置請求の要旨

1 請求の要旨

 ⑴ 請求の対象:広島市健康福祉局保険年金課:J様 K様 課長様
 ⑵ 時期:平成27・28年度及び29年度の4月から現在まで。
 ⑶ 不当や怠る行為:上述期間中、保険年金課が「会」に対する業務委託契約の締結・履行には、不当や怠るがあると思う。
 ⑷ 不当や怠る事実:
 ア 平成27年5月から、「会」は保険年金課から業務委託金をもらい始めた。
契約を締結するときに、会則はない若しくはあっても、会計、監査などを配置してない会との契約締結には不当として理解できると思う。
 イ その時、会の「会員会則」(※別紙1:中文・日文各1部)第一の第9条には、「毎年の年始年末、2回ほど会員大会を開催する。年始:一年間の活動計画を説明し、年末:一年間のまとめた会計報告及び奨励する」との内容があるが。代表者のL(帰国者の2世)は、会が設立当初自ら作った会則に違反し、27年度と28年度、2年間の会計報告を今年11月4日までには、会員全員に報告していなかった。
 会員として、2015年度からの3年間、会が保険年金課から市の委託金をどれぐらいもらったか、何に使うか、何に使ったのか、知りたい、知る資格と権利があると思うので、ずっと報告を待っていたが。
 早く会則を実施し、過ぎ去った2年間の会計報告と今年度の予算及び活動計画を説明してほしいなどを、今年3月10日と4月12日に、保険年金課に伝えた。4月19日、保険年金課が、事業報告を年金課に報告してもらうが、会計報告は保険年金課に提出しなくてもいい、会内で報告しなければいけない、Lさんに催促して、報告してもらうようにしなければならないと言ってくれた。
 その日、保険年金課から、できるだけ両方(私たちとLら)の言い分をちゃんと聞いて、市も中に挟んで、その場に立ち会ったような三者会議を行おうと勧めてくれたが、Lがいつも理不尽ばかりで、話し合うと喧嘩になる可能性があると思ったので、保険年金課からの勧めを拒否した。
 ウ 何か月たっても、会計報告を実施してくれなかったので、私たち4人が発起人として、弁護士を訪ね、「会則には、会の会計監査について定められていないので、法の原則どおり、会員が誰でも監査できる」と聞いた。7月12日付けの通知書(※別紙2)を会代表のLに届けた。
 エ 7月18日(火曜日)、保険年金課に「公文書開示請求書」(※別紙3)提出し、8月8日(火曜日)から、保険年金課から提出してくれた資料(※別紙4)で監査し始め、8月25日に、会が保険年金課よりもらった各年度の委託金の総額、各項目の金額などをまとめた監査資料(※別紙5)がやっとできて、保険年金課から確認してもらうために提出した。
 オ 纏めた資料をみると、沢山の疑惑が生じて、特に講師代と消耗品費の使途不明が多いと思うので、8月26日から、理事・講師と各教室に参加する会員の一部に調査し始め、陳述書と聞いた内容をまとめて監査資料を作成した。(※別紙6)
 カ 9月11日(月曜日)午後、また、三者会議を行って、両方の意見を聞いた方が良いと保険年金課が勧めてくれた。
 キ 9月12日(火曜日)三者会議に参加する、とのことを保険年金課へ伝えた、開く時期について、保険年金課がLに相談してから、知らせしてくれると聞いた。
 ク 9月15日、監査した結果により、約2年半の間、委託金中の講師代と消耗品費が、約200万円が使途不明になってしまったことを保険年金課に伝えた。
 ケ 9月22日(金曜日)保険年金課に、来週の月曜日、私たちが監査で委託金のまとめた中文資料を会員のみんなに配ることを伝えた。
 コ 9月25日(月曜日)午前の医療日本語教室で、監査結果を記録する中文資料を当日の教室に出席した会員に配って公開した。(※別紙7)
 サ 9月28日(木曜日)、保険年金課から次のような話を伝えてくれた:

  • Lが保険年金課に提出した講師代領収書には、全部5000円を記入し、講師の印鑑やサインもある;
  • Lが三者会議には参加拒否した。理由:Mたちが彼に通知書を送った。

