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清掃作業の指導監督業務に係る特殊勤務手当支給について

ページ番号:0000287269 更新日:2022年7月19日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第29号

  令和4年7月7日

 令和4年5月9日付け第203号で受け付けた広島市職員に関する措置請求について、その監査結果を地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第5項の規定により、別紙のとおり公表する。

広島市監査委員 政氏 昭夫

同       井戸 陽子

同       山路 英男

同       山内 正晃

別紙

広監第71号

令和4年7月7日

請求人

(略)

広島市監査委員 政氏 昭夫

同       井戸 陽子

同       山路 英男

同       山内 正晃

   広島市職員に関する措置請求に係る監査結果について(通知)

 令和4年5月9日付け第203号で受け付けた広島市職員に関する措置請求(以下「本件措置請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第5項の規定により監査を行ったので、その結果を同項の規定により次のとおり通知する。

 

第1 請求の要旨

 請求の要旨は、請求書の記載内容から抜粋引用すると、大要は次のとおり。

 清掃作業の指導監督業務に係る特殊勤務手当支給に関する措置請求

(1) 監査請求の概要

 広島市では、「職員の特殊勤務手当に関する条例」(以下、「条例」という。)及び「職員の特殊勤務手当の支給に関する規則」(以下、「規則」という。)により、以下の通り規定されています。

○「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」として、環境局に勤務する職員の行う、清掃作業の指導監督業務に月額5,500円を支給する。

○「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」として、(1)ごみ及びがれきの収集に関する指導業務、(2)ごみの焼却処分に関する指導業務、(3)ごみ及びがれきの埋立処分に関する指導業務、(4)し尿の収集に関する指導業務、(5)し尿浄化槽の維持管理に関する指導業務を、あらかじめ定められた勤務時間以上従事したときに、日額1,310円を支給する。

 このことにより、職名が「清掃指導員」である職員に、出勤したすべての月に対して月額5,500円(16日以上出勤の場合)、出勤する日ごとに1,310円(勤務が通常行われる日の勤務時間の場合)の特殊勤務手当が支給されています。

 他都市では、「著しく特殊」な業務ではないとして支給のない手当が、広島市では、ひと月に21日勤務した場合、月額5,500円+日額1,310円×21日=33,010円支給されています。

 しかし、その支給は、以下に記述の通り、条例及び規則に照らして不適切な支給であり、かつ給与の情勢適応の原則などに照らしても不適切であることから、是正を求めて監査請求するものです。

ア) 規則が禁止している「併給」を行っていること。

 規則第26条は、「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当(別表第3の(1)の表第2種の項第3号に掲げる運転業務又は収集作業に従事したときに支給されるものを除く。)については、月額の特殊勤務手当と日額をもつて定められている特殊勤務手当(以下「日額の特殊勤務手当」という。)を重複して支給しない。」と規定しており、塵芥車によるごみ収集作業(運転業務を含む)に従事する職員以外の職員への併給を禁止しています。

 清掃指導員は、「清掃作業の指導監督業務」を行う場合、規則別表第3の(2)の表第2種の項第1号によって「廃棄物の処理作業等に従事する職員」となります。(「処理作業等」の「等」が「清掃作業の指導監督業務」と考えられます。)

 そこで、「廃棄物の処理作業等に従事する職員」たる清掃指導員には、月額と日額の特殊勤務手当を併給できないと規定されており、日額と月額の併給を行うことは違法・不当な財務会計処理になると考えられます。

