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ページ番号:0000288208更新日:2022年7月8日更新印刷ページ表示

2022年6月29日臨時記者会見「核兵器禁止条約第1回締約国会議への出席等について(帰国報告)」

動画は下記からご覧ください。

(「広島市公式チャンネル(YouTube)(市長記者会見)」のページへジャンプします<外部リンク>

日時 令和4年(2022年)6月29日(水)午後4時00分~午後4時30分

場所 市役所本庁舎11階第1会議室

 

■市からの発表案件■

【核兵器禁止条約第1回締約国会議への出席等について(帰国報告)】

 

市長

 この度、6月18日から26日までの9日間の日程で出張いたしまして、オーストリアのウィーン市で開催された「核兵器の人道的影響に関する国際会議」および「核兵器禁止条約第1回締約国会議」など一連の会合に出席いたしました。そのポイントについて話したいと思いますので、詳しくはお手元の資料を後ほど御覧いただければというふうに思っています。

 今回の核兵器禁止条約第1締約国会議には、国連の方で想定した倍以上の参加があったようでありまして、さらに会議の直前にNATO(北大西洋条約機構)加盟国を始めとした国々がオブザーバー参加するということが発表されるなどいたしまして、ウクライナ情勢が緊迫化し、核兵器使用のリスクが懸念されている状況の下での開催ということで、国際社会から高い関心が寄せられたというふうに捉えています。

 会議では、核兵器の非人道性を再確認するとともに、核兵器に依存した安全保障を批判して、条約への参加促進、あるいは核被害者援助など、条約の内容を実現する方策を盛り込んだ最終文書であります「ウィーン宣言」と、具体的な手順やあるいは行動といったものを定めた「ウィーン行動計画」が採択されました。とりわけ、核兵器禁止条約がNPT(核兵器不拡散条約)、CTBT(包括的核実験禁止条約)などの既存の条約に基づく制度、あるいは仕組みの上に立って、これらに貢献するとともに補完するものであるということが強調されました。

 会議初日の一般討論の場では、田上長崎市長と共にスピーチを行いまして、ロシアによるウクライナ侵攻により生じた事態を解消するための方法が人類の築き上げてきた努力を無にするものではあってはならないと指摘した上で、国連を始め、各国や市民社会が一丸となって、核兵器禁止条約を実効性のあるものにするため、同条約を批准する国、とりわけ、非核保有国を増やすことによって、核保有国に核兵器の非人道性と核兵器管理の不確実性に対する認識を深めさせることが急務であるというふうに訴えました。

 さらに、平和首長会議および広島・長崎両市の取組を紹介し、来年広島で開催されるG7サミットへの期待を表明するとともに、核被害者援助の充実も含めて同条約の目標達成を呼びかけたところであります。

 また、CTBTO(包括的核実験禁止条約機関準備委員会)のフロイド事務局長との面会におきましては、CTBT(包括的核実験禁止条約)も核兵器禁止条約のように、核保有国は署名・批准を行っていないけれども、批准国は172にもなっておりまして、署名開始以前と比べると核実験そのものが減少して、全ての国において平和と安全保障をもたらす効果が出ているとの見解を伺いまして、核兵器禁止条約を実効性あるものにするという対応を考えていく上で、大きな示唆を得ることができたというふうに受け止めています。

 さらに、核の傘の下にありながらオブザーバー参加をした2か国の政府代表と面会いたしまして、オブザーバー参加をした決断といいますか、考え方について尋ねたところ、まず、オーストラリアの方からは、核兵器に対する懸念を締約国と共有しているのだけれども、会議での発言は行わなかったことと、今後の方針の検討に向けた情報収集のために参加したのだといった説明でありました。一方、ノルウェーも参加したのですけれど、これは、NPT(核兵器不拡散条約)第6条の遂行によって核兵器のない世界の実現を目指しているという立場であることと、したがって、核兵器禁止条約とNPT(核兵器不拡散条約)の補完性を確認すること、さらにはNATO(北大西洋条約機構)に参画するノルウェーの立場というものをしっかりと説明して、締約国と対話するために参加したのだと、こういった説明がありました。オブザーバー参加する方法は様々あるんだなという実例を見ましたので、日本政府に対しましては、こういったことを参考にしながら、引き続きオブザーバー参加を働きかけていきたいというふうに考えているところであります。

