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物品売買等に係る随意契約ガイドライン(平成21年4月作成)

ページ番号:0000001583 更新日:2020年4月21日更新 印刷ページ表示

1 趣旨

 地方公共団体の契約は、公平性や経済性確保のため競争入札によることが原則であり、随意契約は例外的な場合しか認められません。
 
 
すなわち、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号。以下「令」という。)第167条の2第1項各号及び地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令第10条第1項各号の規定に該当するときに限り、例外的に随意契約によることができるとされています。
  
 しかし、これらの規定は、記述が抽象的であるため、安易に拡大して解釈されるおそれがある上、実際の運用が困難な場合もあります。
 
 このガイドラインは、そうした規定の解釈・運用が、公正かつ統一的になされるよう、標準的な解釈・運用指針を定めたものです。
 

 
今後、令第167条の2第1項第2号及び第5号から第7号までの規定の解釈・運用は、このガイドラインに基づき行ってください。

 

  

2 対象

 このガイドラインの対象は、次に掲げる契約とします。

  1. 物品の売買、借入れ、修繕又は製造の請負に係る契約
      
  2. 役務(建設コンサルティングサービスに係る役務を除く。)の提供に係る契約

  

 

3 令第167条の2第1項各号の解釈・運用について

 ⑴ 令第167条の2第1項第2号

    不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使
   用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをする
   とき。

 

   「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」とは、次のとおりです。
 

   1. 契約の相手方が特定されるとき。 

    ア 法令等により契約の相手方が定められているとき。
 
      <例>
       厚生労働省からの通知に基づき母子福祉団体と締結するひとり親家庭等日常生活支援業務の委
      託契約
  

    イ 法律文書により特定の相手方と契約を締結することが義務付けられているとき。
 

      <例>
       施設設置の経緯により、施設の維持管理業務を特定の者に委託することを協定書、覚書その他
      の法律文書により定めた場合において、当該協定書等で定められた相手方と締結する施設の維持
      管理業務の委託契約(「法律文書」とは、協定書、覚書その他文書の名称の如何にかかわらず、内
      容において法的効力を有する文書をいいます。)
 

    ウ あらかじめ基本となる事項を定めた基本契約に基づき個別契約を締結するとき。
 

      <例>
       ・複数の者が、複数の機種、単価、仕様を示し、それに基づき当該複数の者と締結した基本契
       約の内容を踏まえ、最適な仕様及び最低の価格を提示した者を選定し締結する複写サービス
       の提供に係る個別契約  
       ・あらかじめ品名、単価を定めた基本契約に基づき締結するガソリン、コピー用紙等の購入に
       係る個別契約
 

    エ 特定の者でなければ納入することができないとき。
 

      <例>
       ・水道・都市ガス・一定の契約電力未満の電気の供給契約    
       ・製作者からしか入手できない映画フィルム・美術品・工芸品の購入契約

      〔留意点〕
      製造者だけでなく販売代理店等も含め、納入することができる者が1者に限定されていることを、
      製造者等からの証明書等により確認してください。
 

    オ 特定の者でなければ役務を提供することができないとき。
 

      <例>
       ・著作権を有する者と締結する情報システムの運用・保守業務の委託契約 
       ・特殊な技術を用いて設計・施工した施設・設備の保守・点検業務の委託契約 
       ・学識経験者などその者の知識・経験等に着目して相手方を決定する講演の委託契約 
       ・プロポーザル方式又はコンペ方式により技術、ノウハウ等の競争が行われ、その結果選定し
       た相手方と締結する委託契約

      〔留意点〕
      契約の履行に不可欠な権利、資格、技術、経験等を他の者が有していないことを十分に確認して
      ください。
  

    カ 平成17年11月1日前に締結している契約で、自動更新(延長)条項を設けているとき。
 
      〔留意点〕
      長期継続契約を締結することができる契約を定める条例(平成17年広島市条例第157号)の施行日
      (平成17年11月1日)より前に締結した契約に限ります。

