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ページ番号:0000008401更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

2011年08月25日 中区「市政車座談義」の開催結果

1 日時

平成23年(2011年)8月25日(木)19時30分~21時00分

2 開催場所

広島市まちづくり市民交流プラザ

3 参加団体等

市内中心部6商店街 12名

4 テーマ

広島市中心部の商店街の展望

5 傍聴者

12名

6 主な話題

  • 商店街の路上への休憩用椅子の設置について
  • 各種規制の緩和や例外を認めることについて市が国や警察との橋渡し役になることについて
  • 観光客を増やすための方策について
  • 本通りのスカウト(風俗店へのスカウト活動や客引き行為を行う者)対策について
  • 商店街に対する経済的支援について
  • 旧広島球場跡地の活用策について

7 会議要旨

市長挨拶
こんばんは。この度は市政車座談義にご参加いただきありがとうございます。
車座談義は、拠点ごとで目的意識を持って「こういったことをしたい」という思いを持つ皆さんからアイデアをお聞きし、そのご要望と今の市政とのかい離、どういったところに問題があるのか、なぜできないのかについて腹を割ってお話をしながら、実現可能なものは何かというのを調べ出して、どういう手順で物事を進めていくかお話をしながら、地域の特性に合った行政展開を進めていきたいという趣旨で開催するものです。

これと似たようなことを前市長のときにもやっていたようですが、以前やっていたのは「市はこんなことをやっています。皆さんご理解ください。」という説明をしながら、個別の問題、いわばポイントをちょっとずつ手直ししていくような集まりのように見受けていました。

私がお願いしたいのはそうではなく、トータルでこんなことをやりたい、そしてそれをやるためにどんな仕掛けがいるのか、市の行政とどんな点が齟齬していてどこが可能か、そんなことを皆さんの意見を聞く中で自分なりに整理して、この議論を始めとしてそれを本当に意義あるものにできるか、区役所や本庁のスタッフも参加して物事を仕掛けていくための起点にしたいと考えています。どうか忌憚のないご意見をお聞かせいただければと思います。

Aさん(進行役)
テーマ設定の趣旨について、団体を代表してBさんに説明をお願いします。

Bさん
申し込みに当たって、テーマを「広島市中心部の商店街の展望」とさせていただきました。来街者にとってにぎわいや活気のある魅力的な商店街づくりを目指せば、自ずと商店街の展望も見えてくると思い、このテーマを設定したものです。

後ほど出席者からそれぞれの想いや発表があると思いますが、それぞれが所属している商店街には熱い思いを持った人間がいるので、車座談義の後に、市側の対応とスピーディーな行動を非常に楽しみにしています。

青年部では毎年青年塾というのをしており、昨年は「広島を知る」というテーマで研修を行いました。松井市長は市長になるまでは東京で、一時はイギリスにも駐在されたと聞いていますが、「外から見た広島」について簡単にお聞かせください。

市長
外から見る広島というのは、いい所だと思います。とかく広島にずっといらっしゃる方は、「あそこがよくない」「ここが物足りない」という自虐的な方が多いのですが、よく考えてみればいい所がなければここまでの街になっているわけがありません。ずっと広島で生まれ育って外から見るチャンスがなかった方に比べれば、それが分かります。

町の中でいろんな活動をされていると、自分自身でできることはいろいろとやっていて、やりたいことができないからイライラします。ところが町の外にいると何もできないわけで単にオブザーバーなわけです。全体がどのように動いているかを見ればいい所がいっぱい目につくのではないかと思います。

「広島」は名前そのものが、知名度が高いということを外に出て知りました。広島が日本の都市であることは世界でも大方の方は知っているし、広島は原爆が投下された都市であることも知れ渡っています。「広島はどんな街なのだろう」と外の人が思う、それだけでもとてもいいことだと思います。外からの評価のいいところを伸ばす、悪いところでなくいい所を育てるという発想をしたくなるというのが、広島から外に出て広島を見た人の思いでないかと思います。

Aさん(進行役)
自虐的にならずにいい所を伸ばすということだと思います。ここからは、一人ずつ意見を述べた後、市長の方から全体についてのコメントをしていただきたいと思います。

Bさん
本通や並木、8商店街で中央部を構成していますが、そこを一つのショッピングモールと捉えて、今ショッピングモールがしていることと同じことをする、例えば各商店街の上に持ち株会社のような感じでラインの通った組織を作り、顧客管理やセール案内など全部が意思統一できるような商店街ができれば全体としてさらに賑わいが出てくるのではないかと思っています。

