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環境省は、令和3年10月7日、公共用水域について人の健康の保護に関する環境基準及び地下水の環境基準のうち、六価クロムについて基準値を見直しました。また、より的確にふん便汚染を捉えるため、生活環境の保全に関する環境基準のうち、大腸菌群数を大腸菌数に見直しました。基準値を表1及び表2に示します。(施行日:令和4年4月1日)
なお、これまで大腸菌群数の測定方法は、BGLB培地発酵管を用いた最確数法(MPN/100mL)が用いられてきましたが、大腸菌数は特定酵素基質寒天培地を用いたメンブランフィルター法(CFU/100ml)に変更されました。
表1 六価クロムの基準値
項目名 |
改正後の基準値 |
改正前の基準値 |
六価クロム |
0.02 mg/L以下 |
0.05 mg/L以下 |
備考:六価クロムに係る基準値は年間平均値とする。
表2 大腸菌数の基準値
類型 |
河川 |
湖沼 |
海域 |
AA |
20 |
20 |
ー |
A |
300 |
300 |
300 |
B |
1,000 |
ー |
ー |
備考:大腸菌数に係る基準値については、90%水質値とする。
なお、水の利用目的に応じてさらに細かく基準値が設定されているので、水質汚濁に係る環境基準(環境省)を参照すること。水質汚濁に係る環境基準 | 環境省 <外部リンク>
(2022年4月1日現在)
項目 | 公共用水域の水質 汚濁に係る環境基 準(人の健康の保 護に関するもの) |
地下水の水質汚濁に係る環境基準 | 地下水基準 | 地下水浄化基準 | 地下浸透基準 |
根拠法令 |
環境基本法第16条 |
環境基本法第16条 | 土壌汚染対策法施行規則第7条 |
水質汚濁防止法第14条の3 |
水質汚濁防止法第8条 |
カドミウム(及びその化合物) | 0.003mg/L以下 | 0.003mg/L以下 | 0.003mg/L以下 | 0.003mg/L以下 | 0.001mg/L以下 |
全シアン(シアン化合物) | 検出されないこと。 | 検出されないこと。 | 検出されないこと。 | 検出されないこと。 | 0.1mg/L以下 |
鉛(及びその化合物) | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.005mg/L以下 |
六価クロム(化合物) | 0.02mg/L以下 | 0.02mg/L以下 | 0.05mg/L以下 | 0.05mg/L以下 | 0.04mg/L以下 |
砒素(及びその化合物) | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.005mg/L以下 |
総水銀 | 0.0005mg/L以下 | 0.0005mg/L以下 | - | - | - |
アルキル水銀 | 検出されないこと。 | 検出されないこと。 | - | 検出されないこと。 | 0.0005mg/L以下 |
水銀及びその化合物 | - | - | 0.0005mg/L以下かつアルキル水銀が検出されないこと。 | - | - |
水銀及びアルキル水銀 その他の水銀化合物 |
- | - | - | 0.0005mg/L以下 | 0.0005mg/L以下 |
PCB(ポリ塩化ビフェニル) | 検出されないこと。 | 検出されないこと。 | 検出されないこと。 | 検出されないこと。 | 0.0005mg/L以下 |
ジクロロメタン | 0.02mg/L以下 | 0.02mg/L以下 | 0.02mg/L以下 | 0.02mg/L以下 | 0.002mg/L以下 |
四塩化炭素 | 0.002mg/L以下 | 0.002mg/L以下 | 0.002mg/L以下 | 0.002mg/L以下 | 0.0002mg/L以下 |
クロロエチレン(別名塩化ビニル又は塩化ビニルモノマー) | - | 0.002mg/L以下 | 0.002mg/L以下 | 0.002mg/L以下 | 0.0002mg/L以下 |
1,2-ジクロロエタン | 0.004mg/L以下 | 0.004mg/L以下 | 0.004mg/L以下 | 0.004mg/L以下 | 0.0004mg/L以下 |
1,1-ジクロロエチレン | 0.1mg/L以下 | 0.1mg/L以下 | 0.1mg/L以下 | 0.1mg/L以下 | 0.002mg/L以下 |
シス-1,2-ジクロロエチレン | 0.04mg/L以下 | - | - | - | - |
1,2-ジクロロエチレン(シス体とトランス体の濃度の和) | - | 0.04mg/L以下 | - | 0.04mg/L以下 | - |
1,2-ジクロロエチレン | - | - | 0.04mg/L以下 | - | シス体 0.004mg/L以下 トランス体 0.004mg/L以下 |
