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2016年10月24日「市政車座談義」の開催結果

概要

 「女性が活躍できる職場環境づくり」をテーマに、合人社ウェンディひと・まちプラザで市政車座談義を開催しました。
 談義には、女性の能力発揮や職域拡大、仕事と家庭の両立支援などに取り組んでおられる方々に参加いただきました。
 市長は、「人々が公平感を持って、労働という社会参加をすることは意義があり、また、家庭で子育てや介護をすることも意義があります。労働や子育てなどの苦労を一人で負担するのではなく、社会全体で負担していると実感できるような『まち』になればすばらしいと思います。私自身、市役所の女性職員の活躍を推進するという自らの課題もありますので、共に頑張っていきましょう。」と述べ、参加者と積極的な意見交換を行いました。

市政車座談義の様子

結果

1 日時

平成28年(2016年)10月24日(月曜日)13時00分~15時15分

2 開催場所

合人社ウェンディひと・まちプラザ 研修室A・B(北棟5階)

3 参加者

6名(※敬称略)

  • 株式会社パルウェーブ 代表取締役社長 原田 美穂
  • 株式会社文華堂 代表取締役 伊東 由美子
  • 株式会社イズミ 能力開発部担当マネージャー 飛子 晴美
    安古市店・アンダーインナー主任 赤坂 美樹
  • オタフクホールディングス株式会社 広報部チーフスタッフ 柴田 尚子
  • 株式会社ヤマサキ広島本社 総務部部長 中本 真理

4 テーマ

「女性が活躍できる職場環境づくり」

5 傍聴者

5名

6 会議次第

  • 市長あいさつ
  • 各団体からの取組紹介及び意見・提案
  • 意見交換

7 会議の要旨

司会(男女共同参画課長)

ただいまから、市政車座談義を開会いたします。

私は、本日の司会を担当する市民局男女共同参画課長の米谷です。よろしくお願いいたします。

今回は、「女性が活躍できる職場環境づくり」をテーマに、女性の能力発揮や職域拡大、仕事と家庭の両立支援などに積極的に取り組んでおられる企業の経営者や女性社員の皆さんと市長とで御議論いただきます。

それでは、本日参加の皆さんを御紹介します。

まず、株式会社パルウェーブ代表取締役社長の原田美穂様です。

次に、株式会社文華堂代表取締役の伊東由美子様です。

次に、株式会社イズミ能力開発部担当マネージャーの飛子晴美様です。同じく株式会社イズミ安古市店・アンダーインナー主任の赤坂美樹様です。

次に、オタフクホールディングス株式会社広報部チーフスタッフの柴田尚子様です。

次に、株式会社ヤマサキ広島本社総務部部長の中本真理様です。

それでは開会に当たり、市長から一言御挨拶を申し上げます。

市長

皆さんこんにちは。今日は車座談義に御参加いただき、ありがとうございます。

テーマは「女性が活躍できる職場環境づくり」ということですけれども、いわゆる職場環境づくりというのは、女性が活躍できる世の中のシステムのOne of themでありまして、すべてではありません。いろんな局面が整って初めて参画ということが可能になるわけですけれども、さりながら、極めて重要な事項でもあるという位置付けだと思います。

私自身の認識ですと、女性の社会参加ということが地球規模で起こったのは第一次世界大戦後というふうに勉強しました。その直接のきっかけが、戦争ということであったんですが、それまでの戦争が、兵隊同士で国と国との戦争をするということをやっていたのが、いわゆる国民総動員、市民まで出て国と国との戦争をするようになるという事態が、第一次世界大戦でヨーロッパの大国を中心に起こりました。そのときに、男性が前線で戦う。そのための兵器とか後方での生産体制、男がいないから女性がその生活を支えるということを長期にわたってしなければいけなくなった。そこで、すごく無理をしたわけですね。ですから、戦争が終わった後に、これをきちんとした制度にしていかなきゃいかん。つまり女性が正に社会に参加できるようにしないと、これからもう世の中治まらないと。そんなことから女性の社会参加が大きく取り上げられたと理解しています。

日本でも参政権、政治参加とかという問題は、いわば明治憲法下でもあったんですけども、国内問題として大きく取り上げられないままやってまいりまして、実際に第二次世界大戦で銃後の守りを女性がする。つまり戦地で男が戦う間、工場の生産体制に女性が参加する、あるいは地域の防災活動は女性が中心となるということが起こりまして、戦後は、日本でも同じように女性の社会参加、新憲法下では、国政選挙に多くの女性が参加するようになったという経過があります。そうした中で、うねりを伴いながら、女性の社会参加ということが随時取り上げられているというふうな認識であります。

女性の社会参加の問題を解決するためには、役割分担という、日本が古来から続けてきた仕組みをどういうふうに見直すかということですね。男性が外で働き、女性が家庭、いわゆる自分たちの生活を守る家庭基盤に関わる仕事を一生懸命やるという役割分担で済んだ時代が、実際、経済社会の変遷の中で無理が出てきたということが一つ。

もう一つは、人口構成上、社会全体が求める労働力の供給が問題視され始めて、ようやく、いわば一時期のウーマンリブという思想的な参加から全体的な社会参加ですね、職場を通じてどういうふうにするかということが、現実問題として起こりつつある。

そういった中で、いわば正規・非正規という職場での就労環境の中で、どちらかというと処遇が劣る非正規のほうに多くの女性が投入されている。これは企業における生産性の確保とか、企業間競争をやる上でコストをある程度圧縮しながら、企業競争しなければいけない中で、いわゆるそのしわ寄せが女性に来ているという見方もできるでしょうし、分かってはいるけれどもなかなか実現できないという壁にもぶつかっている。

そうすると、特定の企業だけがやっていくということでは、この問題は解決しません。日本における企業全体が、世界における企業全体が、そういった過剰な競争意識を払拭できるようなシステムを構築すること。と同時に、そういった社会参加を職場でできる環境を持続するためには、家庭生活における役割分担を見直していくと同時に、自分たちの次の世代、子孫を残すという重大な仕事があります。自らのプライベートな生活を維持するという仕事もあります。こういった点についての役割分担の見直しを同時平行でやるということ。そしてそれらを上手く円滑にしていくための子育て期の役割分担、社会全体での役割分担、家事の分担、食材等の供給についてもシステムを変えていって、家庭に縛りつけていなければ食材供給できないものも変えていく。社会全体の変革が求められている。

しかしこれも、役割分担という一つの方向から全く無秩序にという方向で動かすわけにはいきません。そしてやはり、多様な働き方、多様なものの考え方があるという限りにおいて、今申し上げたような選択が可能になる社会を作っていくことですね。AからBというふうに全部変えるということではありません。ですから今、正にダイバーシティ、多様性というものを企業社会の中でも、そして家族、自分たちのプライベートの中でも作り上げていく。その基盤をしっかりするためのコミュニティを地域社会がどう作るか。そんな問題に段々シフトしてきていると思います。それをやっていく上での、最初に申し上げた大きな柱、職場の環境づくり、これが重要なテーマになっていると思っています。

そのためには個別の課題、働く女性自身の能力の開発の問題もあるでしょう、職域の拡大もあるでしょう。そして職域での自分の能力発揮のために家庭生活における役割、それを家族のみならず地域社会、あるいは行政も一緒になって支えるための仕掛け、環境を作って初めて貫徹するものと、そんなものでありますので、種々経験などお持ちだと思いますので、それを御披露いただいて、このやり方が本当にまちづくりにいいんだと、これからの世界を支えるためのいいシステムだということをしっかり周知するということもやっていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

司会

ありがとうございました。

本日の談義の進め方は、お手元にお配りした資料の次第にありますとおり、まず、御参加の皆さん方から取り組まれていることを御紹介いただき、併せてテーマの実現に向けた御意見や御提案を賜りたいと思います。それを踏まえ、市長と皆さん方で自由に意見交換をしていただきたいと思います。

それでは、御参加の皆さんから順次御発言をいただきたいと思います。

最初に、株式会社パルウェーブの原田様、お願いします。

各団体の取組紹介及び意見・提案

(株)パルウェーブ代表取締役社長

私共の会社案内をお手元に配らせていただいております。この中の最初に「女性力」というのを書かせてもらっておりまして、当社の設立は平成元年なんですが、それ以来99%女性社員、ほぼ女性ばかりの会社を営んでまいりました。その中でやはり女性だけしかいないものですから、本当女性に活躍していただかなければ会社自体が存続しないという環境の中で経営をしてきました。ですので、かなり早くから女性が働きやすい環境ということに関しては、取り組んで来たほうじゃないかなと思っております。

会社を起こしたのが平成元年ですので、その当時いくら制度を作っても、本当に産休制度ですとか、育休制度を作ってもなかなか社員自身が取らない。私はいいです、私はやはり家庭に入りますという社員がほとんどだったんですね。それがこの10年ぐらい前から、やっと自分たちは出産をしても復帰したいとか、結婚をしても仕事を続けたいという人たちが増えてきたなというのを実感しています。

そこでやっと社員と一緒になって、女性がどうすれば長く勤めてもらえるか、活躍してもらえるかということを形にしてまいりました。

その一つとしては、まずは、もちろん産休とか育休というのはやらせていただいております。それと同時に、その次に復帰のタイミングでの時短制度を作っていまして、正社員にいきなり復帰というのはハードルが高いみたいだったので、一つ前の準社員という制度を作りました。この準社員という制度は何かと言うと、今で言う短時間労働ですが、短時間でもいいです、なおかつ賞与も出ますと。正社員との違いと言えば、残業を拒否してもいいし、あと私どもの仕事は外に出ていく仕事が多いので、結構出張が多い仕事なんですが、そういったこともやらなくていいよという準社員制度を設けました。これによって、産休明けていきなり正社員に戻ってくるのは難しいので、準社員に一度戻っていただいて、時間的に家庭的に許すようになると正社員に戻るということを、随分前からさせてもらっています。そうは言っても、家庭の協力が得られないとか、いろんなものがありまして、100%うまくいっているかというと、そうでもないように思っています。ただ、活用する人は本当に活用していただいて、2回産休を取ってまた帰ってくるという人も結構増えてきたかなと思っております。会社の歴史があまり長くないものですから、事例というのもなかなかできないんですが、産休を取って帰って来ている人は結構多いかなと思っております。