 条約推進国のタイ、あるいは、第2回の締約国会議の議長国として、実際最終的には決定いたしましたメキシコ、ICRC(赤十字国際委員会)の代表とも面会をしまして、そこでは、核兵器禁止条約の批准国拡大に向けた市民社会の世論醸成が重要であるというふうに説明しまして、そのために、「平和首長会議の取組に協力していただけないですか」といったような話をして、協力依頼をいたしました。加えて、国連の中満(軍縮担当)上級代表には、批准国の拡大によって、人類の安全保障というものと、国の安全保障というものを同時に進め、影響力を高めることの重要性があるんじゃないでしょうかといったようなことを訴えるとともに、同条約の早期締結を求める約29万筆の署名。これは、県内の学生が集めたものを(含めて)代理という形で、目録を手渡すということも行いました。

 ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)との共同サイドイベントを開催いたしましたけれども、ここでは100人を超える聴衆がありまして、それに対して、被爆者からのメッセージ、そして若者の核兵器廃絶へ向けた思いなど発信してもらうことによりまして、人類が核兵器による被害を受けることのないようにするためには、核兵器廃絶以外に根本的な解決策は見いだせないという市民社会の声を届けることができたと思います。その後、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の代表と面会いたしまして、核兵器禁止条約の普及、あるいは実効性確保に向けて、今後も協力していこうといったことを確認できました。

 平和首長会議の役員都市の意見交換会、そしてヨーロッパ支部の会議、これにも参加いたしまして、同支部長都市でありますスペインのグラノラーズ市をはじめとする11の都市が出席する中で、事務局の方からNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議への代表団や、広島で開催を予定しております平和首長会議総会が10月にありますけれど、これらへの参加を呼びかけたほか、ハノーバー市からは、ドイツでの加盟都市拡大の取組など発表してもらったのちに、今後の取組方向等について活発な意見交換をするといったことも行いました。

 私自身は、今回の出張を通じまして、核兵器は、その使用によってもたらされる非人道性に加えて、こういった核兵器を管理するといいますか、それを取り扱う際の不確実性、完全にコントロールできないということを踏まえると、それから甚大な被害を受けることはあっても、決して恩恵を受けることはない。人類に対して、良いことは全然ないと。そんな意味で「絶対悪」であって、今後、核兵器による被害を受けることがないようにするための唯一の手段というものは、廃絶しかないということを改めて感じたところであります。

 核保有国が確実に核軍縮に取り組む環境をつくり出すことによって、まずは人類と、そして国の両方のための安全保障を推進するといった中で、核兵器廃絶に向けた着実な取組を促すといった流れをつくっていく必要があるんじゃないかなというふうに思ったところであります。

 そして、そのための対応としては、まずは、非核保有国から核兵器禁止条約の批准国を増やすということができるんじゃないかと思います。それによって、核保有国が核兵器を用いて他国に影響を及ぼすといった可能性があるんですけれども、その可能性がある現状というものを変えていく環境づくりがまず進みます。また、同時にそうすることによって、核を持っている国は、核兵器を保有するが故に発生するリスクというものを抱える一方で、こういった形で影響力が下がっていく核兵器を維持管理するための費用、莫大です。そういう意味では、莫大な費用負担といったものは見合わないものになっていくということになろうかと思います。これはすなわち、核保有国が、まずは軍縮に取り組まざるを得ないといった動機付けにもなります。これを進めていくことで核廃絶という目標に近づけるといった整理もできるんじゃないかというふうに思っているところであります。

 こうした考え方のもとで、平和首長会議は核兵器禁止条約の普及、そして実効性の確保に向けて市民社会の世論を醸成する。そのために、条約の推進国をはじめ、国連、NGO(非政府組織・民間団体)等と協力して加盟都市と共に、PXビジョンに掲げております「平和文化の振興」といったことに、さらに力を入れていきたいというふうに考えているところであります。以上であります。

 

記者

 NATO(北大西洋条約機構)に加盟しながら、核の傘の下にありながら、オブザーバー参加する国の方々と面会されるということで、いろいろ一般化ができることがあれば学んでいきたいということを出張に行かれる前、おっしゃっていたんですけれども、先ほど説明にもあったんですが、改めて両国の話を聞かれて、日本国の立場も当然今までよく聞かれてきているとは思うんですけれども、政府として十分にオブザーバー参加が次の会議に日本政府は可能だというふうに考えられたのか、理屈として成り立つと思われたのか、その辺をちょっと教えていただければと思います。

 

