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私たちが家などで使って汚れた水は下水と言います。その下水はどこを通って、どこへ行くのかご存知ですか?
下水は地面の下にある下水道管を通り、「水資源再生センター」という場所へ運ばれていきます。水資源再生センターでは、下水をきれいにして川や海へ戻す役割を持っていますが、そこで、どのようにして下水をきれいにしているのか、水資源再生センターの様子を下の図の番号順に案内していきます。
水資源再生センター見学順路図
皆さんの家や学校から流された下水は、下水道管を通って、まず、このポンプ場で、混 ざっている砂やごみを取りのぞきます。
ポンプ場
ポンプ
砂やごみが取りのぞかれた下水は、ポンプを使って、次の最初沈殿池へ運ばれて行きます。
ポンプ場から運ばれた下水は、この最初沈殿池で、ポンプ場で取りきれなかった小さなごみやどろを沈めて取りのぞきます。
最初沈殿池
「最初沈殿池の水」を見てください。ごみやどろを取っただけでは、下水はまだ濁っていてきれいになっていません。この下水を、次の「反応タンク」でもっときれいにしていきます。
さて、反応タンクへ到着しました。
反応タンク
最初沈殿池から流れてきた下水は、写真の緑のふたの下を流れます。ふたを開けてどうなっているか見てみましょう。
反応タンクの中
なんだかさっきより黒っぽくなっています。これは「活性汚泥」というものが混ざっているからです。
活性汚泥とは、下水をきれいにしてくれる微生物とどろのかたまりのことです。
下水をきれいにしてくれる微生物(一例)
微生物のおかげで、下水の汚れはほとんどきれいになっていますが、このままでは活性汚泥が混ざったままなので、次の「最終沈殿池」で、きれいになった下水だけ取り出します。
さあ、最後の最終沈殿池へ移動しました。反応タンクから送られてきた下水は、ここで混ざっている活性汚泥を沈めて、きれいになった下水だけあふれて外に出ていく仕組みになってます。
ここで、沈められた活性汚泥は一部を残して、反応タンクに戻され、また下水をきれいにするのに使われます。。
反応タンクに戻されなかった残りの活性汚泥は、この後の「7汚泥濃縮槽」に送られますが、こちらについては、また後で説明することにします。
最終沈殿池
写真を見てみてください。汚れていた下水がすっかりきれいになりました。
消毒剤注入設備
この下水を消毒して、川や海に戻します。それでは、きれいになった下水が川や海に戻っていくとこを見に行きましょう。
水資源再生センターの外へ出て、放流口に移動しました。
放流口
水資源再生センターできれいになった下水はこの放流口から川や海に戻って行きます。
さきほど、放流口で、きれいにされた下水(処理水)が川や海に戻っていくところを見たと思いますが、きれいにされた下水はこうして自然の中に戻されるだけでなく、資源として再利用(リサイクル)しています。
広島市では水資源再生センターの機械を洗う水として使ったり、センターの池の水として使ったりしています。
また、マツダスタジアムのグランド地下に雨水貯留地があり、マツダスタジアムのスタンドなどに降った雨を、「グランドの散水」、スタジアム内の「トイレを流す水」、正面入り口付近にある「せせらぎ水路の水」として再利用しています。
詳しくは 広島市 - 国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」を受賞した雨水有効利用の取組みを紹介します をご覧ください。
さて、ここからは、さきほど見学してきた「最初沈殿池」と「最終沈殿池」で、沈められたどろや活性汚泥がその後どうなっているのかを見学していきます。
汚泥濃縮槽
沈められたどろはポンプで引きぬいて、まずこの「汚泥濃縮槽」に運ばれ、さらにどろだけを沈めて、濃いどろだけを集めます。
集められたどろは、次に「汚泥脱水機」へポンプで運ばれていきます。
次の建物は「汚泥脱水機」です。汚泥濃縮槽から運ばれたどろは、この脱水機で水をしぼっていきます。 こうしてすっかり水がしぼられたどろのことを「脱水ケーキ」と言います。
汚泥脱水機
脱水ケーキ
この後、脱水ケーキは、水資源再生センターから運び出されて、火力発電所の燃料、セメントの原料や畑の肥料などに再利用されています。
さて、水資源再生センターでは、ポンプや微生物に空気を送る機械など、たくさんの機械が使われていますが、万が一、台風などで停電になってしまった時には、「自家用発電機」が動き出し、機械に電気を送って止まらないようにしています。
自家用発電機
また、水資源再生センターでは、下水などから出るいやな臭いがそのまま外に出てしまわないように、微生物や活性炭を使って、外に出ていく空気からこの臭いを取り除いています。
臭突(しゅうとつ)
きれいになった空気は、臭突と呼ばれる出口から外に出ていきます。
いよいよ、施設見学の最後「中央管理室」です。
中央管理室
中央管理室は、水資源再生センターの機械が順調に動いているか、故障していないか、コンピューターで管理しているところです。
また、遠くにある機械を動かすこともできます。
これで施設探検は終わります。水資源再生センターは24時間休むことなく動いているので、ここで働く人は昼夜交代で働いています。 機械を動かす操作員や、機械の点検や修理、水の検査をする技術者、事務員などたくさんの人が協力して仕事をしています。
また、広島市にどんな水資源再生センターがあるか知りたい、実際に見学してみたいという人は、水資源再生センターのご案内 を参考にしてください。