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政務活動費の交付について

広島市監査公表第30号
令和元年9月20日

 令和元年7月25日付けで受け付けた広島市職員に関する措置請求について、その監査結果を地方自治法第242条第4項の規定により、別紙のとおり公表する。

広島市監査委員 谷本 睦志
同 井戸 陽子

別紙

広監第111号
令和元年9月20日

請求人
(略)

広島市監査委員 谷本 睦志
同 井戸 陽子

広島市職員に関する措置請求に係る監査結果について(通知)

 令和元年7月25日付けで受け付けた広島市職員に関する措置請求(以下「本件措置請求」という。)について、地方自治法第242条第4項の規定により監査を行ったので、その結果を同項の規定により次のとおり通知する。
 なお、碓氷芳雄監査委員及び豊島岩白監査委員は、地方自治法第199条の2の規定により、本件監査から除斥した。

第1 請求の要旨

 令和元年7月25日付けで提出のあった広島市職員措置請求書に記載された内容は、以下のとおりである。

政務活動費に関する措置請求の要旨

1 請求の要旨

 請求の対象:広島市長
 広島市議会の自由民主党・市民クラブ(13人)は、会派の市政レポート作成、ポスティング、郵送一式として、平成30年3月20日に853万326円を有限会社に振り込みをしている。しかし、議員の所属している会派に支給される政務活動費は公金で、地方議会の審議能力の強化をはじめ、政務活動が、市政と関連性のあるものでなければならない。また、市政報告等の市民に向けた広報紙に関する経費を政務活動費から支出する場合の要件として、議員の氏名、顔写真の掲載については、顔写真は写真の縦横がそれぞれ紙面全長の5分の1以下、議員の氏名は通常の題字の大きさと同等程度以下となっている。
 該当会派の発行した広報紙の紙面は、縦38センチ、横51センチで、議員の顔写真縦5センチが3人分(15センチ)横6センチが4人分(24センチ)をしめており、紙面全長の約2分の1となっている。題字は各議員の氏名表示が個人欄のなかで一番大きく表示されている。さらに紙面の内容として、キャッチコピー、議員各自の座右の銘などは、市政とは関連性を見出すのは困難である。いずれも政務活動費からの全額支給は不適切で、議員個人の宣伝部分として按分するのが適当である。
 よって、按分されるべきであろう金額を算定し、市に返還を請求する。財務会計上、1年経過して請求する理由は、政務活動費の領収書添付がホームページ上にアップされるのは1年後であることから、莫大な領収書をチェックするのに時間を要し、一市民が事実を知り得るには時間がかかるため。

 地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。

 (事実を証する事実証明書として次の書類が提出されているが、添付を省略する。)

  • 広島市議会自由民主党・市民クラブ市政レポートVol.1/2018
  • 平成29年度政務活動費収支報告書
  • 政務活動費領収書等の写し
  • 政務活動費に関する法律相談内容一覧(詳細版)

第2 請求の受理

 本件措置請求は、地方自治法第242条第1項の所定の要件を具備するものと認め、令和元年8月21日に、同年7月25日付けでこれを受理することを決定した。

第3 監査の実施

1 請求人による証拠の提出及び陳述

 地方自治法第242条第6項の規定に基づき、令和元年9月6日に請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人は、本件措置請求に沿った内容について陳述した。その際、請求書の記載内容について、広報紙の寸法等の数値の記載誤りの訂正や、監査対象は平成29年度の政務活動費であること、広島市が会派に対し不当利得返還請求することを主張していることなどの補足説明があった。なお、新たな証拠の提出はなかった。
 また、同条第7項の規定により関係職員を立ち会わせた。