市長

 実際に参加した国の代表の方のお話を聞かせていただいた限りは、参加の仕方は様々あると思うんですね。そしてそれを、むしろきちんと説明すれば、はなから参加しないという結論を下す必要はないということは明白じゃないかなと本当に思ったんです。元々いろいろな意見の違いとか争いごとがあるときも、対話をして解決しましょうということを言うじゃないですか。対話というのは、きちんと相手と向き合って議論する場を設定したら、そこに出ていかないと対話にならないですよね。考え方が違うし行くとどうなるか分からないから、とりあえず控えておいた方が良いという考え方は、まずは対話を促進するといったことには不向きだと思うんですね。そういった意味でも出てもいいんじゃないかと、むしろ出る方がいろいろな意味でいいんじゃないかと(思います)。そして日本政府の場合は、いろいろな意味で橋渡しをするということも明言されていますから、そういったことをやる方が本当にいいんじゃないかなというふうに自分は痛感しました。今、総理の方は、核を持っている国の方にいろいろな形で、今年は積極的に働き掛けるという展開をされているようでありますので、次回ニューヨークで、ここにありますように、メキシコが議長国となる締約国会議が来年11月から12月にかけてありますので、ぜひ決断していただければというふうに思っています。

 

記者

 締約国会議で出席された際のスピーチで、来年開かれるG7サミットについての期待も表明されました。今回この締約国会議に参加してみて、改めてこの広島で(G7)サミットが開かれる意義について、どういうふうに思われたか。昨日、日程が(5月)19(日)から21(日)と決まりました。そのことについての受け止めも併せてお願いします。

 

市長

 G7の中には、核保有国も当然おられます。ですから、そういったことを含めて、かつこのG7は現NPT(核兵器不拡散条約)の締約国でもありますよね。そういう意味では皆さん、NPT(核兵器不拡散条約)の第6条の義務を負っておられるという国々ですから、今申し上げたような考え方を敷衍すれば、その会合がこの被爆地広島であるわけですから、直接そういった方々が被爆の実相に触れる機会があるわけです。そのことを踏まえた上で、もちろん核兵器の取扱いだけを協議する場ではないということは重々承知していますけれども、この地球上の経済システムなり外交問題なり、いろいろなことを皆さんで議論して取り決めていく上で、紛争状態がないということが何よりも大事であるということは明白な事実であります。そういった意味でその大切さを確認し、そういったことが起こらないようにするという決意をしながら、こういった議論をするということはとても意義があることだというふうに思いますので、改めて政府の方にも、そういった被爆の実相に触れる機会をぜひ確保していただいて、より意義のあるG7会合になるようにしてもらえればなというふうに思っているところであります。そのために市としてやるのは、(広島)県と、今、支援一生懸命やっていますけれども、ロジ(ロジスティクス)のメンテ(メンテナンス)ですね。サブ(サブスタンス)の方は今言ったようなことを、国、他部署を中心にしてやっていただきたいと思いながら、それをしっかり支えるためのロジ(ロジスティクス)に関しては、県・市一緒になってお手伝いといいますか、やるべきことをさせていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひという気持ちでいっぱいであります。

 

記者

 日にちが昨日発表になりましたけれども、5月の中旬、梅雨入り前で比較的、新緑の良い季節かなと思うんですが、その辺りはどうですか。

 

市長

 季節が良いということは、例えば、慰霊碑献花とかも晴れの日で、梅雨の中で傘を持ちながら雨でというふうなことよりか良いですしね。そういう意味で条件は良いと思うのですけれども、準備期間が明らかに1年を切ったということが明らかになりましたね。今日も、県・市合同の準備室がある商工会議所のところへ行きまして、職員を激励してまいりまして、「期間は短いけど、きっと皆さん、こういった仕事、人生二度とないはずなので、しっかり頑張ってください」というような話をしてまいりました。そういう意味では、職員にも、しっかりと対応するための作業、短いけれども意義ある結果が出るように頑張ってもらいたいということを言ってまいりました。その気持ちそのままであります。

 

記者

 NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議について、8月に行われると思うのですけれど、湯崎知事が先日、参加表明されましたけれども、松井市長御自身の参加というのは今のところどういうふうにお考えになっているかというのを改めて伺えますでしょうか。

 

市長

 私は6日の式典もありますし、5日はお客さんが来られて、いろいろな対応があるので、スケジュールからちょっと無理なのですね。知事の場合は、6日当日に私の後にスピーチだけで済むということであれば、ぎりぎり、うまく飛行機の便が遅れたりしないのであれば間に合うということなので、ニューヨークに行かれるということだと思います。その分、小泉(広島平和文化センター)理事長がおられますので、行ってもらうということで、私のスピーチはそこでちゃんと紹介していただけるようにしているつもりです。

