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ページ番号:0000016087更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

広島らしい新しい教育の推進のために~広島市21世紀教育改革推進総合プラン検討会議提言~(第2章)、第1節、第2節

第2章 21世紀を担う子どもたちをはぐくむために

第1節 心身ともにたくましく、思いやりのある人をめざして

 子どもたちが未来に向かって力強く生きていこうとする意欲を持ち、自分の夢を実現しようとするためには、子どもたちが自分の持つ能力を十分に発揮できるようにすることが肝要です。子どもたち一人ひとりはかけがえのない存在であり、他のだれとも違うその子どもだけの良さを持っています。その素晴らしい個性を発揮し、伸ばしていくことができるようしなければなりません。その前提は、基盤となる基礎的な学力を子どもたちにつけることです。そこでは、「読み、書き、計算」はもちろん、思考力、判断力、表現力といった力、自ら課題を見つけ、自ら考え、よりよく問題を解決する力を含めて考えることが大切です。
 また、子どもたちには、どのように時代が変わろうとも人として生きていくための資質が必要です。それは、豊かな人間性であり、自らを律しつつ、他人を思いやる心、感謝する心や感動する心、生命や人権を尊重する心、社会のルールを守ろうとする意思などです。あわせて、たくましく生きるために必要な健康な身体を自らつくろうとすることも大切です。基礎的な学力をはじめとする様々な力を支えるものは、自らの身体であり、健康は自ら維持していくよう努めなければならないものなのです。
 広島で育ち次代を担う子どもたちには、たくましさ思いやりのある心を備えた人となり、広島に誇りを持ち、文化を創り出し、人、海、山、川と共生して、世界平和に貢献してほしいと願っています。

 このような子どもたちをはぐくむために、まず、生きるための基礎・基本をしっかりと身につけさせ、それを基盤にして、規範性、感性、体力、コミュニケーション能力の4つの力をバランスよく備えさせることが必要です。これらは、多彩な体験、子ども同士の学び合いつながり、さらに、学校、家庭、地域のあらゆる場面での多くの人々とのつながりの中で、より豊かで確かな力となります。そして、これらの教育がより効果的に実行できるためには、教育システムの見直しや教育条件の整備など、基盤となる教育環境を十分に整えていくことが重要です。

 子どもたちはまわりの人々の愛情につつまれて、成長していくものです。広島の新しい教育を進めていくために、私たちは、子どもを取り巻く学校・家庭・地域の役割を見直し、それぞれが教育力を発揮し、三者一体となって心身ともにくましく、思いやりのある広島の子どもたちをはぐくんでいきたいと思っています。

第2節 基礎・基本の学力をつけさせるために

 これからの学校教育においては、ゆとりのある教育活動の中で、教育の質を向上させ、基礎・基本の確実な定着を図る必要があります。子どもたちが学校教育の中で身につけるべき基礎・基本の内容については、学習指導要領に定められています。この学習指導要領には、習得すべき知識・技能が明示されており、理解すべき内容、到達すべき目標などが設定されています。これらは表面的な知識・技能にとどまらず、確実に身につけさせなければなりません。
 そして、学力を単なる知識の量ととらえるのではなく、

  • 基礎的・基本的な知識や技能等を繰り返し学習し、確実に習得させる。
  • 学び方、勉強の仕方を育成する。
  • 困難なことにも挑戦し、それをがんばって克服しようというような訓練をさせる。
  • 重要なことをじっくり勉強し、納得することの大切さを知らせる。
  • できなかったことができるようになったという自信をつけさせる。
  • 生涯を通じて学び続けていく基礎となる力を身につけさせる。

といった、生きるための力としてとらえる必要があります。

 基礎・基本の学力を確実に定着させるとともに、学ぶ意欲や学び方、知的好奇心、探求心などを身につけさせることにより、自ら学び、自ら考える力を備えさせることができ、子どもたち一人ひとりが生涯を通じて様々な変化に応じて自分で判断し、行動できるようになると考えます。さらに、それは、子どもたち一人ひとりの個性・独創性を生かし、育てていくことにもつながります。

我が国の学力の実態

 最近、いわゆる「学力の低下」のおそれがあるのではないかといった指摘をよく聞きます。文部省が行った小・中学校の「教育課程実施状況調査(平成5年~7年度)」の結果では、児童・生徒の学力は、「文章表現や論理的な思考力などがやや弱いなどの問題点も見られるが、計算の技能や文章を読み取る力などは比較的良く身についており、児童・生徒の学習状況はおおむね良好である」とされ、一部同一問題の過去の結果との比較でも、「通過率が高くなったもの、低くなったもの様々であり、全体としてはほぼ同様の状況である」とされています。