2 広島市長の意見書の提出及び陳述

 広島市長に対し、意見書及び関係書類等の提出を求めたところ、令和元年9月6日付け広議総第14号により意見書が提出された。なお、陳述は行わなかった。
 意見書の内容は、以下のとおりである。
 ⑴ 本市の意見の趣旨
 本件措置請求は、理由がないものである。
 ⑵ 本市の意見の理由
 請求人は、平成29年度に支出された、市議会の自由民主党・市民クラブ(13人)の会派の市政レポート作成、ポスティング、郵送一式の経費(8,530,326円)について、当該広報紙に占める議員の顔写真の縦横がそれぞれ紙面全長の約2分の1となっていること、題字は各議員の氏名表示が個人欄の中で一番大きく表示されていること、紙面の内容としてキャッチコピー、議員各自の座右の銘などは市政とは関連性を見出すのは困難であることから、いずれも政務活動費からの全額支給は不適切で、議員個人の宣伝部分として按分するのが適当であるとし、按分されるべきであろう金額を算定し、市に返還を請求するよう主張している。
 しかしながら、市長は、広島市議会の会派に対する政務活動費の交付に関する条例(以下「条例」という。)及び広島市議会の会派に対する政務活動費の交付に関する条例施行規則(以下「施行規則」という。)に基づき、また、市議会において広島市議会政務活動費運用マニュアル(以下「マニュアル」という。)が策定、運用されていることを踏まえ、送付された収支報告書及び領収証書等の写しを基に、収入金額及び支出金額の計数確認を行うとともに、明らかに政務活動費に充当できない支出がないかなどについて外形的審査を適正に行っており、市長の行為に違法、不当な点はない。
 以下、総論、各論から説明を加える。
 ア 総論
 (ア) 政務活動との適合性について
 a マニュアルの規定
 政務活動費は、地方自治法第100条第14項に基づく条例に規定する「政務活動費を充てることができる経費の範囲」内で支出しなければならないことはもちろんであるが、マニュアルにおいて、政務活動との適合性について、次のように規定されている。
 「支出が政務活動に適合しているかについては、基本的には、会派の自主的な判断に委ねられています。ただし、その使途の適合性が問題になった場合には、会派において帳簿又は証拠書類を提出して、その具体的使途を明らかにする必要があります(合理的な説明ができない場合、違法支出と認められます。)。」(マニュアル5ページ(4)ア)
 また、マニュアルには、政務活動に適合していることを証明するため、施行規則で定める領収証書等に加え、請求書や契約書、発行した広報紙などの関係資料等についても保管するよう規定されている(マニュアル5ページ(4)イ、6ページ(4)オ)。
 b 判例
 前述の政務活動との適合性についてのマニュアルの考え方は、最高裁判所第三小法廷平成22年3月23日判決において、「議員の調査研究活動は多岐にわたり、個々の経費の支出がこれに必要かどうかについては議員の合理的判断にゆだねられる部分があることも確かである。」と判示されていることとも基本的に合致している。
 また、最高裁判所第一小法廷平成21年12月17日判決において、政務調査費の条例及び規程上、会派から執行機関に対して、政務調査活動の個々の支出について具体的に報告する義務が定められていないことの趣旨について、「政務調査費は議会の執行機関に対する監視の機能を果たすための政務調査活動に充てられることも多いと考えられるところ、執行機関と議会ないしこれを構成する議員又は会派との抑制と均衡の理念にかんがみ、議会において独立性を有する団体として自主的に活動すべき会派の性質及び役割を前提として、政務調査費の適正な使用についての各会派の自律を促すとともに、政務調査活動に対する執行機関や他の会派からの干渉を防止しようとするところにあるものと解される。」との判示もある。
 c 議会事務局の審査
 こうしたことを踏まえつつ、市議会では、後述するように使途の透明性の確保に努めているところ、議会事務局においては、施行規則第9条に基づき送付された収支報告書及び領収証書等の写しの範囲内において、明らかに政務活動費に充当できない支出がないかなどについて外形的審査を行っているものであり、政務活動費を充当できない経費であることが明らかにうかがわれる事由がない中において、会派に調査を行うことまでは予定していない。
 (イ) 政務活動費の適正な運用について
 a マニュアルの作成、修正
 市議会においては、使途基準の明確化を図るため、マニュアルが平成19年6月に策定されており、同年9月、平成20年8月、平成22年10月、平成25年3月、平成26年10月に、後述する弁護士相談により得られた見解や法改正などを踏まえ、適宜修正されている。
 b 弁護士相談
 また、政務活動費の支出に際し、法的見地から専門的助言を得られるよう、平成20年度から弁護士による相談体制が設けられており、会派からの問い合わせなどにおいて、政務活動費の充当の適否について判断を伴う事案には、弁護士相談が行われている。
 弁護士相談により得られた見解については、政務活動費の充当の適否について判断材料として活用するため、「政務活動費に関する法律相談記録」として取りまとめ、適宜追加編集を行い、全ての会派に情報提供するなど、各会派が適正に運用できるよう、また議会事務局において、会派からの問い合わせ等に対し適切な助言ができるよう努めている。
 (ウ) 政務活動費の使途の透明性の確保について
 市議会においては、平成19年9月に条例を、同年10月に施行規則を一部改正し、平成20年度支出分から全ての支出に係る領収証書等の写しを収支報告書に添付し議長に提出、議長を経由して、これらの写しを市長に送付することとされており、平成26年度支出分から、収支報告書のホームページ公開とともに、収支報告書及び領収証書等の写しの閲覧制度を設け、さらに、平成28年度支出分から、ホームページ公開の対象を領収証書等の写しに拡大するなど、政務活動費の使途の透明性の確保にも努めている。
 イ 各論(本件支出について)
 (ア) 広報費について
 条例において、政務活動費に充当できる経費の一つである広報費については、「会派が行う政務活動についての市民への広報に要する経費」と規定され(第7条及び別表)、マニュアルにおいて、「広報紙、市政報告書及び市議会活動報告書等の作成・印刷経費、郵送等発送料」などが例示されている(マニュアル14ページ(3))。
 (イ) 議会事務局の審査について
 本件措置請求の事案である、市議会の自由民主党・市民クラブの会派が発行した市政レポート(以下「本件広報紙」という。)に係る作成、印刷、ポスティング及び郵送等の本件支出については、施行規則第9条の規定に基づき、議長から送付された領収証書(振込金(兼手数料)受取書)の写しや、領収書等添付用紙への補記内容等を基に、日付けの記載や会計年度区分、宛名、使途等について確認を行うなど適正に外形的審査を行ったものであり、市長の行為に違法、不当な点はない。
 なお、請求人提出の本件広報紙については、前述のとおり、会派において保管されるものであり、市長への提出義務はない。

