原爆ドーム第4回保存工事
地震による損傷を低減させるため、平成27年度(2015年度)から平成28年度(2016年度)にかけ、地震対策として第4回保存工事を実施しました。
地震対策(補強鋼材の追加)
基本方針
原爆ドームは世界遺産に登録されているため、文化財としての価値の保全に努める必要があり、以下の点を保存の基本方針としています。
- 視覚上の外観変更は原則として行わないこと
- 必要最小限の対策であること
- 極力、可逆的であること
地震対策の目標
復旧が困難になるほどの致命的な損傷を与えないことを目標としています。
想定する地震
繰り返し発生する間隔が50年から100年と比較的短く、歴史的に見て広島県に被害をもたらしている安芸灘~伊予灘~豊後水道を震源とする、いわゆる芸予地震を想定しています。
現状分析調査
上部に突出した片持ち構造となっている壁の部分は、壁の振幅が大きいことが確認できました。これはこの部分の壁厚が薄く、水平方向に補強がされていないためであり、結果として応力が集中すると推測されます。3次元有限要素解析プログラムを用いてどの部分に応力が集中するのかを定量的に把握しました。
地震対策工法
上部に突出した片持ち構造となっている壁の部分は、一定以上の応力が生じるため、地震による損傷により倒れ込みが生じる恐れがあることから、倒れ込みを抑える目的として、3箇所の壁において鋼材補強の追加により片持ち構造を解消する補強方法としました。
なお、煉瓦等の物性は非常にばらつきがあり、今回の補強を行っても大地震時の破壊を皆無にすることはできないと考えられるため、大地震時に損傷が生じた部位については、現況の3次元測量データなどの調査資料を基に復旧することとしています。
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地震対策以降
令和6年4月17日(23時14分頃)に発生した豊後水道の地震により、広島市中区は震度3が観測されたため、翌日18日に本市職員による原爆ドームの目視点検を実施したところ、新たな損傷は確認されませんでした。
なお、令和6年度に実施を予定しているドローンなどによる健全度調査の中で構造物の変位について確認することとしており、年度内を目途に史跡原爆ドーム保存技術指導委員会資料により公表する予定です。
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都市整備局 緑化推進部 公園整備課
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