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ページ番号:0000000217更新日:2008年11月26日更新印刷ページ表示

衛研ニュース/魚切ダムの水質状況と水環境の改善

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魚切ダムの水質状況と水環境の改善

はじめに

 魚切ダムは、広島市佐伯区を流れる八幡川に多目的ダムとして建設され、昭和56年に竣工しました。貯水容量は846万m3、ダム流域の居住人口は約5,000人です。

 湖沼など水が滞留する場所では、自然と窒素や燐(リン)が蓄積されてゆき、これを栄養とするプランクトンなどが増殖します。これを富栄養化といい、さらに進行するとアオコが発生したり、水道水の異臭味の原因になります。魚切ダムでも平成12年度に水道水の異臭問題が発生しました。

ダムの水質環境基準と水質状況

 環境省や広島県では、ダムの利水目的に応じて維持することが望ましい基準値として表1のように類型をあてはめています。水質の状況は表2のとおりで、魚切ダムの水質は他のダムに比較して栄養塩等の濃度が高く、中栄養~富栄養の状況です。

【表1】 湖沼の類型指定状況(一部抜粋)
水系名 水域名等 類型 COD(mg/l) 窒素燐類型 全窒素(mg/l) 全燐(mg/l)
太田川 温井ダム貯水池 A 3以下 2 - 0.01以下
江の川 土師ダム貯水池
(H18暫定目標)
A 3以下 2 0.2以下
(0.43)
0.01以下
(0.020)
八幡川 魚切貯水池 - - - - -

※温井ダム貯水池は、全窒素の項目が基準から除かれている
※魚切貯水池は、貯水量が1,000万立方メートル未満のため、類型指定されていない

【表2】 貯水池の水質調査結果(平成19年度)
水系名 水域名等 測定機関 COD(平均)
(mg/l)
COD(75%値)
(mg/l)
全窒素
(mg/l)
全燐
(mg/l)
太田川 温井ダム貯水池 中国地方整備局 2.6mg/l 2.9mg/l 0.34mg/l 0.007mg/l
江の川 土師ダム貯水池 中国地方整備局 2.5mg/l 2.8mg/l 0.72mg/l 0.018mg/l
八幡川 魚切貯水池 広島市 2.8mg/l 3.4mg/l 0.97mg/l 0.032mg/l

※CODは全層、全窒素・全燐は表層の年間平均値

ダムの流入河川と貯水池の水質状況

 ダム流入前河川水と貯水池の水質を比べてみると、表3に示したように特に燐酸態燐(リン酸態リン=リン酸イオンの状態で水に溶けているリンのこと)の濃度が貯水池で低くなっています。

 全燐は、プランクトンなどの有機態燐を含んだ濃度であり、燐酸態燐は生物がまだ利用していない無機態の燐成分です。

 燐酸態燐の濃度変動を詳しく見てみると、図1に示したように、多くの月で貯水池の燐酸態燐はごく低濃度です。ダム流入前の河川水と比べてと貯水池の濃度が低いということは、貯水池内で燐酸態燐がプランクトンの増殖に消費されていると考えられます。したがって、ダムに流入する河川水の燐濃度を下げることは富栄養化を防ぐために必要と考えられます。

【表3】 水質調査結果(平成19年度)
区分 全窒素(mg/l) 全燐(mg/l) 燐酸態燐(mg/l)
魚切上流(河川水)
(ダム流入前)
1.1mg/l 0.048mg/l 0.034mg/l
魚切貯水池 0.97mg/l 0.032mg/l 0.007mg/l
減少率
(貯水池/上流)
12% 33% 79%

※調査結果は表層の年間平均値

【図1】 燐酸態燐の月別濃度変動(上流河川水、貯水池0m、10m)
燐酸態燐の月別濃度変動グラフ

※定量限界値(0.003mg/l)未満の測定結果は0.003mg/lとした

ダム管理者の水質改善対策

 広島県では、湖内に曝気循環装置を設置し湖水を強制的に鉛直循環させています。この装置により、表層の水が底層の低温の水と混合することで水温が低下すること、及びプランクトンが光の届かない深い場所に引き込まれることで、アオコなどの発生が抑制されます。

 また、広島県総合技術研究所保健環境センターはアオコ発生予測手法を研究しています。予測をもとにして曝気循環装置を運転制御することでアオコの発生を予防することができ、水道水の異臭防止に役立っています。

 さらに、流入河川部に黒ボク土を用いた土壌による浄化施設を設置し、燐除去を行っています。

水環境の改善

 魚切貯水池は貯水量が少ないため湖沼の類型は指定されていませんが、貯水量が多く水道水源として利用される貯水池では、通常A類型及びII類型の基準があてはめられます。魚切貯水池の水質は、全窒素・全燐の濃度が高くなっています。水環境を健全化するため、未処理生活排水の対策をするなど、富栄養化の原因物質である窒素・燐の削減対策が必要です。

 広島市では、下水道や農業集落排水処理施設が計画されていない区域において、平成20年度から市営浄化槽事業を行うなど水環境の改善に取り組んでいます。水を守るために皆さんの環境への心配りも大切です。

もっと知りたい人のために(関連情報)

  • 魚切ダム等の水質保全対策<外部リンク>(広島県土木局土木整備部河川課ダム室)
  • 湖沼における藻類の発生予測に関する研究(広島県総合技術研究所保健環境センター)