私どもの会社はそういった形でほとんど女性で仕事をしてたんですが、昨年末に、マイティーネットという会社と資本提携をしまして、実はそちらの会社は男性が多い会社でして、男性の出向の方ですとか人材交流ということで、結構男性が入ってきたんですね。そうすると会社の雰囲気も随分変わってきまして、いい意味で、本当に余裕があると言いますか、違う文化を受け入れるというか、先ほどダイバーシティのお話を市長がされたと思いますが、本当にダイバーシティ、ある意味で私どもは偏っていたんだなというのを感じました。というのが、よくよく考えてみたんですが、やはり女性ばかりだと、女性ならではのコミュニティというのを作りますよね。「女性だからね」というような、何か分かると思いますが、そういうコミュニティを作ってしまう。それが良いように出るときはすごくいいんですが、少しうまくいかなかったら、ちょっとぎくしゃくしたりだとかですね。あと、女性ばかりだと、変に責任感が強いというのがあると思います。そうすると、会社に迷惑、誰々さんに迷惑を掛けてはいけないので辞めますとかですね、多分男性社会ではなかなか考えられないような理由で辞めてしまうというところが出てきているなというのを当時感じてたんですね。それが今回、男性が結構増えてくると、少しそういう考えが無くなりつつあるんじゃないのかな。これは会社の雰囲気でもあったりすると思うんですけれども、女性ならでは、というところが少し解消されて、もう少し長いスパンで物事が考えられるようになったんじゃないかなと思います。女性社員をずっと使っていくと、短いスパンでしか物事が考えられない。長くて1年。短い社員は3か月とか半年ぐらいで仕事も、人生も、いろんな選択があるから仕方がないとは思いますが、そのように考えてしまうというのがあるので、そういう意味では男性の方が入ることによって少し長いスパンで物事が考えられる、そして女性ならではのコミュニティというのが少し変わってきて、男性的なコミュニティも少し取れてきているような感じがしました。いろんな制度とか仕組みを作って、準社員という制度を作っているんですが、やはり女性自身の問題というのも結構あるのかなとは感じております。

また、2年ぐらい前に、やはり私共、女性ばかりなので、役員ですとか、役職というのは女性なんですね。ある女性を役員に登用することがありまして、登用をするときのプロセスがとても女性らしかったんですね。というのが、私があなた役員になってくださいと、来年からこういう待遇で、こういうふうに…って言うと、当たり前のようにイエスって喜んでくれると勝手に思ってたんですけど結構違うんですね。すごく迷ったらしくて、彼女の部下から呼び出されまして、そんな急に言われてもということを説教されました。いろいろ話をした結果、彼女が最終的に役員を受けた理由というのが、部下が「あなたが役員になったら私もっと頑張ります。」と、この一言でその人は役員になったんですね。ある意味これが本当女性らしいというか、男社会でしたらどうしても出世・イコール・ゴール的なところが多いと思いますが、そうではなくて、部下のためだとか、会社にものが言えるようになるとか、そういったところで役職だとか役員になりたいというふうな動機付けがあるんだなというのをつくづく感じました。これは決して悪いことじゃないとは思うんですけど、今まで私が思っていたものと随分差があったので、これは私の中でもショックと言いますか、勉強になったと言いますか、男性と女性の差を随分感じたところです。また、今までの常識というものが少し私の中で見直さなきゃいけないんだなというふうに思ったところです。

そういった意味では、仕組みとか、会社にとっていろんな形を作るにしても、やはり女性自身が自立をすることが重要かなと思っています。それは単に経済的な自立というだけではなくて、やはり精神的な自立をする教育というのがまだまだ女性は必要なんじゃないかなと思っています。特に一人称でものをしゃべれない。誰々さんがどうだからとか、ついつい二人称、三人称で物事をしゃべる人が多いなというのは、まだまだ足りていないところで、我が社としましては、もっとそういう女性教育的なところと言いますか、いろんな企業さんとの交流等、そうしたところで頑張ってもらいたいなというか、ものを一人称で話せる、一人の女性として仕事を続けるという教育をしていきたいなと思っております。

私は、公の所でいろんな活動をさせてもらっておりまして、広島経済同友会で女子学生のキャリアアップセミナーをあちこちでさせてもらっています。その中で、少しでもお役に立てればと思いまして、今みたいなお話ですね、やっぱり一人称で物事を考えてほしいですとか、やはり仕事というものを自分の人生の中でちゃんとプランニングしてほしいというお話をさせてもらっております。

またこれから先、いろんな企業さんの、皆さん方みたいに活躍されている方々と、あと私どもの役職者ですね、そういった者たちが交流をすることによって、随分知識も得ることができるし、また自分の人生観が少し変わることによって、また仕事の考え方ですとか、そういう自分の人生だとかいうのを考えてもらう機会をもっと増やしていきたいなと思っております。そういったところが私の今からの取組かなと思っております。

当社では本当に残業をなくしたりとか、成果報酬にするということは十分いろいろやってきています。それも大分定着してきているところですが、今度は女性自身が頑張っていただくようなことをこれから続けていきたいと思っております。

以上です。

司会

ありがとうございました。

続きまして、株式会社文華堂の伊東様、お願いします。

(株)文華堂代表取締役

今回のテーマを頂戴しまして、私どもがこれまで取り組んでまいりましたこと、並びに少しは社会の課題も感じていることをお話しさせていただきたいと思います。

私が当社と関わりを持ちましたのが、大体45年ぐらい前になります。会社は今年で創業120周年を迎えるんですが、私が文華堂と関わりを持たせてもらった45年前は、まだ家業でした。その中から社員さんが1人増え、2人増えという形で会社組織にしていったわけです。そんな中で採用し、退社をし、なかなか定着する環境を作ることが難しいこともたくさんありました。30年ぐらい前ですが、中途採用をした方が組合の活動を活発にしておられる人が入ってこられまして、入社すぐ組合を作る活動を始められて、その時は本当に社内が大混乱をして、私ども経営陣の力不足も大きな原因なんですが、やはり大変な苦労がありました。そんな中からちょうど30年前の創業90周年を迎える時に、全社員で経営理念を1年間かけて作り、そしてそのセレモニーの席で多くのお客様の前で制定式をし、私たちの未来を、このような形で企業を運営していきますということを皆さんの前でお誓いしました。

そんないろんなことの背景のある中で、人材育成、そして職場環境を整えるということを、止むなくと申しますか、そんな形でスタートをしてまいりましたので、当社も30年ぐらい前からそのようなことをずっと進めてきたということがございます。経営者、社員、準社員、今、原田さんもおっしゃいましたが、当社もパートという言い方ではなくて、準社員という形で呼んでおります。やはり、社員研修、人材育成には随分やはり時間とお金を掛けて、今もそうですが、やはり人が宝である。人があって初めて事業が成り立つという基本の下に、当社の経営理念は人がベースになっており、現在に至っているということでございます。そして、現在ですが、なかなか中小企業は新卒の社員の採用が難しいです。今、無理して採ろうということではなくて、しかるべき時が来たときに、そこに集中しようと。今は何とか中途、もしくは準社員でしのいでいるところです。その代わり、入っていただいたからには、教育を徹底するということで、それなりに皆さんに頑張っていただいております。ですから私どもも身の丈に合った採用、育成というものを、自社ならではのものを研究しながら、皆と共に作り出しています。

社員教育ですけれども、OJT、OFF-JTを行っていますが、外部研修にも出していますし、社内に講師の人に来ていただいての研修、もしくは、コンサルの人の研修も行っています。「理念と経営」という経営誌があるんですが、普通の会社では経営者が読まれる冊子ですが、私共は、全社員が、準社員まで含めて、その冊子をみんなで読み、それをベースに討議会を行っています。全国の、大手ばかりでなく中小企業がメインですが、それなりの企業が載っていて、他社のベンチマーク(比較指標)ができますので、そういうところから社員と共に、準社員と共に学ぶ機会を作っています。男性、女性というのを余り意識していなくて、準社員も全員で週1回、私が経営の解説をしていますし、財務の仕組みも皆さんに伝えています。ですから、中途で入ってもらった方で、結婚前は大手企業に勤めていた女性の人は「こんな勉強初めてした。」とかですね、やはり大変新鮮な思いを持って参加をしてくれているという実情があります。

社員の中に、いろんな状況、先ほど市長も言われましたように、人によって皆状況が違うんですね。ですから、例えば介護で休まなきゃいけない状況もあります。それと、子供さんが一時期登校拒否をしている状況が分かったことがあり、そういうとき、その子供の母親である社員には、フレックスタイムで少し遅く、子供を学校に送り出した後に職場に出てもらいました。やはりそのベースとなるのは、理念が共有できているということです。それと同時に、本人が当社で働きたいという要望を持っているということがすべてのベースにあります。共に働きたい、共にパートナーである、同志であるという意識を持ちますと、いろんなやり方は無限大だと思います。その時、その事例によって、社員と共に真剣に協議をしながらうちの仕組みを作っていくというやり方を今までもずっと重ねてまいりました。おかげさまで、6年前に1人退社があって補充したんですけど、その後1人も、準社員も、正社員も退社をしないで頑張ってくれているんです。何十年前は、なかなか定着が難しい状況もありましたけれども、今では本当にありがたいことに辞めないで、それぞれのセクションで自分の力を発揮しながら頑張ってもらっています。

それと、昨年ですが、1人採用したいということを社員に伝えましたら、「自分の知り合いでいい人がいるからその人を紹介してもいいですか?」ということで、社員が社員を連れてきてくれるということは、私にとりましても大変嬉しいことでした。ですから、一人ずつが当社の職場環境をそれなりに受け入れてくれ、共に頑張るという、その思いを持ってくれればこそだろうと思いますが、社員と経営者、幹部ということではなくて、それぞれの役割を担った個人が当社のブランドで精一杯力を発揮してくれて、且つそれを自身の成長に結び付けてくれるような働き方の応援が私はどれだけできるかということだろうと思っています。