また、商店街の中央部に休憩用のイスなど簡単に設置できるようになればいいと思っています。

今の人の流れ、動線を壊さないように近場に大きな箱物ができないことを願っています。

Cさん
これから広島は中区ということであれば紙屋町、八丁堀が中心となって引っ張って行かないといけないと思います。その中で、カープとサンフレッチェ、平和公園が全国的なアピールになるのではないかと思います。

カープについては、もっと入場料が下がれば試合も頻繁に行けるのでないかと思うし、バスセンターからのバスの便が増えれば新球場にも行きやすくなるのではないか、アストラムラインのJRとの連結をしてもらえれば人の流れもズムーズになるのではと思っています。

サンフレッチェについては、もっと試合を増やしてほしいと思います。2軍の選手がもっと出場する機会を増やせば選手や観客も試合数が増えていいと思います。将来的にはサッカー場ももっと中心部にあれば嬉しいと思います。

平和公園は、夜が非常に怖いということで、人があまりいません。8月6日はたくさん人が集まりますが、他の日は少ない。旧球場がある頃はまだ良かったと思います。

バスセンターとシャレオがもっと元気になってほしいと思います。地下には降りたくないという年配の方がおり、紙屋町のところに陸橋を作ってバスセンターに直接入れるようにしてほしいと思います。

Dさん
県外からの集客については、海の幸山の幸など季節を通じて非常に美味しいものがあるので、これを使って若い世代の方に食育を進めてはどうかと思います。例えば修学旅行生に対して、宿泊ホテルと提携して広島の旬のものをもっと食べてもらえれば、広島で平和について学べ、宮島を観光し、美味しいものを食べたという体験ができ、将来大きくなった時にまた広島のものが食べたいと思うようになってもらえると思います。

県内からの集客については、あるテレビ番組で、石川県の金沢市は一年一回、地元産品を学校給食で出すということで、これは地元の産物に誇りを持ってほしいというきっかけで行っていると聞いたことがあります。

広島の子どもたちに、広島で美味しいものを食べてもらって広島を誇りに思ってもらう、そしてその子が広島を出た時に広島にはこんなに美味しいものがあると伝えてもらえる、そして広島に戻って来ようと思えたり、別の人が広島を訪れるきっかけになるので、広島で食育を推進できればと考えています。

Eさん
海外から観光とショッピングのツアー客の誘致を強く打ち出していただきたいと思います。

本通で私服を着て女性に対する勧誘、いわゆるキャッチをする集団がたくさんいます。その対策ができれば、女性としても安心して本通で買い物ができると思います。

Fさん
松井市長の人生の価値観を教えていただきたいと思います。市長の人生の価値観を共有できればよりよい広島になるかなと思います。

胡町商店街にある胡子神社が今年409年を迎えるが、松井市長にも胡子大祭に参加いただければと思っています。

市役所や区役所など近辺で祭のポスターをより広めていただければと思います。胡子大祭を通して広島を一つにしたいと考えています。えべっさんやとうかさん、住吉さんといった祭を通して市民が一体となり広島を活性化していこう、広島以外から来た人も一体となって一つになろうというコミュニケーションの場にならないかと思っています。

私達は30代、40代だが行動力と実行力はずば抜けてあります。松井市長の人生観や価値観がそれに加われば、素晴らしい広島になると考えています。

Gさん
広島が戦後長い時間をかけて獲得した国際的な平和都市の位置づけは何にも代え難いものだと思いますし、世界遺産が2か所ある観光都市としての位置づけ、それから戦前より続く製造業の集積、工業出荷額が非常に高いということ、瀬戸内海の景観や観光地域としての魅力、天災の少なさ、温暖な気候、安心して住める地域であるということ、昔から島根~愛媛にかける南北交通の要所であったりなど、戦前戦後を問わず広島が持っている優位性や戦後勝ち得たものはたくさんあります。

一方、原爆が一つの転換となって、戦前は国宝だった広島城が焼け落ちてしまったり、城下町のなりわいも一変してしまったり、新しいものと古いものが渾然一体となっている街の魅力というのが原爆の影響で断ち切られているために、なかなか街の魅力を分厚いものにできていないのではないかとかつて広島を長く離れていて感じました。