イ) 「清掃作業の指導監督業務」以外の業務に対しても特殊勤務手当が支給されていること。

 指導監督業務に携わる職員には、条例及び規則によって、「清掃作業の指導監督業務」を行う場合、特殊勤務手当が支給されることとなっています。

 そこで、清掃指導員の実際の業務内容を、古い資料ではありますが、平成30年度の西環境事業所の職務分担表によって、指導係の清掃指導員について調べました。

 ここで主張する主旨は、現時点の職務分担でも変わりはないと思います。

 平成30年度には、西環境事業所の指導係には、4名の「清掃指導員」という職名の方がおられました。

 指導係の職務分担表15項目の業務のうち、「清掃作業の指導監督」に該当すると思われる業務は、委託業務に関する業者の指導と排出指導ではないでしょうか。

 その業務の割合は、A氏の場合、ご自身の全業務のうちの20%、B氏の場合は同じく25%、C氏及びD氏の場合は同じく4%です。

 これは計画であって実績ではありませんが、年度の計画を立てる時には前年度以前の実績を考慮して作成しているはずですので、大きな違いはないものと考えられます。

 このように、職名が清掃指導員であっても、全ての職務時間を「清掃作業の指導監督」に充てている訳ではありません。

 条例及び規則の規定は、「清掃作業の指導監督業務」に従事する場合に支給するとされていますので、清掃作業の指導監督業務に従事した日のみ手当を支給すべきところ、全ての出勤月において月額、全ての出勤日において日額の特殊勤務手当を支給していることは違法・不当な財務会計処理になると考えられます。

ウ) 支給対象や支給額を条例で規定せず規則に委ねたことが違法であること

 他の政令指定都市を調べたところ、清掃作業の指導監督業務を「著しく特殊な業務」とはとらえておらず、特殊勤務手当は支給していません。

 私たちには、指導監督業務が、「著しく危険、著しく不快、著しく不健康又は著しく業務遂行が困難で、著しく特殊である」とは思えませんので、広島市以外の政令指定都市の判断に首肯するものです。

(2) 請求の対象となる職員

 広島市長及び特殊勤務手当支給に関わる職員

(3) 損害の推定

 過去5年間で約7800万円

 西環境事業所の指導係の4名の「清掃指導員」について、平成30年度の職務分担表で調べたところ、「清掃作業の指導監督」に該当する業務は、4名の平均として、各人の全業務の12.25%でした。

 令和3年10月の特殊勤務手当の総額を推定すれば、およそ144万円で、月額支給分がおよそ26万円、日額支給分がおよそ118万円です。併給は違法・不当として月額分の全額(約26万円)、実際に清掃作業の指導監督業務に従事したのは全体の12.25%であると考え、日額分の87.75%(約104万円)は違法・不当な支給として、これらを合わせた130万円が、粗削りではありますが、違法・不当に支給されたと考えられます。

 過去5年間では7800万円(130万円×12×5年)程度になると考えられます。

(4) 請求する措置

・条例の見直しにより、清掃作業の指導監督業務への特殊勤務手当を廃止すること。

・違法に支給した特殊勤務手当を返還すること。

(事実を証する事実証明書として次の書類が提出されているが、添付を省略する。)

【事実証明書1】「職員の特殊勤務手当に関する条例」及び「職員の特殊勤務手当の支給に関する規則」のうち清掃作業の指導監督業務に係る部分

【事実証明書2】職名が「清掃指導員」である職員に、出勤したすべての月に対して月額、出勤する日ごとに日額の特殊勤務手当が支給されている事例

(令和3年10月西環境事業所)

【事実証明書3】職務分担表の事例(平成30年度西環境事業所指導係)

【事実証明書4】政令指定都市におけるごみ収集処理及び指導監督業務への特殊勤務手当の支給実態(広島市以外では指導監督業務への支給はない)

【事実証明書5】令和3年10月の4環境事業所の清掃指導員への特殊勤務手当支給実態から推定した1か月の特殊勤務手当のおおよその支給額

(開示請求した資料に基づき、監査請求人がまとめたもの)

 

第2 請求の受理

 本件措置請求は、地方自治法第242条第1項の所定の要件を具備するものと認め、令和4年5月27日に、同月9日付けでこれを受理することを決定した。

 

第3 監査の実施

1 請求人による証拠の提出及び陳述

(1) 地方自治法第242条第7項の規定に基づき、請求人に対し、証拠の提出及び陳述の機会を設けた。

(2) これを受けて、請求人のうち1名は、次のとおり、書類を提出するとともに、令和4年6月24日、本件措置請求の要旨に沿って陳述を行い、残る2名は書類の提出もなく陳述も行わなかった。

ア 提出された書類

・「清掃作業の指導監督業務に係る特殊勤務手当支給に関する措置請求に係る新たな証拠の提出」

【事実証明書追加1】清掃作業の指導監督業務に係る特殊勤務手当についての中環境事業所長及び給与課長の回答

【事実証明書追加2】平成21年3月10日付けで奈良市監査委員に提出された「収集課の職員が行う電話受付作業等の業務に対する大型ごみ業務手当の支給」に関する住民監査請求に対する監査結果(平成21年5月8日勧告)(平成21年6月1日発行奈良市公報)(ウエブ上から)