教育課程実施状況に関する調査

 また、平成7年に実施された「第3回IEA国際数学・理科教育調査」(国立教育研究所)の結果によれば、「我が国の児童・生徒の算数・数学及び理科の学力は、参加国中2~3位(参加国:小学校対象26か国、中学校対象41か国)にあり、国際的に見て依然トップクラスにある。これまでの第1回、第2回の同調査においても、我が国の成績はトップクラスであった。また、過去の調査と同一の問題の正答率はほぼ同じである。」といわれています。

 平成11年に実施された「第3回IEA国際数学・理科教育調査—第2段階調査ー」での結果(次表参照)の速報においても「平成7年と平成11年の生徒(中学校2年生)の数学及び理科についての同一問題の正答率はほぼ同様の結果となっている。これらのデータから見る限り我が国の小・中学校段階の児童・生徒の学力は、全体としてはおおむね良好であり、維持されているもの」と考えられています。

国際数学・理科教育調査

これらの全国的な学力に関する調査結果と、広島市の子どもたちの学力とが大きく違うものとは考えられませんが、今後は、広島市においても、子どもたちの基礎・基本の学力の定着度を調査し、学習活動がより効果的なものになるよう改善していく必要があります。

子どもたちの学習状況

 学力低下とあわせて、子どもたちの学習時間が減少していることもよく指摘されます。平成11年に実施された日本、アメリカ、中国の中学、高校生を対象とした「日常生活に関する調査」(財団法人日本青少年研究所)の結果(次表参照)によれば、学校以外での勉強時間は、三か国の中では中国が一番長く、勉強を「しない」と回答した生徒は、中学生、高校生、とも日本が最多となっていました。

日常生活に関する調査

 広島市における子どもの実態調査の結果でも、家庭学習をしている時間は「30分~1時間ぐらい」の回答が一番多く、中・高校生では、「しない」の回答が3分の1以上でした。学習時間が少ないことも事実です。

子どもの実態調査

 また、児童生徒の学習活動等の様子を教員にたずねたところ、「進んで予習や復習をする」ことに関して、<そうとはいえない>(65.2%)と<全くそう思わない>(26.6%)を合わせて、91.8%が「進んで予習や復習をするとは思わない」と回答しており、「知識面での学力が高い」ことに関しても、73.7%が「そう思わない」と回答しています。(次表参照)子どもたちに自主的な学習態度があまり身についていないこと、学習で得た知識・技能等への懸念や生きて働く力にまでなっていない様子等がうかがえます。

教員アンケート

 ところで、子どもたちに「どんな先生が好きか」をたずねたところ、小学校低学年から高校生までの児童生徒の6割以上が「授業が上手でわかりやすい先生」を選択しています。同じく3割以上が「自分が聞いたことに、ていねいにわかるまで教えてくれる先生」を選択しています。(次表参照)
 この結果の中に、子どもたちが「わかる授業」を望んでいること、さらには「わかるようになりたい」という知的好奇心や探求心を持ちながら学校生活を送っていることがうかがえるのではないでしょうか。

子どもの実態調査2

個に応じた指導の充実を

 各学校が、子どもたちの教育課題を明確にして教育課程を編成し、指導方法を創意工夫することにより基礎・基本は格実に定着するものだと考えます。
 基礎学力の向上を図りきめ細かな指導を実現するため、一人ひとりの子どもの個別性や興味関心、個性に対応した、多様な指導方法や指導形態を円滑かつ効果的に導入することが必要です。
 また、近年の都市化の進行や地域社会の連帯感の希薄化、家庭の教育力の低下などから、集団で生活するルールや基本的生活習慣を十分に身につけることなく、小学校に入学してくる子どもが増加する傾向にあります。このため、子どもが授業中でも席に着かない、教員の話を聞かない等の行動をとり、授業の成立しない学級もでてきています。こうした状況は、基礎学力の低下をはじめ、いわゆる「学級崩壊」やいじめ、不登校等の問題を招くことになり、早急に状況を改善する必要があります。(次表参照)市民アンケート結果からも、教員と子どもたちのより深いかかわりが望まれていますが、教員が子どもたちの喜び、悩み、心の傷などを理解し、子ども同士の関係づくりや基本的生活習慣の確立などを図り、一人ひとりの子どもによりかかわることで、基礎・基本がより効果的に定着するものと考えます。今後は、複数の教員による指導や少人数による指導を行う方策についての先進的な調査研究が必要です。

市民アンケート

取り組みが望まれる例

  • 複数教員による学級指導の導入
  • ティームティーチングによる学習指導の拡充
  • 少人数による指導の工夫・改善
  • 習熟度別指導の導入
  • 小学校の教科担任制の導入
  • 基礎・基本の学力の定着度を調査し、学級経営や教員の研修、教育行政システム等を点検・評価し、改善するための第三者機関の設置
  • 基礎・基本を確実に身につけさせるための学習プログラムや指導方法などの開発

このページに関するお問い合わせ先

教育委員会 学校教育部 指導第一課・指導第二課
電話:082-504-2486・082-504-2487/Fax:082-504-2142
メールアドレス:kyo-sido1@city.hiroshima.lg.jp

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