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近年、日本を含め世界では、猛暑や豪雨などによる災害が頻発しており、本市でも、平成26年8月及び平成30年7月に発生した豪雨災害により、多くの尊い人命が失われる甚大な被害を受けました。その要因として、自然の限界を超えた人為起源の温室効果ガスの排出による気候変動の影響があると考えられており、地球温暖化がさらに進行すれば、こうした災害が発生するリスクがより一層高まることが予測されるだけでなく、人類の生存基盤をも破壊しかねない気候危機ともいえる状況となっています。
このような破滅的な未来を招かないようにするため、国際社会は、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃以下に抑えるという目標を共有し、各国で取組が進められています。本市としても、2020年12月、「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す」ことを表明し、省エネルギー対策の推進や再生可能エネルギーの導入促進などに取り組んでいます。
こうした中、最新のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によると、気温上昇は既に1.5℃に近づきつつあるとされており、目標達成のために残された時間は少なく、今後10年の取組が非常に重要であることを訴えています。
このように地球温暖化が、私たちの生存基盤を破壊し、人類の存続を困難なものにする可能性が一気に高まっていること、そして、そのような事態を回避するためには、もはや一刻の猶予も許されないことを市民、事業者の皆さんとともに認識した上で、私たち一人一人が直ちに具体的な行動を起こし、脱炭素社会の構築に向け、取組を加速しなければなりません。
よって本市は、市民、事業者等のあらゆる主体と危機意識を共有し、一体となって、広島広域都市圏などの周辺自治体と、さらには、自治体等で構成する国際的な連合組織とも連携のうえ、この地域の豊かな自然を次の世代に引き継いでいくために必要となる地球温暖化対策に全力を挙げて取り組むことを決意し、ここに「気候非常事態」を宣言します。
令和4年(2022年)7月14日
広島市長 松井 一實
広島市気候非常事態宣言 [PDFファイル/458KB]
※この宣言文は、平和記念公園の「原爆の子の像」にささげられた折り鶴の再生紙を使用しています。
広島市では、折り鶴に託された平和への思いを多くの人々と共有し、昇華させるための取組を推進しています。