それから、アカデミックな部分の欠如というか、国立の広島大学を外へ出してしまったことがタカノ橋商店街や千田地域の賑わいを減らしてしまったと思います。全国レベルの総合大学がないということで、そこで学ぶ人達、ハイレベルな学究にいそしむ人達が中心部に居住していないことが大きな問題と感じます。

一番お願いしたいのが、全国レベルの大学や大学院を球場跡地に誘致していただくとか、ハイレベルな研究員を抱える水族館や博物館でもいいのですが、集客力だけでなく、「この分野についてはここがトップレベルの研究をしている」というような学究施設を中心部に持ち込んで頂きたいと思います。そうすると広島市民だけでなく、広島に全世界から人が集まり、その人たちの家族も広島に住むことで生活スタイルが多様化すると思います。

Hさん
商店街というのは、昔から市にお世話になっているというのを親から聴いていました。私達30代~40代の者は、どのような協力を市から得ているのかとか、こういうことは市の方にお願いするということをあまり分かっていないと思います。

商店街の皆で何かを協力してやろうという話し合いを市の方と定期的にできたらいいと思っています。

Iさん
お客さんに喜んでもらおうと年に1回クラシックコンサートをやっていますが、商店街といってもあまり余っている場所がなくてどうしても道路を使わざるを得ないのです。2年前にある飲食店の前でやったところを記事にしていただいたのですが、その写真がちょうど道路にはみ出して演奏していたため、警察に「どういうことだ」と言われました。許可をとらずにやったことはまずいのですが、私達が警察に許可を求めてもまず許可が下りないのです。

私達がイベントをやることについて、市としても是非私達の後ろ盾となっていただいて一緒に交渉、許可をとっていただくということをお願いしたいです。

街に休憩する場所がなくてベンチを置きたいとか、あまりにも殺風景なので鉢を置いて少しでも緑を増やそうと思っても、道路に設置するとなると全部警察の許可がいることで、すべて却下になります。私共は街を良くしようと思ってやっていることなので、市としても何らかのお力をいただければと思います。

川の活用をお願いします。私共も色々と案はあるのですが、お話をしてもいつも「管轄が違うので」で終わってしまいます。管轄が国土交通省であるとか色々あるのでしょうが、市内で流れている川なので、市が主導して何かをするとか、市が各省庁との橋渡しをするなどして是非力になっていただきたいと思います。

Jさん
中心部商店街の展望という観点から考えても、球場跡地にはサッカースタジアムで間違いないと思います。八丁堀はパルコやハンズなどたくさんの施設があり、流川があり、お好み村もあるから問題ないと思いますが、八丁堀だけでは中央部の商店街は元気にはなりません。そこでサッカースタジアムを中心とした賑わい施設、サッカーだけでは試合数も少ないので、ボールパークでも水族館でもいいのですが、その周りに賑わい施設をつくることにより、紙屋町~八丁堀の回遊が今以上に広がると思います。

サッカーというのは世界で一番人気のあるスポーツで、国際Aマッチでも開催すれば全世界から人が集まると思うし、その横に原爆ドームや平和公園があるので平和のアピールにもなるし一石二鳥だと思います。

我々も中小零細なので、実情に沿った助成を市からお願いしたいと思います。

中央部商店街も高齢化が進むので、まちに出掛けやすく移動しやすくなるような仕組みづくりを市としても考えていただきたいと思います。

Kさん
並木通りで、以前、広島市都市活性化局の協力のもと広い道路と歩道がある場所で、テーブルやイスのセットを実験的に設置しました。道路はただ歩くだけでなくて、商店街ということであれば、そこにちょっとの間でも滞留してもらう、街を楽しんでもらうということが今の時代には必要だと思います。

実験当時、広島市にはとても協力いただいていい結果を見ることができ、街の雰囲気も良くなりました。歩道のイスとテーブルも、夜になるとそれを各商店街が責任を持って持ち帰るようにしたところ、いたずらをされることもありませんでした。ただ警察はそれを認めてくれず、最終的にどこかが協力をしてくれても、どこかで壁があるということがよくあります。

我々商店街の者は、商売をしたいというだけでなく自分たちが住む街をよくしたい、いい場所だから皆に来てほしいという思いを持っています。そういった規制を緩和していただければと思っています。