 この意見書中、「政務調査費」と「政務活動費」の二つの名称があるが、これは、地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)により、平成25年3月1日から政務調査費の名称が「政務活動費」に改正されたことによるものである。

3 監査対象事項

 ⑴ 本件は、政務活動費の使途基準を逸脱した違法又は不当なものかどうか。
 ⑵ 市長は、違法又は不当に返還請求を怠っているかどうか。

第4 監査の結果

1 事実関係の確認

 請求人から提出された広島市職員措置請求書及び事実を証する書類、請求人の陳述、広島市長から提出された意見書及び関係書類、広島市職員への聴き取り調査並びに関係人調査により、次のとおり確認した。
 ⑴ 政務活動費の制度内容
 ア 政務活動費の交付
 政務活動費は、市議会の会派に対して、月額として所属議員の数に30万円を乗じて得た額に、一定の会派職員雇用費を加算した額が交付されるものである(条例第2条、第4条及び第5条)。その政務活動費の交付を受けようとする会派の代表者は、毎年度、所定の交付申請書により、議長を経由して市長に申請し(施行規則第2条)、交付申請書を受理した市長は交付額を決定し、所定の交付決定通知書により、議長を経由して当該会派の代表者に通知するものとされ(施行規則第3条)、その交付決定通知書を受け取った会派の代表者は、毎月5日までに所定の交付請求書を市長に提出し(施行規則第4条)、市長は、原則として、毎月11日に政務活動費を交付することになっている(条例第3条第1項及び施行規則第5条)。
 イ 政務活動費を充てることができる経費の範囲
 (ア) 政務活動費の交付の対象となる経費は、会派が行う調査研究、研修、広報、情報収集、広聴、要請、陳情、各種会議の開催等市政の課題及び市民の意思を把握し、市政に反映させる活動その他市民の福祉の増進を図るために必要な活動(以下「政務活動」という。)に要する経費として、次に掲げる経費に限り充てることができるとされている(条例第7条)。