当社は、男性と女性がちょうど人数的に半々です。子供を持って働いてくれている女性も数多くいます。そんな中で、私も社員の子供がちょっと熱が出たとなったら、小学校に子供を迎えに行ったりということもたまにあります。この夏休みにその社員の子供がお世話になっている千田小学校に行きましたが、見ると、プレハブの建物にすごく大勢の人数が入ってるんですね。すき間もないぐらい数多くの子供さんがいました。そんな中で、夏休みで空き教室もあるし、もう少し工夫していただけないのかなということを感じました。いつもは2か所、留守家庭子ども会があるんですが、夏休みはそれを見ていただく方が少ないからかもしれないんですけれども、暑い中、一つの所に大勢の子供たちがいて、やはり環境をもう少し何かできないのかなと思いました。そんな中で、例えば遊休資産であるとか、空き教室とか、民家であったりとか。例えば、私ももう何年かしたら会社を退社いたしますが、まだ元気で少し何かをしたいというような方が、ボランティアでも何でもいいんですが、やっぱりそういう形で活躍する場、役に立てる場を作っていくというのも、仕組みづくりというのも、行政でお願いできることなのかなとも思います。現役を退かれてもまだ元気な方がたくさんいらっしゃいますので、社会の中で何らかの役割を担いながら、役に立っているっていう思いを持ちながら生活ができるような、そんな仕組みを作っていただけたらなと思います。そして、大学生などがそういうことに関わったら単位になるとか、大学と行政と民間と、そして人材ですね、今まで経験をたくさん積んだ人材、その辺りもしっかりコラボをしながら、広島市が、安心して安全な環境の中で子育てができ、お母さん方もしっかりお仕事ができるという環境づくりに少しでも役に立てるというようなことにつながらないかなとも考え、今回この機会をいただきましたときに、そのことも思った次第です。

以上です。

司会

ありがとうございました。

続きまして、株式会社イズミの飛子様、赤坂様、お願いします。

(株)イズミ能力開発部担当マネージャー

今日は、イズミの女性活躍促進の取組について御紹介したいと思います。

私は、現在、能力開発部で、普段は研修の運営などを行っております。それと兼任して、女性活躍推進活動「ゆめCanプロジェクト」のリーダーを今年から務めております。

当社の従業員の男女構成比ですが、そちらの左の円グラフですが、正社員と非正規社員の75%を女性が占めています。右側には職務別の人数が載っていますが、これを率で表しますと、管理職に占める女性比率の一番右下に、2016年度7月8月1日%とあります。ですので、上の表の職務別人数のうちでは、本社の係長職以上と店舗の副店長、次長以上を管理職としてカウントしており、その比率が現在8月1日%になっています。

ただ今、ゆめCanプロジェクトのリーダーをしていると申しましたが、2014年度の9月に、ゆめCanプロジェクトが発足しました。プロジェクトの目的ですが、大きくは三つの背景があります。一つ目は、お客様・従業員の大半が女性ということで、女性をもっと活躍させて会社の中で役職にかかわらず、もっと女性の視点とかそういうものを入れていかなければいけないということです。二つ目は、当社では2020年に売上1兆円を目指すという構想を持っています。その構想に向けて今M&Aなどいろいろ行っていますが、企業が加速するとともに、従業員自身も能力を上げて、そのスピードを加速していかなければいけない。男性だけじゃなくて、女性もどんどん能力アップしていきましょうということです。三つ目は、少子高齢化による労働力人口の減少ということで、今、当社でも人員の確保が難しくなっている部分もあります。これまで女性の方は結婚して子供ができたら退職されるという方もいたんですが、できれば退職せずに長く続けてほしいということです。この三つの背景の下、ゆめCanプロジェクトが発足しました。一番下に書いていますが、まずは女性の活躍促進が必須ということで、その目的のためにやっています。

プロジェクトの目標と取組の概要が次の表ですが、プロジェクトの目標は大きく二つあります。一つは2020年度までに管理職に占める女性の比率を20%にするということ、もう一つは、女性の退職率を減らしていこうという、この2本柱を目標としています。

女性管理職比率を2020年度までに20%にしようということで、1番上の所ですね、時系列で書いてありますが、今、8月1日%ですが、2年後の2018年には12%に、19年には15%、20年には20%ということで、どんどん加速させていこうという目標の数値にしています。

続きまして、このプロジェクトの中でどういうことをしているのかを紹介します。

取組(1)として、女性社員の意識改革ということで、先ほどのお話にも出ていましたが、女性社員自身の意識の改革ですね、もっと頑張ろうという、子育て・結婚してもキャリア・ライフを両立していこうという意識改革ですね、その研修を行っています。写真は2014年度の5月に実施した研修の様子です。この時は、社内の役員、部長から女性社員に期待することを話したり、社内の両立支援制度はどういうものがあるかを説明する、といったことやりました。

続きまして、取組(2)「女性管理職の候補者を増やす(1)」として、先ほどの意識改革から一歩進んで、女性リーダー育成研修というのを実施しています。これは、女性管理職になってほしい人を選抜して、更に濃い意識改革の研修をしたりとか、その人たちがどういうところに自信がないのかとか、どういうスキルが自分に無くていけないと思っているのかという話を聞いて、具体的にそこの部分に向けた研修をしていくという意識改革プラス、スキルアップ研修のような内容も入っているのが、この女性リーダー育成研修となっています。

次に、取組(3)「女性管理職の候補者を増やす(2)」として、男性管理職に向けた研修も実施しています。これは主に、女性の管理職になってほしいという、先ほどの女性リーダー育成研修で選抜した女性社員の上司に当たる男性管理職を呼びました。女性管理職になってほしいときに、どのように働き掛けたらいいのかとか、どういうふうにモチベーションを上げていったらいいのかということを学んでもらう研修を行いました。

取組(4)「女性社員の退職率の改善(1)」として、アンケートの実施ですが、これは退職した女性社員に、どういう理由で退職したのかというアンケートをして、会社として改善できることは改善していこうという取組を行いました。

取組(5)「女性社員の退職率の改善(2)」として、こちらは主に組合が育児休業中の女性社員と復職したばかりの女性社員を集めて「ぴよぴよフォーラム」を行っています。ちょうど今日、博多で九州の育休・休業社員と復職社員を集めて行っています。

取組(6)「女性職員の退職率の改善(3)」として、「ワーキングマザー座談会」というのも行っています。復職されて何年も経った方でも、次のキャリアとか、次にどうしたいのかということを、何かビジョンを持ってもらおうということで、こういう座談会を行っています。

取組(7)「トップコミットメントの発信」として、「ゆめCanNEWS」を発刊しています。年に4回、3か月に1回発行して、従業員全員に配っています。これによって、ゆめCanプロジェクトがどういう活動をしているのか、トップが今、どういうふうに考えているのかを全従業員に周知をしていくというふうにしております。

今年予定しているのが、まず、若手女性対象のキャリアデザイン研修の実施です。入社3,4年目の女性社員ですね、ライフイベントを迎える前の女性社員を対象に、両立をしていくというライフプランを具体的に描かせようという研修を行っています。次は、ワーク・ライフ・バランスマネジメントブックの発行です。今まで産休に入る前とか復帰した後の社員に向けて、具体的にどういうことをしていくのかという流れみたいなものが実は今までなくて、何となく今までの流れでやってきたんですよね。それをちゃんと、産休に入って復帰する人が不安にならないようにということで、ちゃんとプログラムとして作りましょうということで、こういうマネジメントハンドブックを上司向けに発行しました。

以上が今、イズミで取り組んでいる女性活躍推進に向けてのゆめCanプロジェクトの活動内容です。

市にちょっと何かやっていただけるならということで、私、今年からこのプロジェクトのリーダーになったんですが、なかなか女性管理職比率を増やすとか、退職率を減らすということは、制度は結構整っていますが、そこを達成する中で、自分自身が抱えている、どうしたらいいのかということも結構あるので、各社のリーダーの方たちが集まれるような、異業種のいろんな先輩方のお話を聞ける場というのが、今日も何かすごく話が聞けて良かったんですけど、そういう場が欲しいなと思っています。

また、社内で研修とかセミナーをするときに、こういう人がいいよというのがあれば、市で、こういう人がすごく良かったんで、こういう人の研修をというのを何か派遣サービスみたいなものをしていただけると、今、年に1回とか2回とかが多いので、本当は3か月に1回ぐらいどんどんして意識改革をしていきたいんですが、割と費用も掛かりますので、そういうことのサービスもしていいただけると、もっと意識改革を、3か月に1回のスパンとかでやっていけるのかなと思ったりしています。

今日は、ゆめタウン安古市店から、アンダーインナーの主任も来ていますので、お話をさせていただきます。

(株)イズミ安古市店・アンダーインナー主任

私は、中3の男の子、小6の男の子、小4の女の子、3人の子供を育てながら仕事をしております。ゆめタウン安古市店で肌着売り場の主任として毎日頑張っています。私がまず第一子を妊娠した当時、15年ぐらい前になりますが、当時、イズミの従業員は、パートさんも含めてほとんどが女性ですが、そういった環境にありましても、結婚、妊娠となると退職する人がほとんどで、なかなか妊娠して1回仕事をお休みして復帰にたどり着くという従業員は少なかったんですね。ただ、たまたま私が懇意にしている同僚が、身近に出産しても育休を取って職場復帰を普通に果たした女性がおりまして、そんなに妊娠して復帰することって実は大変なことじゃないんだな、自分が頭でっかちで考えてたよりもそんなに難しく考えなくてもいいことなのかなって思ったんですね。ですから身近にそういうイメージできる人が存在するというのはすごく大切なことだと思います。私は、そういう人が身近にいたので不安を感じずに、妊娠、出産、そして復帰を果たすことができました。私の場合は、この同僚の存在が本当にとても大きくて、妊娠したからじゃあ退職しなきゃという選択肢が全く頭に無くて、育休を取って復帰するということは本当に自然な流れで実現することができました。現在ではそれから15年も経ちまして、先ほど飛子からもいろいろ会社としての取組の説明があったように、会社内の制度も随分整ってきまして、社内でも職場復帰して頑張っている社員が数多くおります。昔みたいに子育てをしながら働くというのは、もはやそんなに難しいことではなくて、制度が整っているというのが大きいとは思いますが、子供を育てながら正社員でも家庭と仕事を両立するということは、社内でも今は自然な流れに大分なってきています。