Lさん
最近お客様が物を購入する動機が変わってきたと感じています。今まではステイタスや、物を買って嬉しいとか、綺麗な恰好ができて嬉しいということで購入していただいていましたが、今は、これを買うことで何かためになる、環境のためになる、震災復興支援の手助けができる、この商品の会社の経営の在り方が好きだから買うとか、自分のためでないプラスアルファのために物を購入するといったことが増えてきていると感じています。

私の商店街は中心部の中でも小さい商店街ですが、小さい商店街の今後を考えたときに、次世代の方々に、こういった小さい場所で商売をすることに何か嬉しさや楽しさを感じていただきたいと思っています。小さい場所で働いて良かったと思っていただける店づくりをやっていきたいと思います。

今ある古いビルや設備を大切に使っていきたいということで、わずかな利益を改装に充てたりしているがそれも限界があると感じています。新しい設備ができると見劣りがしてくるので、せめて公共の施設は建物だけでも大切に使っていけば、街全体で見た時に小さい場所も上手く共存できるのではと思っています。

Aさん
広島市がどういうコンセプトでどこに進んでいくのか、それが今一番気になっています。

私達の商店街は超広域型商店街といって、いわゆる地域密着型ではなく、いろんな地域からお客様を呼び込んで初めて商売が成り立っています。広島以外からの集客が大変重要となるが、そのためには広島市が魅力ある都市ではないと、広島市にたくさんの人が来てきていただけないと、商売が成り立っていきません。

広島はいろんな物を外に出してしまって、それが裏目に出てしまっているという状況があるので、それを何とか修復してもらいたいと思います。

「国際平和文化都市」と言われますが、平和都市ではあるけれど「国際」と「文化」がありません。それを何とかうまく実現できるような構想策定をまずやっていただきたいと思います。

跡地問題ですが、広大、市民球場、これから空港の問題もあるし、駅の再開発の問題もあります。そのあたりをいかに有効的に使っていくかということが、これからの広島の将来になってくると思います。

中心部で一番関係してくるのが球場跡地問題ですが、サッカースタジアムは、私は個人的には反対です。やはり試合数が少ないし、試合後の芝の養生のために使えない期間が長いとなれば集まる人が少なくなると思います。市長も今から跡地の活用を考えていかれると思いますが、前はそういった部分が非常に不透明な状態で決まってしまって私達も反対活動をしたのですが、そのあたりをすべてキャンセルしていただいたことは市長に感謝しています。また一から構築していくことになると思いますが、是非透明・公平な決め方をしていただきたいと思います。

そのためには、広島のビジョンはこうだ、広島は今からこうするんだという全体的な観点から見た強烈なビジョンがなければいいものにはならないと思います。そのあたりは市民の意見を取り入れながら、市長のリーダーシップでやっていただきたいと思います。

観光という部分ですが、今までは原爆ドームや平和公園におんぶに抱っこでやってきましたが、今からはそうではありません。宮島との連携など、いかに広島に人を呼び込むかというのはしっかりやらないといけないと思います。

商店街の中心部ではお祭りをやったり、8月6日のとうろう流しをしたり、ライトアップもありますが、予算が非常に少ないため、外国人や他都市からの観光客を呼べるようなお祭りとして成り立っていくための予算立てを是非お願いしたいと思います。

市長
非常にいい意見を聞かせていただきました。

この車座談義というのは、色々と意見があって、それを「市長、考えてください。」という陳情型の話では、うまくいかないと思いました。それぞれの思いを持ちながら、これをきっかけとして色々な話を始めるというキックオフをするためのセットだと考えています。

それぞれ思われている色々な領域をトータルに組み立てて、何が総論で何が各論でという整理をやって、皆さんの総意を作り上げるということが重要だと思います。

特定の使い道について「私はこう思う、それで市長が決めてよ」というのは、力があってそれをやりたいという市長であればやるかもしれませんが、私はその意見の相違を調整していただいて、最終的に「こういうふうにすべきでないか」という結論に至ったことを、大いに推進していきたいと思います。

「意見の調整が難しいから、市民の意見を取り入れて、最終的に市長が決めて」と言われても、自分の意見が漏れていたら市民の意見を取り入れたことにはならないというような状況が生まれるわけです。そういうことをなるべく少なくすることが、正に対話とか皆さんを含めて議論する上の大前提だと思います。

