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2023年1月26日記者会見「中央図書館の再整備について外4件」
動画は下記からご覧ください。
(「広島市公式チャンネル(YouTube)(市長記者会見)」のページへジャンプします<外部リンク>)
日時 令和5年(2023年)1月26日(木)午後1時17分~午後2時07分
場所 市役所本庁舎11階第1会議室
■市政記者クラブからの代表質問■
【中央図書館の再整備について】
記者
中央図書館の再整備について、市は20日の総務委員会でエールエールA館に移転する基本計画案を示しました。総務委員会での議論を踏まえ、決議を付した議会の理解が得られたとお考えでしょうか。市民への丁寧な説明や理解を得る取組が十分だったかも含め、改めて市長のお考えをお聞かせください。
市長
この図書館問題に関しましては、再整備地の比較検討に当たりまして付帯決議に沿った対応ということで、まず昨年の12月14日に市議会の総務委員会に出席いたしました。また同月の23日の図書館協議会、そして同月の27日の社会教育委員会議を開催いたしまして、議会・利用者・有識者などの関係者に丁寧に説明をして、理解していただくことができたというふうに捉えております。
そこで1月20日の総務委員会では「広島市立中央図書館等再整備基本計画(案)」を提出いたしまして、中央図書館等の整備地をエールエールA館にすることについて理解が進んだということを示しながら報告したという手続きを踏んだところであります。同委員会では一部の委員の方から移転に反対する意見があったものの多くの委員からは「よい施設となるように努めてほしい」といった意見や、「展示スペースをしっかり確保してほしい」、「青少年の活動がしやすいよう交流空間に防音室を造ってほしい」といった提案など、エールエールA館での再整備に賛成する意見等をいただいております。そして同計画についても、議会の理解を得るべく手続きを踏めたと考えているところであります。
このように中央図書館の再整備に当たっては、市民のみならず、議会や有識者への説明、理解を得るための手続きを経ることができたというふうに考えております。
記者
この図書館の移転においては、浅野文庫をどうするかという問題が今、別途検討中ということだと思いますけれども、何か進展はありましたでしょうか。
市長
今、まだ対応中ということだと受け止めてください。
記者
市長としては、非常に広島にとって貴重な資料だと思いますけれども、どうするべきかというのは、頭の中には考えはございますでしょうか。
市長
具体的なものはまだありませんけれども、大切にすべきものだと思っています。
実際、浅野さんの文庫が起点となりまして、広島の図書館というものが最初出来上がったという歴史があります。浅野さんそのものは江戸期のこの地域を治められた領主であり、そして最後の浅野のお殿様がですね、私も歴史を見ると、イタリアの公使になり西洋文化に触れて都市というものが、その文化財といいますかね、その地のそういった施設群を有しているということがあって、今のヨーロッパが出来上がっていると知り、広島の地にということで自分たちが江戸期に持っていたその資料を浅野文庫という形で所有していて、その施設を最初に広島に寄附していただいて、そこから図書館が始まっていると。
今の元々の図書館の位置は、今の中国電力本社の敷地内にありました(※)。そういう意味で、いわば広島の図書館の中でスペシャルな存在だというふうに思っています。そして、国宝級のものも含まれているはずですので。ですから、こちらの方(中央図書館)は、いわば図書館というものをなるべく多くの方々に利用していただいて、経済活動、文化活動それぞれに役立つようなものとしての設置場所というのはしっかり考える必要があるけれども、むしろこちらの方(浅野文庫)は文化財といいますかね。貴重なものとしていかに丁寧に大切に保管するかというそちらの方が重要なことかなというふうなことで、取り扱いを別途でする方がいいんじゃないかということで、切り離して検討するというふうなことを考えてきているところであります。
(※)音声では「元の市役所があった辺りにあった」と発言していますが、正しくは「今の中国電力本社の敷地内にあった」です。
記者
今、移転に際しては浅野家の方たちの御意向も伺うというふうにお聞きしましたけれども。
市長
それも確かに聞くようにしていますよ。
記者
今はまだ交渉中という、話し合い中という。
市長
