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広島市の水産業の概要

ページ番号:0000173193 更新日:2022年12月15日更新 印刷ページ表示

1.広島市の漁場

 (1) 海面の漁場

広島湾上空写真

 広島市の海面漁業の主な場である広島湾北部海域は、大部分が水深10mから20mと浅く、東側は音戸・早瀬瀬戸、西側は大野瀬戸、厳島海峡、奈佐美瀬戸に囲まれた袋状になっているため、潮の流れが緩やかです。
底質の大部分は泥土ですが、西部の沿岸域には一部砂地があります。潮流については、上げ潮時には北流、下げ潮時には南流となり、この潮差は最大約4m、平均約2mとなっています。
 また、季節による表面水温差(夏8月:約27℃・冬2月:約10℃)が大きいことに加え、塩分濃度が太田川の流量により大きく変化するなどの特徴があります。

 (2) 内水面の漁場

 広島市の内水面漁業の主な場である太田川は、その源を中国山地の冠山(廿日市市 標高1,339m)に発し、柴木川、筒賀川、滝山川、水内川、根谷川及び三篠川などが合流しながら南下し、広島市街地で6本の河川に分流して、広島湾に注ぐ1級河川です。
 その流域は、広島市をはじめとした4市3町(広島市、東広島市、廿日市市、安芸高田市、府中町、安芸太田町、北広島町)にまたがっています。

2.気候

 広島市の気候は、冬の季節風は中国山地に、夏の季節風は四国山地にそれぞれ遮られるため、年間を通じて温暖で降水量が少ない瀬戸内海気候です。
 年間平均降水量は1,572.2mm、年間平均気温は16.5℃となっています。

広島湾の水温・広島市の気温と降水量

3.海面漁業

 本市の海面漁業は、太田川の豊かな水に育まれた里海の恵みの下、日本全国へと出荷されるカキの養殖を中心としながら発展してきました。
 広島湾北部を主要な漁場として、カキ養殖、小型底曳網、刺網や釣等の漁業が営まれています。
 しかし近年、太田川や海域の漁場環境の変化等に伴い、生産力が縮小し、水産資源が減少しています。
 また、魚離れ等による魚価の低迷や漁業資材の高騰等により、漁業経営は厳しい状況にあります。

 (1)経営体数

 ア 経営体階層別

本市における漁ろう漁業は広島湾内で営まれており、遠方に出漁することはないため、ほとんどが5トン未満の小型漁船を使用しています。漁ろう漁業の経営体数は平成30年で200経営体数で、海面養殖業については、カキ養殖が47経営体、その他が8経営体になっています。

経営体階層別経営体数

単位:経営体
  漁ろう漁業 海面養殖業 合 計
漁船非使用 漁船使用 小 計 カ キ ノ リ その他 小 計
動力船
1t
未満
1~
5t
5~
10t
10t
以上
平成20年 8 82 213 33 3 339 70 1 14 85 424
平成25年 - 77 173 21 - 271 59 3 17 79 350
平成30年 13 14 155 17 1 200 47 - 8 55 255

 注1:「-」は事実のないもの

(資料:漁業センサス)

 イ 漁業種類別

 漁ろう漁業については、小型底曳網漁業を除くと単独で漁業経営を維持することは難しく、多くが刺網や釣、たこ壺漁業等の複合型漁業を営んでいます。いずれも零細な個人経営で、漁業者の高齢化や後継者の不在から経営体数は減少傾向にあります。
 海面養殖業のうちカキ養殖については、他の漁業に比べて経営が安定していることから後継者はいますが、暫減傾向にあります。

主とする漁業種類別経営体数

単位:経営体
漁業種類 漁ろう漁業 海面養殖業 合   

























平成20年 21 - 68 1 11 160 10 68 339 70 12 1 2 85 424
平成25年 16 - 42 - 10 143 14 46 271 59 16 3 1 79 350
平成30年 14 - 35 - 6 146 14 28 243 47 7 - 1 55 298

 注1:「-」は事実のないもの

(資料:漁業センサス)

 (2)生産量・生産額

 平成30年の総生産量は4,096トンで、推定総生産額は35億7,085万円でした。その主な内訳は、漁ろう漁業が153トンで1億2,573万円、カキ養殖業が3,943トンで34億4,512万円でした。
 生産量、生産額は漁ろう漁業では減少傾向、カキ養殖業では、変動はあるものの概ね横ばいで推移しています。