 

記者

 先ほど、NATO(北大西洋条約機構)加盟国のオブザーバー参加の動向について、参加の仕方は様々あると、で、対話をして、岸田首相も橋渡しをすると明言されているので出た方が良いのではないかと痛感したとおっしゃったと思いますけれども、日本政府の今回の会議への不参加っていうのは政策判断として間違っていたと、そういうふうに思われますか。

 

市長

 判断として間違っているかどうかという、私は評価基準を持っていないので。これから、全体の事態がどう展開していくかですからね。(今回の会議に)出なくて、世の中が悪化して、戦争がどんどん起こるとかいうことになれば、それは判断が間違っているという、一番分かりやすい話ですね。そして、この日本国政府の対応が、核兵器のない世界に向かっていくための行動を促すことの真反対の現象を起こしたというようなことになれば、それはそうでしょうけれども、そうでない限りにおいて間違っているかどうかというよりかは、皆さんがこういう方向で動いているのだし、実際、今の総理の動きは核保有国に向けてまずは、今まで説明された流れからすると、核を持っている国の対応こそ重要なのだから、そちらとの接点をまず持った上でやると。そして、核を持っていない国との接点に関しては、そちら(核を持っている国)との調整をうまくした上でやる方針だという説明を受けていました。だから、橋渡しというのは、核を持っていない国の方の考え方とかそういったものとつなぐのだろうから、そこに向けて自分たちの立場はこうだということも言い、すぐに賛成できないというのはなぜかというようなことも言うといったことをしながら、まさに先ほど申し上げた対話をするということがあった方が良いのではないですかと申し上げたのですね。そうすると、(日本政府は)その対話の順番も決めてやるというようなことを言われています。着実にやっておられるので、いよいよ核兵器を持っていない国との対話ということを少なくとも第2回目からはやっていただいた方が良いのではないかと、こんな流れであります。ですから、それぞれのいろいろな立場がある中で、国としてこういった方針をとっておられているけれども、それ自体を否定するというものでもないのだけれども、むしろ、核兵器のない世界に向けた確実な動きを促していくためには、TPNW(核兵器禁止条約)の(締約国)会議へのオブザーバー参加こそ、確実な前進を図るための重要な一歩になるのではないかということをしっかり理解していただきたいなと、こういう思いです。

 

記者

 今おっしゃった岸田首相の核保有国への働きかけが、まず先だというところに関してなのですけれども、今回NPT(核兵器不拡散条約)に岸田首相は参加表明されましたけれども、今回この締約国会議で決まった議論をじゃあ、どう核保有国との議論につなげていくのかっていうところがとても重要だと思うのですけれども、その点に関して岸田首相、日本政府に、市長として求めたいこと、核保有国との議論に関して求めたいことっていうのはどういうことでしょうか。

 

市長

 私自身どういうふうな方法でやれとかっていう立場にあるわけではないのですね。実際に市長という仕事は、この広島市という行政区画の中で市民生活の安全・安心を図ると。その安全・安心を図る上でとても重要ないろいろな政策をしていますけれども、(日本政府に対して)戦争が仮にあった状況の中でも核兵器があると、経験値からすると大変なことになるから、核兵器のない世界を目指すということを腹に据えた政策を行ってくださいと申し上げた。そうすると、日本国は核兵器持ってないわけですから、結局、核兵器を持っている国をどう扱うのかということになります。核兵器を持っている国は、誰も命令する人がいないわけですから、自分たちの国益なり利害、特性を考えて、やるかどうか考えているときに、あなた方はそうかもしれないけれども、世界に190以上ある国々のうちで核兵器を持っている国だけが好き勝手なことをするというふうに捉えられることが、本当に良いことなのでしょうか。むしろ、全体のことをリードする、良い世界をつくるために何が求められているかと、こういうことじゃないかという議論なんですね。そうすると、それをやるようにするには、まずは自分たちの国の安全を保障しないとそんな議論はできないと言われます。安全保障を確保するということは、全くふらちな国があって自分たちの国益を害することがあったとして、それをまずガードするということであり、それが先にできないとそんな議論はできないということで、核兵器、やっぱりあった方が良いということです。だけど、軍縮・不拡散ということを約束しているんだから、それを着実にやってはと申し上げたら、それを約束している国は、それを破っている国があるから、自分たちはなかなかできないと、こういう論理展開をしているわけですね。だから、そういった状況をお互いに作らないようにしてもらえませんかって、核兵器を持ってない国はそういう意味で皆さん方(核保有国)の対応で振り回されているんですよという、そこのところを、どういう形で訴え、向こうがそうだなと感ずるような論理展開をするかということではないかと思うんです。だから、それをどうしろということを私に聞かれてもちょっと困るということで、まさに国政を預かっているところで、今言った問題状況の中で適切な対応をしていただきたいと。ただ、私はそういったときに、核兵器を持ってない国の気持ちも受け止めた上で、そういった交渉をするともっと有効になるんじゃないですかと、そういう立場で両方の話を聞けるようにオブザーバー参加もあった方がいいんじゃないかと申し上げていると。