行く予定にしています。十分お聞きして対応します。
記者
中央図書館の件で、先日ホームページの方に基本計画の案の取れたものが、掲載されていましたけれども、確認なんですけれども、もう整備先を(エールエール)A館に決めてそこで進めるということで市の方針が決定したのかどうか、そこを確認させていただきたいのと、やはりまだ先ほども市長がおっしゃっていましたけれども、反対意見もある中で今後どのようにこの整備計画を進めていこうと思われているのかというところを、ちょっとお伺いできればと思います。
市長
何度も手続きを確認しておりますけれども、今年度の予算として議会で了解をいただいて、元々エールエール(A館)の方に移すということでやっていますから、決定うんぬんというよりも決まっているという話であります。その具体的な対応ができはじめたかどうかというふうに捉えてください。付帯決議はそういった決定として、予算議決はしたんだけれども、それを作動させるために手続きを踏んで、皆さんの理解を得るようにという付帯決議があったというふうに捉えておりまして。これはもう議会のその意見を付した、議会の皆さんの意見でも、見解でもあると思っています。中には少数意見で、そうでないと今言われたようにですね、反対だから通らないというのはあるのか分かりませんけれども、議会制民主主義ですからね。特定の方が言っているということでその議会としての決議が変わるというものじゃないと捉えてやっているということを分かっていただくと、今のような質問は、私としては成り立たないと思うんですけどね。
記者
もう一点。反対の方がいる中で市長として今後どういうふうに…。
市長
議会として決めていただいてやるのが行政であります。個人の方の御意見を、了解を得てやるという手続きを踏んではおりませんよと。
記者
中央図書館の立地についてなんですけれども、令和2年に広島市でまとめられた「中央公園の今後の活用に係る基本方針」の中では、これ中央公園についてですけれども、「戦災復興のシンボルとして整備され、都心における緑豊かな空間として本市の個性と魅力ある都市空間の形成に大きな役割を果たしてきた」というふうに書かれていると思います。
また松井市長は常々、平和文化の振興ということを言ってらっしゃると思うんですけれども、その図書館を平和文化の振興という観点で活用していくに当たって、中央公園よりも(広島)駅前にあった方が平和文化の振興に資するというふうにお考えになる理由がありましたら、お聞かせいただけたらと思います。
市長
今言ったような比較はしておりません。元々、中央公園全体をどうするかという議論が起こったときには私が市長になってすぐだったのですけれども、今、サッカースタジアムを造るエリアに何もなくて、広大な空間が空いていたんです。だから、中央公園全体を駆使して、(原爆)ドームの後ろのところに建物がない、象徴するような空間、緑地をつくって河岸をきれいにするということで議論しましょうということを始めて、ようやく絵図面を描き始めたところで、球場跡地にサッカースタジアムを造ってくれというご意見がいっぱい来ていてこれからどうするかということになりまして、その場所を先に決めようということで大議論して、その検討作業を中止していたんですね。そして、一番たくさん空いていたところにサッカースタジアムを造って、そしてその隣地もにぎやかにするという県の支援も得てと。ですから、中央公園内で大きく建物を移動するというスペースがまずふさがれたんですよね。そして、しかしながら緑地帯、ドームの後の後背地はということで、少なくとも縦の系統で建物規制はするということをその都市計画で了解いただき、そして、商工会議所(※)も移転して、あの辺りはむしろ緑地にしていくという方向で、移転スペースがなくなると。そういった中で、図書館などについてもという議論でありました。
そうしたときにもう一つは、広島を2つの核に見立てて、八丁堀・紙屋町、それから駅前両方をやりながら回廊にするというかね。ずっと広島を回っていって、北側はすでに文化の道ということで、駅から縮景園辺りを出てお城に行くところについて道を整備して。それから、南側は平和大通りを通って平和の道ということで整備しているんですね。これも私の市政以前、そういったものを活用する。そして間については、旧西国街道、本通りがありますからね。それを使ってやるというふうな中で、全体を使ってどういうふうにまちづくりをするかということを考えると。
