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姉妹都市提携40周年を記念し、広島市訪問団をハノーバー市に派遣しました(2023年11月1日ー11月4日)

ページ番号:0000359739 更新日:2023年11月13日更新 印刷ページ表示

1 概要

 本市とドイツ・ハノーバー市は、昭和58年(1983年)の姉妹都市提携以来、青少年交流、平和、経済、文化など幅広い分野での交流を積み重ねてきました。本年度は、姉妹都市提携40周年の節目を迎えることから両市の友好親善の一層の促進を図るため、本市訪問団をハノーバー市に派遣し、同市で開催される記念行事等に出席しました。

 ハノーバー市との姉妹都市提携40周年という節目の年を迎え、これまでの両市の交流の積み重ねを互いに振り返るとともに、今回の記念式典を新たな出発点として、両市の友好関係を改めて確認することができました。また、市民間及び行政間の幅広い分野での多様な交流、特に、戦災復興都市同士として、青少年及び平和の推進を中核とした交流に支えられてきた両市の強い絆は、これからも変わらないものと確信することができました。

 今回のハノーバー市訪問及び数々の行事への参加によって、本市代表団メンバーとオーナイ市長をはじめとする市幹部、市議会議員、さらに様々な友好団体関係者が、大変親密になることができました。特にオーナイ市長とは、意見交換の場だけではなく、記念式典、平和首長会議関連行事等様々な場面で話をする機会に恵まれたことから、互いの理解を深めることができ、強い信頼関係を築くことができました。こうした絆を大切にして、これからも両市で青少年を対象とした未来志向の交流を推進し、より一層の友好関係と相互理解を深めていきたいと思います。

 

2 訪問者

 (1) 代表団(8名)

・市:松井市長、ヒロシマ・メッセンジャー2名、市民局職員2名

・市議会:母谷議長、山路議員、議会事務局職員1名

 (2) 芸術団(5名)

上田宗箇流家元外2名、市民局職員2名

 (3) 経済交流団(4名)

経済観光局職員3名、ひろしま産業振興機構職員1名  

 

3 滞在中の行事等

 (1)  11月1日(水)

ア 茶室「洗心亭」の訪問

  「洗心亭」は、1988年に本市がハノーバー市へ寄贈した茶室であり、市民の憩いの場となっている。「洗心亭」では、上田流和風堂からハノーバー市へ指導者として派遣されている中本洋世氏が長年にわたり、茶道文化を伝えておられ、毎週、茶道の稽古が行われているほか、ハノーバー市も様々な行事を開催しているとのことだった。「洗心亭」と付属する日本庭園は手入れが行き届いており、ハノーバー市が広島発祥の茶道文化を守り、大切にしてくれていることが伺えた。

洗心亭前

「洗心亭」前での集合写真

イ エギディエン教会跡での献花

 エギディエン教会は、第2次世界大戦で爆撃を受けて破壊され、その跡が戦争の惨禍のシンボルとして保存されており、戦争と暴力の犠牲者を追悼する役割を果たしている。当地には広島市が寄贈した平和の鐘のレプリカが設置されており、毎年8月6日にはハノーバー市主催の原爆追悼式典の会場にもなっている。松井市長と母谷議長はハノーバーの犠牲者の方々を慰霊するため献花を行った。

献花後ヘルマン副市長とともに

献花後ヘルマン副市長とともに

ウ 州立歌劇場(オペラハウス)視察

 1845年から1852年にかけて設計・建設された歌劇場は、ハノーバーで最も美しい建造物の一つと言われており、建築文化財に指定されている。場内には3つのホールがあり、オペラ、演劇、バレエ、コンサート、青少年演劇の分野から毎年約1,300の公演が開催され、年間約40万人が来場する。上演がない日も、建物内の見学会などが催され、1年を通して、ハノーバー市民に開放され、活用される工夫がなされている。一方で、歌劇場の維持管理費や所属するオーケストラ団員等の人件費を賄うためには、チケット収入や自治体からの補助金だけでは足りず、経営面で課題があるとのことだった。

宮殿のような外観の歌劇場

宮殿のような外観の歌劇場​

 (2)  11月2日(木)

