ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > くらし・手続き > 教育 > 広島市教育委員会 > 教育委員会 > 教育に関する計画等 > その他の計画等 > 広島らしい新しい教育の推進のために~広島市21世紀教育改革推進総合プラン検討会議~(第2章)、第3節

本文

ページ番号:0000016088更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

広島らしい新しい教育の推進のために~広島市21世紀教育改革推進総合プラン検討会議~(第2章)、第3節

第3節 広島で育んでいきたい4つの力

 本検討会議では、広島で育ち次代を担う子どもたちに備えさせたい4つの力を、次のように定義しました。

(1)規範性をはぐくむ

規範性とは、
 人と人、人と自然が明るく共生するために必要な善悪の判断ができる力、及び悪いことを抑止し善いことを実践することができるたくましい自律心。

 規範は、人が人として守るべき規則のことで、人間の評価や行為の基準となります。評価とは、ものごとの価値を判断することで、「善・悪」のような道徳的なことや、「有用・非有用」、「美・醜」などが対象となります。また、行為の基準とは、「正・不正」などが例としてあげられます。
 これらの基準の例としては、「人を傷つけてはいけない」「親切にすることは美しい」「役に立つ」「じょうず」など広く共通に認識されている基準があげられますが、これらの基準を自分勝手なものでなく、人として守るべき規範として自覚することが現在最も求められています。それは押しつけられて身につけるものではなく、心から理解することが重要です。あわせて、その基準を見失うことなく、ものごとの価値を適切に判断することができる能力や、生命を尊重する態度が育成されることが必要です。
 このような規範を行為に絞ってみると次のようなことが考えられます。
 人間が行う行為に規範としての基準を設けることによって、人間の行動にある一定の枠組みができたり、広く共通に認められる価値判断ができたりします。それは、一定の個人にだけでなく、広く他の人にも通用することが前提です。このような規範は、ルールと解釈することもでき、その中には、法律も含まれますが、これは公的な力によって定めたもので、大部分は罰則が伴います。したがって、法律は、どうしても守らなければならないと思われるものに限定されていますので、法律違反をしなければ規範に背いていないというものではありません。なお、法律の中には規範としての価値判断によらず、単に社会生活をスムースにするために定めたものもあります。
 ただし、同じ行為に対しても状況が変わることによって許される場合とそうでない場合があります。それは、価値があると判断された行為でも、環境や生活条件が異なった場合に基準の違いが生じ、民族、時代、地域によってその違いを見ることができるからです。
 このように、社会の秩序が守られ、平和に生活するための約束事として一般に承認されている「規範」の全体を総称して「道徳」といいます。
 人間は、社会の規範を守ることができなければ生活上の摩擦が生じ、お互いが住みにくくなります。この社会の規範を道徳的価値と考えるならば、規範性のある人を道徳的な行動ができる能力があるといえ、その人は道徳性を備えているということができます。
 道徳は、法律のような強制力を伴うものでなく、礼儀、勤勉、勇気、公徳心などのように個人が内面的に判断し、行為をなすことで、これには自然や文化財、製品など、物に対する姿勢や態度も含まれます。
 道徳的行動ができる能力とは、道徳的な判断力、道徳的な心情、道徳的な態度、道徳的な意欲などを備えていることで、道徳的実践力といわれます。
 一般に、道徳的実践力が豊かであれば、道徳的行動を日常生活の中で抵抗なく実行できますので、そのような子どもを育成することが道徳教育の目標であると考えられます。
 道徳実践力を習得させるためには、最初に直接的な指導によって習慣化をさせることが必要です。そこでは、「自分から進んでしたくなるような心や考え方」、「無意識のうちに道徳的な行動をしてしまう態度」、「つらくても見逃すことができないような良心」をはぐくむことが理想でしょう。
 このような習慣は幼児期から習得されますし、人間の人格が形成される最初の場は家庭ですから、「道徳性を身につける基盤は家庭」にあるといえます。したがって、基本的な生活習慣や、人間関係の在り方をしつけによって身につけさせることができるのは親や家庭です。
 さらに、学校においては、発達段階に応じた道徳教育が必要ですし、社会においては、社会の一員としての道徳教育が必要です。

子どもたちの規範意識

 子どもたちの規範意識の低下が顕著になっています。全国的な傾向ですが、広島市の子どもたちの規範意識についても、例えば、「授業中におしゃべりをしている友達の行動」をいけないと思わない割合は、年齢とともに増え、中学生や高校生では全体の3分の1以上に達しています。
 日本の高校生を、アメリカ・中国の高校生と比較した調査では、「学校をずる休みすること」や、「売春など性を売り物にすること」などについて「本人の自由でよい」と答える者が我が国に際立って多く、恐喝、盗み、万引き、麻薬の使用などの犯罪行為についてでさえ、日本の高校生は約1割もの者が「本人の自由でよい」と答えています。