色々な意見があったが、最後の発言にあったような「広島全体をどうしたいか」というビジョンについて市長が決めてくれと言って、私が決めたところで、皆が言うことを聞くかといえば、皆は私がそれを決めた理由を知りたいのではないかと思いますので、そこをまず議論しなければと思います。

広島市は国際や文化の要素をもっと出していくべきだという意見については、皆がそうだと思っていたと思います。それを前提としながら、中心街にある個々の商店街が、市内のお客さんだけでなく市外からも小学生を呼ぶとか、国内や国外からも呼ぶとかいうように、自分たちのお客の射程をどこに置くかということを決め、さらに本通や中の棚、新天地で役割分担をしてどういった人向けの街並を作っていくかというような議論があっていいのではと思います。

議論をする段階で、自分たちの個々の儲け主義でなくて街全体を居心地のいいものにして観光客がふらっと立ち寄れる街づくりをしたいとか、市内の散歩がてらに来る人がじっくり物を選別するような街並にしたいとか、道路を狭くしてでも歩道を広げてたくさんの人が行き来していろんな物を置きたいが、その調整は警察なのか県なのか市なのかとかいうような話になると、極めて具体的になるし、そのためには、市のどのセクションで担当者とどのような話をするのかというような流れにできればいいなというのが、ざっくりとした感想です。

言われた話はどれもやりたいことばかりです。やって困るという話はなくて、やることができれば最高というものです。だから、今言われた意見の中で共通項などを見て、市に対しても、「絶対にこれはやるべき」とか、予算の部分で、「多少この部分を削ってもこれだけはやってほしい」というような話し合いができればすごくいいと思います。これは行政でやる大きな柱の中の「財源拠出」についての話です。

もう一つ、行政の大きな役割は先程話にもあったが「規制」です。規制というのも、「何かわけのわからない人が規制をしている」と思うのは、私は間違っていると思います。国家や自治体が規制するというのは、規制することに大義名分があるからです。なぜ規制するかというと、国レベルで国会を通じて、「こういうことをするため、国民の権利を守るために規制していい」という理屈をつけて法律を作っていく、さらにそれを自治体にやらせるということです。

多くの場合、交通規制というのは、道路というものは交通運搬にあたり人や車両が障害物がなく安全に行き来することができることが原則だという考えのもと、それを妨害するようなことがあっては本来の交通機能が途絶えるから、規制してもいいという権限を警察に与えているのです。

規制には様々な例外があって、一定の規制を解除するための許可があります。その許可も、交通安全を大きく害することはないことと、多くの人の利便性が増してむしろ交通が円滑になる可能性が高いということを証明すれば、多分、規制していいという根拠がなくなります。そういう意見のとりまとめなどを、市としてもっと協力したいと思います。

「そうは言ってもあそこは警察の権限ですし市は権限がないから頑張ってください」というように皆さん方をお手伝いすることを市がさぼるのではなく、まちづくりのための賑わいや生活環境を作るということにもっと踏み込んで皆さんの意見を聞いて、規制を緩和するためにどのようにするとうまくいくのか一緒に調べて、権限を持っているところにちゃんと物申しましょうということを私がご意見を聞いていくなかで、管轄する区や担当者に、もっとやりなさいと言いたいと思います。

それを聞いて、区役所レベルでダメなら市の本庁にあげるとか、市長が県知事にお願いするといった形で物事を進めていけば、進む可能性が増えると思います。その流れは、私自身可能な限りやるという決意なり気持ちはあるので、個別にここだけ何とかしてほしいではなくて、そういうものを織り交ぜてトータルでこのようにしようという大きなうねりを作ってもらいたいと思います。それでも担当者の腰が引けていたら、私がやれと言って正しますから。

Aさん(進行役)
そうは言っても、どこにどういう問題があって、それをどう解決していいのかがまず分かりません。そのために、定期的な話し合いを市の方と一緒にしたいと思います。

市長
おっしゃる通りです。この一回きりでなくて、最初に申し上げた通り、これをキックオフにしてもっと細かく話をしなければならないと思います。

何となくこんな街にしたいというビジョンがあって、今とここが違うとか、これをやると行政的にひっかかる部分があるのではないかということが、何となく分かるわけです。それについてどこが所管なのかということも一緒に調べたいと思います。原則があって、それを逸脱するようであれば例外をきちんと働かせるためにはどのように対応すればいいか、そんな話です。そのための費用は自分たちで用意するか、市の方から合理的な理由で出せないかという検討をやっていけば、自分達の手作りの街ができると思うし、そういうことをやっていくべきだと思います。