 シ 10月6日(金曜日)午後、Lが、平成27年と28年度、2年間の会計報告を理事会で公開した。(※別紙8)
 ス 10月19日(木曜日)保険年金課から、Lが提出してくれた消耗品費の領収書も確認してからLさんに返した、と伝えてくれた。
 セ 最近何回も、年金課へ聞いた:4月ごろから、年金課に勧めてくれた三者会議は、いつごろ開催するか、と。まだ分からない、Lが都合悪いと言ってくれた。
 ソ ll月5日(日曜日)午後、会の「中秋賞月交流会」があった。Lが僅か10分間で、平成27年と28年度、2年間の会計報告を簡単に言ってくれた。(※別紙9)監査もないし、報告資料も配らなかった。
 ⑸ 広島市に損害
 約2年半の間、使途不明になってしまった講師代と消耗品費が、概算で少なくても200万円になり、広島市の財産には損失をもたらした。
 ⑹ 保険年金課が契約履行や財務会計管理について不当・怠慢と思う理由:
 ア 会ができた時(平成27年5月)、4人の責任者がおったが、中の1人が仕事で忙しいから、止めた;1人が長期間活動には参加してなかった。残りの2人(代表Lと事務N)が会計、買物、物保管、講師などのことをやる状態になり、そして、会が初めから、ずっと監査がいなかった状態のままで、財務会計管理規則に違反し、問題が出やすい、そして2人しかいない状態では、管理する能力と資格はなくなるはず、及び、Nは、僕の会計を審査すること、絶対考えるな、と放言したなどを、今年の3月10日(金曜日)、早めにこのような状態を変えた方が良い、と保険年金課に伝えたが、対応してくれなかった。
 イ 講師たちが受領した講師代について、保険年金課が、Lから提出した偽物の領収書を信じて認めたが、私たちの持っている事実を全然無視され、調査も検査も、してくれなかった。
 ウ 消耗品費の支出について、各教室では消耗品を全然使わない、使っても金額が僅かで、使途不明になった金額が多い、と伝えても、保険年金課がLから提出してもらった偽領収書を信じて、次期の委託金を振り込んだ。
 エ 今年の3月ごろから、ずっと保険年金課に訴えたことを無視され、証拠があっても、適応な対応を全然してくれなかった;8月末頃から、監査した結果により、委託金が委託業務以外に流用したと使途不明になってしまったことを、何回も保険年金課へ伝えたが、三者会議を開くから、待ててくださいと言ってくれた。私たちは、三者会議がいつごろ開く?と聞いたら、分からない、Lの都合により、と言ってくれた。Lの都合により行う、ずっと都合が悪かったら、止める?
 オ 私たちは、会の代表Lが契約を誠実に履行していなかったについて、沢山の根拠を把握して、保険年金課に話があったが、どうして全然聞いてくれないの?このような責任を持てないやり方には、残念・おかしいと思うしかない。
 カ 契約書の留意事項の(5)には、「受託者は、委託料を委託業務を実施するための経費以外に使用してはならない」。また、広島市委託契約約款の(検査)項目の第10条には、「発注者は、必要あると認めた時は、受注者に委託業務に関する資料若しくは報告書を提出させ、又は受注者の委託業務の実施状況を調査し、若しくは検査することができる」。また、2,「発注者は、前項の検査により、必要があると認めた時は、受注者に対し必要な措置を採ることを求めることができる」。また、広島市委託契約約款の(発注者の解除権)項目の第14条には、「発注者は、前条の規定による場合のほか、次の各号のいずれかに該当するときは、この契約を解除することができる」。「(2)受注者が、この契約を誠実に履行する見込みがないと発注者が認めたとき」。との内容があることが、保険年金課が分かると思うだけど、委託金中の講師代と消耗品費中の一部の資金が、いったい何に流用したのか、全然検査や調査しなく、何も必要な措置もとってなかった。
 ⑺ 請求期限について
 ア 上述したことを、保険年金課に話しても、調査も解決もしてくれなかったので、公正的に解決できるどこかに訴えようと思うところ、8月末頃、広島市には「広島市監査委員会」という部門があることがやっと分かって、訪ねるや請求し始めた。
 イ 保険年金課が、契約履行や財務会計管理上の怠る事実は、現在まだ終了してない、そして契約履行や財務会計管理については、また継続しているので、請求期限はないと思う。
 ⑻ 措置を請求

  • ア 保険年金課の職員は、職務の遂行に当たっては、事実に基づいて事実を求めるような、公正的な職員になるようにしてください。
  • イ 広島市監査委員より審査していただきます。保険年金課が確認された、会の2年半の間、各支出に関する資料(当時の領収書又はレシート・お買上明細書)」・委託業務に関する事業報告及び決算報告書などのすべてを、提出させて監査してください。
  • ウ 委託事業内容以外に使った費用及び使途不明になってしまった委託金を広島市に返還させてください。
  • エ 必要であれば、監査してくださる場合は、私たちも参加させてください。
  • オ 歴史の問題により中国残留孤児が生まれた。残留孤児がいなければ、政府からこのような特別の補助金を出してくれないと思う。

今後、この大切な業務委託金を、主として一世(残留孤児と配偶者)の人たちが主宰する会ときちんと管理できる人に任せてください。

 地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。

(事実を証する事実証明書として次の書類が提出されているが、添付を省略する。)

  • (別紙1)会員会則
  • (別紙2)通知書
  • (別紙3)公文書開示請求書
  • (別紙4)各教室経費算出内訳(平成27年)ほか
  • (別紙5)2015~2017年度 I会が広島市保険年金課から受領した(承諾済み含む)委託金をまとめた情報(各教室部分)
  • (別紙6)陳述書(中国語及び和訳)ほか
  • (別紙7)別紙5の中国語によるもの
  • (別紙8)広島市平成27年度教室委託料及結算書ほか
  • (別紙9)会計報告時におけるL氏の発言記録

第2 請求の受理

 本件措置請求は、地方自治法第242条第1項の所定の要件を具備するものと認め、平成29年12月4日に、同年11月15日付けでこれを受理することを決定した。

第3 監査の実施

1 請求人による証拠の提出及び陳述

 地方自治法第242条第6項の規定に基づき、平成29年12月18日に請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人は新たな証拠として次の書類を提出するとともに、陳述を行った。
 (新たな証拠として次の書類が提出されているが、添付を省略する。)

  • 講師謝礼金の支払時に会が使用した封筒2枚
  • 証言1件(中国語及び和訳)
  • 陳述書5件(中国語及び和訳)

 請求人は、本件措置請求に沿った内容の説明について、陳述した。

2 広島市長の意見書の提出及び陳述

 広島市長に対し、意見書及び関係書類等の提出を求めたところ、平成29年12月18日付け広健年第413号により意見書が提出された。なお、陳述は行わなかった。
意見書の内容は、以下のとおりである。

⑴ 本市の意見

 請求人の主張には理由がないため、本件措置請求は棄却されるべきである。

⑵ 本市の意見の理由等
ア 本件措置請求の要旨

 本件措置請求の要旨は、おおむね次のとおりであると解される。
 平成27年5月からI会(以下、「会」という。)は、広島市健康福祉局保険年金課(以下、「本市」という。)から中国残留邦人等地域生活支援教室開催事業(以下、「教室事業」という。)の委託を受けているが、会則がない若しくはあっても、会計、監査などを配置していない会との契約締結は不当である。
 平成27年5月から現在までに使途不明金が約200万円生じているが、本市は対応を行おうとしなかった。
 また、上記の問題について、多くの根拠を把握して本市へ提示したが、対応しようとしなかった。
 よって、本市が確認した会の2年半の各支出の資料、事業報告及び決算報告書等の全てを監査すること及び上記損害(約200万円)の補填を求めるものである。

イ 本市の意見の理由

 本件委託事業は、本市に何ら損害を発生させるものではなく、次のとおり、請求人の主張には理由がない。

 (ア) 本市に損害を発生させていないことについて
 請求人が主張している約200万円の使途不明金について、明確な根拠資料がなく、会の一部の会員からの聞き取りだけとなっている。
 本市では、会から講師代や消耗品費の領収書の提出を受け、教室事業の実施に係る経費を把握し、確実な履行を確認しており、使途不明金は発生していない。
 よって、本市への損害は発生していない。