子どもの実態調査

みんなで育てる

 子どもたちの規範意識の低下は、人々が安心して暮らせるよりよい社会をつくっていくため、また何よりも、子どもたちが健やかに成長していくため、決して見過ごすことのできない問題です。
 この問題の背景には、都市化や過疎化が進み、人間関係が希薄化する中、文化や規範を共有する場である地域社会の基盤が揺らいでいる状況があるといわれています。また、不正やルール違反を許してしまう、義務や責任を忘れ自由と利己主義とをはきちがえる、正直さ・誠実さ・まじめさなどの価値を軽視するなどといった風潮に見られる大人社会のモラルの低下が、家庭におけるしつけのゆるみを招き、子どもたちの規範意識の低下を助長しているともいえます。また、昨今の子どもたちは、テレビ、ビデオ、ゲームなどの電子機器に取り囲まれ、それらの好ましくない部分の影響を多大に受けて育っている現実もあります。
 しかし、そうした状況であればこそ、地域のアイデンティティーを確立し、自分の住む地域に誇りと愛着を感じ、大人が協働して子どもたちを育てていく環境をつくる努力が必要です。地域が、子どもたちの成長を暖かく見守りつつ、時には厳しく鍛える場となり、子どもたちをはぐくむ場となっていくことが大切です。

幼児期から家庭教育で規範意識を

 各家庭においては、日常の温かい愛情のきずなと信頼関係をもとに、子どもに粘り強く繰り返ししつけを行っていく必要があります。例えば、各家庭で、就寝の時間、テレビを見てよい時間、あいさつなどの生活上のルールや、「他人に迷惑をかけない」、「うそをつかない」などの道徳上のルールをきちんと決めることは、しつけに一貫性を持たせ、その成果をあげるためにも大切です。さらに、子どもたちは家庭のルールを守ることを通じて、基礎的な対人関係の在り方や、社会のルールの大切さを学ぶことができます。こうした日々の取組が、子どもたちの正義感や規範意識を確かなものとしていきます。
 また、子どもたちは家庭で、保護者との関係を軸に、愛情としつけを通して人間性を形成していきます。そこでの成長を踏まえて、子どもたちは家庭から外の世界へと向かい、友達との様々な体験を通じて自立への歩みを進め、人とのかかわり方を学んでいきます。
 一方、都市化や核家族化、少子化が進行し、家庭の中にも情報機器が普及する中、幼児においても、自然との触れ合いや野外での遊び、高齢者など幅広い世代との交流といった直接体験が減少してきています。このため、人間形成の基礎を培うべき幼児期における体験を心に響く豊かなものにしていく必要があります。幼稚園等においては、自然体験や社会体験を充実させ、幼児に自分の力でやり遂げる喜びや充実感を味わわせるとともに、自立心や責任感がはぐくまれるようにすることが大切です。

子どもの内面に根ざした道徳教育を

 学校教育においては、特に、集団生活が営まれているという特質を生かしつつ、望ましい人間関係の形成や社会生活上のルールの習得などの社会性、社会の基本的なモラルなどの倫理観の育成に一層努めるとともに、場に応じては毅然とした態度で接することが必要です。これらは、あらゆる教育活動を通じて取り組まれていることだと思いますが、小・中学校では、これを深めるための「かなめの時間」としての「道徳の時間」をぜひとも充実させることが必要です。
 学校における道徳教育は、「人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を具体的な生活の中に生かし、個性豊かな文化の創造と民主的な国家及び社会の発展に努め、進んで国際社会に貢献できる主体性のある日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養うこと」を目標としています。しかし、「道徳の時間」においては、その取組に学校差や教員による個人差がでやすく、また、授業内容も形式化しがちで、子どもの心に響かない指導となっていることも少なくないようです。そして、その傾向は、学年が進むにつれて、また、小学校から中学校へと進むにつれて強まっているようです。道徳教育によって道徳的価値が子どもたちの心に内面化するようにするためには、徳目に示される内容を子どもたちにきちんと伝えるとともに、子どもが自ら考え、感じ取り、態度や行動に表すといった過程をとることが必要です。道徳的価値の大切さの自覚を促すために、日常の生活や体験に即して子どもたちがそれについて考えていくようにすること、そして、道徳教育で学んだことが日常的に生かされ、実践に結び付くようにしていくことが強く求められます。そのためにも、子どもたちの心に響く魅力的な教材の開発、「子どもたちが一目おく」地域人材の力の活用等、授業の工夫、研究を進める必要があります。あわせて、教員の道徳教育に対する意識を向上させ、道徳の実践的な指導力や学級経営などの力量をより高めていく必要があります。
 高等学校の道徳教育は、人間としての在り方、生き方の視点に立って公民科や特別活動をはじめとした学校の教育活動全体を通じて行うこととされています。そこでは勤労観や職業観の形成を図ることも大切です。