ア ベリット・オーナイ ハノーバー市長との意見交換

 ハノーバー市庁舎にて、ベリット・オーナイ ハノーバー市長と意見交換を行った。会談では、次世代を担う青少年たちが、平和が大事であることを実感できるような取組、 具体的には、(1)サッカー交流、(2)ハノーバー市での茶道文化の普及、(3)音楽交流を検討していくことになった。(1)については、両市ともサッカーが盛んなことから、交流のある両市の高校のサッカー部やプロサッカークラブのユースチームが、来年開設されるサッカースタジアムで交流試合を行うことができないか検討を進めるとともに、双方のクラブチームに打診してみることになった。(2)については、武家茶道である上田宗箇流の精神(茶室では武士は武器である刀を置き、相手を敬い、対話を通じて互いの共感を得ることに努める)は、各地で戦争が生じている現下の国際情勢において、最も求められていることから、松井市長がハノーバーの中高校生に、「洗心亭」も活用しながら、武家茶道を広めてほしいと依頼した。オーナイ市長からは前向きに検討したいとの回答があった。(3)については、両市とも音楽を活かしたまちづくりを進めていることや音楽大学があるという共通点があることから、双方が有する人材や団体を活用した交流を検討していくことになった。

スタジアムを紹介する松井市長

スタジアムを紹介する松井市長​

イ 市内視察

 ハノーバー市担当職員の案内のもと、ハノーバー市が取り組んでいるまちづくりの事例及び公共交通機関の制度について市内各所を巡りながら以下の説明を受けた。

視察先において説明を受ける松井市長

視察先において説明を受ける松井市長

  (ア) まちづくりへの市民の参画

  ハノーバー市はまちづくりに市民の意見を積極的に取り入れている。その一例として、市民からの申請に基づき市有地を分割して賃借させ、商業施設等として利用することを許可している。この取組を実施する前には、1万6千人への市民インタビュー、6週間の実証実験、関係者からのヒアリングを行い、市民の意見を反映させた。現在、この事業により、市は年間80万ユーロ(約1億3,000万円弱)の収入を得ている。

  (イ) 信用乗車制度

  駅には改札はなく、信用乗車制度を採用している。市内に存在する公共交通機関は、月額49ユーロ(約8,000円弱)を支払うことで電車や地下鉄、バスが乗り放題になる。このシステムの導入の背景には、エネルギー削減や、車からのCO2の排出量を減らす目的がある。またガソリン代を含め、高騰するエネルギー料の影響による国民の負担を少しでも減らそうという取組でもある。

地下鉄構内にて

地下鉄構内にて​

ウ テクノロジーセンター マリエンヴェルダー視察

 ハノーバー市が出資するハノーバーインパルス有限会社の施設であるテクノロジーセンターを視察した。2003年に創業されたハノーバーインパルス社は、ハノーバー市での起業支援と、既存企業の革新的な発展(スタートアップ)を支援している。社長のドリス・ペーターゼン氏により、会社概要と主要事業の説明があり、同社プロジェクトマネージャーより、企業支援に活用されているプロジェクトの事例として、医療分野におけるデジタル化や、ITによる都市空間利用の最適化などについてプレゼンテーションを受けた。松井市長から同社の財源措置について質問したところ、企業支援する際の経費については、市と郡が折半して賄っていること、プロジェクトについては、市を経由して国の財政的支援を受けることも可能であることについて説明があった。

エ フォルクスワーゲン商用車工場視察

 同社は、ハノーバー市に本社を持つフォルクスワーゲン・グループ傘下のドイツ小型商用車メーカーで、フォルクスワーゲン乗用車から独立したブランドとして運営されている。EUでは、2035年までに全ての新車のゼロエミ ッション化を目指しており、視察では、同工場で2022年より生産されているID Buzz(電気自動車バン)(写真)に乗りながら工場内ツアーが行われた。敷地内には3つの工場があり、従業員13,500人が勤務しているが、作業工程の97%が自動化されており、今回見学した工場内にはほとんど作業員はいなかった。松井市長は工場内が清潔に管理されていることを指摘し、同工場の安全衛生管理について関心を示した。

ID Buzz(電気自動車バン)