そして、そこにいよいよ都市再生緊急整備地域ということで国から指定いただいて、両地域を活性化するというある意味でお墨付きを得て、さらに両方かぶさっているところに特別の指定をいただくということができましたので、それらを相互勘案しながら、この圏域の中に文化財とか歴史とか伝統を誇る施設群をうまく配置していくということを考えてもらいたいと思いながらやっていると。それに尽きます。トータルでどういうふうにするかということを考えているということです。
(※)音声では「市役所」と発言していますが、正しくは「商工会議所」です。
【路線バスの共同運営システムについて・高陽スマートIC新設について】
記者
路線バスの共同運営システムと高陽スマートICについてお伺いいたします。18日、国土交通省に斉藤鉄夫国交相を訪ね、市がバス事業者8社と2024年度の開始を目指す路線バスの共同運営システム実現に向け、国の財政支援を求められました。併せて、山陽自動車道広島インターチェンジ(IC)―広島東IC間への新設を検討する「高陽スマートIC(仮称)」について、新たに国の準備段階調査の対象とする事も要請されました。今回の要望の御所感をお願いします。
市長
本市におけます路線バス、この共同運営システムにかかわる取組ですかね。この一連の取組に関しましては、私自身は基礎自治体のまちづくりに不可欠な取組だと考えています。すなわち、地域の公共交通ネットワークがきちんと機能することが、まちの活力維持とかワーク・ライフ・バランスにも役立つと、そんな思いでありますので、この地域公共交通ネットワークの再構築をモデルケースといいますか、きちんとやるということをしたいと思っています。そのために、じゃあ何がいるかということですけども、市単独では十分な対応ができません。法令上の制約もありますし、財政面での制約も多々あります。したがって、必要となるための新たな支援制度の創設、そして既存の制度であってもそれを拡充などしていただくということをきちんと国の方にお願いして、それができる体制をつくってもらうということを今、主眼に置いています。そして、早ければ令和6年度からでも、こういった一連の対応が始められるようにといった構えで国と具体的な協議をぜひしたいということで、要請をしたわけであります。具体的な仕掛けというか内容をちゃんと説明して、こういうふうにしたいのだと、これができるように何とかしてもらえないかと。こんな話をしているということで御理解ください。
そして、もう一つ、スマートインター。これは高陽の方にお願いするということですけれども、これもスマートインターを造ってもらって、非常に有効性のあり、効能を実感しているということもありまして、ぜひこの地にということで早期具体化をということでいっておりますけれども、これは実際、我々が手掛けるのではなくてお願いするベースですので、それぞれ国全体でいろいろなスマートインター、どの地域でどういうようにするというようなことも、いろいろ計画されていましょうから、それはある意味で前倒しでお願いしたいといったような中身になっておりますけれども、そういう意味ではできたら令和5年度の国の準備段階調査箇所、そういったところに指定してもらって、次なるステップを確実にしてくださいと、そういうお願いをいたしました。こういう2つのお願いでありました。
それに対して、斉藤大臣からは、路線バスの共同運営システムについては非常に高く評価いただきまして、全国でこんなことをやっているところはないと、広島だけですと。まあそうだと思います。そういう中で、「国としてもしっかりと地域を後押ししたい」と、こういう力強いお言葉をいただいたというところであります。高陽のスマートICについては、「国としても引き続き山陽自動車道の管理者であるNEXCO西日本と連携して、しっかり支援をしていきたい。そのための協力体制は整っている」というコメントをいただきました。
こういった状況でありますので、いずれの要請についても実現に向けて期待の持てる発言をいただいたと。そういう意味で、しっかりやっていこうというふうに思っています。以上です。
記者
高陽スマートICについてなんですけれども、改めてこの箇所につける有効性と、前向きな返答をいただいたということなのですけれども、今後、国への働きかけみたいなものは何か予定があればお願いします。
市長