自他を問わず、生命尊重の態度を

 子どもたちに、学校、家庭、地域での様々な場面で、多彩な体験をさせることが大切です。例えば、自然体験は、子どもたちにとって、自然の厳しさや恩恵を知り、動植物に対する愛情をはぐくむなど、自然や生命への畏敬の念を育てたり、自然と調和して生きていくことの大切さを理解する貴重な機会となります。さらに、自然の中での組織的な活動によって、子どもたちは、きまりや規律を守ること、友達と協力することなどの大切さや、自ら実践し創造する態度を学ぶことができるでしょう。次図の市民アンケート調査でも、90.4%の人が「地域でもっと自然体験や社会体験をする必要がある」と回答していますが、子どもたちに、身近な日常生活での自然体験や生活体験はもちろんのこと、日常を離れての様々な活動もぜひ体験させたいものです。

市民アンケート

 また、次表の子どもの実態調査結果のとおり、中学生や高校生はあまり参加していませんが、ボランティア活動も重要です。子どもたちは、自ら主体的に参加したボランティア活動を通じて、他の人々や社会のために役立つ体験をし、自分が価値のある大切な存在であることを実感することができます。また、ボランティア活動を通して、子どもたちは社会とかかわり、様々な人々と接する体験をし、他人を思いやる心や社会生活を営む上での規範やルールを学びます。さらに、ボランティア活動は、国際協力、環境保護、高齢化社会への対応といった様々な社会問題に対する子どもたちの問題意識に広がりと深みを与え、社会貢献の心をはぐくむことにもつながります。

子どもの実態調査2

取組が望まれる例

  • 「子どもたちが一目おく」地域人材の導入など、大人の生き方を学ばせる機会の確保
  • 心を豊かにする読書活動への取組
  • 警察と連携した「犯罪防止教室」等の拡充
  • 道徳の時間の確実な実施
  • 道徳の時間の充実・道徳の指導法についての研修の充実
  • 道徳の指導法や教材開発などのための研究機関の設置
  • ボランティア活動の実施
    善い行為を積み重ねていく喜びを記録する「ボランティア手帳」の作成、活用
  • 幼稚園等での幼児の「夢」をかなえる体験活動の実施
  • 子ども会など地域活動の充実
  • 集団宿泊を伴う活動の取組
  • 家庭への啓発
    • 検診時、入学時期の学校での「しつけ教室」等の実施
    • TV番組などでの啓発
  • 親の働く姿を子どもに見せる機会づくり
  • 親子が触れ合い過ごせる場の確保

(2)感性をはぐくむ

感性(多元的価値の受容力)とは
 感受性豊かで、自分の良さを大切にするとともに、お互いの違いを違いとして認めるやさしさを持ち、良いところを見つけて自分も向上していく力。

 国際化の進む中では、自分の価値基準を明確に持ち大切にすると同時に、他人の価値基準(文化、国、民族、個人特性の差異等)を認め、その違いを優劣として判断するのではなく、価値観の違いとしてとらえることが求められています。それは、単に、異文化の経験の多少や、自国以外の言語表現ができるかどうかということではありません。
 違いを認めるためには、まず、自分にとって一番大切な価値は何かということが重要となります。次に、自分の持つ価値と他人の価値との比較をし、違いを認めていくことが必要です。こうしたことによって感性が育ち、これに応じた具体的な行動ができるようになっていきます。
 感性を育成するためには、少数の価値が尊重される環境が必要です。また、多様な価値があるということを認める環境が必要です。さらには、個々に価値が主張できる環境、能力も必要となると思われます。自分の価値に誇りや自信を持つと同時に、他人の価値を認めていく、やさしさ、思いやりが必要となります。

多元的価値の受容力

 国際化が進展する中にあって、広い視野や多元的な視点でものごとを考える力とともに、異文化に対する理解や、異なる文化を持つ人々とともに強調して生きていく態度などは、21世紀を生きる子どもたちにとってますます重要で、なくてはならない力となっています。ここでいう異文化とは、単に異なる国の文化という意味だけではなく、異なる世代や時代を含めた自分とは異なる考え方、生き方、習慣などあらゆる「自分とは異なるもの」のことです。これまで比較的均質な社会の中で生き、自分たちと異なるものは排除する傾向にあった日本人にとって、異なる文化や伝統を理解し、性、世代、国籍、言語、文化、宗教等の様々な違いを受け入れ、より共有化できる価値を追及していく態度を養うことが大切です。
 そのためには、多様な異文化の生活・習慣・価値観などについて、「どちらが正しく、どちらが誤っている」ということではなく、「違い」を「違い」として認識していく態度や相互に共通している点を見つけていく態度や、相互の歴史的伝統・多元的な価値観を尊重し合う態度などを育成していくことが重要であり、何よりもまず、自分自身が何ものであるかを知ること、すなわち自分自身の座標軸を明確に持つことが必要となります。このことなくしては、相手からも理解されず、また、相手を理解することもできないといえるでしょう。
 このことは、子ども同士の関係や、家族関係、学校や地域での様々な人々との関係においても同様です。