これからは間違いなく地方分権とか地域主権とかいう流れになっています。今まではいろんな街づくりをやる上で、中央の方でいろんなビジョンを出せるというぐらい経済成長していたから、新しいものを作るための予算立てを国家が吸い上げて地方へばらまける状況があり、自信を持って中央でいろんなアイデアを出したものです。

その構造が崩れ、金は出せないで文句ばかり言うとなると、地方自治体は言うことを聞きません。だったら、自由に自分達で考えてやってくれと。

そうは言っても皆がいいかげんだし陳情だらけになるのだから慎重にといって中央はなかなか足踏みをして規制の例外を認めようとしません。それを突破するためには今申し上げたように、きちんとしたビジョンを作って「これはできるんです」「できる所までやったんです」ということを見せながらやっていくというのが、遠回りなようだけれど近いやり方だと思います。そういう基礎体力をつけない限り、自分達のまちづくりはできません。

Aさん(進行役)
市長はもともと中央におられてそういった知識もお持ちですが、僕らはそう言った知識がほとんどありません。

市長
こういう形で何回も話す中で伝授します。聞いてください。勉強しようじゃないですかということです。どういうところに問題があるか、総論的には私も何となく分かりますが、各論となると私もそんなに詳しい訳ではありません。職員に詳しく調べるように個別にお願いします。それを皆さんがやれば強くなるのではないでしょうか。そういった方法論をまずはしっかりやれたらいいなと。その上で色々と盛り付けしていけたらいいなぁというふうに思いました。

私の価値観についての質問がありましたが、自分の価値観についてあえて言えば、人間とは生まれて生きていつかは死ぬわけです。生きている時に、自分は生きていてよかった、気持ちいいと実感できるのは、我が自己満足の為にする時ではないということです。つまり、自分がやっていることに人から評価していただけることが多ければ多いほど自分の気持ちは良くなるのではないかということです。人のために自分の存在がどれほど評価してもらえるか、それを一生懸命やっていく心持ちで生きていくことはとてもいいことだと思っています。人の目を気にするということではなくて。自分の存在とか働きぶりを、少なくとも家族や知り合い、多くの方に評価していただけるような動きを自分ができればいいなと思います。人というのは、我が為ではなくて人の為に生きるということができれば最高だと思っています。

広島に世界的なものを持ってきてほしいという意見がありましたが、既にどこかで評価されていていいものを買い集めるという骨董主義ではないのですが、そういうものを広島に作るとするのか、それとも自分達の中で磨き上げたものを世界に誇れるものにするのかというまさに広島全体をどういう街にするのかということを皆で議論するべきだと思います。

小銭を稼いで芸術性の高いものを買うことをするのか、今ある資質を磨いてどこにも負けないものにしていくのか、それは大きな違いです。山、川、海といった自然環境を活用しない手はありません。これほど素晴らしい条件がある場所はないから活かす。活かしたときに、世界にこの存在を知らしめて、次に人を呼び込むことが大切です。呼び込むために、もう一度あるものを活かして皆が「うまく使っているな」と感心してもらえるようにしたいです。人を呼ぶために、会議を開催するという方法や、製造業などものづくりなどの雇用を増やす方法もあるし、長期滞在を考えて学究や研究にシフトしたまちづくりをする方法もあるし。

たくさん方法を言われましたが、全部というのは難しい。悪いことは全然ないのですから、その中で特色あるものにするという話にしなければいけません。世界の都市で全部やっているような所はなくて、どれか一つです。

Gさん
散漫にどれかをつまみ食いではなくて、ここの部分に街としての力を入れるというのがあれば、それがある意味今後の街の将来像につながるのだと思います。それが見えてくると、個々の商店街活動にしろ何にしろ、この街は今後こういう方向性で、こういう住民の構成になって、こういうもののメニューを揃えていくということが分かり、物を売ったりサービスを提供する立場の者からしても、今後の街の将来像にフィットしたやり方ができると思います。

その方向性が見えないと、なかなか個別にイベントをやりますとか規制をとっぱらって音楽会をやりますとか言っても、もしかしたら街の進む方向性と距離があるかもしれません。個々の商店街活動もまちづくりとして力を抜かずにやっていくが、僕たちのまちづくりがどういう方向に進んでいくかということと距離ができないように進めていくことが重要だと思います。