最大の理由は先ほど申し上げたところで、もう少し具体的にいうと、すでに沼田インターにスマートインターを造っていただいて、その地域の方々が非常に利便性を実感できていてありがたいと、こういう話があるといった中で、今の状況ですと高陽辺りにお住まいの方々の高速へのアクセス、それからそれを使っての市内の主要箇所への移動などについて、まだまだ不便なところがあると。そこにつけていただくと、沼田同様、あるいはそれ以上に効果があるというふうに御説明いたしました。かつ、そこの今お願いしているスマートインターのそばには消防関係の施設がありまして、平成26年、30年と災害を経験して、そういった中で全国からのいろいろな支援の方々が来るときに、高速から来て非常にアクセスのしやすい、あるいはそういったところに集合拠点を設けておくとすれば、極めて機動的な活動ができる。そういったところにつながりますので、いざというときの対応にも役立つし、平常時からの市民経済活動にも有用だというふうな話をして、ぜひともとこういう話をしました。それで、順番にまいりましょうかと、そんな中でぜひ早めにということを申し上げて、先ほど申し上げたように、ある程度理解していただいて、そのための手続きを取っていきましょうというふうになったと認識しています。
【市立保育園の5歳児死亡について】
記者
市立保育園の5歳児死亡についてお伺いします。市立保育園の男児死亡事故で、昨年12月に有識者がまとめた報告書を受け、市は再発防止のための対応をまとめました。課題や問題点を指摘した報告書への受け止めや、今後このような事案を起こさないためにどう取り組むか、市長の思いを聞かせてください。
市長
これに関しましては園児死亡事案ということで、これに関わる検証委員会から報告書を確かに受け取りました。この報告書の中では、今回の事案というのが施設・設備の安全管理等に関わる体制が適切に機能していなかったということ、また、園の運営などにおいても人員体制とか危機管理体制などに課題があったということ等々、様々な要素が重なって起きたということが明らかにされたというものでありました。事は重大でありました。
したがいまして、本市としてはそれを受けて、この内容を十分に踏まえた上で再発防止に向けてのハード・ソフト両面にわたる、多岐にわたる取組が必要になるというふうな考えを持ちまして、それらを整理したのが先日公表いたしました取組方針だというふうに見ていただければと思います。この取組方針において、保育園等における安心・安全な保育環境の整備ということに向けて、当然諸措置ありますけれども、まず職員一人一人の危機管理意識の一層の向上を図るということ、そして組織全体で多岐にわたっている課題の解決を図るということにしまして、取組について数年計画というか、年次計画といいますか、を立てて、こういったことにしていこうということを明らかにしたところであります。したがいまして、今後はこの取組方針に沿って一致団結して安全・安心な保育環境整備のために着実に取組を進めていきたいというふうに思っております。
記者
この有識者の報告者は事故発生時、3歳以上の子24人に対して保育士2人ではなく、3人を配置する必要があったと指摘して、保育士1人が担当する3歳児の人数基準を20人から15人へ減らす市独自策を提案しています。市はこれについて、24年度まで3年間かけて検討し、結果を踏まえて対応するとしています。実施には踏み込んでいません。スピード感や実施の可否について、市長の考えを聞かせてください。
市長
確かに方向性が出て、直ちにそれが実行できるということは極めて重要なことでありますけれども、それをやるための、今、特に人に関しましては、そういったことをやる資格を持っている方の確保と、そして、その方々を巡る処遇等々、全体調整ということも必要になってまいります。したがって、それを確実・正確に行うために計画を立ててやるということをしているつもりであります。しっかりしたものをやるために多少時間はかかるという面はあろうかと思いますが、気持ちとしては可及的速やかに措置したいという思いでやっているというところであります。
【次期市長選挙について】
記者
次期市長選挙についてお伺いします。4月9日投開票の市長選の告示まで、あと2か月となりました。どのような公約を掲げて選挙に臨みますか。新型コロナウイルス禍で初の市長選の戦い方についてもお聞かせください。
市長