子ども同士の学び合いを

 感性(多元的価値の受容力)は、子ども同士が楽しく学び合い、活動する中で、存在感や自己実現の喜びを実感しながら、はぐくまれていくものと考えられます。また、特に、異年齢集団の中では、年少の子どもは、ルールを守ることや我慢することの大切さなどを身につけていき、年長の子どもは、思いやりの心や、集団をリードしたり積極的に役割を果たしていく責任感などを養っていくことができます。都市化や核家族化、少子化が進行する中で、子どもたちが集団で過ごす機会が少なくなっていますが、学校教育においては、特に集団生活が営まれているという特質を生かしつつ、さらに、学校内での他学年交流、学校間交流、異校種間交流の推進や、対人関係能力などを身につける機会を設けるなどの工夫により、子どもたち同士が前向きに切磋琢磨し合う人間関係を築いていけるようにしていく必要があります。
 また、身近な地域のボランティア、スポーツ、文化、青少年団体などの活動は、それぞれ社会貢献の心をはぐくんだり、心身を鍛えたり、情操を豊かにするなど様々な活動の目標を持っており、異年齢集団の中で子どもたちが切磋琢磨する大切な機会を提供しています。その他、それぞれの地域では、伝統的な祭りや町おこしの行事、スポーツやレクリエーションの大会、環境美化や防災の活動、図書館・公民館や福祉施設での催し、外国人との交流行事など、多様な活動が盛んに行われるようになってきています。
 しかし、一方で子どもたちは、年齢が上がるにつれてそれらの活動への参加に消極的になる傾向も見られます。「子どものために企画された行事」が、ともすれば「子どもを使った大人の行事」となってしまう場合が少なくありません。地域の行事を子どもたちにとって魅力あるものとし参加意欲を高めるため、例えば、子どもたちが行事の企画に携わるようにしたり、責任ある役割を受け持つようにする工夫をするなど、その在り方を考えていく必要があります。

自分を知ることができるような交流を

 様々な人々との交流や、心をゆさぶるような多様な体験は、子どもたちが自分自身が何ものであるかを知るための基本となるものです。異なる文化や異なる世代、時代の違いを含めた自分とは異なる考え方、生き方、習慣などにじかに触れることは、違いを実感したり相互理解を深める場となります。さらには、自己の能力や関心を発見し、育てる機会ともなります。また、子どもたちが与えられた環境の中で受動的に過ごすのではなく、一人ひとりが自分の力で考え行動する力や、場合によっては、自ら環境を変えるために立ち向かっていく気概を持って生きていくことにもつながります。
 こうした交流は、学校、家庭、地域における、親子の触れ合いや、友達との学習や遊び、地域の人々との交流など、様々な活動の場面で必要です。異なる地域間の交流、乳幼児や老人など異なる世代間の交流、国際交流など、様々な人々との多様な交流を積極的に推進する必要があります。
 さらに、子どもたちの交流を可能な限り広げていくことで、日常生活の幅が広がり、それは子どもたちの感性を豊かにすることになります。例えば、マルチメディアを利用することにより、地理的に離れた場所にいる人たちとも交流することができ、自分達の地域とは産業や人口、歴史、気候、風土など全く異なった条件の中で暮らす人たちの生活にも接することができます。また、子どもたちが、他の文化に触れ合えるような留学制度などを増やしていくことも大切です。

豊かな感受性を

 子どもたちが、感受性を豊かにし、自分自身の中に潜む興味・関心の扉を開いていくために、幼いころから本物に出会い感動する機会を増やすことは重要です。
 地域の伝統芸能や美術工芸品の鑑賞や体験、お祭りなどの地域活動への参加、歴史的な建造物・町並みや史跡等に触れることなど、身近な機会を活用することもできるでしょう。また、ふだん接することのない絵画などの美術作品や演劇などの舞台芸術、コンサート、プロスポーツの試合、動植物など、本物と出会える機会を確保していくことも大切です。そのためには、学校での取組が可能となるよう支援していくことも必要です。あわせて、公民館、図書館、博物館、動物園、植物園、青少年教育施設、美術館等、様々な社会教育・文化施設が子どもたちの身近なものとなるために、整備はもちろんのこと、子どもたちが行くことを楽しみにするような施設運営や参加型・体験型の事業を行っていくことが重要です。

自然との共生を

 子どもたちは自然の中で遊んだり生き物とかかわったりする様々な自然体験によって、自然の美しさや神秘性、偉大さ、厳しさなどに触れ、感動や驚きを覚えるとともに、自然や環境への理解を深めていきます。また、同年齢や異年齢集団の中で行われる自然体験活動により、思いやりや自主性、協調性、忍耐力、創造力、社会性などが一層豊かに養われていきます。しかしながら、かつての時代とは異なり、子どもたちが自然の中で豊かな体験をする機会が少なくなってきています。親や社会が意図的に子どもたちに自然体験を促していかなければならない時代を迎えています。幸いなことに広島市は、市街地を抱く緑豊かな山々や幾筋もの川、瀬戸内の海と島々という豊かな自然に恵まれています。この環境を生かし、自然体験の機会をより幅広く提供し、自然に挑み、触れ合う中で、子どもたちに人と自然が共生するために行動できる力をはぐくむ必要があります。