 部門別生産量・生産額

  漁ろう漁業 カキ養殖業 合  計
平成26年 195トン
16,344万円
4,397トン
386,222万円
4,592トン
402,566万円
平成27年 163トン
14,156万円
3,898トン
433,598万円
4,061トン
447,753万円
平成28年 185トン
16,855万円
3,497トン
355,079万円
3,682トン
371,934万円
平成29年 160トン
15,320万円
3,765トン
334,419万円
3,925トン
349,738万円
平成30年 153トン
12,573万円
3,943トン
344,512万円
4,096トン
357,085万円

注1:平成30年で市町村別統計は廃止されました。

(資料:農林水産省 漁業・養殖業生産統計)

 ア 漁ろう漁業

 平成30年の漁獲量は153トンで、平成29年の160トンから7トン減少しました。魚種別では、クロダイが21トンで最も多く漁獲されており、次いでタコ類19トン、ヒラメ・カレイ類7トン、スズキ類5トンでした。
 漁獲量の減少は、漁業資源量の減少が大きいと思われますが、漁業者の高齢化や魚価の低迷、燃油の高騰等によって漁業活動への意欲が低下し、出漁回数が減少していることの影響も推測されています。

  魚   類 その他水産動物





































平成26年 27 6 20 7 9 8 55 1 1 6 7 23 25 195
平成27年 19 10 17 7 5 5 48 1 1 11 5 13 21 163
平成28年 10 14 11 3 1 4 67 0 3 12 1 26 33 185
平成29年 18 3 5 5 68 3 3 3 1 30 21 160
平成30年 21 7 4 5 4 1 56 0 2 2 1 19 29 153

 注1:「0」は単位に満たないもの。(例:0.4t→0t)
 注2:「x」は個人または法人その他の団体に関する秘密を保護するため、統計数値を公表しないもの。  
 注3:統計数値について、表示単位未満を四捨五入したため、合計値と内訳の計が一致しない場合がある。  
 注4:平成30年で市町村別統計は廃止されました。

(資料:農林水産省 漁業・養殖業生産統計)

 イ 海面養殖業

カキ、ノリ、ワカメ、真珠養殖が営まれています。

(ア) カキ養殖

広島カキの収穫

 太田川の広大な河口干潟を利用して発達したカキ養殖業は、室町時代末期の天文年間から450年以上の歴史を持つ、本市水産業の基幹です。
 平成30年の収獲量は3,943トンであり、広島県内では、呉市4,454トン、江田島市4,035トンに次ぐ第3位の収獲量であり、県内占有率は21.0%となっています。

 

 

収獲量の県に占める割合(平成30年)

区分 広島市 広島県 県内占有率
カキ養殖 3,943トン 18,809トン 21.00%
ワカメ養殖 非公表 非公表 - %
ノリ養殖 非公表 3,035トン - %

 注1:カキ収穫量は殻付き収穫量からの推計値
 注2:平成30年で市町村別統計は廃止されました。

(資料:農林水産省 漁業・養殖業生産統計)

(イ) ノリ・ワカメ養殖

養殖ワカメの収穫

 ノリ養殖は、カキ養殖と同じように太田川河口干潟を利用して江戸時代の初め頃から行われ、明治12年には全国第1位の生産量となりました。
 しかし、昭和39年以降の沿岸部の大規模な開発により養殖漁場が消失したため、ほとんどが廃業し、現在は、細々と養殖が行われているに過ぎず、板ノリの加工は行われていません。
 ワカメ養殖は、昭和38年に山口県から種糸を試験的に移入し始まったもので、比較的簡易に取り組める養殖業であることから、ノリ養殖業の副業として定着しました。
 現在は、五日市沖・井口沖・観音沖・宇品島・金輪島の漁場で養殖され、生ワカメとして出荷されています。

(ウ) 真珠養殖

 1経営体が6月から翌年1月の間、似島大黄地先の海域で養殖を行っています。
 愛媛県宇和島で母貝を購入して現地で抑制、挿核、沖出し管理した後、当地に輸送して化粧巻を行います。
 12月から1月頃に再び愛媛県に輸送して真珠を採取します。