費目 政務活動に要する経費
調査研究費 会派が行う本市の事務及び地方行財政等に関する調査研究に要する経費
研修費 会派が行う研修会の開催に要する経費及び団体等が開催する研修会への会派としての参加に要する経費
広報費 会派が行う政務活動についての市民への広報に要する経費
情報収集・広聴費 会派が行う市民からの市政及び政務活動に対する要望及び意見の聴取、市民相談等に要する経費
要請・陳情活動費 会派が行う要請及び陳情の活動に要する経費
会議費 会派が行う各種会議の開催に要する経費及び団体等が開催する意見交換会等各種会議への会派としての参加に要する経費
資料作成費 会派が行う政務活動に必要な資料の作成に要する経費
資料購入費 会派が行う政務活動に必要な図書、資料等の購入に要する経費
人件費 会派が行う政務活動を補助する職員の雇用に要する経費
事務所費 会派が行う政務活動に必要な事務所の設置及び管理に要する経費

 (イ) なお、議員の行う活動は、ここでいう政務活動以外にも、政党活動、後援会活動などの活動があり、それらの行為には、政務活動費を充てることは許されず、また、両者の性格を持つような場合は、政務活動に相当する部分だけ政務活動費を充てるように按分などが求められている(第4・1⑴オのマニュアル等)。
 ウ 収支報告書の提出及び政務活動費の返還
 会派の代表者は、当該年度に交付を受けた政務活動費について所定の収支報告書を作成し、全ての支出について、領収証書又は会派の代表者の支払証明書の写しを添えて、当該年度終了後30日以内に議長に提出し(条例第9条第1項及び施行規則第8条)、議長は、それらの収支報告書及び証拠書類の写しを速やかに市長に送付しなければならないこととされている(施行規則第9条)。
 また、会派は、当該会派がその年度において交付を受けた政務活動費の総額から、当該会派がその年度において支出した政務活動費の総額を控除して残余がある場合は、収支報告書の提出後速やかに、当該残額に相当する額を市長に返還しなければならないとされている(条例第9条第3項)。
 これは、政務活動費が年度を越えて余れば不当利得となり、そのことを明確にしたものと解されている(平成30年11月16日最高裁判決)。
 エ 政務活動費の経理等
 会派は、所属議員のうちから経理責任者を選任しなければならず(条例第8条)、また、交付を受けた政務活動費の保管状況を明確にするとともに、その経理は以下のとおり行うものとされている(施行規則第10条)。
 (ア) 政務活動費の支出の決定は、会派の代表者が行うこと。
 (イ) 経理責任者は、会派の代表者が発行する所定の収入支出伝票により出納を行うこと。
 (ウ) 政務活動費を支出したときは、領収証書を徴すること。ただし、領収証書を徴し得ないものについては、会派の代表者の支払証明書をもって代えることができる。
 (エ) 政務活動費の出納のみを行う預金口座及び経理簿を備えること。
 さらに、会派は収入支出伝票、領収証書等政務活動費の収入及び支出に関する証拠書類並びに経理簿収支報告書の提出期限の日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならないとされている(施行規則第10条第2項)。
 オ マニュアル等
 市議会は、政務活動費(平成25年3月1日前は、政務調査費)の使途に当たっての判断基準とするため、基本的留意事項、不適切な事例、具体的な使途例等を記載したマニュアルを平成19年6月21日に策定して、以後裁判例等をみながら数次にわたって改定を重ねてきている。
 また、政務活動費の適切な運用に疑義が生じた際実施した弁護士への法律相談の平成20年度以降の内容をまとめた「政務活動費に関する法律相談記録」(以下「法律相談記録」という。)を平成21年4月に議会事務局において作成の上、市議会各会派に配布し、以後、その内容を追加・編集の上、各会派に配布している。
 カ 広報費について
 条例では、第4・1⑴イでみたように、政務活動費の使途の一つとして広報費が定められており、それは会派が行う政務活動についての市民への広報に要する経費と規定されている。
 また、マニュアルでは、その具体的な使途例について、広報紙、市政報告書及び市議会活動報告等の作成・印刷経費、郵送等発送料、広報活動のため開催する会の会場費、機材借上料、茶菓子代、広報活動のための会への出席に伴う交通費、食糧費、ホームページ開設経費、管理運営費とされている。
 さらに、議員に配布された法律相談記録の中では、議員個人の広報紙発行に当たっては議員の宣伝とならないよう、掲載する議員の顔写真の大きさなどにも注意すべきとの内容の記載があり、顔写真については、紙面の縦横各5分の1にとどまれば、議員個人の宣伝が主目的ではないと認められ、紙面全面について政務活動費を充当することができるとされている。
 ⑵ 市長への調査
 ア 市長(議会事務局)から次の書類の提出を受け、条例、施行規則に基づき本件会派に対して平成29年度政務活動費3,584万8,781円が交付され、政務活動費収支報告書、領収証書等により残金146万5,512円の返還を受けていることを確認した。