取組が望まれる例

  • ピア・グループ(同輩集団)など仲間集団づくり
  • ピア・ティーチング(子ども同士の学び合い)を生かした学習の研究
  • 子ども自らが企画立案するプロジェクトの実施
  • 地域で子どもたち(特に中学生)が参加できる場や機会の確保
  • ソーシャルスキルトレーニングなどの対人関係能力を身につける機会の確保
  • 教育相談の充実
  • 開発的生徒指導プログラムの研究
  • 外国人や外国の文化と触れ合う多文化体験の機会の確保
  • 高校生の海外留学体験の機会の確保
  • 学級間や学校間での、子どもたちの一日留学の実施
  • 障害、病弱等、特別な教育的ニーズを有する子どもへのきめ細かな支援の充実
  • 異年齢者との交流の促進
  • マルチメディアを活用した交流の実施
  • 本物と出会い感銘、感動を知る文化・社会体験の充実
  • 自国や郷土の歴史・文化の理解と世界の多様な文化・歴史の理解の推進
  • 地域文化、伝統芸能を取り入れた学校文化創造の継承活動
  • アドベンチャー、サバイバルキャンプなど自然で生きる体験の機会の確保
  • 環境問題について学ぶ体験活動の実施

(3)体力をはぐくむ

体力とは
 生涯を通じて活力ある生活を送るための基盤となる、生きていくための心身の健康とたくましさ。

 健康や体力は、「たくましく生きる力」を構成している様々な資質や能力などを支える基盤としてなくてはならないものです。
 健康な状態とは、世界保健機関(WHO)憲章(1946年)では、「病気がなく、身体的・精神的に良好な状態であるだけでなく、さらに、社会的にも環境的にも良好な状態であることが必要である」とされています。
 子どもたちが運動が好きになり、更に運動が得意になることをめざして、活力のある生活を支える基礎的な体力・運動能力を培うことに配慮し、生涯にわたって運動に親しむ能力や態度を身につけていくことができるようにすることが重要です。
 スポーツは、人間の身体を動かすという欲求にこたえるとともに、爽快感、達成感、他者との連帯感等の精神的充足や楽しさ、喜びを与えます。また、健康の保持増進、体力の向上のみならず、青少年にとっては、スポーツが人間形成に多大な影響を与えるなど、心身の健全な発達に重要な役割を果たしています。
 生涯にわたり主体的にスポーツに親しんでいくためには、児童生徒等の時期に、健康や体力を保持増進していくための基礎的な能力や態度を培い、健康的な生活習慣やスポーツ習慣を身につけることが必要です。そして、これに続く各ライフステージにおいて、これを基礎として、各人の興味・関心等に基づき、継続してスポーツに親しんでいくことが重要です。
 そこでは、体力の有無や、スポーツの得手不得手の問題よりも、個々の状況に応じて心身ともに健康に生きようとする態度の育成が重要となります。
 また、平均寿命が長くなっている現在、活力ある健康的なライフスタイルを築くためには、心身の健康の保持増進に必要な知識、能力、態度及び習慣を身につけて、たくましく生きる意志と意欲、価値観を形成することが大切です。

子どもたちの体力

 国の調査では、近年の児童生徒の体位は向上しているものの、体力・運動能力については逆に低下する傾向が続いているといわれており、憂慮すべき状況にあります。また、日常生活における子どもたちの身体活動の機会はますます減少してきています。一方では、運動に興味を持ち、活発に運動する者とそうでない者との二極化が生じています。今の子どもたちは机に着いている時間が少ないといわれています。それは、単に勉強時間が少ないというだけでなく、長時間座ることのできる体力や忍耐力がなく、少し座っているとすぐ寝ころぶ傾向があるようです。
 こういった状況を踏まえ、子どもたちの発達段階に応じて基礎的な体力・運動能力を高めたり、多様な運動に触れてその楽しさや喜びを味わわせたり、自分に合った運動を選択させたりするなどして、一人ひとりの能力・適性を伸ばすことが必要です。その際、学校・家庭・地域全体を通じて、主体的に様々な運動やスポーツ活動に参加していく能力や態度を育成することに配慮して行うことも大切になります。
 このように、子どもの時期から、生涯にわたって健康や体力を保持増進していくための基礎的な能力や態度を培い、健康的な生活習慣やスポーツ習慣を身につけることで、子どもたち一人ひとりがこれを基礎として、これに続く各ライフステージにおいて、各人の興味・関心等に基づき、継続してスポーツに親しんでいくことになります。

遊びを通したスポーツ活動を

 地域社会においても、都市化の進行等による地域連帯感の希薄化や地域の教育力の低下が見られます。「あなたは、友達とどんなところでよく遊びますか」というアンケートの問いに対して、小・中学生は「家の中」が第1位、高校生は「ショッピング街」が第1位となっています。(次表参照)

子どもの実態調査3
 子どもたちの遊びの形態が著しく変化し、地域において日常生活の中で身体を動かす機会や場も減少しています。生活環境の変化、特に身近な遊び空間等の減少に伴い、子どもたちの屋外遊びが減り、室内遊びへの比重が高まってきています。
 屋外での遊びの減少は、幼児の運動欲求をみたさなくなり、対人関係の学習を難しくしてきていると考えられます。乳幼児期における成長・発育にとっては、屋外の遊び場、身近な公園や自然の豊かな環境において、親子の触れ合いや仲間との交流を深めながら、歩く、走る、跳ぶ、投げるなど多様な遊びを楽しむことが生涯発達の原点です。