 (イ) 請求人の不当や怠慢に係る主張への反論

  1. 請求人は、契約を締結するときに、会則がない若しくはあっても、会計、監査などを配置していない会との契約締結は財務会計管理規則違反となり不当との主張をしている。
    しかし、財務会計管理規則が何を指すのかは不明であるが、教室事業の実施根拠となる国が定めた要領(「地域における中国残留邦人等支援ネットワーク事業実施要領」及び「身近な地域での日本語教育支援事業実施要領」)において、実施主体の一つとして、市区町村が適当と認める民間団体に、事業の全部又は一部を委託することができると定められており、会計、監査の配置には言及されていないため、不当であるという根拠はない。
    なお、会においては、各年度当初に本市へ「委託業務計画書」を提出するとともに、各年度末に本市へ委託料の使用状況を明示した「委託業務報告書」を提出し、本市において、その内容確認を行っており、適正に会計や監査の機能が果たされていると考える。
  2. 請求人は、本市が講師の受領した講師代について、会の代表から提出された偽物の領収書を信じ、請求人が持っている事実を無視し、調査や検査をしないのは怠慢との主張をしている。
    しかし、請求人の持っている事実は、全て口頭の申立だけであり、明確な根拠資料がない。他方、会からは、講師代の領収書の提出を受けて、教室事業の実施に係る経費を把握しており、確実な履行を確認している。また、一部の講師から聴き取りを行ったが、偽物の領収書であるとの確認はできなかった。
    よって、請求人の主張している問題は発生していない。
  3. 請求人は、各教室では消耗品を全然使わない、使っても金額が僅かで、使途不明になった金額が多いとの情報を本市に伝えたが、会の代表が提出した偽物の領収書を信じて、委託金を振り込んだのは不当との主張をしている。
    しかし、請求人の主張は、全て口頭の申立だけであり、明確な根拠資料がない。他方、会からは、消耗品費の領収書の提出を受けており、本市はそれに記載された日付、商品名及び金額等について、教室事業の実施状況とも照合して適切であることを確認している。
    よって、請求人の不当との主張はあたらない。
  4. 請求人は、請求人が本市へ訴えたことについて、対応しなかったことは怠慢との主張をしている。
    しかし、請求人より、介護予防教室について、いつも麻雀ばかりしていると訴えがあった際に、本市が介護予防教室への訪問を抜き打ちで実施し、ビデオを見ながら介護予防に資する体操をしており、教室の実施状況に問題はないことを確認している。
    また、7月5日には会の代表へのヒアリングを実施し、請求人の訴えについての事実確認を行った。
    このように、請求人の訴えに基づき、本市は確認を行っており、請求人の「対応しなかった」という主張は事実誤認である。
  5. 請求人は、会の代表が契約を誠実に履行していないことについて、たくさんの根拠を把握して伝えたのに対応しないのは怠慢との主張をしている。
    しかし、請求人の根拠は、全て口頭の申立だけであり、根拠資料がなく、真偽の判断ができない。また、本市としては、請求人より、介護予防教室について、いつも麻雀ばかりしていると訴えがあった際に、本市が介護予防教室への訪問を抜き打ちで実施し、ビデオを見ながら介護予防に資する体操をしている等、教室の実施状況に問題はないことを確認したほか、請求人の訴えについて、7月5日に会の代表へのヒアリングを実施して、事実確認を行った。
    このように、請求人の訴えに基づき、本市は確認を行っており、請求人の「対応しない」という主張は事実誤認である。

 (ウ) 請求人のその他の主張への反論等

  1. 請求人は、会員会則により実施することになっている、毎年の会計報告を会が実施していないとの主張をしている。
    本市が会の設立を提案したこともあり、本市は必要に応じて会に助言を行っているが、会員への会計報告の実施については、会の内部運営に関する問題であり、本市が指導等を行う事項ではない。
    なお、会においては、各年度末に本市へ委託料の使用状況を明示した「委託業務報告書」を提出しており、本市もその内容確認を行っている。
  2. 請求人は、公文書開示請求を行い、入手した公文書をまとめた資料(別紙5)を作成し、本市へ提出したとの主張をしている。
    公文書開示請求を受け、公文書の開示を行い、請求人のまとめた資料が提出されたことは事実である。しかし、請求人のまとめた資料と公文書開示請求で開示した精算書の金額が一致しないことの明確な説明はなされていない。
  3. 請求人は、三者面談がいつまでたっても実施されないとの主張をしている。
    請求者の訴えは、本市が指導等を行う事項ではない会の内部事情に関するものが多く、また、請求人と会の代表の主張が真っ向から対立し、一方の主張をもって真偽を判断しかねるため、本市から、市も同席の上で、双方が話し合う三者面談の場を設けることを提案している。以下のとおり、三者面談の実施に向けて、双方に働きかけを行っているところである。
    • 4月19日に請求者へ三者面談を打診したが、拒否。
    • 7月5日に会の代表へ三者面談を打診し、了承を得たが、請求者が引き続き拒否。
    • 請求者への説得を続けた結果、9月12日に請求者から三者面談の了承を得た。
      しかし、7月中旬に請求者が会の代表へ、会計報告をしなければ法的手段をとるとの通知を送付したため、会の代表が態度を硬化させ、三者面談を拒否。
    • 現在、会の代表へ三者面談に応じるよう説得しているが、了承を得られていない。

 (エ) 請求人の提出書類についての反論及び意見

  1. 請求人は、別紙4を公文書開示請求にて入手した文書との主張をしている。
    しかし、別紙4の1枚目「各教室経費算出内訳(平成27年)」については、本市で作成や保有をしておらず、本市が公文書開示をしたものでなく、出所不明の文書である。
    また、別紙4の6枚目と7枚目は、平成27年度の押し花教室の実施予定日の表であり、同一の文書であるが、7枚目には本市が記入したものではない付記がされている。なお、実際の押し花教室の実施日は、表の日付とは一致しておらず、実施回数も契約内容を変更し、11回から19回に増えている。
  2. 請求人は、公文書開示請求にて入手した別紙4を監査し、公文書をまとめた資料として、別紙5を作成したと主張している。
    しかし、別紙4は、教室事業の契約時や契約変更時の文書の一部であり、委託金を確定する精算書が含まれていないため、別紙4を基に別紙5を作成した場合は、実際の委託金の支給額とは同額とならない。
    なお、請求人へ公文書開示をした際には、精算書も公文書として開示している。