  • 平成29年度の自由民主党・市民クラブの政務活動費交付申請書
  • 平成29年度の自由民主党・市民クラブの政務活動費交付決定通知書
  • 平成29年度の自由民主党・市民クラブの政務活動費収支報告書
  • 平成29年度自由民主党・市民クラブの政務活動費返還金の調定伺い
  • 広島市議会自由民主党・市民クラブ市政レポートVol.1/2018に係る領収証書

 イ 関係職員への聴き取り調査を行ったところ、次の内容の証言を得た。
 市長(議会事務局)では、送付された収支報告書及び領収証書等の写しについて、収入金額及び支出金額の計数確認を行うとともに、明らかに政務活動費に充当できない支出がないかについて外形的審査を行っている。なお、本件広報紙については市長への提出義務はなく、現物確認は行っていない。
 ⑶ 関係人への調査
 ア 地方自治法第199条第8項の規定により、関係人である監査対象に係る会派(自由民主党・市民クラブ)の代表者等に対して、本件広報紙に係る経理簿、見積書、契約書、納品書、ポスティング・郵送履行確認書類、支出伝票、領収証書等の提出を求めて、本件会派の政務活動費に係る関係書類の調査を行うとともに、文書による調査等を行った。
 イ その結果、次のとおり確認された。
 (ア) ホームページで公開されている見積書の「自由民主党・市民クラブ合同広報資料」が本件広報紙と同一のものであることが確認された。
 (イ) 本件広報紙がマニュアルに従って保管されていることが確認された。
 (ウ) ポスティング・郵送について受注業者の報告書により履行確認されていることが確認された。
 (エ) 本件広報紙を作成するに当たりマニュアル及び法律相談記録に照らして政務活動費の対象以外の広報・選挙活動に該当する部分がないか検討したかどうか確認したところ、顔写真の縦横それぞれの寸法について1人分であれば全長の5分の1であり、顔写真の面積については13人分の顔写真の面積の合計が紙面全体の面積の5分の1になるように検討した旨回答があった。
 (オ) なお、見積書が徴取された平成30年3月19日のすぐ翌日の同月20日に支払いがされていることについて本件会派の経理担当者に確認したところ、同年2月から3月にかけて既に準備段階として業者と打ち合わせをしていたとのことであり、実際に平成30年2月以降に発行部数検討のため数回見積りを徴取したことや原稿の打ち合わせなど、受注業者とやりとりをしていたことが確認された。