学校での体育の充実を

 最近の小学生の体力の低下や、スポーツに親しむ機会の不足の原因は、屋内でのひとり遊びが多くなったために、仲間や異年齢集団との身体活動を伴う運動遊びが減少したためだといわれています。子どもたちが運動嫌いや体育嫌いにならないためには、運動・スポーツとの「良い出会い」、「楽しい出会い」ができる機会を多く持たせることが必要です。同時に、バランスのとれた基礎的な体力を身につけることは、子どもたちの健康を増進し、成長発達を促していきます。
 中学校、高等学校の体育がかかえる問題は、運動部活動をめぐる問題のほか、スポーツをする生徒としない生徒の二極化が進むとともに、体力・運動能力が低下傾向にあることなどです。子どもたちが興味・関心等に合った様々なスポーツを体験したり、見て楽しんだりして、スポーツの意義や特性などの理解を一層深め、スポーツ習慣を形成することが大切です。
 今後ますます、だれもが生涯にわたり、それぞれの興味・関心・年齢・体力等に応じてスポーツに親しむことが望まれます。特に、障害のある人とスポーツとのかかわりはこれまで、福祉の観点から機能回復等の手段としての役割が主であったと考えられていますが、これにとどまらず、多様化しつつあるスポーツニーズにも適切に対応し、活動を支援していく必要があります。

運動部活動と地域のスポーツ活動との連携を

 また、運動部活動の改善・充実も必要です。子どもたちの興味・関心に基づく運動部活動は、部員同士の切磋琢磨や自己の能力に応じてより高い水準の技能や記録に挑戦する中で、スポーツの楽しさや喜びを味わい、豊かな学校生活を経験する活動といえます。しかし、最近、少子化による生徒数の減少、運動以外の活動への興味・関心などによる運動部活動への参加生徒数の減少、指導者の高齢化や実技指導力不足のために、競技種目によっては、チームが編成できない、あるいは、十分な指導ができなくなるなどの状況があります。スポーツを行いたいという生徒の関心や意欲にこたえるため、学校の実態に応じて近隣の学校と合同で運動部を組織する、あるいは、自校にない運動部については近隣の学校の部活動に参加するなどの取組を検討することも必要です。
 さらに、運動部活動では、教員は顧問や監督など指導者として重要な役割を果たしていますが、指導者の研修の機会を確保することも大切です。あわせて、各学校が地域の協力を得やすくするよう、また、地域が安心して協力出来るような環境の整備が必要です。プロの野球チーム、サッカーチームなどが活躍している広島のスポーツの輪をぜひ広げていきましょう。
このような運動部活動と地域のスポーツ活動が連携して子どもたちのスポーツ活動を豊かにしていく取組は、学校週5日制時代における地域の子どものスポーツ活動の受皿の整備にもつながります。また、地域において子どもたちが運動・スポーツのクラブに加入するなど、様々な行事に参加することで、異年齢集団や異文化との接触を通して、豊かな社会性や人間性を涵養させることが期待されます。さらには地域の連帯意識の高揚、世代間交流等の地域社会の活性化や再生効果も生じることでしょう。これにあわせて、学校や地域の実情を踏まえた特色ある総合型地域スポーツクラブ(※)の育成に取り組むことが大切です。

※総合型地域スポーツクラブとは、もともとヨーロッパを中心に発達した住民が主体的に運営するスポーツクラブであり以下の特徴を有する。

  • 複数の種目が用意されている。
  • 子どもから高齢者まで、初心者からトップレベルの競技者まで、地域のだれもが年齢、興味・関心、技術・技能レベルなどに応じて、いつまでも活動できる。
  • 質の高い指導者の下、個々のスポーツニーズに応じたスポーツ指導が行われる。
  • 以上のようなことについて、地域住民が主体的に運営する。

生活に生きる体験活動を

 運動・スポーツばかりでなく、身近な自然の中で、様々な活動を体験することにより、「生きる力」を養ったり、実際に試したりすることができます。さらにそのなかで、自己実現の喜びを実感したり、他者を思いやる温かい気持ちを持ったり、望ましい人間関係を築いていくことも可能です。まず、遊び場の確保、しっかり遊べる環境づくりが重要です。あわせて、体力をはぐくむための幅広い取組を期待します。