3 監査対象事項

 監査対象事項は次のとおりとする。なお、平成29年度の同様の委託契約に係る監査請求については、精算がまだ行われておらず、確定していないため、対象としない。
 ⑴ 平成27年度中国残留邦人等日本語教室開催委託事業委託契約、平成27年度中国残留邦人等介護教室開催委託事業委託契約、平成27年度中国残留邦人等文化・芸術(日中料理・書道・手芸・押し花)教室開催委託事業委託契約、平成27年度中国残留邦人等音楽教室(日本語歌謡・二胡)開催委託事業委託契約及び平成27年度中国残留邦人等スポーツ教室(中国武術・民謡舞踊)開催委託事業委託契約(以下これらを「平成27年度契約」という。)並びに中国残留邦人等地域生活支援教室開催事業(平成28年度)委託契約(以下「平成28年度契約」という。)における講師謝礼金及び消耗品費の精算が実費を超える金額で行われ、違法又は不当なものとなっていないか。
 ⑵ 平成27年度契約及び平成28年度契約における講師謝礼金及び消耗品費の精算が実費を超える金額で行われたことにより生じた損害賠償請求権の行使を違法又は不当に怠る事実があるか。

第4 監査の結果

1 事実関係の確認

 請求人から提出された広島市職員措置請求書及び事実を証する書類、請求人の陳述、広島市長から提出された意見書及び関係書類、広島市職員への聞取り調査並びに関係人調査により、平成27年度契約及び平成28年度契約について、次のとおり確認した。

⑴ 平成27年度契約及び平成28年度契約の対象である事業

 ア 契約の目的である事業は、広島市内在住の中国残留邦人等を対象に、日常生活や日本語学習の支援となるような教室を開催することにより、その自立を支援することを目的とするものであり、国(厚生労働省)の「中国残留邦人等地域生活支援事業」の一つとして、事業費の全額について国庫補助金を受けて実施している。
 イ 当該事業の実施主体は、国(厚生労働省)の定めた実施要領において、指定都市等と定められているが、この実施要領において「本事業を適切、公正、中立かつ効果的に実施することができる者であって、社会福祉法人、一般社団法人、一般財団法人又は特定非営利活動法人その他の都道府県及び市区町村が適当と認める民間団体に、事業の全部又は一部を委託することができる。」と定められていることから、広島市では、当該事業の全部を、I会(以下「会」という。)が中国残留邦人の関係者で形成された団体であり、必要な支援や課題に精通している等の理由から、随意契約により会と委託契約を締結して実施している。

⑵ 平成27年度契約及び平成28年度契約の内容
ア 平成27年度契約

 (ア) 委託先
 I会 代表者 L
 (イ) 実施期間
 平成27年5月1日から平成28年3月31日まで
 (ウ) 履行場所
 広島市中央公民館及び広島市中央老人福祉センター
 (エ) 委託料の支払方法・精算
 平成27年度契約の仕様書において、次の内容が記載されている。

 5 委託料の支払方法

 委託者は、承諾書に掲げる額を限度とし、受託者の請求に基づき、委託料を下表に掲げる区分により概算払いする。受託者は、請求書を以下の区分ごとの請求期限の日までに提出するものとする。
 広島市は、適正な請求書を受理した日から起算して30日以内に委託料を支払うものとする。

区分 金額 支払予定金額 請求期限
5月~6月分 契約金額の24/130
(千円未満切り捨て)
159,000円 平成27年5月26日
7月~9月分 契約金額の37/130
(千円未満切り捨て)
245,000円 平成27年6月16日
10月~12月分 契約金額の34/130
(千円未満切り捨て)
225,000円 平成27年9月16日

1月~3月分

契約金額から既支払済額を控除した額 234,600円 平成27年12月16日

(※ この表は日本語教室開催委託事業の例である。)
 6 留意事項
 ⑴ 概算払金の精算は、平成28年3月31日をもって行うものとする。
 ⑵ 前項の精算により、概算払金に残余金が生じた場合は、受託者は速やかに委託者に返還しなければならない。
 ⑶ (略)
 ⑷ 受託者は、委託料を委託業務を処理するための経費以外に使用してはならない。
 ⑸~⑼(略)

イ 平成28年度契約

 (ア) 委託先
 平成27年度契約に同じ。
 (イ) 実施期間
 平成28年4月1日から平成29年3月31日まで
 (ウ) 履行場所
 平成27年度契約に同じ。
 (エ) 委託料の支払方法・精算
 平成28年度契約の仕様書において、次の内容が記載されている。

 5 委託料の支払い方法

 委託者は、契約書に掲げる額を限度とし、受託者の請求に基づき、委託料を四半期ごとに概算払いする。受託者は、請求書を区分ごとの請求期限の日までに提出するものとする。
 広島市は、適正な請求書を受理した日から起算して30日以内に委託料を支払うものとする。
 6 留意事項
 ⑴ 概算払金の精算は、平成29年3月31日をもって行うものとする。
 ⑵ 前項の精算により、概算払い金に残余金が生じた場合は、受託者は速やかに委託者に返還しなければならない。
 ⑶・⑷ (略)
 ⑸ 受託者は、委託料を委託業務を実施するための経費以外に使用してはならない。
 ⑹~⑼ (略)
 ⑽ 受託者は、月ごとに実施報告書を作成の上、翌月の10日までに報告するものとする。

別紙 支払金額内訳書
区分 金額 支払予定金額
4月~6月分 契約金額の3/12
(千円未満切り捨て)
886,000円
7月~9月分 契約金額の3/12
(千円未満切り捨て)
886,000円
10月~12月分 契約金額の3/12
(千円未満切り捨て)
886,000円
1月~3月分 契約金額から既支払済額を控除した額 888,480円
  合計 3,546,480円
⑶ 概算払における精算手続の制度内容