店舗ではパートさんを含め、ほとんどの従業員が圧倒的に女性ですので、特に、お母さんとしては先輩の、ベテランの方々がたくさんいますので、子供が突然病気になるとか、子育てする上でこんなことで悩んでいるとかいうことも、すごく相談に乗ってくれるんですね。このときはこうしたらいいよとか、こうやったらもっと楽にできるよとかって、アドバイスを受けられる環境がすごく整っています。働きながら子育てをするという、私のような者が本当に安心して働くことができる環境が整っています。

ですので、職場の自分の抱えている大変さを理解してもらうという雰囲気づくりもすごく大事な要素ではないかと思います。ただ、当社はサービス業ですので、仕事と育児の両立がやっぱりすんなりとはいかない側面もどうしてもあります。例えば、閉店時間が夜9時とか10時とかだったりします。正社員だとそういった遅くまで勤務をしなければいけないことがあったりとか、日曜・祝日、お客様がたくさんいらっしゃる年末年始などの繁忙期にはどうしても子供の預け先が無くなりますので、そういった子供を預けられる所の確保が、従業員の中では課題になることも現状少なくありません。

そこで、サービス業の従事者としましては、保育園などの休日保育とか、延長保育の充実を望みたいところです。この問題は、特に同じイズミの社員同士で結婚している従業員が切実に抱えている問題です。また、私の経験上、働く上で一番困ったのは、やっぱり突発的な事が起きることです。子供が突然体調崩したりとか病気になった場合ですね。そういった場合に、仕事に穴を空けたくはないんですが、どうしても病気ということで欠勤せざるを得ない状況です。職場に迷惑を掛けるということが本当に自分の中では心苦しいんですね。自分は働きに行きたいんだけれども、働けないという、そういったジレンマがありますので、こういったときに病児保育の充実ですね、病児保育の施設が近くにあって、そういった突発的なことにも対応できる制度の充実をしていただければ助かるなという思いがあります。

以上です。

司会

ありがとうございました。

続きまして、オタフクホールディングス株式会社の柴田様、お願いします。

オタフクホールディングス(株)広報部チーフスタッフ

私も2人子供がおりまして、長男が小学2年生で、広島市内の小学校に通っています。次男は4歳、年少ということで、こちらは地元の保育園に通わせていただいております。当社は、事業所内保育園がありまして、私の子供たちもそれぞれ育休から復帰した後は、「ふっくる保育園」というオタフクの保育園に通わせてもらいました。当社では育休からの復帰の時期を気にすることなく皆が子供を安心して預けられる環境が整っておりますことから、育休取得率も女性社員は100%ということで、会社にも働きやすい環境を整えていただいております。

今日は人事の者が参加しておりませんで、どちらかというと仕組みを推進する側というよりは、今、直面している女性、皆さんのお話を伺いながらそれぞれ抱えられているお悩みですとか、意識の問題ですとか、自らに照らし合わせて勉強させていただきながら、今日この場におります。しっかりと皆さんと意見交換をさせていただきたいと思います。

当社は調味料を製造している食品会社でございます。今年で創業から95年目ということで、長い歴史があります。女性従業員は、現在3割ほどおります。食を通じて団らんを、コミュニケーションを推進しようということで、お好み焼きを中心に、食の楽しさを広めております。

当社の考え方ですが、特に女性が今、クローズアップされる時代ではありますが、会社と社員が自立した関係で、お互いが成長していこうというスタンス、これを会社と社員の目指す姿として、様々な制度ですとか、企業活動を行っています。

「社員が活き活きと働くために生活の充実応援」というところも様々な仕組みが整えられていまして、特に家族団らんを応援する休暇ですとか、独特なのが「ノーリーズン休暇」と言って、理由を問わずに5日間連続した有給休暇が取得できるという仕組みなどもあります。これは昨年度9割の社員が取得したということで、家族団らんや、それぞれのキャリアアップとかリフレッシュに役に立つ休暇制度なども整っています。

「仕事と家庭の両立」では、地域限定であっても総合職で働けるということで、多くの社員が子育てや介護などの理由での一般職ということにはならずに、総合職で働き続けられるという両立支援で、全社員が総合職です。準社員はいますが、正社員のうちで一般職、総合職という区切りはなく、全員が総合職で働いています。

ですので、女性に限らずすべての社員が「活き活きと働くために」様々な取組を行っています。保育園もその一つでして、女性社員ばかりが預けているわけではありません。男性社員も、例えば、市の保育園に入れない場合ということもあるんですが、そういった場合は「ふっくる保育園」に預けています。待機児童になって働くのを先延ばしにするとか、そういったことは今のところあまり出ていません。

こういった形で、会社としては、働き続けたいと思われる魅力のある会社にということで様々な社員の要望を聞きながら、制度ですとか社風づくりに努めていまして、社員も会社ばかりに期待することなく、自らが、会社から働き続けてほしいと思われる人材になるようなキャリア感ですとか、スキルアップをすることでお互いが自立した関係で、共に発展するということを目指して日々取り組んでいます。

お手元の会社案内でございますが、この冊子は私共広報部で作っておりまして、めくっていただきますと、意識したわけではないんですが、割と女性も活躍している様子が見ていただけるかと思いますが、22ページを見ていただくと、現在も育休社員は14名おりまして、1年半の育休を取った後は職場に復帰して、2009年にできました事業所内保育園を利用したりとか、それぞれに活躍できる環境が整えられています。

会社では、理念に基づいて社風づくりということで、皆が「活き活きと働けるように」ということを意識して、役職も付けずに、例えば社長でしたら佐々木ですけれども、佐々木さんですとたくさんいますので、下の名前で呼び合ったり、課長とか部長とかいうことも付けずに、さん付けで呼び合って、フラットなコミュニケーションをとるということを行っています。

そういった形で、「活き活きと働ける」環境づくりに努めている会社、それがあって初めて皆さんに食の喜びを、笑顔を届けられるんではないかということで頑張っております。

以上です。

司会

ありがとうございます。

続きまして、株式会社ヤマサキ広島本社の中本様、お願いします。

(株)ヤマサキ広島本社総務部部長

当社の取組をこれから紹介させていただきますが、その前に私自身、オタフクの柴田様ですとか、イズミの赤坂様もお子さんを持ちながら働かれているということで、今現在、やはり専業主婦ではなく女性も働くという方が多くおられるんだなというのを実感しております。私もその中の一人でして、3人の子供を持っております。一番上はもう19歳で就職していますが、その下が高校2年生、ちょっと離れまして小学2年生の子を持っているんですが、働きながらの子育てというのはやはり大変なものでして、いろいろなサポート、周りの家族ですとか、私の場合、実家が近くにあるので祖父母の協力ですとか、主人の協力、もちろん会社の理解があってここまで仕事をしながら働かせていただくことができているのかなと思っております。

簡単に会社の概要を説明させていただきますと、本社は広島市中区舟入本町にありまして、設立が昭和45年4月。代表者は山崎宏忠です。3年の個人操業を経て法人になって44年になります。事業内容は、化粧品とスキンケア、入浴剤、女性向けの商品を開発、製造、販売しております。従業員の人数は、社員が100名、パートが155名、全員で255名。そのうち男性が3割、女性が7割と、やはり女性が多く働いている企業ですので、いかに女性に定着していただけるかというのが当社の大きなテーマでもあるかなと思っています。

ここから当社の取組を紹介させていただきます。

まず取組の一つとしまして、女性の働きやすさの追求です。当社ですが、小さいお子様を持つ人も積極的に採用しておりまして、学校行事ですとか体調不良、やはり小さいお子様を持っておられるとそういったことも結構ありますので、そういったことによる欠勤も認めていることを面接の時から公言しています。

小さいお子様を持つ人も将来的に戦力になり得るということを見込んで採用を進めているんですが、長期雇用とノウハウの継承を目的に、年配のパートの従業員が若手のパートをフォローして、若手従業員のお子様が将来大きくなったときに仕事に、当時小さかったお子様を抱えていたパートが仕事に専念してもらえるようになったときに、その能力を発揮してもらいたいという思いで、従業員の世代間で助け合うという構造を意識的に作ってまいりました。

PTAや学校行事など半日休暇の取得を可能にしたりとか、あと、従業員自身ももちろんそうですが、家族ですとかお子様が体調不良になったとき、通常、有給休暇というのは事前申請が大体主だと思うんですが、当社の場合は、そういったケースによっては事後申請もありということで有給休暇の推進、取得の向上というふうに取り入れていまして、有給休暇の取得がしやすい体制にしてきました。

二つ目ですが、コールセンターにつきましては、パート従業員の採用に当たって、仕事と子育て、家事を両立するためには時間が結構重要になってきますので、個々のニーズに合わせた複数の時間帯を設けて、パートが働きやすいような、選択できるようにして、女性の採用に積極的に取り組んでいます。

三つ目は、癒やしの空間です。当社は西風新都に工場がありまして、その工場には環境への取組として屋上庭園を設けていますが、環境への配慮、プラス従業員の癒やしの空間としても活用されています。気候がいい日には屋上庭園で昼食を食べる従業員も中にはおります。写真にコールセンターも載っていますが、昨年3月に、本社の近くにコールセンターの専用社屋を建設しましたが、その建設時に、フロアの色彩とか設備とか、そういった諸々、建築士などに任せるのではなく、コールセンターの女性従業員がチームになって、女性従業員の声を取り入れて、仕事をしながらも、休憩時間も、癒やされる空間をつくろうということで、女性スタッフに参加してもらって、建設、完成に至っています。