2 判断

 請求人は、平成29年度の政務活動費を充当して発行した本件広報紙において、顔写真等が政務活動費の使途基準を超えていると主張しているものと認められることから以下検討する。
 ⑴ 広報紙の政務活動費の充当の適否に関する考え方
 本市では、政務活動費について、条例及び施行規則のほか、使途基準の明確化を図るため議会において作成されたマニュアルに準拠しながら、運用が図られている。
 マニュアルでは、本件のような、条例に規定された政務活動費の使途の一つである広報費を充てて会派の広報紙を作成・印刷等をすることについては、広報費の例示の一つとして認められている。
 一方で、このマニュアルでは、「政務活動費の支出に当たっての基本的留意事項」として政務活動の目的が市行政と関連性を有することや政務活動費の各支出が政務活動の目的からみて合理性、必要性を有していることなどが示されるとともに、議員の活動には政務活動以外にも、選挙活動、政党活動など様々な面を持っており、その境界が必ずしも明確でないとの認識の下、このように政務活動費として支出すべき実額の範囲が困難な場合は、使用する量、面積及び時間などの実績又は実情を考慮した合理的な按分による算定方法により政務活動費を支出する額を算定するものとされている。
 この点に関して、議員個人の広報紙の発行に関し、氏名や顔写真などを掲載する場合にその作成・印刷経費全額について政務活動費を充当することが許されるか否かについては、市政に関する記事(文字・写真)及びそれらに関する議員個人の意見が紙面の大部分を占める場合は、政務活動費から全額支出することができるが、議員個人の氏名や顔写真の掲載については議員個人の宣伝という面もあるため、氏名が題字の大きさと同じ程度にとどまり、顔写真も紙面の縦横各5分の1にとどまれば、議員個人の宣伝が主目的ではないと認められ、紙面全面について政務活動費を充当することができる旨の弁護士の見解が示され、これが法律相談記録の一つとして各会派に配布され、政務活動費の使途基準の一つとして認識されている。
 広報紙における議員の氏名や顔写真などの掲載について示されたこの見解は、その内容から、平成22年11月5日東京高裁判決を基に示された見解であると認められるが、その後の裁判例でもこうした点を争点とするものが多くある。
 最近の裁判例である平成30年3月27日大阪高裁判決をみても、その概略としては、政党活動、選挙活動及び後援会活動そのものを具現化するようなものは政務活動費を充当することができないが、それら以外で、議員が行う県政の政策等に関わる情報とはいえない記事や写真については、その内容や大きさ、配置からみて、当該情報との合理的な関連性を有することが明らかな場合などであれば当該情報の一部を構成するものとして按分を要せず政務活動費を充てることができ、また、議員のプロフィールも当該情報の発信者を説明するものとして相当な範囲に収まり、当該情報との合理的な関連性があると認識できる限度においては同様と解されるとされている。
 そこで、これら法律相談記録や裁判例を基に、本件広報紙の個々の掲載事項について、その内容や大きさ、配置からみた上で、政務活動費の充当の適否(按分の要否)を検討する必要がある。
 ⑵ 本件広報紙の掲載内容
 本件広報紙は、D3版二つ折りで、表紙のある面には、右半分に(a)市政レポートの標題、会派のロゴ等、(b)議会制度の紹介記事が、左半分に(c)市の平成30年度予算の概要記事、(d)会派の取り組む市政トピックス記事が掲載されており、その裏面には見開きで、議員個々に、(e)議員の氏名、(f)議員の顔写真、(g)議員の当選回数及び役職、(h)市政ビジョン、(i)政策・主な提言、(j)座右の銘が会派所属議員13人分と、中央部に(k)会派の取組姿勢及びロゴが掲載されている。
 ⑶ 本件広報紙の検討
 ア 表紙のある面について
 この面については、会派として取り組んでいる政務活動の概要を記載する(d)の記事と、これを理解する上で前提となる(b)及び(c)の記事や情報発信者の説明となる(a)の記事で構成されており、全体として政務活動に関わる記事ということができる。
 イ 見開きの面(アの面の裏面)について
 各議員の紹介記事が多く占めているこの面について、個々にみてみると、
 (ア) (e)議員の氏名については、題字と同じ程度にとどまっており、直ちに政務活動費の使途基準を超えたものとはいえず、また、(g)議員の当選回数及び役職についても、広報紙の発行者である会派の紹介として、その会派を構成する議員個々のプロフィールを掲載するもので、内容、大きさともに相当の範囲内にあると認められる。
 (イ) また、(h)市政ビジョン及び(i)政策・主な提言についても、議員ごとの政務活動に取り組む視点を要約列記したものととらえることができ、政務活動に関する記事と認められる。
 (ウ) さらに、(k)会派の取組姿勢及びロゴについても、その配置位置や大きさから、会派の紹介として相当の範囲にとどまっているものと認められ、直ちに政務活動費の使途基準を超えたものとはいえない。
 (エ) 一方で、(f)議員の顔写真については、各人の顔がアップでカラーにより撮影されたものであり、その内容が政務活動中の写真でもなく、その大きさも一人一人でみれば紙面の縦横5分の1にとどまっているものの、この紙面全面をみたとき(イ)で認められた政務活動に関する記事より13人の顔写真が大きく目立つように配置されていると認められることから、広報紙の発行者の説明という意味合いを超え、個々の議員の紹介・宣伝の効果を目的としたものと認めざるを得ず、この部分全部について政務活動費を充当することは適当ではない。
 (オ) 同様に、(j)座右の銘についても、広報紙の発行者を構成する議員の紹介というより、個々の議員の政治信条の類としてその紹介・宣伝であると認めざるを得ず、この部分についても政務活動費を充当することは適当ではない。
 ウ 以上みてきたように、本件広報紙に掲載された記事等のうち、少なくとも(f)議員の顔写真及び(j)座右の銘については、政務活動費対象外部分として、政務活動費を充当することは適当ではない。