 ア 概算払は、経費の支出方法の特例の一つであって、地方公共団体が支払うべき債務金額の確定前に概算をもって支出することをいい、債権者は確定しているが債務金額が未確定の場合において、あらかじめ一定の金額をその債権者に交付し、後日債権額の確定したときに精算する制度である。
 イ 広島市会計規則によれば、概算払を受けた者は、用務又は事件の終了後10日以内に、精算書を作成し、概算払金を精算しなければならないとされている(同規則第64条第1項)。
 また、概算払を受けた者は、精算書を作成したときは、速やかにこれを主管課長に送付しなければならないとされ(同条第4項)、主管課長は、精算書の送付を受けたときは、これを精査のうえ、これに基づく精算命令書を作成して、精算書とともに経理担当課長に送付し、経理担当課長は、直ちにこれらを会計管理者又は区会計管理者に送付しなければならないとされる(同条第5項及び第6項)。

 概算払に係る関係法令
 地方自治法
 第232条の5(略)
 2普通地方公共団体の支出は、政令の定めるところにより、資金前渡、概算払、前金払、繰替払、隔地払又は口座振替の方法によつてこれをすることができる。
 地方自治法施行令
 (概算払)
 第162条 次の各号に掲げる経費については、概算払をすることができる。
 一~五(略)
 六前各号に掲げるもののほか、経費の性質上概算をもつて支払をしなければ事務の取扱いに支障を及ぼすような経費で普通地方公共団体の規則で定めるもの
 広島市会計規則
 (概算払の範囲)
 第62条 令第162条第1号から第5号までに掲げる経費のほか、次に掲げる経費については、概算払をすることができる。
 ⑴~⑹ (略)
 ⑺ 委託料
 ⑻ (略)
 (概算払金及び前払金の精算)
 第64条 概算払を受けた者は、用務又は事件の終了後10日以内に、精算書を作成し、概算払金を精算しなければならない。
 2 (略)
 3 概算払又は前払金を受けた者は、前2項の規定により精算する際、過金を生じたときは速やかにこれを返納し、不足金を生じたときはこれを請求しなければならない。
 4 概算払を受けた者は、第1項の規定により精算書を作成したときは、速やかにこれを主管課長に送付しなければならない。
 5 主管課長は、前項の規定により精算書の送付を受けたときは、これを精査のうえ、これに基づく精算命令書を作成して、精算書とともに経理担当課長に送付しなければならない。
 6 経理担当課長は、前項の規定により精算命令書及び精算書(概算旅費に係る精算命令書及び精算書で過不足を生じなかつたものを除く。)の送付を受けたときは、直ちにこれらを会計管理者又は区会計管理者に送付しなければならない。

⑷ 平成27年度契約及び平成28年度契約の履行状況及び精算状況

 広島市は、会から毎月、事業報告書を提出させて、これによって教室ごとの開催日時、開催場所、出席者数、開催内容、責任者氏名、支出額等を確認し、年度末に次のとおり精算を行っていた。

ア 平成27年度契約

 (ア) 執行額

契約額(概算払額) 精算額 執行残額(戻入額)
3,150,880円 2,972,468円 178,412円

 (イ) 教室別の開催回数、延べ参加者数及び支出額

区分 開催
回数
延べ
参加者数
支出額(精算額)
講師謝礼金 会場使用料 消耗品費 合計
日本語教室 119回 3,578人 593,000円 119,720円 73,080円 785,800円
介護教室 41回 880人 205,000円 9,760円 57,129円 271,889円
日中料理教室 21回 625人 105,000円 15,200円 121,809円 242,009円
書道教室 20回 330人 100,000円 9,640円 31,462円 141,102円
手芸教室 43回 1,024人 215,000円 19,240円 64,849円 299,089円
日本語歌謡教室 41回 1,311人 205,000円 2,400円 41,927円 249,327円
二胡教室 16回 143人 80,000円 14,230円 9,982円 104,212円
押し花教室 19回 337人 95,000円 7,600円 13,870円 116,470円
中国武術教室 41回 736人 200,000円 50,420円 0円 250,420円
民謡舞踊教室 81回 1,749人 405,000円 70,880円 36,270円 512,150円
合計 442回 10,713人 2,203,000円 319,090円 450,378円 2,972,468円
イ 平成28年度契約

 (ア) 執行額

契約額(概算払額) 精算額 執行残額(戻入額)
3,546,480円 3,497,374円 49,106円


 (イ) 教室別の開催回数、延べ参加者数及び支出額

区分 開催
回数
延べ
参加者数
支出額(精算額)
講師謝礼金 会場使用料 消耗品費 合計
日本語教室 120回 3,256人 600,000円 108,280円 85,870円 794,150円
介護教室 48回 1,257人 240,000円 29,680円 44,469円 314,149円
日中料理教室 32回 928人 160,000円 23,600円 306,321円 489,921円
書道教室 35回 430人 175,000円 17,700円 38,217円 230,917円
手芸教室 48回 741人 240,000円 23,320円 133,930円 397,250円
日本の歌教室 35回 1,007人 175,000円 4,800円 67,585円 247,385円
二胡教室 24回 177人 120,000円 19,000円 17,642円 156,642円
太極拳教室 24回 513人 120,000円 27,240円 48,632円 195,872円
舞踊秧歌教室 100回 2,107人 500,000円 75,340円 95,748円 671,088円
合計 466回 10,416人 2,330,000円 328,960円 838,414円 3,497,374円
⑸ 精算における講師謝礼金及び消耗品費の支払事実の確認状況

 広島市は、会から毎月、実施報告書を提出させ、併せて証拠書類として領収書も提出させ、次のとおり確認していたとのことである。
 なお、領収書は、確認後、会に返却しているとのことである。

ア 講師謝礼金

 講師謝礼金の領収書については、市販の領収書用紙を使用して作成されたものであり、広島市は、支払年月日、教室名、講師名及び支払金額について確認していた。

イ 消耗品費

 消耗品費の領収書については、スーパーマーケット等が発行したものであり、広島市は、支払年月日、購入店舗、購入品目及び支払金額について確認していた。

⑹ 精算における講師謝礼金及び消耗品費の支払事実に係る陳述等
ア 陳述書の記載内容

 請求人から提出があった事実証明書別紙6の陳述書及び追加で提出があった陳述書に次の記載がある。なお、(ア)、(イ)、(エ)、(キ)、(ケ)及び(コ)に係る陳述については請求人本人による陳述であり、同人から監査事務局職員において同様の内容を聞いている。
 (ア) 平成29年9月8日 証人0