1,1,1-トリクロロエタン | 1mg/L以下 | 1mg/L以下 | 1mg/L以下 | 1mg/L以下 | 0.0005mg/L以下 |
1,1,2-トリクロロエタン | 0.006mg/L以下 | 0.006mg/L以下 | 0.006mg/L以下 | 0.006mg/L以下 | 0.0006mg/L以下 |
トリクロロエチレン | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.002mg/L以下 |
テトラクロロエチレン | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.0005mg/L以下 |
1,3-ジクロロプロペン | 0.002mg/L以下 | 0.002mg/L以下 | 0.002mg/L以下 | 0.002mg/L以下 | 0.0002mg/L以下 |
チウラム | 0.006mg/L以下 | 0.006mg/L以下 | 0.006mg/L以下 | 0.006mg/L以下 | 0.0006mg/L以下 |
シマジン | 0.003mg/L以下 | 0.003mg/L以下 | 0.003mg/L以下 | 0.003mg/L以下 | 0.0003mg/L以下 |
チオベンカルブ | 0.02mg/L以下 | 0.02mg/L以下 | 0.02mg/L以下 | 0.02mg/L以下 | 0.002mg/L以下 |
ベンゼン | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.001mg/L以下 |
セレン(及びその化合物) | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | 0.002mg/L以下 |
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 | 10mg/L以下 | 10mg/L以下 | - | 10mg/L以下 | - |
アンモニア性窒素 | - | - | - | - | 0.7mg/L以下 |
亜硝酸性窒素 | 0.2mg/L以下 | ||||
硝酸性窒素 | 0.2mg/L以下 | ||||
ふっ素(及びその化合物) | 0.8mg/L以下 | 0.8mg/L以下 | 0.8mg/L以下 | 0.8mg/L以下 | 0.2mg/L以下 |
ほう素(及びその化合物) | 1mg/L以下 | 1mg/L以下 | 1mg/L以下 | 1mg/L以下 | 0.2mg/L以下 |
1,4-ジオキサン | 0.05mg/L以下 | 0.05mg/L以下 | - | 0.05mg/L以下 | 0.005mg/L以下 |
有機リン化合物(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン及びEPNに限る) | - | - | 検出されないこと。 | 検出されないこと。 | 0.1mg/L以下 |
この基準は、環境基本法第16条第1項の規定に基づき、水質の汚濁に係る環境上の条件について、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準として設定されている。
この基準は、環境基本法第16条第1項の規定に基づき、水質の汚濁に係る環境上の条件のうち、地下水の水質汚濁に係るものについて、人の健康を保護する上で維持することが望ましい基準として設定されている。
この基準は、土壌汚染対策法において、地下水が土壌汚染対策法施行規則第7条第1項の基準(地下水基準)に適合しない場合に、「地下水汚染」があるものとして一部対象区画の調査が必要とされる基準として設定されている。
この基準は、水質汚濁防止法第16条の3で、「特定事業場又は有害物質貯蔵指定施設を設置する工場若しくは事業場において、有害物質を含む水の地下への浸透があったことにより、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、環境省令で定めるところにより、特定事業場又は有害物質貯蔵指定事業場の設置者に対し、地下水の水質の浄化の措置を命ずることができる。」と規定したことを受け、施行規則第9条の3で有害物質の種類ごとに浄化基準を設定したものである。
この基準は、水質汚濁防止法第8条において、「特定事業場から地下に浸透する水に関して、有害物質を含むものとして環境省令で定める要件に該当するものは地下へ浸透させてはならない」と規定したことを受け、環境省令において、「有害物質を含むものの要件は、環境大臣が定める方法により検定した場合において当該有害物質が検出されること」とし、基準を設定したものである。具体的には、「水質汚濁防止法施行規則第6条の2の規定に基づく環境大臣が定める検定方法 (公布日:平成元年8月21 日)環境庁告示39 号」により、地下浸透基準が設定されている。