ID Buzz(電気自動車バン)

オ ニーダーザクセン州首相との面会

 ハノーバー市長であったシュテファン・ヴァイル ニーダーザクセン州首相と面会した。ヴァイル首相は、2006年11月から2013年2月までの市長在任中、平和首長会議の加盟都市拡大に取り組み、ドイツ国内でおよそ100都市を加盟させたほか、ヨーロッパで初めて「青少年国際平和未来会議」を開催していただくなど、両市との交流促進に寄与された。ヴァイル首相は広島市との友情に誇りを持っておられ、本市を人類の危険を示す大事な場所であると述べられた。これに対し、松井市長はヴァイル首相のこれまでの功績に謝意を示すとともに、現下の国際情勢において、市民社会が戦争を拒否する社会をつくることが重要であり、和解の精神で未来志向の考えを育てる活動が必要であると述べた。会談では、イスラエルとパレスチナ及びロシアとウクライナの戦争に関して、自治体の長としてどのような立場で対応すべきか、活発な議論が行われた。

ニーダーザクセン州首相との面会

ニーダーザクセン州首相との面会​

カ 平和首長会議ドイツ支部主催の市民公開講座への出席

 平和首長会議ドイツ支部主催による「再度の軍拡、抑止、核兵器の禁止のはざまで 平和と安全の実現」と題した市民公開講座が開催され、約80人の市民が参加した。松井市長は「G7広島サミットを踏まえた広島市の平和の取組について」と題した講演を行った。その中で平和記念公園の慰霊碑碑文を紹介し、この言葉は全世界の人びとが、原爆犠牲者の冥福を祈り、人類全体が犯した戦争という過ちを再び繰り返さないという決意表明の誓いであり、過去の悲しみに耐え、憎しみを乗り越えて、全人類の共存と繁栄を願い、真の世界平和の実現を祈念する「ヒロシマの心」を表していることを説明した。また、参加者に対し、平和とは一人一人が行動していく中で実現するものであり、市民社会に「平和文化」を根付かせるために、自分には何ができるかを考えてほしいと呼び掛けた。

 この公開講座ではオーナイ市長と核軍縮に関する専門家たちが核抑止論や核兵器禁止条約についてパネルディスカッションを行ったほか、市民から多数の質問や意見が出された。その際、松井市長も発言を求められため、核兵器は他の兵器と異なり、人類がコントロールできない放射能によって、使用した側も滅びてしまう絶対悪であることを強く訴えたところ、会場から大きな拍手が起きた。

講演を行う松井市長

講演を行う松井市長

 (3) 11月3日(金)

  ア 平和首長会議ドイツ支部会議への出席

 ドイツ国内の平和首長会議加盟都市の首長等が核兵器廃絶に向けた活動について話し合う会議に松井市長が出席した。松井市長は挨拶を行い、平和首長会議の中でも特に活発な取組を行っているドイツの各都市に謝意を伝えるとともに、世界の平和構築に向けて情熱をもって連帯し、今後とも核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に共に力を尽くしてほしいと述べた。また、核兵器は、他の武器や兵器と異なり、放射能によって長年に亘り人体に影響を及ぼすため、絶対悪であり、地球上からなくさなければならず、市民社会がそのように考える為政者を選ばなければならないと強く訴えた。会議には約40名の首長等が出席しており、核兵器禁止条約の状況と平和首長会議ヨーロッパ支部の取組に関する報告が行われたほか、ドイツの核軍縮に関する現状説明、参加者による意見交換、加盟都市の取組の事例紹介などが行われた。なお、今回の出張では原爆投下直後の広島をCG映像で体験できるVR機器を持参しており、この会議の機会を捉えて、参加者にその映像を視聴してもらったところ、「被爆の実相をより深く理解できた」、「素晴らしい取組である」などの感想をいただいた。

挨拶を行う松井市長

挨拶を行う松井市長​

イ ハノーバー96(総合スポーツクラブ)訪問

 ハノーバー96とは、ニーダーザクセン州で最も会員数が多い総合スポーツクラブで、17種類のスポーツ部門がある。今回はブンデスリーガ(ドイツのプロサッカーリーグ)に加盟しているサッカークラブ及びその本拠地を視察した。