  • 3年間、会が保険年金課から、200万円ほどの消耗品(教材費、材料費、コピー費)に使う費用があったと聞いたが、実際はそんなに沢山の費用が使わなかったと思う。
  • 平成27年度の料理教室に使う材料費は、毎回8,000円で、平成28年度と29年度には、毎回10,000円になったそうだが、実際は、毎回使った材料費は、4,000円でも超えないと思う。
  • 平成27年度の「押し花」教室の材料は、嘘だった、「押し花」の教室は、1度でもやっていなかった。
  • 日本語や日本語歌教室の教材は、ほとんどコピーしたA4サイズの紙を1枚や2枚ほどもらった。中央公民館で簡易印刷機の印刷代は、とても安い。
  • 太極拳などの教室は、材料費はあまり要らなかった。

 (イ) 平成29年9月8日 証人P
 毎回料理教室に使う材料費はせいぜい3,000円ほど。賞味期限超えたキュウリを配って食べさせてくれた。
 (ウ) 平成29年9月8日 証人A(証人の不利益防止の観点から匿名とする。以下同様の表記の場合は同じ理由である。)
 平成27年、Q(中国帰国者2世で、会の責任者中の一人)とLと2人が、I会は国から支援金をもらえない、講師としてやりたい人がおれば、ボランティアとしてやると、みんなを騙した。
 (エ) 平成29年8月26日 証人R
 講師代について、市から毎回5,000円の講師代をもらえるが、講師たちはLから、毎回2,000円~3,000円だけもらった。残りの金額は使途不明になってしました。
 (オ) 平成29年8月27日 証人B

  • 料理教室に使う食材の費用は、毎回平均で4,000円超えないと思う。
  • 3つの日本語教室に使い教材は、全部A4サイズのコピー資料で、公民館の簡易印刷機でコピー代は、非常に安いから、沢山の材料費が要らない。

 (カ) 平成29年8月26日 証人C
 料理教室では、平成27年度、毎回8,000円の材料費で、平成28と29年度、毎回10,000円の材料費で、3年間、市年金課から、もう840,000ほど食材の材料費をもらったが、実際は、毎回料理教室に使う費用は、3,000円~3,500円で、安い野菜や鶏肉、アメリカ産低価お米を購入し食べさせてくれた。
 (キ) 平成29年8月26日 証人R
 「押し花」教室は、全然存在ではなかったが、どうやって材料費をもらったのか。
 (ク) 平成29年12月1日 証人B

  • 2017年11月5日午後、会の代表Lが僅か10分で、会員たちに、2015年と2016年度のいわゆる財務状況を公開してくれた。2年間、市から受領した委託金中の消耗品費が合計130万円余りあったが、その使途として、ただコピー・小お菓子・お茶を購入して使った、と言ってくれた。この3種類には、どうやって使っても、その沢山の資金を使わないと思う。
  • 講師代については、委託金として年金課から1回で5,000円をもらえるが、講師たちは毎回2,000円~3,000円を受領したことが、会員たちは皆分かったことで、ただ、Lに報復されるのを心配するから、事実を正直に言う勇気もなく、証言も書いてもらえなくなる。

 (ケ) 平成29年12月4日 証人R

  • 12月4日(月曜日)午前、会の会計Nは、講師たちに11月分の講師代を支払った。書道講師のSは用事で休んで、Tがその代理として2回ほど教えてくれた。2回で1万円をもらえるはずなのに、NがTへ6千円を渡しながら、1万円の受取を書いてくれんと請求した。
    Tは、それは違法で、国も個人も騙すな、規定通りもらう、と回答した。LとNと掛け合った結局、Tに1万円を払った。
  • 会の理事、講師、会員中の何人か、自分の印鑑をずっと代表に預かってもらっている。

 (コ) 平成29年12月1日 証人M

  • 保険年金課から、今年7月12日付の手紙が届いてきた。内容はLが年金課からの質問に答えた内容だった。中には次の「」中の内容があった。
    「講師謝礼金は、5,000円を渡して領収書を受け取っている。その後で、承諾してくれた方から、交流事業の委託費が入るまで2,000円~3,000円を預かって運営に充てている。預り金に対して、預かり証等は発行していない。(交流事業の委託費は、事業終了後に振り込まれるため)」
  • 2017年11月5日(日曜日)午後3時~5時まで、「中秋賞月交流会」があった。はじめに、Lが10分ほどで、2015と2016年度のいわゆる会計報告をみんなにした。中には次の内容があった。
    「帰国者講師の5,000円講師代から、2,000円ほどずつ預かったのは、交流活動用の立て替え金として使う。」
    実は、交流活動に使った立替金が、交流活動が終わって、活動に使った費用のレシートなどを年金課へ提出して確認してもらった後(約2か月)、交流活動用の立て替え金は年金課から返してもらうはずなのに、どうして2年半前からの立替金が、まだ提出した人に返されなかったの?
イ 請求人による聞取調査書の記載内容

 請求人から提出があった事実証明書別紙6のMが整理した証言及び追加で提出があったMが整理した証言(以下これらを「聞取調査書」という。)に次の記載がある。
 (ア) 平成29年9月14日整理 証人D

  • 平成27と28年度の講師代は、毎回2,000円をもらった。
  • 平成29年度の講師代は、毎回3,000円をもらった、受領するときに、一枚の紙にサインした、紙が上と下2部あった、上の半分が会に、下半分が私は持っている。紙には、月分と回数だけあった。
  • 私の印鑑が、ずっと責任者のところに預かってある。

 (イ) 平成29年9月14日整理 証人E

  • 平成28年度から講師になった、月2回、講師代はもらわなかった、自分がボランティアとしてやるから。
  • 担当する教室用の材料費があまりかからない。

 (ウ) 平成29年9月14日整理 証人F
 平成28年度から講師になった、月1回、28年度の講師代は毎回5,000円をもらったが、29年度から、毎回3,000円をもらっている。
 (エ) 平成29年9月14日整理 証人G