続いての取組は、女性支援のための制度、育児・介護休業制度です。産前産後、育児休業、介護休業を導入しています。正社員のみならずパートにも積極的に利用してもらっています。あとは時短制度を取り入れていまして、復帰後の仕事と子育ての両立ができるように支援する体制を整えて、女性が生涯働くことができる環境づくりに取り組んでいます。時短制度については、2014年より前までは小学校の就業前までとしていましたが、2014年以降、取得できる期間を小学3年生の修了時までに見直しを図っています。私が入社したのが平成10年ですが、その頃、産前産後、そもそも出産をするという方が少なかったです。私自身は1社目、ヤマサキに入社する前に勤めていた会社を出産を機にやむを得ず退職したんですが、やはり出産を機に辞めるというのはもったいないことだなと思いまして、当社に入社してから、こういう制度が取り入れられて、認知が広がって利用者が増えることに今は注力しております。実際に平成23年から28年までの間で、19名出産経験者がいまして、19名とも育児休業を取り、取得率が今のところ100%という状況になっています。育児休業の終了後ですが、休業前と同じ役職、同じ場所での復帰を認めまして、昇任意欲やモチベーションの向上につなげています。

当社も営業で入社した女性社員が近年増えていまして、女性の出張も結構あります。月の半分以上は出張に出る営業スタイルですが、やはり女性が結婚して、出産してとなると、そこの営業職で勤務するというのが正直難しいので、お子様が大きくなるまでは他の部署でいろんな業務を経験してもらってというのを今やっておりまして、1名、来年ですが、復帰したときには営業サポート、事務的な所で、社内業務というところに配属が決まっています。産休に入る前に不安を抱えることが多いので、産休、育休に入る時にいろいろヒアリングを行い、不安になること、例えば仕事から1年離れるというのは大きな不安ですので、復帰する時の体制や、会社からどのようなコミュニケーションがあればよいか、個別に対応しています。従業員からヒアリングした要望を例に挙げますと、当社は商品開発をしていますので、新商品が発売されたときにはその情報が知りたいとか、従業員販売は育児休業中でも引き続き活用したいとか、所属する部署の主な内容とか会議の内容とか、会社の方向性を知っておきたいとか、いろんな要望がありますので、そういった情報を毎月資料で送ったりとか、通販をしていますので、通販のDMを送ったりして、常に会社とつながっているんだよということで、情報共有を図っております。

残業時間の削減です。昔ですが、残業の長さを退職の理由にする従業員が過去にいましたので、従業員が健康で仕事に精を出して生産性の向上につなげてもらうというのも会社として重要だと思います。また、プライベートの充実を図ることによって、自由な時間を作ってもらい、その時間を自己啓発や自己学習に取り組んでもらう、スキルアップにつなげていくことを目的に、5年前から残業削減の強化に取り組んできました。

最後の取組ですが、社員・パート人事評価制度の導入です。毎月、パートも含め、面談を実施しておりまして、パートは年2回程度ですが、社員は男女問わず面談を行っております。面談の中で仕事の悩みを聞いたり、日頃から上司とコミュニケーションを図る場を設けるとともにスキルアップへのアドバイスをするなど、きめ細かくフォローをしています。

正社員登用制度ですが、パート従業員でもリーダー職を与えたり、パート従業員にも会議に参加してもらうことで、会社の事業への参画意識を高めてもらっています。また、パートから契約社員、契約社員から正社員への道が目指せる制度を取り入れています。私自身もそのうちの一人ですが、先ほど申したように平成10年に入社しまして、平成15年に正社員にならせていただき、現在は総務部の責任者をさせていただいております。入社した当初は人数も少ない中ではありまして、人数も急激に増えた企業ですけれども、過去からずっと会社の歴史を見ている一人ではありますので、またこれから、より良い、もっと成長していくため、女性がもっと活躍していくための企業にしていくように、今日皆さんからいろいろお伺いした素晴らしい取組も当社に取り入れていけたらと思っております。

以上です。

司会

ありがとうございました。

皆さん方から女性活躍社会を実現するための大変貴重な取組を紹介いただき、かつ貴重な御意見をいただきました。

それでは、これより意見交換に入らせていただきます。その皮切りとして、皆さん方から紹介いただいた取組や御意見、御提案について、市長から御意見、御感想などをお願いします。

意見交換

市長

まずもって本当に貴重な意見を聞かせていただきましてありがとうございました。

全体の感想から申し上げますと、最初御挨拶したときに、女性の社会参加ということで、マクロのお話をしまして、状況設定だけはしたんですが、実際に社会参加、とりわけ企業で女性が働くというときに、そこで出てくる様々な問題を、それぞれの組織の中で本当に工夫しながらやっておられるなということが、今日のお話で改めて分かりました。

自分なりの分析で申し上げますと、企業というものをよく政策で取り上げるときに、業種別の企業の捉え方とか、規模別の捉え方ということで、この範疇を捉えると、ひっくるめていろんな議論しがちなんですけども、中小企業というグループを設定したとき、企業ごと本当に様々な問題があるということをつい忘れがちなんですね。女性の社会参加と申し上げましたが、パルウェーブさんあるいは文華堂さんにおける女性参加の問題意識というのは企業の存続そのものと直結しておりまして、自分たちの企業活動を支える女性という冠をかぶせることなく、従業員の意識改革といいますか、経営参画をどういうふうに促すかという、いわば喫緊の課題として皆さん問題を考えておられるなと。そして、自分たちの企業活動を支える、いわば企業戦士として作り上げていく、そしてそういった企業として、いい企業を目指す中で、新しい優れた従業員をどう取り込んでいくかという、そういう視点ですごく苦労をされているんだなという思いをいたしました。

イズミさん、オタフクさん、ヤマサキさんでは、多分、基本的な企業存続の基盤整備ができて、本当に持続する企業体としてその中で働いている方々の処遇をきちんと面倒見ることで、次の世代のいい従業員をどう採用し、どう育てるかという、そちらに少し視点が移っていると。ですから、計画性の面においても、実行性の面においても、一段優れた方向性を目指しながら、かつ、最初に申し上げたマクロの状況の変化の中で、それに適応するための努力をどうするかと。その任に預かっている方は、より良い方法、より自分として納得いく方法がどの辺にあるんだろうかということを追求されているんだなということを感じ取りました。

行政という立場でものを考えるときには、最初に展開したマクロの状況に近づけていくために、それぞれ企業が自らの立場の中で最善の努力をされてるわけですから、そういった状況を改善していくための環境づくりとして、今持ってるツール、手段を皆さんの要望に沿ってどこまで改善するかという問題意識ですね、充実を図るということをひたすらやっていくべき局面にあるかなと思ったりもしています。ただ、行政上の悩みを申し上げますと、そういった諸課題がある中で、この広島市というまちの中で、皆さん方の様々な、少なくとも共通した需要、こんなことをしてくれると自分たちは助かるんだがということをやるときの様々な仕掛けというのが、縦系列、国、県、市という役割分担の中で多くのことが行われているんですね。市が完全にコントロールできる部分もありますが、相当部分が、主体が違う国、県、市というそれぞれの立場での施策をある程度連携させながら調整するという要素が実はあります。企業社会の中で働いておられる方だと分かっていただけると思いますが所管がありましてね、どこかのところが全部振り回すことはできないという宿命の部分がありまして、そういったことも感じながら、いわゆる最善の努力をするということをさせていただければなというような思いで聞いてまいりました。それが一つです。

もう一つは、女性を中心に、かつ、企業で働いている方々を中心に、いわば、啓蒙、啓発していくという言葉でまとめられると思いますが、そのときに提供する情報、あるいは知識を、今聞いていて、自分もしっかりしなきゃいかんと思ったのは、直接、対象となる女性にやることはもちろん重要ですが、それ以上に、その女性のパートナーとなる男性、あるいは、それを取り囲む地域社会、例えば、御近所で子育てしながら一生懸命働いている方もいれば、いわゆる主婦という肩書を持った方もいて、そんなにしなくてもいいじゃないですかとか、おたくの家庭を見ると大変ですねということをついつい言って、働いてもいいかなと思って迷っているような方を躊躇させるような、そういった社会環境そのものをまず変えていくということ、これは正に地域を持っている行政としての責任かと思います。そして企業内で、男性、管理者として、部下として女性が来たときにという、管理する側からの立場でもう少しいろいろ考慮しろという情報の与え方プラス、多分その男性も家庭に帰れば、もし奥さんがおられて働いていれば、パートナーとしての情報として、また考え方を変えなきゃいけないというのも多々あると思うんですね。ですから、情報をより広く周知していく、そしてその納得度を高めるためのいろんな工夫をやるというときに、企業がやる情報提供の補完役をやる必要があるかなと。それは地域だったり、むしろ男性にしっかりと、こういう世の中の変化を捉まえて、自分たちの意識を変えないともたない状況といいますかね、自分自身は満足度が高まっても、世の中全体がもう少しすると変わるんだよと、とても大変な状況になるしそれを自ら作り出すことになるかも分からないというようなことを、しっかりと認識してもらうようなことをやっていかないといけないかなとも思っています。言うは易く、行うは難しですが、間違いなく今のお話を聞いて、5年、10年、20年という歳月の中で確実に事態は動いていますし、これをどれだけより早く気付いて、そして企業活動としてそのいい面を取り込んで、いわゆる他者との競争関係において、いい従業員、自分たちの企業活動をこれから発展させるいい人材を確保できるかという、正にせめぎ合いの局面にあるということをもっと多くの企業が知り、納得度を高めれば、より良い方向に物事は進むかなというふうなことを考えました。

司会

ただ今の市長の発言、御参加の皆さん方の御意見などにつきまして、皆さん方から御意見などがありましたら頂戴したいと思います。

(株)パルウェーブ代表取締役社長

イズミさんの取組で、人材育成と言いますか、女性のリーダー研修などをされてると思いますが、成果というか、何かこういうふうに変わったよとか、数字的なものでなくても結構ですが、どういう効果があったかというのを教えていただけますでしょうか。

(株)イズミ能力開発部担当マネージャー

女性リーダー育成研修は、次に管理職になってほしい人を選抜して行うんですが、効果というよりは、少し強制的かもしれないんですが、女性リーダー育成研修に行った人は、さらに次長候補研修という管理職研修にも進んでもらいますということを先にアナウンスしていて、それに呼ばれたら、もうそろそろ自分はステップアップしなければいけないんだなと思ってもらって、そこでなるべく自分の不安を取り除いて、スキルだけじゃなくて、気持ちの部分も少し取り除いてもらって、そのまま自動的に行っていただくというふうにしています。成果というか、研修を受けた人は次に行くという流れにしています。全員が全員、私が管理職になるって思って行ってない部分もあります。まだ不安を抱えたまま参加している女性社員もいると思いますが、成果としては、人数的に少しずつ管理職候補者が増えていっているという感じです。