最初に公約の方ですけれども、これは公約というかどういうふうに考えるかというのは実は前年の12月議会でも答弁していますので、そこで概ね言っていますけれども、ポイントを申し上げると、まず「この生まれ育った広島を世界に誇れるまちにする」と、これは終始変わりません。そのために「持続的に発展する国際平和文化都市」、これも市をつくりあげていくときの市のミッションというふうに思っています。それを目指すということ。そして、そのためのまちづくりに果敢に挑戦するという決意でありますというとこで、これ基本であります。そして、あと市政を取り組む上でのいろいろな取組の観点、それをもう少し整理いたしますと、例えば、ものの見方ということでいきますと、広域を俯瞰的に見通した上で取り組むということで、これは鳥の目というふうにいっておりますけれども、例えば200万人広島都市圏構想の実現、これは鳥の目ということになろうかと思います。つまり市という行政単位の責任者でありますけれども、それを取り囲む経済圏域を捉えて対応策を考えていくということ、これが一つですね。それから、もう一つは足元を見つめるということ、つまり地域そのものをしっかり見るということで、これは虫の目というふうにいおうと思いますけれども、その意味では地域のコミュニティの活性化、コミュニティ、さらにそれを構成する方々が元気になるということを最終的に睨みながら、広域的な取組をする。あるいは、そこの最終のコミュニティのところが血の通うものにするために、そこの仕組みをもっと今までよりか機能するものにするという取組も確実にやっていく、これが二つ目。そしてもう一つが、このまちが国際平和文化都市としての象徴であるまちであり続けるということ。そういう意味では50年、100年先を見据えていいと思いますけれども、その際の平和文化というもの、国際平和文化都市という「国際都市」の間に挟んでいる「平和文化」という、このものは世界に発信できるそういうまちにする。そのまちの中では市民のお一人お一人が日常生活の中で平和文化を実感できるし、これが世界中の方にも共有できるようにということを願っているということ、そういう意味でこの平和文化を市のみならず、いろいろなところで振興するということをやれるような取組ということをやっていくと、こんなところであります。これが公約の基本的なベースになろうかと思います。そして、あとは戦い方というか、選挙戦の戦い方ですけれども、これは自分も今度4回目ということで3回は経験していますから、この経験をベースにしながら、一つ市内の感染状況がどうなるかということ、それから感染対策、国のいろいろな対策がどうなるかということも動いていますので、それを踏まえながらやろうということで、現在関係者と検討中ということであります。
■その他の質問■
【上安産業廃棄物最終処分場について】
記者
上安の不適切盛り土の上に重なる形で広島市が産廃処分場の拡張を認めていたという件です。事実確認、どのようなことがあったのか簡単な経緯と、それについての市長の受け止めを伺えればと思います。
市長
私自身担当者からの報告を受けての経緯、その範囲で申し上げますと、上安の産業廃棄物最終処分場、これは元々は平成5年に現在の処分場の北西にあって、全体面積の約4分の1を占めております、その土地、そこに本市の許可を受けて最初設置されたというものであったそうであります。その後、数次にわたって、この処分場拡張が行われてきているというものであります。そうした中で、行政の手続きとすれば、都合6回、変更許可をしていると。で、今の広さになっているというものであります。そして、昨日(※)、報道にあったような、盛り土付近、そこの拡張に関わる変更許可、これは平成28年に行っています。これが事実経過ということであります。
そして、これを巡っての自分の今持っている情報を開示いたしますと、産業廃棄物最終処分場を許可するという、この許可権限は、いわば法律に基づくものでありまして、廃棄物処理法に関わる許可という、こういう行政処分なんですけれども、この処分を行うに当たりましては、この法令に基づいて、法令上、専門家に現地確認をしてもらって、その意見を踏まえて当該施設に関わる地盤の安定計算を行うなどして、適合性を審査するということになっているという基本手続きがあります。そして、ここの地盤計算に関しましては、埋め立てる廃棄物を支える擁壁、物を積み上げていきますから、それを支えるための施設などを中心にそういうものをつくりますよという計画があれば、その計画にある部分に関わる地盤について、この安定計算をしなければならないと、こういう規定があると。それをチェックした上で、許可する、しないと、こうなっているというのが法体系であるそうであります。
