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広島の歌 制作趣意書
うれしい時、悲しい時、感動した時、人はその思いを歌に託します。いつも人の心に喜びを、そして、夢と安らぎを与えてくれるもの、それは歌です。
広島には、デルタが形成される前から長い歴史があり、毛利輝元が広島城を築いて以来、城下町として発展し、中国地方の政治・経済・文化の中心になりました。そこには、緑豊かな自然と人々の暮らしがありましたが、一発の原子爆弾により、一瞬にして焦土と化してしまいました。そんな中で、人々に生きる希望と勇気を与えたのは、家族をはじめとする人間同士のつながりや、国内外から寄せられた温かい支援と平和への熱い思いであり、焦土に芽吹いた草木の健気な姿でした。
また、歌も人々を支えました。自らの暮らしやまちの再建にあたって、ともに助け合い、励まし合い、知恵を出し合いながら、懸命にこの半世紀を生き抜いてきた人々には、それぞれの愛唱歌がありました。
政令指定都市となって20年の広島市は、現在、新たな世紀の到来を控えて国際平和文化都市としての一層の飛躍を期すべく、様々な取り組みを進めています。
広島のまちの個性や魅力を再発見・再認識するとともに、世界中の平和を愛する人々や都市とのつながりを大切にしながら、新しい時代の広島のまちづくりに取り組んでゆきたいと考えています。そこで、その取り組みの一つとして、従来の「広島の歌」にもう一度光をあてるとともに、新しい「広島の歌」づくりを提案したいと思います。
様々な立場を超えて多くの人々が共感できる歌づくりの中で、私たちの夢や理想をどう実現していくのか、21世紀の広島のあるべき姿をどの様に世界に発信していくのか、みなさんの情熱と英知を結集していただければ、これ以上の喜びはありません。
21世紀が夢と希望に満ちた時代となるよう、その扉をみなさんの明るい歌声とともに開きたい。そんな思いを込めて「広島の歌」の制作に着手します。
世代を超えて歌い継がれる新しい広島の物語、「広島の歌」づくりに多くのみなさんのご参加をお待ちしております。
2000年(平成12年)10月16日
「広島の歌」制作委員会