 

記者

 最後に1点だけ。今回、市長が実際に議論を見られて、オブザーバー参加国の発言もお聞きになって、あえて参加しないということはないとお感じになったということですけれども、この会議を受けて日本政府に対して、議論としてこういうことがあったよという報告というか、こういうふうにオブザーバー参加しない理由はないっていうことを、実際にどういうふうに日本政府に対して市長としてはお伝えされる予定ですか。

 

市長

 機会あるごとに言いたいと思いますね。昨日は平和宣言を作るために懇談会で議論したけれども、メンバーの中で、ぜひそういったことを宣言の中でも分かるようにした方がいいんじゃないかという御意見もありましたので、工夫して発言しようかなというふうに思っていますから、いろいろな機会を通じてこの気持ちがっていうか、考えが伝わるようにしていきたいと思っています。

 

記者

 分かりました。ありがとうございます。

 

記者

 現地に行かれた方の中で、やはり海外に出ると広島だったり、長崎の惨禍がまだ十分に伝わっていないと感じたという感想をおっしゃっている方もいらっしゃったんですけれども、改めて、久しぶりの海外ということもあったと思いますが、市長はどのように感じられましたか。また、それを受けて今後どうしていきたいかというのがあればお知らせください。

 

市長

 前者の広島の被爆の惨禍を知らないというのは、実際に77年前に起こった出来事ですから、ある意味で、例えば、ここ1~2か月で生まれた方、あるいは数年で生まれた方といった方は何らかの形で勉強しない限り分かんないんですね。で、もっともっと古くなって、戦争直後に生まれたそういう方々であれば、その当時の情報なども入っていて、知っている方が多いということですけど、それで少なくなるっていうのは、ある意味では当然のことなんですね。ただ、知らないとしても核兵器というものの存在の状況と、それがどんな実相といいますか、影響があるかということを知るということで、ちょっと違うということですね。今問題なのは、被爆の実相を知らないことに加えて、核兵器というものについてのある意味で問題意識が劣化しているかも分からない。劣化って失礼ですけれども、知らなかったという状況が続いている中で、今回改めて問題が起こったのは、ロシアの方が核兵器というものを使用するかも分からないというふうな言い方を始めたのです。核兵器というものは、東西冷戦下でお互いの国を滅ぼすから使わないことを前提に、単に保有することで相手をコントロールするというツールだし、それから、193の国連加盟国がある中で、核を完全にコントロールできる国は、1桁ですよね。正式に言うと5か国、(そのほかはNPT(核兵器不拡散条約)で保有を)認められてない4か国ですから。すると、どこの国の国民だって、核兵器というものについて直接関心を持っているかっていうと持ってない国の方が多いのは当たり前なのですね。そんな中で、そういったものが、実は自分たちの日々の生活の根源に関わる重大なものですということを改めて分かっていただくということが必要だなと感ずるのは、とにかくこういった性格の会議の参加者からすれば、いつも感ずることなのですね。もっとマスコミがニュースみたいに取り上げるかというと、決して、世界的な情報網の中でNPT(核兵器不拡散条約)の会議が取り上げられるかと見ていたら常に出てないんですよね。そんなこともあります。ですから、ニュースのポイントとして限られた国の問題だからというふうに思っているのかも分からないです。ウクライナの問題なんかは世界中のマスコミが取り上げてますでしょ、今起こっていることを。で、実際ここで核兵器が使われたら、直ちにその情報が広がるんで、そんなことがあったら決して良くない状況です。その中で、そういった(核兵器使用の)ほのめかしをしているのに、例えば、このNPT(核兵器不拡散条約)の会議やTPNW(核兵器禁止条約)の会議の模様が世界中に放送されないというようなことも踏まえると、どうなんでしょうかと感じたんじゃないかと思いますけどね。

 

※(  )は注釈を加えたものです。

核兵器禁止条約第1回締約国会議への出席等について(帰国報告) [PDFファイル/516KB]

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