そして、それを前提に最終の部分だけ申し上げますと、本市が行いました平成28年の変更認可、これに際しましては、拡張範囲の中に調整池というのが予定されておりまして、計画があったということであったそうでありますが、この調整池なるものは埋め立てる廃棄物を支える擁壁等には当たらないと。支えているわけではないですね、水を貯めるところですから、当たらないために、当該調整池のある部分についての地盤計算は行う必要がなく、実際に行っておりません。それが事実であります。さりながら許可をしたということ、どういうことかというと法令に基づいて必要となる処分場全体、全域についての構造基準への適合性と、生活環境保全上必要な配慮についての確認、そしてその妥当性について専門家による確認ということは行って許可していると、こういうことであります。ですから、池のある、そこのところについて具体的な、先ほど申し上げた地盤の安定計算というのは行っていないということ。これ自身は法令上の基準に基づいてやっているし、適合なものであると、こういう認識であるということであります。
そういう意味で、以上のように、廃棄物処理法に基づく処分についての運用、これは今言ったようなことをやるに当たって、国の通知などを踏まえて適正に行ってきている認識。ですから、議会等でもそういった答弁はしてきていると、こういうことであります。
なお、もう一つの問題です。今言われたのは、今回の報道では平成28年の処分場の拡張に関わる最終処分場に、実は盛り土が重なっている部分があると。そうすると、そこの部分がしっかりしてないところに許可をしたと。この行為そのものが、この問題を解決する上で、廃棄物処理法に基づく解決策があるのではないかと。こういう問題提起ではないかと受け止めたわけであります。その受け止めで、もしよろしければ、そういうことについてのコメントに入りますが、盛り土付近にあります当該池、先ほど言ったように、廃棄物処理法の計算はしていませんけれども、また別途、調査というか、許可対象になっておりまして、当該池そのものは普通河川等の保全条例に基づいて、ボーリング調査などの内容を踏まえて、県により許可されているものでもあるんです。これまた別の観点からの許可が下りていると、こういうしろものであります。
そして、今申し上げたボーリング調査、ですから、先ほど言った廃棄物処理法上の地盤の安定計算とは違うんですけれども、ボーリング調査を行っているということでありますから、このボーリング調査は事業主自らが行って、その内容を県に報告して、いいでしょうということで許可を受けたものですけれども、その調査内容から、調整池付近に盛り土があるということが分かるものではあったものの、その盛り土の部分がいつ造成されたものなのかとか、あるいは盛り土の規制っていうのは森林法の規制なんですけれども、森林法の規制の対象になっていたかどうかというのは民間の方がやっているということもあって、不明なままであると、こういう状況があったということであります。そこで最初言われたように、盛り土として、しっかりしたものかどうか不明な中で、ごみの処分場ができたと、こういう御質問になっているかなと受け止めたわけであります。これが事実関係であります。
したがいまして、本市としての今までの基本的考え方を申し上げますと、本件に関しては、廃棄物処理法に関わる問題という形で処理するのではなくて、むしろ森林法に関わる問題として対処すべきものではないかと考えてきているところなんです。つまり森林法というのは、森があって、それを傷めないようにするために、いろいろ造作を変えるときに一定の要件があれば、チェックして変えるかどうかを決めると。それで森林法上の体系としてできていれば、あとは、その上に廃棄物処理場を設けるときには廃棄物処理として構造がしっかりしているかどうかを見るという体系なんです。ですから、ここのところがしっかりしていないかどうかということを廃棄物処理の体系でチェックするという法体系にはなっていないんです。ですから、問題解決をやるためには、もとの森林法の体系のもとでの処理がどうなのかという問題だという認識でいるというのが現段階です。
再度申し上げますけれども、森林法上の処理がきちんとできているということを前提に廃棄物処理法上の手続きを講じておりますから、そこでの審査がなかったかとか、あったかという問題ではないというふうに捉えているということまで、事実確認はそういうことであります。
(※)音声では「おととい」と発言していますが、正しくは「昨日」です。
記者