(株)パルウェーブ代表取締役社長

ありがとうございます。結構、自主的に手を挙げて参加される方が多いんですか。

(株)イズミ能力開発部担当マネージャー

自主的に参加する方は少ないです。

司会

ただ今のイズミさんの取組、女性のリーダー育成の効果につきましての御質問とお答えがありましたが、これに関連して他にもあれば、御意見等頂戴したいと思います。

オタフクホールディングス(株)広報部チーフスタッフ

イズミさんでは男性上司への研修も併せて行われるということですが、そこで意識がこうだったのがこう変わったというような、何か男性側の変化というのがあれば教えていただけますか。

(株)イズミ能力開発部担当マネージャー

男性側の変化は、具体的には、女性に聞いてみると、話し掛けられる回数が増えたと聞いているので、コミュニケーションが前よりは密になったかなという感じがします。その研修の中で女性とのコミュニケーションの取り方とか、実際にロールプレイングとかするんですよ。その面での効果は出ていると思います。多分、全員ではないと思いますが、何かその研修の中で気付かれた方は変わっていると思います。

(株)文華堂代表取締役

男性幹部の方のお話が出ましたので、私もその辺りで感じていることを少しお話をさせていただきたいと思います。

当社も子育て支援とかこの仕組みを作るときに、産休を取って休みます。その分、人手が少なくなってくるわけです。そうした中で一時的に来ていただく派遣プラス、そこのセクションの人たちが仕事をシェアしながらその期間はカバーしていくんですが、やっぱり最初に話があったのが、また子育てをして休んだりという状況が生まれてくるのであれば、新しい人を採用した方がいいんではないかという、最初はそういう思いがあったみたいです。しかしながら、そうではないという話をしましたら納得してくれましたけれども、男性の合理主義からいきますと、どちらかというと、そんな復帰を待ってまた休まれて、というのを待っているよりも、という意見はありました。私もいろんな経営者の会とかに所属していまして、男性の意見を聞きますと、総論だと皆さん賛成なんですね。しかしながら、各論、我が社のことになりますと、やはり重要なポストをちゃんと準備して与えているか。今日、3社の方は全然違いますが、なかなか男性経営者の中での意識改革というのも、話では分かるけど実際問題として、という方もまだまだ多いように感じます。ですから、やはりこういう施策を進めていこうとすると、どうしても理解をいただかないといけません。仕組みはあるけれども。私の会社で子育て中の女性とも話をするんですが、保育園に預けている人の仲間の話を聞きますと、大手でも仕組みはあるけれども、なかなか取りにくいから辞めざるを得ないんだという話も聞きます。ここにいらっしゃる3社は非常に進んでいる企業ということで、今日は御参加いただいていると思いますが、まだまだそうじゃない所も多くあるということをやはり実感として感じています。これは社会として、もっとその大事をお互いが認識をするということに持っていかないと、実態が揃ってこない部分もまだまだあるのかなという思いがいたします。

司会

ありがとうございました。

他に何かございますでしょうか。

市長

今の御意見について、全く私的な意見で恐縮ですが、自分はなるべく仕事に関して、男性的な発想とか、女性的な発想という形での括り方は敢えてしないようにしようと思っているんですね。意識するとしないとにかかわらず、男性的、女性的という、人為的に組み替えることが不可能な価値体系に向かって自分たちがチャレンジしていますというふうな、思考過程につい入ってしまうんですね。それは、こういったものを目指すときに、敢えて否定しようという、まず先に目標意識がある。そうすると、よく言われる男性的な発想という根源は、男性といってもある時点にいくまで、どこかで子供の時代がありまして、子供の時代に多分、母親とかを中心とする家庭で育てられた基本的な思考パターンを、年を取ってフルに発揮しているというふうに思うんです。ですから、何世代か前の社会的な価値観を自らが今、具現しようとしている、カルティベートできないでいるというふうに思いたいんですね。そのときに言われる、男性的なというのは、家庭に、自分たちがプライベートな生活に関わる責任の大部分は、男性と女性の二親いるときに、母親のほうが子供をみていたじゃないかなという経験を重ねた人がまだまだ多いんですね。そして、男性はどこかで働いていて、その家庭を支える財政的な基盤づくりをするけれども、その構造の上のいろんなソフトの対応とかは、主に女性がやっていたじゃないかと。それが、自分が実際育ったわけですから、悪くなかったわけですね。であれば、実現できないだろうかというふうに思いながら、でも企業群の中で働いてきて、さっきも申し上げたマクロの話をしてくると、自分はそんなに不都合じゃないんだけど、どうもみんながおかしいと言っているから変えなきゃいけないという思考パターンに入っていると思うんですね。そのときに、企業として企業活動するときに人がいないといけない。人の採用をしなきゃいけない、労働力が要る。労働力の供給先がまだまだ、将来も男性がいなくなるわけはないんだから、より自分に近い、分かりやすい者を採用するとなると、総論は分かるんだけど、もう少しいい男性を採用できないだろうかとか、女性でも、今言ったグループと納得のいくようなお話ができる人たちのほうがいいなということから、今男性的とか言いましたが、そういうふうな発想になっていると思います。これを変えないと、実は合成の誤びゅうが起こるということなんですね。個々の所での組立てが全部100%行ったら、一時代前の、もう人があり余って高度成長期みたいに、放っておいても就職したいという人がどんどん溢れてきてて、かつ、それでも余裕があるという社会だったのが、今はむしろお世話をしてもらいたい年を取った集団とか、それを将来支える子供たち、両方の集団がいっぱいになって、本当に働ける世代がシュリンクしているわけですから、そんな発想では到底いかなくて、前後、特に後者のほうと、それから家庭を支えていた方々の家庭の仕事を社会化して、もっと分解して、それで社会全体で支えるようにして女性も社会参加できるという構造にしなきゃいかんと、どなたもが認めている、理論的には分かっているわけです。それを実践するためには、小さな企業がまず軌道に乗って、一旦企業活動ができるようになって余裕を持って少し理性を発揮するというシステム。そこに行かないところでは壁にぶつかって、企業倒産か、上手くいくかどうかを日々考えながらやるというところで、ついつい油断して、男性的発想がとか女性的発想ということで、もうそれを越えられない領域かなと思いながらも…というふうになるんですね。そこは、今申し上げたように、一時代前の価値観を引きずりながら、理性では分かっていると、それで格闘している中ですから、私たちの仕事については、そういった価値観の転換などもっと広い領域で、自分たちのまちとか、行政のところでシステム替えをして、皆の目に付くようにしてくださいということを今やっているんです。それは例えば、待機児童ゼロのために、本来ならば今まで子育てというのは家族がやっていたのを、あるいは親戚とやっていたのを、社会でもっと育ててもらって、しかもその子たちが病気になったりしたときのお世話というのは、当然、家族がみるんだと言うけども、現に考えていただくと、病気になったときの最終の手当てはお医者さんに頼むでしょう。医者という業務は、そういった家族が自分たちの面倒を見る中で、専門性を高めて、常に専門職として、こちらで健全な人は働いている、でも病気になった人、ある時突然受け入れるということを職業として、生業ができるような体系を世の中が作ったわけです。そこに家族の中で子供たちが困ったら連れ込むときに、それは御主人じゃなくて奥さんが子供を連れていくとかというのが当たり前になっていますが、男親のほうが病院に連れていくことがあってもいい。そういうことがあれば違和感なくいっていると思うんですよね。だから、そこまでいけるかどうかということが今、問われていると思います。それは、男性が働いている会社の中で、その男性が自分たちの子孫を育てるところでトラブルが生じたら、企業の社会的責任と家族を守るという社会的責任のバランスで、ある人によって君、家の面倒見てもいいよということを許すような企業経営が出てくれば可能になるんですね。だけど、そういう企業経営は、切磋琢磨して残業させて、誰も逃さないという企業経営ばっかりやっている企業群だと出てきません。それをやらなくても十分な福利厚生ができるような優秀な企業が出てきて、いいよというのを見れば、今までのような経営をやっていると将来、いい労働力を向こうに奪われるから、自分も無理してでもいい労働環境を作らなければいけないかも分からないというところが今、競われてまして。だから先進的な企業群にもっともっといい人が集まって、みんなが羨ましがるような社会環境を作るということは、ひょっとすると、遠回りのようだけど早いのかなとも思ったりするんですね。

そういう意味で、本当に努力されてて、みんながいいなと思うこと、だけど企業経営から見ると、本当に大丈夫かと、企業として採算が取れるんだろうかといつも疑問に思うような質問しなきゃいけない局面がもっと減るような状況を、広島市の中では他の都市と比べてそういった度合いがどんどん減ってくるという状況を作れるようにするかどうかに懸かっているんじゃないかと思っているんですね。総論はすごく分かりやすい。各論は難しいところもあるんですが、でも、やらなきゃいけないんですね、これをね。今いい取組をされているところを、いい部分をもっともっとそれぞれ伸ばしていただいて、そして、そのいい部分を伸ばすために、待機児童対策、先ほど言った学童保育であったり、気付かれた所で、これはちょっと足りないなと思われた所はどんどん言っていただきたいんですね。その言っていただいたところをどのくらいカバーできるかによって、このまち全体が本当に男女共同参画社会に近付くかということになるんじゃないかなと思っています。

司会

ありがとうございました。

ところで、談義の前に事務局が少し取材させていただいた時に、オタフクさんが、女性の活躍を紹介した番組を制作しておられまして、その辺を御紹介していただければと思いますが、いかがでしょうか。