 (3)海面漁業協同組合

6つの漁業協同組合があります。

海面漁業協同組合一覧
名 称 所在地
井口漁業協同組合 西区井口明神2-1-17
広島市漁業協同組合 南区出汐2-3-1
大河漁業協同組合 南区丹那町1-7
仁保漁業協同組合 南区仁保3-1-9
海田市漁業協同組合 安芸区船越南5-10-7
矢野漁業協同組合 安芸区矢野西1-43-13

4. 内水面漁業

 広島市域を流れる河川は、太田川水系、八幡川水系、瀬野川水系の3水系があり、漁業権が設定されているのは太田川水系のみです。上・中流域で主にアユ・ウナギ・モクズガニ漁業が、河口の汽水域でヤマトシジミ・ウナギ漁業が営まれています。
 内水面漁業は生業としての性格が弱いことから漁業後継者がほとんどおらず、高齢化に伴い漁業者の減少が深刻です。

 (1)経営形態

 広島市の内水面漁業は、海面漁業を兼業する漁業者を除くと、農業、商業等を副業として漁業を営む者がほとんどです。

 (2)漁獲量

 令和2年の太田川水系の漁獲量は2トンでした。魚種別ではアユが2トンで漁獲のほとんどを占めています。

太田川水系における魚種別漁獲量

単位:トン
  魚   類 貝  類 その他水産動物 合計
サケ・マス類 アユ シラウオ コイ フナ ウグイ・オイカワ ウナギ その他 シジミ その他 エビ類 その他
平成28年 0 2 - - - 0 0 - 2 - - 0 4
平成29年 0 2 - - - 0 0 - 0 - - 0 3
平成30年 0 2 - - - 0 0 - 0 - - 0 2
令和元年 0 2 - - - - 0 - 0 - - 0 2
令和2年 0 2 - - - - 0 - 0 - - 0 2

  注1:「0」は単位に満たないもの。(例:0.4t→0t)
  注2:「-」は事実のないもの。

(資料:農林水産省 漁業・養殖業生産統計)

ア アユ漁業

 内水面漁業の主要魚種であるアユは、釣(友釣り・コロガシ)、刺網、投網で漁獲されているほか、遊漁者による漁獲もあります。
 資源確保のため、第五種共同漁業権(アユ漁業)を有する漁業協同組合が、毎年、種苗放流を実施していますが、漁獲量は平成4年の209トンをピークに著しく減少しています。
 原因としては、冷水病の蔓延や河川流量(出水)の減少、温暖化に伴う水温の上昇、産卵床の荒廃、稚魚の育成場となる藻場・干潟の減少や成育環境の変化による天然稚魚の遡上量の減少等が考えられています。
 これを受け本市では太田川流域に生息するアユを増やすため、「太田川再生方針」を平成25年に策定し、冷水病に強い人工種苗の放流や産卵床の維持・造成を推進しています。

広島市内の内水面漁業協同組合によるアユ種苗の放流量

単位:kg
漁業協同組合名 広島市内水面 太田川 三篠川 水内川 合 計
放流河川名 太田川 太田川
(6支流)
太田川水系
三篠川
太田川水系
水内川
指示量 150 3500
(75万尾)
400 800 4,850
令和元年 210 4,380 600 1,500 6,690
令和2年 210 5,687 700 1,500 8,097
令和3年 210 4,970 700 1,500 7,380

 注1:「指示量」は漁業法第67条の規定に基づき広島県内水面漁場管理委員会が漁業権者に示した増殖の目標量のこと。

(資料:各漁業協同組合の事業報告書)

アユの漁獲尾数・放流尾数

アユの漁獲・放流尾数

(資料:太田川漁業協同組合事業報告書)

イ シジミ漁業

 シジミ漁業は、太田川下流部の汽水域に生息するヤマトシジミを対象とし、広島市内水面漁業協同組合(以下「漁協」という。)によって大芝水門下流から太田川5派川の猿猴川、京橋川、元安川、旧太田川、天満川を漁場として、ジョレンという漁具を用いて営まれてきました。
 昭和40年代末頃から昭和50年代にかけて一時漁獲量が減少していたものの、平成3年以降では200トンを超えて推移しました。しかし、平成7年の286トンをピークに減少傾向になり、現在は漁協がジョレンを用いた漁業を禁止するほど、漁獲量は大幅に減少しています。
 これを受け、シジミの資源量を回復させるため、平成25年度に策定した「太田川再生方針」に基づき、種苗放流や母貝保護等の取組を進めています。

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