非常に詳細に誠実に答えていただいたと思います。少し私、振り返りながら追加の質問をしたいんです。おっしゃったみたいに、盛り土として、しっかり把握しないまま産廃の拡張を認めたということです。地元の方からは、それで本当にいいのかっていう疑問があります。それについて市長としてお感じになること。つまり、おっしゃったみたいに、産廃法上の安全審査はしました。けれども、その下に盛り土がバッと広がっていて、その盛り土の全体像が分からないまま、その安全審査が終わっている。審査にこういう視点があるべきだったんじゃないかとか、トップとしてどんなことを思われるかということ。それと、今後この森林法的な位置づけで、また今から考えていかなきゃいけないとおっしゃいました。それはつまり、今後の盛り土のボーリング調査だとか、どういうことが必要になると思われるでしょうか。
市長
実に本来はこのようなことを議会の場できちんと整理して議論できていればいいんですけれども、そういう議会で悩むようなちょっと難しかったんですけれども、今申し上げたように、森林法に関わる問題として対処すべき問題だと思っております。そうすると、盛り土の安全性確保というのが最重要事項です。
ところが、現行の森林法体系を見ますと、いわゆる許認可の対象について、範囲が一定以上でなければ申請しなくていいとか、事前に、勾配が緩ければ民間に任す、つまり私有地ですから、所有権の範囲で許すという法体系のもとなんですよ。ですから、そのすれすれのところがあったときに、怪しくてもその法体系を見ると所有者の方が、これは申請しなくても問題が起こらないということでやった形跡もあるんです。それに当たるかどうかは、まだちょっとよく分かってないところもあるんですね。それで、やられたところに持って来て、所有権が移転していてどなたが所有しているか分かんない状況の中で、今言った開発をやって、そして、それを転々移譲されていて引き受けた方の所有関係が不分明な中で、ですけれども現状見ると問題ないということで、処分上の法体系で当てはめてみると今言った隙間があったと、つまり境界線のところで本来ならば、もう少し広めに許認可の対象にしとけば、事前に森林法上のいわゆる盛り土の安全性確保できていたかも分からない。そういう事案かも分からないという問題意識なんです。
そこで、ずっと市として捉えているのは、この問題が実は大きくなって議会でも取り上げた中で、昨年の1月に住民の方から県に対して、盛り土の安全性調査してほしいと要望がなされたということがありましたので、それに合わせて市の方もいろいろ考えて、実はこの間に権限の移譲がありまして、本来、県がこの法律に基づく許認可があったのが市に移されるというのが間にありましたので、この最初のあの辺りの盛り土の整理は県の当時の林地開発の権限を持っていた頃の問題なので、併せて県の方にちゃんと調べてくれんかという申し出はしております。そしてその中で、一方で、我が方はすでに市の方に権限が来ていますから、ここの問題について森林法の問題としてどうしようかなと思っているんですけれども、いわゆる業者という形で森林法の指導権限がないんですね。いわゆる、その土地の所有者とか、それに造作を加えるという立場であっても、それは業者だからという位置づけにはなっておりません。実際、森を持っている方に関してですから、そうするとその方々に対してどういう指導ができるかという問題意識と、もう一つは、ここの地域について所有権の移転があって、どこまでが今持っている方の所有権かよく分かんないと、こう言われている、そういうとこなんです。ですから、その方の特定というか場所を今問題になっている場所の特定も十分できない中で問題が進んでいまして。
そして、議会などでの御質問を受けるから少なくとも産廃業者としてやっている方について、所有者を確認して対応できるような調査をやってくれないかと申し上げたところ、業者の方は所有権自身がどこまでやっているかは、いいかげんっていうことはないんですけれども、区画がしっかりしてない中で受けているんで、自分が所有しているかどうかも調べなきゃいかんと、そういう事態がまだ続いていると、こういうことなんです。ここで今、皆さんがイライラ感が募っていると、こういう中なんですね。そこで、いよいよ、もう最後の手段なんですけれども、その所有権確定まで待っていたら、これ多分、なかなかいかんのです。隣地問題ですから。
