本文
マツダスタジアム(以下、スタジアム)では、スタジアムに降った雨も貴重な水資源の一つとして、スタジアム内の色々なところで再利用しています!
スタジアム内トイレの入口付近に、このようなPR看板があるのを見たことはありませんか?
このPR看板に書かれている通り、スタジアムのトイレの洗浄水には、雨水の再利用水が使われています。
(※手洗い用の水は水道水を使っています。)
スタジアムの天然芝への散水へも、雨水の再利用水が使われています。
カープの選手が練習や試合で使うグランド、このグラウンドの天然芝を育てるのにも一役買っています。
ちなみに、芝などに吸収されなかった一部の水はまた、集められて、次の散水に使われています。
このグラウンドで、カープ選手のスーパープレイをたくさん見せて欲しいですね!
球場正面玄関付近(赤枠部分)に水路があるのを見たことがありませんか?
これがせせらぎ水路、通称「あまおとのこみち」です。せせらぎ水路にもトイレと同じようにPR看板を設置していますが、この看板は広島市立大学の学生のデザインを使用しています。
このせせらぎ水路にも、雨水の再利用水を使用していますが、循環して使用しています。流れ終わった後は、地下を通って貯留池に運ばれ、ろ過等を行ってきれいにした後、再びせせらぎに流しています。
また、せせらぎ水路の上流部分では、夜になるとライトアップされ、昼とはまた一味違った幻想的な雰囲気を演出しています。
ナイター帰りや夜の散歩に一足延ばしてみてはいかがですか?
今回受賞した「循環のみち下水道賞」とは、毎年、国土交通省から、「持続可能な循環型社会の実現に向けて、下水道分野で新しい取り組みや地域ぐるみでの取り組み」などを行っている自治体や団体に、贈られているものです。
この賞は4部門に分かれていますが、このうち広島市では、「水のみち部門」を受賞しました。
水のみち部門 |
水が本来持っている様々な機能を活用した、水再生・利活用ネットワークを作りだすための取り組み |
---|---|
資源のみち部門 |
将来の資源枯渇への対応や、地球温暖化の防止等に向け、資源回収・供給ネットワークを創出するための取り組み |
サスティナブル活動部門 |
「水のみち」、「資源のみち」を実現を支え、新たな社会のニーズに応える、サスティナブル下水道を実現するための取り組み |
特別部門 |
「水のみち部門」、「資源のみち部門」、「サスティナブル部門」以外で特に先進的な取り組み |
雨水を再利用するためには、雨の時に雨水を集めて溜めて置かないといけません。
そのため、スタジアムのグラウンドの地下には雨水を溜めておくための巨大な水瓶「大州雨水貯留池」が設置されています。
球場には見えないところにも仕掛けがあるんですよ!
大州雨水貯留池(以下、貯留池)とは、グラウンドの地下約2.5mに作られた直径100mの円柱形の建物です。
これに、雨水をいっぱいに溜めると15,000立方メートル、25mプール(※)で何と 40杯分も溜めることができます。 (※容積は25m×10m×1.5mとした場合で計算)
また、これらの雨水はJR広島駅からスタジアム周辺の地域(赤色着色部分)から集められています。
さて、この貯留池ですが、今回受賞した「雨水の再利用」の他に、もう一つ「浸水被害を防ぐ」という役割も持っています。
雨水を集めている地域、特に広島駅周辺は、JRやバスのターミナルとして、毎日たくさんの人が利用する地域です。また、地下には地下道や、地下広場といった施設もあり、浸水には注意が必要です。
しかし、広島駅南口周辺地域では、強い雨(降雨量20mm/時)が降ると、下水道の排水能力を超えてしまい、浸水が発生しています。
そこで、浸水被害の防止対策として、貯留池に下水道から溢れた雨水を溜めることで、浸水の発生を減少させることができます。
貯留地では、役割ごとに溜める部屋を仕切っています。
スタジアムで再利用する雨水は、スタジアムの屋根やグラウンドに降った雨水を集めて使っており、地下の管を通って下の図の赤い部分に溜まっていきます。
再利用するために溜める雨水は、貯留池の総貯留量15,000立方メートルの内の1,000立方メートルです。
地面に降った雨水ですので、再利用するためには混ざっているゴミを取り除いた後、ろ過し、塩素消毒を経て使用しています。ゴミを取り除いた雨水をろ過する装置や、これを運転する機械も貯留池に設置しています。