市長
複数の商店街があるときに、それぞれの商店街でお客層を分担するというか、若者、県内の人、国外からの人、トータルで色々な人が来るようにするという時に、本通と並木、中の棚で客層をある程度特化して、こちらは若者向け、こちらは高齢者向けというようなやり方もなくはないと思います。すべてとは言わないけれど、そちらに少しシフトした街並みづくりをするということもできると思います。休憩場所はお年寄り向けに整えるとか、その中で規制の問題が出ないかをチェックしようとか。

古い建物はお金をかけても残すとかいう意見もありましたが、広島でも他都市のように、古い街を残すことについて皆さんと合意しながら進めてもいいですし、古い街並みと新しい街並が背中合わせてできている街という特色もあると言えるし、そういうことを一つ一つ議論しながら進めていくのがいいのではと思います。

Fさん
次にお会いした時はまた笑顔で楽しく、私達も自分達で行けるところまで進めてみて、ここまでできましたという報告をして、市長からもそこまで行ったんですね、よく頑張りましたねというふうにできれば、この車座談義も活きてくると思います。

先ほどサッカースタジアムの話がありましたが、それだけではダメだと思います。サンフレッチェが広島にあることは賛成ですが。市内では観光バスがせわしく動いていますが、跡地でサンフレッチェが活動していたり、観光バスがそこに降りることができたり、複合的に跡地を利用できればと思います。また、若物がもっと参加できるような話し合いもできればと思います。

Jさん
今からアカデミックなものを跡地に作るのもいいとは思いますが、そんな時間はありません。サッカースタジアムがいいと思います。

Aさん(進行役)
そこは先程市長も言われたように、僕らの中でももう一回議論しなきゃいけないと思います。アカデミズムがいいのかサッカーがいいのか分からないのですが、僕らももう一回勉強して、市の方も入っていただいた勉強会をしたいと思います。

市長
私自身もそんなに頻繁には会えませんが、区の担当者と別途会合をセットすることも考えています。そこで詰めながら一通り整理して、もう一度私も入って議論して、さらに次のステップをどうしようかという協議をしながらものを作っていくということができれば私はすごく嬉しいです。

市でできることこそ、これから市を活性化していく上でとても重要です。地方分権を進めていくときの基礎になります。誰かに投げるのでなく、皆が考えるのです。

自分が考えたことをどう実現するかを考えることでその土地の愛着心ができるし、そこに思い入れを作るのです。自分が長くそこに生きれば生きるほど地域がかわいく思えます。

議員、議会には市役所が作ったあり方をチェックするだけでなくてそれをコントロールするための規則や条例を皆さんの意見を聞いてつくること、そういう権利が元々あります。それがあまり発揮されていません。地方分権が言われている時代の中、先進的なことができるきっかけはいっぱいあります。

お祭りの話もありましたが、私は、祭りごとは市の多くの皆さんがやりたいということであればいつでもやりたいという気持ちはあります。ところが、政治と宗教の分離という憲法の体系があります。そういうものをニュートラルにした上で宗教と切り離した形でやってくださいという要請が働いています。

そのため、宗教色を薄めて、これは国民的な宗教感以上に、お祭りという賑わいの話だから市政としてやろうという工夫を広島市はずっとやってきています。ただ、それが一人でも二人でも問題だとして裁判になれば問題だというのが堅実派の職員の意識です。この狭間の中で揺れ動いているが、私はそういうのを超えて、本当に皆の気持ちの中で特定の神様をというわけでなくて、皆さんの気持ちを和ませて賑やかにするという方に着目したお祭りにするための工夫はないかなと思っています。こういった状況があることを一つご理解ください。

Fさん
市長とは楽な仕事ではないと思いますが、私達は一市民として松井市長を選んだので、ぜひ笑顔で楽しんでください。

Aさん(進行役)
私達もこれからもう一度勉強しましょう。そして意見をまとめて、またそれを市長に改めて聞いていただきましょう。

市長
色々と贅沢を申し上げましたけれども、他の場所に行って違うテーマが出ても、まずはその地域で考えてくださいということはお願いし続けるつもりです。

それをうまくまとめていただき、総論各論の整理、これは急ぐことといった整理をしていただいて、もっとぶつけてください。そうすればこちらも用意して、できるかどうかという準備はしておきます。ゼロ回答にはしないので、どうぞよろしくお願いします。

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