  • いままで、消耗品はあまり使わなかった。
  • 平成28年度の講師代は、毎回5,000円で、2人で分けて、2,500ずつもらったが、実は私一人で講師としてやった。
  • 今年度から、毎回3,000円をもらって、残りの2,000円は、会に出して立替金として使うそうだ。
  • 講師代については、市から毎回5,000円をもらえるが、帰国者の講師たちは、毎回2,000円~3,000円をもらった。僕だけでなく、S、Uも同じ。もらっていない講師代は、会の活動に立替金として使うそうだが、最初から出した立替金が、まだ僕たちに返還してくれなかった。
  • 講師代を受領する時に、領収書はなかった、紙にサインした。
ウ 監査事務局職員による講師に対する関係人調査の結果

 監査事務局職員により講師に対する関係人調査を次のとおり行った。なお、陳述書等において講師謝礼金を全部又は一部受け取っていないとされる講師について関係人調査を申し入れたが、次の者を除き、証言を得られなかった。
 (ア) 講師 証人D

  1. 調査日
    平成29年12月27日
  2. 調査結果
    次の内容の証言を得た。
    1. 講師謝礼金について、市から会に支払われる委託料の金額が1回当たり5,000円であることは知っていたが、実際に受領していた金額は、平成27年度が1回当たり1,000円、平成28年度が1回当たり2,000円であった。
      差額を控除されていることについて、会からは他の交流事業や消耗品の購入等に使用するためと説明を受けており、以前は講師謝礼金が支払われていなかったことを思えば仕方なく納得したが、他の交流事業や消耗品費についても市から委託料として支払われていることの説明はなかった。
    2. 会から市へ提出された講師謝礼金の領収書にある自分の名前の印影は、押印した覚えは1度もない。
      押印されている印影は、会の事務手続上、急に押印が必要になった場合の便宜を図るため自分から会に預けた印鑑であるが、この様な使い方をされるとは思っていなかった。
    3. 消耗品の購入については、自身で必要な品物を立替払で購入し、その後、会に領収書を提出して代金を受け取っており、教室の実態に見合わないような購入はしていない。

 (イ) 講師 証人H

  1. 調査日
    平成30年1月4日
  2. 調査結果
    次の内容の証言を得た。
    1. 会から市へ提出された平成27年度実績報告書に講師として自分の名前があったというが、自分は講師をやったことがない。
    2. 平成27年度に、会から市へ提出された講師謝礼金5回分25,000円の領収書に自分の名前の印影があるというが、自分は講師をやったことがなく、押印した覚えもない。
エ 陳述書、聞取調査書及び関係人である講師に対する調査の結果に係る講師の領収書の記載状況

 上記アの陳述書、イの聞取調査書及びウの講師に対する関係人調査において講師謝礼金を全額は受領していないと述べている講師(証人D、証人E、証人H)の講師謝礼金の領収書及び教室事業自体が行われていないと述べられている押し花教室(講師 V)の講師謝礼金の領収書については、広島市(健康福祉局保険年金課)において保管してある領収書のコピーを監査事務局職員が確認したところ、いずれも受取人である講師の押印のみで、記名がされていなかった。

オ 監査事務局職員による会の代表者に対する関係人調査の結果

 I会 代表者 L
 (ア) 調査日
 平成30年1月4日
 (イ) 調査結果
 次の内容の証言を得た。

  1. 講師謝礼金について、5,000円を一旦講師に支払っており、その上で講師本人の了承を得て会に2,000円か3,000円をカンパしてもらっている。
  2. 会から市へ提出された講師謝礼金の領収書の印については、講師達から印鑑を預かっておらず、講師本人が直接押印している。
  3. 消耗品については、各講師が必要な品物を立替払で購入して、その領収書を会に提出し、それを市に報告して認められたものについて、会が講師に代金を支払っている。
カ 広島市(健康福祉局保険年金課)職員による会の代表者への聞取り

 広島市(健康福祉局保険年金課)職員が平成29年7月5日に会の代表者から次の内容を聞き取っている旨の協議録が存在する。

  • 講師謝礼金は、5,000円を渡して領収書を受け取っている。
  • その後で、承諾してくれた方から、交流事業の委託費が入るまで2,000円~3,000円を預かって運営に充てている。
  • 預り金に対して、預り証等は発行していない。
    (交流事業の委託費は、事業終了後に振り込まれるため)
キ 広島市長の意見書の内容に係る補足的聞取り

 広島市長の意見書中「一部の講師から聴き取りを行ったが、偽物の領収書であるとの確認はできなかった。」との記述がある(上記第3の2の⑵のイの(イ)のb)が、この一部の講師とは会の代表者及び会計担当者の2人であることを広島市(健康福祉局保険年金課)職員から、監査事務局職員が聞き取った。

2 判断

 請求人は、広島市が平成27年度契約及び平成28年度契約における講師謝礼金及び消耗品費に係る委託料の精算において、会が提出した偽りの領収書により実費を超える金額で支払額を確定したため、違法又は不当な精算による公金の支出があると主張するとともに、実費との差額の損害を被ったにもかかわらず、会に損害賠償請求権を行使していないのは違法又は不当に財産の管理を怠る事実があると主張しているものと認められることから、以下、検討する。
 なお、平成29年度の同様の委託契約に係る分については、いまだ精算が行われていないことから、監査の対象とはならない。