【事実証明書追加3】特殊勤務手当支給によって、市に損害を与えたとして、市に対して、元市長、元出納室長及び元人事課長にあわせて約4370万円と年5分の割合による金員を支払うよう請求又は賠償命令することを命ずる判決(大阪高等裁判所平成20年(行コ)第76号(平成21年5月21日判決))最高裁が上告棄却、上告不受理の決定をしたため高裁判決が確定。(ウエブ上から)

【事実証明書追加4】奈良市の住民が住民監査請求を行い、市監査委員が特殊勤務手当の支出についての請求を棄却する旨の決定をし、その旨原告らに通知していたとのことの一審判決の記載(ウエブ上から)

【事実証明書追加5】同上住民監査請求(ごみ処理事業についての包括外部監査結果等の報告書受領後も漫然と不適正な支出を続けていた事による公金の損害金を返済するよう求めるもの)の監査結果(平成18年1月24日棄却)(平成18年2月27日発行奈良市公報)(ウエブ上から)

【事実証明書追加6】清掃指導員勤務日誌の一例

(添付を省略する。)

・「清掃作業の指導監督業務に係る特殊勤務手当支給に関する措置請求に係る新たな証拠の提出(その2)」

【事実証明書追加7】環境局関係の高額な特殊勤務手当を問題視して、令和2年9月9 日付けで、市民団体が環境局長に提出した質問書に対して、1年後の令和3年9月8日付けで広島市がした回答

【事実証明書追加8】「清掃指導員勤務日誌」の一例

【事実証明書追加9】「運行日誌」の一例

(添付を省略する。)

・「清掃作業の指導監督業務に係る特殊勤務手当支給に関する措置請求に係る新たな証拠の提出(その3)」

【事実証明書追加10】業務第一係E清掃指導員の令和3年12月の「清掃指導員勤務日誌」

【事実証明書追加11】業務第二係F清掃指導員の令和3年12月の「清掃指導員勤務日誌」

【事実証明書追加12】令和3年12月の中環境事業所の公用車の運行日誌

(添付を省略する。)

イ 主な陳述の内容

・清掃指導員の職務分担は、清掃作業の指導監督に該当する業務以外の業務の割合が多いにもかかわらず、出勤した全ての月、全ての日に対して月額及び日額の特殊勤務手当が満額支給されているのは不当であること。

・特殊勤務手当の本来の目的や支給要件を逸脱して支給しているのではないかという点についても監査してもらいたいと考えていること。

2 広島市長(環境局業務部業務第一課)の意見書の提出及び陳述

 広島市長に対し、意見書及び関係書類等の提出を求めたところ、令和4年6月10日付け広業一第15号により意見書が提出された。なお、陳述は行われなかった。

 意見書の主な内容は、以下のとおりである。

(1) 事実

 清掃作業の指導監督業務に従事する職員への特殊勤務手当は、職員の特殊勤務手当に関する条例及び職員の特殊勤務手当の支給に関する規則に基づき支給している。

(2) 本市の意見の趣旨

 本件措置請求は、理由がないものである。

(3) 本市の意見の理由

ア 規則が禁止している「併給」を行っていることについて

 制度所管課からの見解のとおり。

イ 「清掃作業の指導監督業務」以外の業務に対しても特殊勤務手当が支給されていることについて

 清掃指導員は、市民へのごみの分別や出し方に係る指導、事業者へのごみの排出指導、家庭ごみ収集運搬に係る指示等の指導監督業務を行っている。

 請求人は職務分担表に記載している単位業務のごく一部のみが清掃作業の指導監督業務にあたるとしているが、清掃指導員に割り振っている単位業務は、それぞれの業務が相互に関連し合って、前述した清掃指導員による指導監督業務となるものである。

 清掃作業の指導監督を行う職員に対する月額支給の「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」は、前述した指導監督業務を行っている清掃指導員の職に着目して支給することとしており、勤務日数が16日以上であれば月額で、16日未満であれば日割で支給している。

 また、日額支給の「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」は、ごみ及びがれきの収集に関する指導業務に対して支給するものであり、清掃指導員が前述した業務に従事した場合に支給している。