オタフクホールディングス(株)広報部チーフスタッフ

ありがとうございます。当社、広島FMで、土曜日のお昼12時から30分間、タイトル名が「SONGS ON YOUR LIPS」と言う、音楽番組なのですが、広島で活躍する女性をゲストに迎えて、当社の社長、佐々木茂喜がパーソナリティーを務めまして、ゲストの方と対談形式で収録をさせていただいております。広島にはたくさん活躍される女性の方、経営者の方もそうですし、芸術ですとか、スポーツ、音楽など様々な分野の方をお呼びして、ヒヤリングしながら、どうやってその道に就かれたかですとか、その道の専門に進まれるまでにどのような苦労とか、成果があったかというお話を中心に聞かせていただいております。是非、今後、文華堂の伊東社長様、パルウェーブの原田様、御出演いただいてと、早速思っておりますが、社長さんに限らず皆さん、広島で女性が頑張っていらっしゃるところに焦点を当てることで、それをお聞きになられた女性リスナーの方が、私もちょっと外に出てみようかとか、頑張ってみようと思っていただけるように放送させていただいております。聞いていてとても元気になりますし、先ほど価値観というお話もありましたが、やはり女性ならではの視点というのもあると思います。そういったところが伺い知れますと、何か頑張っていらっしゃる方、悩んでいらっしゃる方のヒントになるかなと思いますので、是非、土曜日のお昼12時からお聞きいただけたら幸いです。

PRをさせていただいてありがとうございます。

司会

ありがとうございました。

土曜日のお昼時間、是非、発信の場の良い機会でございます。行政も企業も含めて、是非活用していただきまして、いろんな取組の紹介の発信源に使っていただければと思っております。

市長

女性ならではの発想というのも、さっきの件で言いますと、自分の子孫、子供を育てるという人類としての一大職業をこなしていく上で、人間を育てるというのは、産むだけでは終わらないんですよね。いろんな価値観とか、社会構造とか、衣類から食材から面倒見ていかなきゃいけないときに、子供を育てるときに、その母親が、いかに自分の力が届かない方々と仲良くして、それを引き出すということが最大の使命なんだと思います。だから子育てを考えたときに、自分に利害得失のある方とまずは仲よくすること、けんかしてしまうと自分の子供がかえって被害に遭うと、そういう発想がすごくあるように思うんですね。そしてその間いろんなことがあって、自分の利害調整に関わること以上に子供のことに重きを置くから、自分のことを犠牲にするというのをどうもやっているような気がするんですね。だから職業生活を与えられても、そうした自分の価値観があってそれを大事にするために、例えば自分が偉くならなきゃいかんとかいう課題も平気でドロップアウトさせるということができるんですね。男性の場合はそういうのは余りないもんですからね、結果、自分がいい所で影響力が発揮できるようなポジションを取れば、後はいいことがあるんだから、ここは我慢するというか、ここはネグレクトしてもきっといいことあるんだという、賭け事みたいなことをやってしまうんですよね。女性はそれはやらないんですね。それが、女性的発想と男性的発想、自分は分け考えないと言いましたが、自分たちが今までの社会の中で経験してきたいろんな経験値に基づいた思考方法なり価値観だと思うんですよ。だからそれを少し変えると、今みたいな女性の視点とか男性の視点ということを言わなくても、とにかく第一義的にやらないといけない。自分の生命を犠牲にしてでもやらなきゃいかんミッション、使命があると思い込んでいる人間と、産んでもらったけど後は何とか上手くやれば、結果、自分が良くなれば恩典を戻せる立場にあると発想する人間との違いかなと思ったりもしていまして、そこをうまく調整すると。多様性というのは、その二つのパターンのうち、女性だろうと今みたいな発想を取りたいと思っている人もいるに違いない。男性でも逆に、そういうふうに思いながら、価値観が育たない人もいるわけですから、その両方が少しできる状況を作ると随分違ってくるんじゃないかなと思います。それが良いことかどうかというのは、自分自身本当に分からないんですけど、少なくともこの、しばらく続く日本人というこの一つの国の中で人口構成とか、年齢階層が変わっていく社会の中で当分間違いなく、適正なというか、合理的な配慮だというふうに思っています。それをもう少し分かりやすく、そうだなと思うことをもっとやっていかなきゃいけないと思います。それを、そうでない状況の中で作り上げていたいろんな税金のシステム、雇用慣行、人の使い方、それの不具合がいろんなところで起こってきて、それを乗り越えつつある企業と、その壁にぶつかっていろんなことを言われるけども、どうしようもないと思っている企業と、居直ってしまって、何を言っているのかと言って、この三者のせめぎ合いの状況なんですよね。

だから、行政とすれば、今申し上げたあるべき方向でやるための努力をうんと重ねなくてはいけないんですが、行政では、最終的には特定の政策を打つときに議会を通して議決をいただくんですよね。そうすると、例えば国政においても議会人の中で、今言った三者構成があって、旧来の発想を持っている方が少なくないのではないかと思うんですよね。それが突破できないというのがあると思うんですね。だから今、税金で103万円の壁とかいう問題がありますでしょう。今まで恩典を受けていた方々がいて、実際にそういう社会価値観で生きている方々をこの際外すのかと言われると、それはちょっと言い過ぎました、じゃあ止めましょうとか、取りあえず額調整で我慢しましょうとかいうふうなことが今起こっていますよね。正に典型なんですよ。

そういったことが、残業の問題にしても、正規・非正規の問題にしても随所に起こっていまして。典型的なのは、正規・非正規を分けているのは、戦後社会の中で社会保障を適用するところで、日本国で一番大きな問題が起こっていますよね。つまり、企業でずっと1週間フルで働くような方は、例えば失業したら失業保険を与えますよと、仕事で怪我をしたら労災保険ですと、そして、給料を稼いでいるその方を中心に積み立てたら年金を出しますよと、病気にかかったら医療保険ですよと。だけど、1週間のうちちょっとずつしか働かない、パートで働くときは適用しません、ですよね。そして、医療はみんなに適用しなければいけないから、企業が中心となって保険の適用をするんじゃなくて国民健康保険、自分で保険に入ってくださいと。企業で雇用しているときには、賃金を出してその人の保険料と企業が福利厚生ということで両方が保険料を負担していますが、企業が初めからその保険料込みで賃金を出しているから、全額保険料を負担していると言ってもいいんですけど、説明の仕方はそうではないですよね。給料を払ってから出す分と、企業が直接出す分の両方で保険料を負担していますという仕組みになっていまして、みんなそうだと思っているわけです。そうすると、企業として保険料を負担しなくてもいいというのは非正規の人。そういうふうにするから使い方がぞんざいになって、だんだんボーナスも付けない。その代わり今度は公平感を保つために、その人たちは残業させないようにし、責任者にもしない。どんどん差が付いていると。その使いやすさのほうに、家庭責任を持っていてそんなにがりがりできないし、子育てもあるし、親の介護なんかもあれば面倒見なきゃいけないというので、でも、お小遣い的に稼げるんであればと思ってる方を雇うということで、非正規の労働者層として女性7割とかはね、入るというふうに来ているわけですよ。だからどこか変えないと、という中で、社会保険制度を変えていこうというふうな試みで、先ほど申し上げた配偶者控除みたいなものも手を付けましょうということは、私も役人を長年やっていましたがもう十数年以上前から言ってるんですよね。だけど全然取り上げられない。大変なことなんですね。だから早く意識を変えるということを同時進行でやっていかないと間に合わないですね。人口構成が変わってしまってね。こういうふうに先取りしていただいている企業がこの広島にあるということですから、こういう企業をもっと増やすということ。

それから、行政としてやれるのは、待機児童解消するための諸施策とか、それから子育てとか、親御さんの介護なんかをやるときに、直接自分だけで面倒を見られないときは社会で見ていただくような仕組み、つまり、先ほどお医者さんというものを専門職にしたという人類の経験があるように、介護とか子育てをやる方々という専門職を作って、その方々に頼んで、自らは生産活動と家庭を育てるということにするということ。今何が成功しているかというと、お医者さん方は社会的には地位が高い者として認められて、医者になったら生涯暮らせるんだというぐらいにまでなるんですね。これが特に強いのは、日本は皆保険制度と言って、治療行為をすると保険制度で必ず入るから食いっぱぐれがない。戦前のように、医療費が取れない方を丁寧に診たりするとその医者は潰れてしまうということが今の日本にはないんですよね。そういうふうにしてその治療行為は外在ができた。そうすると、今度は子育てとか介護も、そういう形できちんとした、それを職業としてやりながら、その方自身もまた子育てができるようにするとかいうことがありますね。教育者、学校の先生方はそういう方になっているんですよね。本来なら自分の子供を産み育てるんですけど、義務教育というものを作ったから、それを外在化してやる。先生方の処遇も高める。そういうふうに、家庭内にあった子育てに関わる、生活に関わるいろんな仕事を外在化してそれを専門的にやる方々を作って、その方々の処遇をある程度一定にしながら、企業活動もする、家庭も上手く治めていくことができたら、多分世の中変わってくると思いますね。今、それを目指しているはずなんですけどね。

そんな中では、取りあえずは保育士の処遇を高めるとか、介護に当たる方々の処遇を高めて、家族で面倒を見なくてはいけない仕事をもう少し外に出せるようにしてあげる。そして、先生方でも手いっぱいになっていれば、先ほどありましたように学童保育、お休みのときとか、急に問題が起こったときにも預けることができるような施設群を市内にもう少し増やしてあげて、やればですね、もっと事態は変わってくるはずなんですね。それをやらなければいけないという問題意識はあります。ただそれをやると、今度はその施設を経営する専門的な知識も要りますから、そういった、これを業とする方をまた養成しなきゃいかんという、それが今、同時進行で起こっていることも分かっていただければと思います。と同時に、今申し上げたようなお話を本当はもっと分かりやすく、啓発という形で多くの方に知っていただいて、世の中どっちに向いて動くのか、とりわけ日本がこれから5年、10年どういう方向に行くんだということと、現状とのギャップをどういうふうに埋め合わせるかということを、他人事じゃなくて自分のこととして何ができるかということをもっと多くの方に分かっていただくような様々な広報活動をやるというのが今、本当に求められているんじゃないかなと思っています。

(株)文華堂代表取締役

特区でもいいですし、何か地域を限定して、そのテストケースでやるとか。

市長

モデル的にね。

(株)文華堂代表取締役

特区か何かでモデルケースを作り、何かしていかないと、前に進まない気がするんです。いきなり仕組みを、全部有料でというのは無理ですから、少しずつ、遊休資産、遊休人材、そこら辺りを上手く使いながら仕組みづくりを。それと学生ですね。学生のそういう所で関わると単位になるという、そういう仕組みも。