そこで、令和(※)3年に土砂崩れの問題起こりまして熱海の方で、それで急きょ国がその調査するとかやったんですよ。これに関しては今申し上げたような問題乗り越えて行政としてやることができる。具体的な法体系はなかったんですけれども、やればきちっと予算手当もしてもらえる可能性が出てきておりますので、今後は国の緊急盛り土調査制度なるものを作っていますので、この利用っていうのはないかっていうふうなことを今考えていまして、その安全性把握調査をまず行うというために、この制度利用も視野に置いて、県と協議・検討していきたいなと思います。そして、そこで事態が判明すれば、次に必ず措置が出てくるんですけれども、これについてはまた本来であれば、そこが私有地であれば、その所有者の方が自ら費用負担してやるべきということなんですけれども、それまた所有関係が分からないと、どなたが費用負担するかどうかが、また遠のきます。そうするとまた安全状況確保できない事態をつくっています。そうするともう一回、所有者不明の中で行政として何らかの措置をして、その部分について、また国から補填をもらうと、そういう算段を考えると、こういう手順を今考えているという。いずれにしてももう少し時間いただきたいと思いますが、問題点はそういった意味で森林法の体系の中で所有者が不明確だけれども、まずは地盤を先ほど申し上げたように安全なものにするという視点で対応したいと思っているということは言えると。ですから、もうしばらく時間がかかるということを御容赦いただきたいと思っています。
(※)音声では「平成」と発言していますが、正しくは「令和」です。
記者
追加なんですけど。この件、盛り土として産廃拡張エリアの安全性、安全審査の問題とそして、今からどうやって対応していくかという問題。これが主なもので、それは市長に先ほどすごく丁寧に答弁いただいたと思っています。もう一つ、私、問題があるとしたら県と市の情報共有のあり方なんです。県がこの盛り土について把握したのは平成10年頃、1998年頃です。で、このときに大体のエリアだとか、中にどんなものが埋まっているかも分からないとか、排水管どんなのか分からないってことを把握していたのに、つまり得体の知れないものだというのを把握していたのに、広島市になかなかそれが伝わっていなかった。事実かどうかは分かりませんけれども、盛り土のエリアについて把握されたのは先週ぐらいだと思います。これもっと県と市の情報共有ができていたなら、もっと違った今回の結果になったのかもしれません。こうしたこの県・市の情報共有のあり方について、そして課題について何か思われることがあれば。
市長
今言われたような情報の漏れがないということは、権限委譲のときに常に問題にされる大きな課題だと実は思っております。自分が役人時代に経験した年金の管理を自治体から国へ移したときに、これ以上のことが起こって大変なことが起こりました。それにある意味で匹敵するか、似たようなところがあるんですけど、ただ問題は先ほど申し上げたように森林法で許認可の対象となるゾーンというのが、一定の範囲以上とか条件設定があって、その条件を満たさないところについては許認可の対象になってないんですよね。一般的な管理権はあるんだけど。すると、そこについて正確な情報をその国民・県民から行政体が受け付けていないと。担当者として個人的にしたとしても公式文書で保存されていない。ただ許認可になると決裁文書があって全部残りますよね。そしてそうしない中できているという可能性はあるわけです。そこの境界線の問題については、元々のところが情報整理されていないんだから、移すといってもものがないわけですよ。そこの問題でもないかと思っているわけです。決してそのシステム的な弊害ではなくて、元々の管理体制。全てを100パーセントチェックするという法体系でない中で一定の基準のところだけ正確に把握して、あとは住民自治に任せるという、その存在をある管理者からある管理者に移したときに、この隙間の問題が起こっていると。こういう問題ではないかなというふうに見立てると、今回の場合すごくピッタリなんです。ですから所有権が分からないというところもそうであります。つまり、同じ人がやるときには積み上げてこれだけの広さの森林を開発する。だけど区分していてA社とB社が別々にやってきたと。そこに仮に隙間があったりすると全体として広さはあったとしても小さくやっているから、行政の許認可を受けないでやっていたかも分からない。それをあとで所有権で一体にして、事実上なっているかも分からないというふうなことがもう透けて見えるんですね。そんな問題だと思っていますので、これ自身のシステムの問題というか、元々の管理システムというんですかね、そちらのことにも注目するということをしながら、ですけどもしそういうのが分かれば、すべからく委譲があるというときにはそれをきちんと次のところへ移すし、お互いが知り得た情報をなるべく共有した上で、決してその個人の秘密うんぬんではなくて適正な管理をするための、しっかりした情報共有ということが重要になっているんじゃないかなというふうに思っています。
※( )は注釈を加えたものです