個に応じた心身の健康を

 体力をはぐくむためにはスポーツ活動の充実とともに、子どもたちに、運動、栄養及び休養を柱とする調和のとれた生活習慣を確立できる能力・態度・実践力を身につけさせることが大切です。
 特に、体力の基盤ともいえる心身をつくるために、食に関する指導は重要です。基本的には、心身の発育・発達や健康の保持増進のためには食べ物が重要な役割を果たしていること(身体の健康)、楽しく団らんのある食事をする工夫をして心を育てることができるようにすること(心の健康)、他の人と豊かな心で接する社会的態度や社会への適応性を養うこと(社会性の涵養)、正しい食習慣を実行するためには自分の健康は自分で守るという「自己管理能力」を養うこと(自己管理能力の養成)などの内容が重要です。学校給食の時間は、友達と食べる楽しさ、おいしい食品に出会う喜びなどを体得できる場だと思いますが、食を通して楽しさや喜びを得ながら上記のようなことを身につけていくために、ランチルームの充実等、環境整備も必要です。
 こうした生活習慣の確立には、学校とともに家庭の役割も大きいものです。子どもたちへの健康教育と同様に、体力の向上に大きな影響を与えている食生活の大切さについての家庭への支援も重要です。
 また、最近は、生活習慣病や心の健康問題など健康に関する現代的課題が生じてきています。これらに適切に対応するためには、早期発見、早期治療という二次予防も重要ですが、健康的な生活行動を実践するという一次予防を重視し、教育指導面での充実を一層図っていく必要があります。学校保健、学校安全及び学校給食等における取組はもちろんのこと、学校においても、子どもたちが自分の健康管理等について相談できる場づくりが必要です。

取組が望まれる例

  • 幼児期からの遊びを中心にしたスポーツ活動の導入、身体を使った遊びの研究
  • 学校教育の様々な場面での体力の育成
  • 休み時間をつかった体力づくり
  • 部活動の広域連携
  • 小中学校の合同練習の実施
  • 体育の授業や部活動の指導者としての外部人材の導入
  • 幼児や障害のある子どもたちの特性に配慮したスポーツ活動支援
  • 広島の豊かな自然を生かした体験活動の実施
  • 健康・食・生活習慣づくりの家庭との連携、家庭への啓発
  • 学校給食の充実
  • 学校における、子どもたちが自分の健康管理等について相談できる場づくり
    (学校医、薬剤師、栄養士、カウンセラー、養護教諭等が相談を受ける)
  • 気軽に体力測定などのできるコーナーづくり

(4)コミュニケーション能力をはぐくむ

コミュニケーション能力とは
 様々な言語はもちろんのこと、身体、スポーツ、絵画、音楽、コンピュータなど自分でできる何かの方法で、情報や思いなどを伝え合い、分かり合う力。

 人は日本語、英語などの言葉、コンピュータ、あるいは言語以外の伝達手段、身体表現、音楽、絵、制作物などによって自分の思いや欲求、知識などを発信します。相手は発信された記号から、どういう思い、感情であるのかなどを理解します。
 よりよいコミュニケーションをするためには表現する技能が必要ですが、そればかりでなく、相手が何をいわんとしているのかを理解する能力や相手の話を聞く能力といった力があってはじめてコミュニケーションは成立します。

言葉で適切に表現する力を

 近年の情報通信技術や移動手段の発達により、国際社会における人・物・情報の流れは一層速く、かつ濃密・多量になってきています。また、我々が活動する上で、国境を意識する場面も徐々に少なくなってきています。21世紀を迎え、社会はますます高度化・複雑化し、急速かつ根本的に変化しつつありますが、この国際社会に生きていくための基本は、人と人との相互理解・相互交流であり、そのための基盤の力がコミュニケーション能力ともいえます。
 日本人同士の意志の伝達は、場面や人間関係などの共通理解に基づく「察し」が言語表現を補う形で行われる傾向が強いといわれます。また、「以心伝心」や「腹芸」などの言葉からも、日本人は伝統的に、言葉で言い尽くさずに互いに察し合うことに価値を置いてきたことがうかがえます。しかし、異なる文化的、社会的背景を持つ人と接する場合には、相手の察しに頼るような表現方法では意思が通じにくく、誤解を生みやすくなります。このようなコミュニケーションの場においては、状況に応じて適切に言葉を用いることにより、自己の考えを明確に表現する必要があります。また、価値観や人間関係が多様化し情報が氾濫する今日の社会生活においては、主体性を持った個人として、ものごとを的確にとらえ、自分自身の考えを論理的にまとめ、相手に応じて適切に表現し、場合によっては相手と建設的に議論をして結論を得るなど、コミュニケーションにかかわる言語能力が必要となってきています。そして、そのような言語能力を生きた力として働かせるためには、相手を理解したり相手に働きかけたりする意識や行動が欠かせません。このような能力や意識、行動は、異文化を背景とする人とのコミュニケーションを図るために必要な能力や意識、行動とも共通するものです。一口に「異文化」といっても、それぞれの文化におけるものの考え方や発話、行動の様式などは様々です。そこで、すべてを相手にあわせようとするのではなく、互いに相手を理解しようと努力することが大切です。例えば、相手の考えや気持ちを理解するための質問をしたり、自分自身をわかってもらうための説明をするなど、誤解が生じないようにやりとりを進めていく態度が基本となります。
 一方で、互いに察し合う中で会話を進めていく日本人の伝統的なコミュニケーションの在り方は一つの文化であり、それを共有している人の間では効率的であり、容易に相互の心を結び付ける働きもしています。このような身近な人間関係などにおいて有効な伝統的コミュニケーションの在り方を、再確認することも大切です。
 つまり、日本人としての主体性と異文化への柔軟な対応力を身につけ、日本語による適切な表現と的確な理解ができる基本的な能力と、相手に応じて柔軟に対応できる応用的な言葉の運用能力とを備えることが重要になります。