3 結論

 以上のことから、本件会派が、政務活動費対象外部分((f)議員の顔写真及び(j)座右の銘に相当する部分)を含む本件広報紙の作成・印刷・配布等の経費全額について政務活動費を充当したことは適当でない。
 したがって、本件会派が本件広報紙の作成・印刷・配布等の経費全額に充当した政務活動費のうち、政務活動費の充当は適当でないとした作成・印刷経費及び配布・送料相当額について、市長は按分して算定し、本件会派に対し、その相当額を広島市へ返還するよう請求すべきである。

第5 勧告

 本件措置請求については理由があるものと判断し、地方自治法第242条第4項の規定に基づき、市長に次のとおり勧告する。
 広島市は、本件会派が政務活動費を充当した本件広報紙のうち政務活動費の充当は適当でない議員の顔写真及び座右の銘に係る部分に相当する額を按分して算定し、その額について本件会派に対し不当利得返還請求をすること。
 なお、本勧告に対する措置の期限は、令和元年11月20日までとし、地方自治法第242条第9項の規定に基づき、措置期限までに講じた措置の状況について、同月27日までに監査委員に通知されたい。

第6 意見

 今回の政務活動費に係る監査を通じ、その適正な運用について、以下のとおり意見を述べる。

政務活動費の適正な使用については、市長の意見書で引用された最高裁判例で示されたとおり、議会と執行機関との抑制と均衡の理念に鑑み、議会(各会派)の自律が期待されており、個々の必要性については議員の合理的判断にゆだねられる部分がある。市議会ではこれを踏まえ、政務活動費の運用マニュアルを作成している。
 一方、議員や会派の広報紙作成に政務活動費を充てたことを争点とした近年の裁判例をみると、写真等の単なる大きさだけでなく、その内容の意義や適正性をもって政務活動費を充てることの可否が判断されている。
 そうした中、政務活動費の適正な使用を議会において自律的に担保するためには、支出する際の基準が社会的に妥当なものであるかどうかを確認することが必要と考えられる。上記政務活動費の性格上、支出に当たって明らかに充当できないものがないかなど外形的審査しか行われていない状況であるが、他都市の動向や直近の裁判例等について情報の把握に努めるなど、予算の適正な執行を図られたい。
 公金である政務活動費には、全国的にも従前から住民の厳しい目が注がれており、住民訴訟においても多くの返還事例が発生している。本市においても政務活動費の使途について市民に誤解を招くことのないよう不断の努力を望むものである。