   2. 競争が成り立たない契約をするとき。

    ア 法令等により価格が統一されているとき。
 

      <例>
       ・額面金額で購入するはがき・切手・収入印紙の購入契約
       ・中央用地対策連絡協議会の通知により、不動産の評価額に基づいて一律に価格が決定される
       ため、契約の相手方にかかわらず同額となる不動産鑑定評価業務の委託契約
 
 

    イ 価格が認可制であるため、あらかじめ最低の価格が把握できるとき。
 

      <例>
       ハイヤーの借上契約
 
 

    ウ 契約を確実に履行できる能力を有し、かつ、当該契約を締結する意思を表示した者と締結する
     とき。
 

      <例>
       ・市民が最寄りの医療機関で健康診断を受診できるようにするため、できるだけ多くの医療機
       関と締結する健康診断業務の委託契約
       ・高齢者が身体の状況等に応じて食事を選択できるようにするため、できるだけ多くの事業者
       と締結する高齢者配食サービス業務の委託契約
 
 

    エ 契約行為そのものを秘密にする必要があるとき。
 

      <例>
       大学入学試験問題の印刷の請負契約
 
     
 

 ⑵ 令第167条の2第1項第5号

    緊急の必要により競争入札に付することができないとき。

 

    「緊急の必要により競争入札に付することができないとき」とは、次のとおりです。

    天災地変その他の予見不可能な非常の事態が発生し、かつ、競争入札によると時機を失し、契約の
   目的を達成することができなくなるとき。

     <例>
      ・災害等の発生に伴う復旧や物品調達等の契約
      ・ごみ処理施設等の電気・機械設備等の故障等に伴う応急復旧の契約
      ・継続的な履行が必要な契約が解除された場合において、新たな契約を締結するまでの間を契約
      期間として締結する契約

    

 ⑶ 令第167条の2第1項第6号

    競争入札に付することが不利と認められるとき。

 

    「競争入札に付することが不利と認められるとき」とは、次のとおりです。 

   1. 機器の借入れ等に係る契約の契約期間満了に当たり、引き続き契約を締結しようとする場合にお
    いて、既存の機器が改修を行うことなく必要な性能を保持しており、かつ、それを引き続き使用す
    る方が新たな機器を設置するより経費面で有利であるとき。

 
     <例>
      ・本庁舎の電話交換機のリース契約
      ・北庁舎別館の機械警備業務の委託契約

     〔留意点〕
     既存の機器が引き続き適正に稼動することについて、メーカー等から保証書等を徴するとともに、
     既存の機器を使用することが経費面で有利であることを複数の同業他社から見積書を徴することに
     より確認してください。また、これらの確認は、毎年度行なってください。

   2. 既に締結されている別の契約の業務と密接な関連性を有する業務を内容とする契約で、当該別の
    契約の受注者に履行させる方がより効率的であり、経費面で有利なものであるとき。

     <例>
      ・合築施設の共有部分の清掃業務(第三者発注)の受注者と締結する本市の専有部分の清掃業務の
      委託契約
      ・本庁舎の警備業務(総価契約)の受注者と締結する議会棟警備業務(単価契約)の委託契約
      ・一般競争入札により本市が示した仕様によって製造した物品の追加発注で、当該物品の製造の
      受注者と締結する契約

    

 ⑷ 令第167条の2第1項第7号

    時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。

 

    「時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき」とは、次のと
   おりです。

     特定の者が契約の目的である物件を多量にかかえ売り込む意欲が強い場合に、当該物件が、品質、
   性能等、他のものと比較して問題がなく、かつ、時価を基準とした予定価格から勘案しても、競争入
   札に付した場合より著しく有利な価格で契約できるとき。

    〔留意点〕
     競争入札に付した場合より著しく有利な価格であるか否かを判断する基準を一律に示すことは困難
    です。このため、通常はこの規定を適用することなく競争入札に付すべきです。