コミュニケーション手段としての外国語を

 また、外国人との「コミュニケーションの手段」として外国語を習得することは有効ですが、外国語の習得については、国語の能力がその基盤であるため、国語の習得能力の体系を軸として総合的・体系的に考えられなければなりません。人間の母語能力の基本的な枠組みは、個人差はありますが、おおよそ10代の早い時期ぐらいまでに形成され、それまでに十分な基礎力の習得が達成されなければ、それ以後に日常言語を超えた知的・抽象的な言語の運用能力を形成することが困難になるといわれています。
 その上で、学校や地域の実態、子どもたちの発達段階等に応じて、子どもたちに外国語、例えば英会話等に触れる機会や、外国の生活・文化などに慣れ親しむ機会を持たせることが必要です。小学校においては、ネイティブ・スピーカーや地域における海外生活経験者等との触れ合いを通じて、子どもたちに異なった言語や文化などに興味や関心を持たせることが考えられます。「英語は面白い」などといった動機づけをすることが大切です。さらに、中学校・高等学校における外国語教育については、リスニング(聞くこと)やスピーキング(話すこと)などの実践的なコミュニケーション能力の育成が重要となります。その改善の実をあげるためには、指導方法の改善、教員の指導力の向上などの取組を行っていくことが必要です。

情報を適切に活用する能力を

 さらに、21世紀のコミュニケーション能力として情報活用能力が重要となっています。情報化は、企業活動、研究活動から教養文化活動、娯楽の世界まで、社会のあらゆる分野に浸透し、インターネット、パソコン、携帯電話などの普及は、想像をはるかに超えて我々の生活様式をさらに急速に変えつつあります。こうした社会情勢の中で、子どもたち一人ひとりが21世紀を主体的・創造的に生きるための道具として、情報通信技術を有効に活用できる能力を身につけられるようにすることが必要です。
 情報の豊富さは、プラスに生かせば子どもたちの知識を豊かにし、発想を膨らませ、日常生活の幅を広げ、豊かにするものでしょう。しかし、情報は常に正しいものとは限りませんし、意義のあるものとも限りません。あふれる情報の中で、子どもたちが誤った情報や不要な情報に惑わされることなく、真に必要な情報を取捨選択し、自らの情報を発信し得る能力を身につけることも重要です。あわせて、情報機器はあくまで自分たちの行動を支援するためのものであり、より大切なことは人間同士の触れ合いであること、コンピュータ等を通して体験するものはあくまで間接体験や疑似体験であって、実際の生活体験・社会体験・自然体験などの直接体験こそが大切であることなどについて子どもたちにしっかりと理解させる必要があります。そのためには我々大人もこうしたことの重要性についてさらに認識を深め、場合によっては有効な対応策を講じることも大切です。

自分で表現できる技能を

 この他に、演劇やパフォーマンス、ダンスなどスポーツも含めた身体による表現、美術や工芸などの造形活動、書道、歌を歌ったり、楽器を演奏したり、あるいは音楽をつくったりするなどの音楽活動、映像表現、マルチメディア表現など幅広い表現方法・表現活動があります。手話や点字なども含め、子どもたち一人ひとりが、自分を表現できる方法、他人とコミュニケーションできる方法を、何か一つ身につけることで、コミュニケーションがより豊かなものになっていくと考えます。

様々な情報を適切に判断し、評価することができる学習の充実を

 さらに、人の話をよく聞く姿勢、自分の考えを理論的に表現する能力、的確な批判力と相手を説得する力などを身につけていくために、グループ討論、発表の場などを指導の中におおいに盛り込んでいってほしいと思います。あわせて、子どもたちの「活字離れ」が著しくなってきていますが、コミュニケーション能力の基盤ともなる「読む力」や、理解力を養う読書を子どもたちの日常に取り込んでいくことが大切です。

取組が望まれる例

  • 作文教育や読書活動の充実
  • 討論や発表の技能を高める機会の拡充
  • コミュニケーション手段としての外国語教育の充実
  • 小学校低学年からの英語教育の推進
  • 実践的なスピーキングやヒアリング能力を重視した英語教育の充実
  • ネイティブスピーカーや海外生活経験者の導入
  • AET(英語指導助手)の招致拡大
  • 教員の海外留学による研修
  • 情報教育の充実
  • 情報モラルの徹底
  • 体験活動とあわせた疑似体験の活用
  • 多彩な表現活動の実施
  • 発表の機会・場の確保

このページに関するお問い合わせ先

教育委員会 学校教育部 指導第一課・指導第二課
電話:082-504-2486・082-504-2487/Fax:082-504-2142
メールアドレス:kyo-sido1@city.hiroshima.lg.jp

<外部リンク>