 サッカークラブは地元で絶大な人気があるものの、現在二部リーグのため、チケットや広告収入だけでは運営が厳しく、赤字経営であるとのこと。また、本拠地であるハインツ・フォン・ハイデン・アリーナは、1954年に建設され、2003年に6,600万ユーロをかけて大規模改修を行っており、命名権を設定するほかコンサートやアイスホッケーの試合などの大きなイベントを開催するなどして、運営を維持しているとのことであった。 

 視察後、松井市長はユースチーム等若い世代の交流を提案したところ、先方からも前向きに検討したいとの回答があった。

スタジアムの説明を受ける松井市長

スタジアムの説明を受ける松井市長

ウ 展覧会「サムライ・茶文化と広島の復興」オープニングイベントへの出席

 広島・ハノーバー姉妹都市提携40周年記念展覧会「サムライ・茶文化と広島の復興」のオープニングイベントを展覧会場で行った。松井市長は、挨拶を行い、その中で「武芸をもって軍事に携わるサムライであっても、茶室内には刀を持ち込まないようにしていたが、これは茶室が主人と客人が一服のお茶を通じて、皆が平等に互いのことを思う時間や空間であったからである。こうした和の精神そのものである茶道は、平和への思いを共有する『平和文化』の姿であることから、ハノーバー市民の皆様にも茶室での体験や交流を通して、平和を希求するヒロシマの心に触れていただきたい。本展覧会をきっかけとして、『平和文化』が世界中に広がっていくことを願っている。」と伝えた。

 その後、上田宗箇流家元の講演やヒロシマ・メッセンジャーによる広島市を紹介するプレゼンテーションが行われた。

 オープニングイベント終了後、松井市長はヘルマン副市長などと共に展覧会場を見学するとともに、再現された茶室「鎖の間」で開催された茶道のデモンストレーションに参加した。会場では経済、観光、「ザ・広島ブランド」のパネルや工芸品の実物展示も行っており、来場した約200人のハノーバー市民は、広島の歴史、文化、産業を満喫していた。

ヒロシマ・メッセンジャーによる説明

ヒロシマ・メッセンジャーによる説明​

茶道のデモンストレーション

茶道のデモンストレーション

 (4) 11月4日(土)

ア 姉妹都市提携40周年記念式典への出席

 ハノーバー市庁舎にて、姉妹都市提携40周年記念式典が開催され、オーナイ市長や市議会議員のほか、本市と交流のある市民友好団体関係者等約100人が出席した。式典は、荘厳な雰囲気の中にもハノーバー市の本市に対する思いが伝わってくる感動的なものだった。

 挨拶を行った松井市長は、両市の交流発展に尽力していただいたハノーバー市の関係者に謝意を述べるとともに、青少年交流から始まった両市の関係を今後更に発展させ、若い世代の交流を強化しながら、平和首長会議とともに、市民社会、特に若い世代にあらゆる暴力を否定する「平和文化」を根付かせることに力を尽くしていきたいと決意を表明した。また、母谷議長も、これまで両市の交流に力を尽くされた方々の功績に謝意を示し、両市の友好の絆が一層強いものとなることを祈念する旨の挨拶を行った。オーナイ市長からは、8月に広島を訪問した際、平和記念式典への出席や被爆者との面会を通じて「ヒロシマ」を二度と繰り返さないと決意したとの発言があり、これからも両市の絆を更に強化していきたいと述べられた。

 式典では、平和や青少年、経済、文化などの分野での取組を継続、支援し、両市間の尊敬、信頼、相互理解を深め、平和を促進するため貢献し続けることを再確認する「友好関係継続の覚書」が発表され、松井市長とオーナイ市長が署名を行った。

 また、ハノーバー市が松井市長のこれまでの音楽文化振興への貢献を称え、松井市長をユネスコ音楽都市ハノーバー大使に任命した。

 さらに、中本洋世氏の長年の功績に対し、在ハンブルク日本国総領事館から感謝状が贈呈された。

「友好関係継続の覚書」署名

「友好関係継続の覚書」署名

ユネスコ音楽都市ハノーバー大使

ユネスコ音楽都市ハノーバー大使