⑴ 講師謝礼金に係る委託料の支出について

 ア 請求人は、平成27年度契約及び平成28年度契約における講師謝礼金に係る委託料の支出については、一部の講師謝礼金について実費を超えた金額の委託料の支出となっていると主張している。
 イ 請求人から提出があった陳述書及び聞取調査書には、講師等の証言として、講師謝礼金は5千円ではなく2~3千円しかもらってないこと、その理由として会の別の経費として使うための立替えとして差し引いている旨の説明を受けたこと、その立替金に係る借用書等の文書はないこと等が記されている。
 ウ 講師に対する関係人調査によれば、ある者は講師謝礼金として2~3千円しか受け取っておらず残りは会で使うと説明されたとしており、また、別の者は事業報告書上では自分が講師を行い講師謝礼金の領収書を作成したことになっているが実際には講師を行ったことがなく講師謝礼金も受け取っていないとのことであった。
 さらに、広島市が保管している領収書の写しを確認したところ、領収者である講師の記名がなく印影だけのものが6割を超えていた。
 エ 一方、会の代表者に対する関係人調査によれば、会は講師本人に講師謝礼金を全額支払った上で、講師本人が領収書に押印し、支払額のうちの一部を任意で会に寄附していると代表者は証言している(なお、別の機会に会の代表者が広島市(健康福祉局保険年金課)にした説明内容では、会は講師謝礼金5千円を渡した後、講師から承諾を得て2~3千円を預かっているが、預り証等は発行していないとしており、会の代表者は会が講師から受け取る金銭の性質を「寄附」と言ったり「預かり」と言ったりと一貫していない。)。
 オ このように講師等の証言と会の代表者の証言との間には、講師謝礼金を受け取ったか否か、受け取った金額は5千円か否か、会へ寄附がなされたか立替ないし預り金が発生したのか否か、寄附がなされたとしたら任意であるのか否か、領収書は講師本人が作成したものか否かといった重要な部分で食い違いがある。
 少なくとも、関係人調査を行った2人の名義の領収書については、両人に対する関係人調査で得られた証言によれば、本人が作成したものではないとのことであるから、領収書が偽造されたものである疑念を払拭できない。
 また、関係人調査による証言は得られなかったが、上述の聞取調査書において講師謝礼金はもらわなかったと証言している者の名義の領収書が存在していること、また、上述の陳述書である教室は開催されていなかったと証言した者がいる中でその教室の講師名義の領収書が存在していることも不自然である。
 さらに、領収書には、一般的に受領者の記名押印又は署名が記載されているのが通例であるのに、本件では6割を超える領収書が押印のみとなっていたが、広島市はこれを支払の事実が確認できる領収書として認めていた。
 カ 本件のように概算払を行った場合、概算払は、債務金額が確定していないものについて事前に債務金額を概算をもって支出するものであるから、その性質上事後において必ず精算を行い、確定した債務金額が概算払により支出した額を下回り、余剰が生じた場合、市は支出を受けた者に対して返納を求めることになる。
 債務金額を確定するに当たっては、委託料の精算事務において、委託事業に要した経費の支払の事実を確認することが重要であるが、以上のことを踏まえると、本件における講師謝礼金の支払に係る事実確認による精査は不十分と言わざるを得ず、講師謝礼金の支払が全て領収書に記載されたとおりに行われているとは認められない。
 ついては、広島市は、平成27年度契約及び平成28年度契約における講師謝礼金に係る委託料の支出に関し、全ての講師謝礼金の支払が領収書に記載されたとおりの支払となっているか否かについて、委託契約上の委託者の調査権限を行使して、事実確認を行う必要があるものと考えられる。
 キ なお、広島市は意見書の中で、会から講師謝礼金の領収書の提出を受け確認しているので問題ないと言うが、領収書が偽りである可能性を指摘されている状況において6割を超えるものが押印のみである領収書で確認しているので問題ないというのは適切ではないし、また、請求人の主張は口頭の申立てだけで明確な根拠資料がないので請求人主張の事実はないといえると言うが、口頭の申立ても証言や陳述として人的証拠となり得るので、これもまた適切ではなく、さらに、一部の講師に聞取りを行ったところ偽りの領収書であるとの確認はできなかったと言うが、その聞取りの対象者は請求人から偽りの領収書の作成者と指摘されている会の代表者と会の会計担当者だけであり、調査方法として適切ではない。

⑵ 消耗品費に係る委託料の支出について

 ア 請求人は、平成27年度契約及び平成28年度契約における消耗品費に係る委託料の支出について、実費を超えた金額の委託料の支出となっていると主張している。
 イ 上述の陳述書及び聞取調査書には、教室事業で使われた実際の消耗品費の額は精算額より少ない額であるとの証言が記されているが、その教室の開催日や実際に使われた消耗品の品目等の具体的内容について特定がなされておらず、これについては、実査及び関係人調査においても、特定することができなかった。
 ウ よって、平成27年度契約及び平成28年度契約における消耗品費に係る委託料の支出について実費を超えた金額の委託料を支出している旨の請求人の主張については、現在の証拠関係では請求人の主張に理由があるとまでは認められない。

3 結論

 以上のことから、本件措置請求のうち、平成27年度契約及び平成28年度契約における講師謝礼金に係る委託料の支出に関するものについては、講師謝礼金の支払が全て領収書に記載されたとおりに行われているとは認められず、広島市における委託料の支出の根拠となる講師謝礼金の支払の事実確認が不十分であることから、改めて事業報告書及び精算書に記載されている講師謝礼金が各講師に全額支払われているかの調査を実施し、その支払の事実が確認できない場合には、会に対し講師謝礼金に係る委託料の返還請求をする等必要な措置を講ずるとともに、その措置結果を報告するよう勧告する。
 また、本件措置請求のうち、平成27年度契約及び平成28年度契約における消耗品費に係る委託料の支出に関するものについては、現在の証拠関係では請求人の主張に理由があるとまでは認められないため、これを棄却する。
 なお、本件措置請求のうち、平成29年度の同様の委託契約における講師謝礼金及び消耗品費に係る委託料の支出に関するものについては、精算がまだ行われておらず、支出が確定していないため、これを却下する。

第5 勧告

 本件措置請求については、一部理由があるものと判断し、地方自治法第242条第4項の規定により、市長に次のとおり勧告する。
 広島市は、平成27年度中国残留邦人等日本語教室開催委託事業委託契約、平成27年度中国残留邦人等介護教室開催委託事業委託契約、平成27年度中国残留邦人等文化・芸術(日中料理・書道・手芸・押し花)教室開催委託事業委託契約、平成27年度中国残留邦人等音楽教室(日本語歌謡・二胡)開催委託事業委託契約及び平成27年度中国残留邦人等スポーツ教室(中国武術・民謡舞踊)開催委託事業委託契約並びに中国残留邦人等地域生活支援教室開催事業(平成28年度)委託契約における講師謝礼金に係る委託料の支出について、改めて事業報告書及び精算書に記載されている講師謝礼金が各講師に全額支払われているかの調査を実施し、その支払の事実が確認できない場合には、I会に対し講師謝礼金に係る委託料の返還請求をする等必要な措置を講ずるとともに、その措置結果を報告すること。
 なお、本勧告に対する措置の期限は、平成30年3月20日までとし、地方自治法第242条第9項の規定に基づき、措置期限までに講じた措置の状況について、同月30日までに監査委員に通知されたい。

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