市長

学生たちが、勉強するときに、いわゆる社会生活から切り離された所での勉強という、日本流の勉強方式じゃなくて、義務教育の小・中まではいいとして、高校とか、高等教育に入った時には、もっと社会との接点を持つような教育の方向に変えていくというのはこれからの課題なんですね。だから、インターンシップみたいなことももっとやり、自分(学生たち)がこの学問、学術を修めるのは、いずれ社会への参加意識を高めながら、技能を高めて還元するためですよ。そこがなきゃ、全然、教育の意味ないんですよ。それがどちらかというと座学で終わっていまして、新入社員で入ると、その企業に染めてもらって何かやるからそれまでは白紙でいればいいんだと思っているようなのは、正に高度成長期で幾らでも企業が若い方々を手懐けるために手ぐすね引いて待っているという社会環境だったのが、申し上げたように、全然変わっているわけですから、そうじゃなくて、ある程度、自分の知識なり、知恵なり、才能をどういう所で生かせるかということを少し前倒しで考えてもらって、かつ、自分は世界的な企業で働いて、その方がいいと思う方もいるでしょうし、地域の中で貢献して、自分の存在感を認めてもらいながら人生が充実できると思う方はむしろそれを早くからやって、自分の活躍する場をもう少し早目に見つけて、力が注げるような教育環境を作っていくということも、重要になっていると思うんです。これもやらなくてはいけないことです。やることはいっぱいあると思うんですよね。

(株)文華堂代表取締役

是非、教育の観点からも大学と連携をして、テーマを決めて、そこをやることによって、自身の研究とリンクするような形でですね。

市長

全くおっしゃるとおりですよね。少なくともこういう意識を皆さんで共有していただいて、それぞれの持ち分でやれる所からやっていただき、それらを補強、補完する意味で行政にいろいろ注文していただくと。ここが足りないじゃないかとかいうことをもっとしっかり言っていただいていいんじゃないかなと思います。

司会

ありがとうございます。

他の方でも何か御意見等があれば、せっかくの機会でございますので、御発言いただければと思います。

(株)パルウェーブ代表取締役社長

以前、昔よりも随分変わってきたなと思うのが、男性がお迎えに行くというのが多くなってきたような気がするんですね。多分、若い世代、30代の男性は、奥さんの代わりに行かなきゃいけないとか、うちの社員にも男性がいるんですけど、今日は行く番だからというので、仕事を切り上げるという傾向は本当にだんだんとあるんじゃないかなと思います。確かに男性的、女性的っていうのはあると思いますが、その前に、やはりそれぞれの価値観というのを認め合うというのがすごく大事じゃないかなと思っていて、女性だからこうしなきゃいけない、男性だからこうしなきゃいけないといったところが、そこを打ち壊すというか、それが必要なんじゃないかなというふうに、最近よく思いますね。あと、やっぱり扶養控除、あちらは本当に足かせになっていますね。12月頃になると、もう仕事ができないという人が出てくる。本当に、働けば損をするという状況をどうにかしてほしいと思います。

市長

人為的な操作ですからね、変えればそういうことはないんでしょうけどね。でも、ありきになってしまって、超えると夫も損、私も損だから。年間数万の出し入れのために、企業活動そのものを全部、作業計画も変えなきゃいかんとかね、大変なんですよね。だから、社会的ロスが起こっているのは間違いないんでね。

(株)パルウェーブ代表取締役社長

そうですね。夫婦で一緒になって、課税でしたか、合算ならばよく分かるんですけど、やっぱり奥さんだけになると。

市長

新しい事態に飛び移れない方はどれほどたくさんいるかという証明なんですね。だからこれも意識を変えるということ、変えた後の姿で頑張るような状況が皆にとって実はハッピーなんだということをもっと分かっていただかないと、ということですね。まだまだ時間が掛かるかもしれないですね。

司会

他に何かありますでしょうか。

(株)ヤマサキ広島本社総務部部長

先ほどパルウェーブの原田社長様からもお話があったんですが、当社も男性の社員で、ここ最近、奥様が出産される方が多くなってきていまして、共働きの方が多くいらっしゃるので、うちで働いている男性従業員が、奥さんが休めないので、お子さんが病気になって休むという方も出てきているので、社会的な風潮というか環境に、もうなってきているのかなというのを実感しています。そこを、周りの他の社員がちゃんと理解をしてあげる環境も必要なんじゃないかなと思います。その理解がないとやはり女性だけじゃなく、男性も一緒に子育てをしていくというので、そういうのは大事になってくるなというのを、今、本当にここ最近、実感している状況ですね。

市長

あともう一つ、クオータ制ということから見ると、女性の管理職への登用割合をどうするかというのは、今、制度でやることになりましたが、自分の判断からして、クオータ制というのは、ある意味でプロパガンダ、政策的なスローガンとしてはいいとしても、制度に組み込むとすると大変公平感とか不公平感が出てくるややこしい問題だなとずっと思っています。というのは、量と質のバランスが取れるかということですね。量というのは客観的に見えますよね。だけど質というのは実は誰も分からないんです。一つの企業の中であの人は優秀だとか、こう言うけど、皆それぞれ価値観があって、認め合っているかどうかもよく分からない。だけど経営者側がこの人は優秀だと認めるとなったときに、それですら不安なのに一定の量を出せと言われたら、どれがいいか分からないけどとにかく数を合わせでやったときに、質的に間に合っていない方々をもし登用したら、自分として、自分より劣っているはずの人がこの組織の中ではこんなふうに登用されるのかということが随時に起こるとなるとどうでしょう、そのことがその組織をマイナスにイメージ化したら、いいことはないんじゃないかと思います。だから、なるべくそういう状況を作っていこうというスローガンと、一定割合出さなきゃいかんと決め付けて、みんなどんどん追い込むというのは、ちょっと性格が違うかなと自分は思っています。でも、どうも世の中、さっきも申し上げたような事情で動かないもんですから、結果を出せということで、尻たたいてやりますね。ちょっと気を付けなきゃいけないと思うんですね。だから、本当に物事を真面目にやろうとしている人たちのことも、多様性も考慮した上で、一定割合は出そうという量的な目標を考えたとき、質的な分についてバランスを取ってあげると。それで達成しなくても本当に今の会社の状況でそこまでの人はいないんだったら、もう少し待っていいじゃないですかということをやれるという“ため”を持っておかないと、多分、間違ったりするかなと思います。義務化するとか率をかちっと決めるということはなかなかどんなときも議論が割れて上手くいかない性格だと私は思っています。イズミさんはやっておられますけど本当に運用上気を付けたほうがいいなと、個人的には思っています。苦労があるはずなんですけどね。

司会

ありがとうございました。

皆さん御存じのとおり、女性活躍推進法が去年の9月に一部施行され、今年の4月から全面施行されました。事業主行動計画の中で女性管理職の割合など数値目標を掲げて取り組みなさいということで、ある意味では法律で縛りを掛けて女性の活躍促進を図るという面につきまして、量的にはということですが、質的な問題が非常にあるということですので、これは当然考慮した上で行政としても進めるという立場でやっていきたいと思っております。

何か他に御意見等はありますでしょうか。予定の時間を過ぎていますので、何かありましたら、男女共同参画課等に御意見等を言っていただければ、御相談等をさせていただければと思います。

それでは最後に、全体を通して、市長からまとめのコメントをお願いしたいと思います。

市長

皆さんに取組を紹介していただき、刺激を受けました。実は事務方が用意してくれたメモとは違うことを言いましたが、自分の信念として思っていることは開陳させていただきましたし、そんなに間違っているとは思っていなくて、ただ、法令的ないろんな仕掛けができ、やらなければいけないという目標値と現実のギャップがあることも分かった上で、でも、だからといって文句を言うんじゃなくて、それに近付けるための努力をすることこそ、あるべき姿じゃないかなと思っています。そんな中でその努力をいろんな意味でしている事例を紹介していただいたことで、自分なりに本当に納得度が高まったというのが今日のお話であります。

そして、もう一つ申し上げると、私が、今申し上げたことを一つの最終目標として言葉にしているのは、ILO(International Labour Organization)という国連の専門組織が言い始めた、英語で“Decent Work”という言葉です。Decentというのは、簡単に訳すと“まっとうな”というか“まともな”仕事ということをとにかく目指せば、いろんな目標値が収れんするんじゃないかというふうに言ってるんですね。このDecent Workを日本でしっかり導入しようと言ったのも、私が東京にいる頃に言ってやり始めたんですが、もっときちんとした訳を与えろということで「“人間らしい働きがいのある労働”というのをDecent workという。」というふうに丁寧に定義したんですけれども、そこまで大げさなことを言わなくて…、いや迫力ないから…ということでそのような訳にしましたが、本当にこれだと思うんですね。人にとって本当に素直にいいなと思えるような仕事をどう作り上げていくかということを職業、生活の場、家庭生活の場、そして暮らしている地域の場でどう作り上げるかということをやっていけば多少なりともいいまちになるし、それが、ひいては「世界に誇れる『まち』」だと威張れるんじゃないかなということを思いながら、させていただいています。

そして、個別の課題については、女性が働けるようにということは、取りも直さず、多くの方が公平感を持って、自分の価値観を具現するために労働という社会参加をすることは意義があり、また、家庭で子育てや自分の身内の人を面倒見ることも意義があります。そうした労働や子育てなどの苦労を一人で苦労するのではなく、社会全体が見るという環境で暮らしていると実感できるようなまちになれば、これほど素晴らしいことはないと思っています。そういった全体も見ながら、これからそれぞれの課題を着実に仕上げていきたいというふうに思っていますし、それぞれの分野で、また御理解、御協力をいただければということです。と同時に、市役所の女性職員の活躍を推進するという自らの課題もありますので、共に頑張っていきましょう。

ありがとうございました。

司会

本日は活発に御議論いただきまして誠にありがとうございました。

この車座談義を機にテーマの実現に向けて課題や方向性を皆さんと共有させていただき、本日参加いただきました皆さん方の相互の連携がより一層図られ、テーマの実現に資する取組が益々活発に展開されることを期待したいと思います。

それではこれをもちまして、市政車座談義を終了いたします。本日はありがとうございました。

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