ウ 支給対象や支給額を条例で規定せず規則に委ねたことが違法であることについて

 制度所管課からの見解のとおり。

 以上のとおり、特殊勤務手当は、職員の特殊勤務手当に関する条例及び職員の特殊勤務手当の支給に関する規則に基づき支給しており、適正なものである。

3 広島市長(制度所管課である企画総務局人事部給与課)の見解

 広島市長に対し、職員の特殊勤務手当に関する条例を所管する観点から見解等を求めたところ、令和4年6月9日付け広人給第20号により以下のとおり回答があった。

(1) 制度所管課としての見解

 請求人の3点の主張に対する見解は、次のとおりである。

ア 規則第26条においては、「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当(別表第3の(1)の表第2種の項第3号に掲げる運転業務又は収集作業に従事したときに支給されるものを除く。)」について、月額支給と日額支給の特殊勤務手当を重複して支給しないこととしているが、「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」は、「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」とは別の手当であることから、対象業務に従事したときに支給することができる。

イ 月額の「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」は継続して対象業務を行う点に着目し、その職に対して支給することとしている一方、日額の「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」は業務内容に着目し、対象業務に従事した場合に支給することとしており、それぞれ手当の性質を異にしたものとなっている。

 なお、勤務実態を手当額に反映させるため、月額の「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」については勤務日数が16日未満であれば日割で、日額の「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」については正規の勤務時間が勤務が通常行われる日の勤務時間の2分の1に相当する時間である日である場合はおよそ2分の1の額を、それぞれ支給することとしている。

ウ  廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当については、条例第12条において対象作業を「廃棄物の処理作業等で市長の定めるもの」とし、手当額は「作業に従事した日1日につき730円の範囲内又は勤務1か月につき9,150円の範囲内で市長が定める額」と、上限額を条例に定めた上で、規則で具体的事項を定めている。これは、給与条例主義のもと、上限額を議会の議決に基づく条例で決定することによって、議会による民主的統制を及ぼすという住民自治の原則にかなうものである。

(2) 特殊勤務手当支給に関する各課等への指導状況

 各所属において行う支給事務については、職員向けのネットワーク内に給与の手引及び給与等支給事務の手引を掲載し、職員が閲覧できるようにするとともに、毎年度、職員向けに説明会を実施し、周知徹底を図っている。

4 監査対象事項

 請求人は、市が環境事業所の清掃指導員に対し「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」(月額5,500円)及び「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」(日額1,310円)を支給していることについて、これらの手当の支給対象業務に従事していない日に対しても当該手当を支給していると考えられることなどから、違法に支給した手当を返還させるとともに、条例及び規則を見直すことを主張していると認められる。

 このため、職員措置請求書に添付された事実証明書にあった広島市西環境事業所における令和3年10月分を例として、環境事業所の清掃指導員に対する「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」及び「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」の支給について、違法又は不当な点はないか監査する。

5 監査の実施内容

 請求人から提出された広島市職員措置請求書及び事実を証する書類、請求人の陳述の内容、広島市長から提出された意見書のほか関係書類を確認するとともに、関係職員への聴取りを行うなどして監査した。

 

第4 監査の結果

1 事実の確認

(1) 特殊勤務手当に係る本市の条例等の規定について

 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第24条第5項において、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は条例で定めることとされ、本市では一般職の職員の給与に関する条例(昭和26年3月30日広島市条例第62号。以下「給与条例」という。)第12条第2項の規定に基づき、職員の特殊勤務手当に関する条例(昭和26年8月11日広島市条例第21号。以下「特勤条例」という。)により特殊勤務手当の支給に関し必要な事項を定めるとともに、特勤条例第29条の規定に基づき、必要な事項を職員の特殊勤務手当の支給に関する規則(昭和57年広島市規則第22号。以下「特勤規則」という。)において定めている。

 本件請求にある廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当(以下「廃棄物特勤手当」という。)及び清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当(以下「清掃特勤手当」という。)はそれぞれ特勤条例第12条及び第13条に規定され、それぞれの手当の支給に関し必要な事項は特勤規則第11条及び第12条に規定されるとともに、廃棄物特勤手当については、特勤規則第26条において、日額の手当と月額の手当との併給ができないこととされるほか、特勤規則第27条の規定では、月額の手当について日数が足らない場合の減額が定められ、また、月額の手当を除く手当については、特勤規則第29条の規定により所定の実績簿の記録に基づき支給されることとされている。

 給与条例、特勤条例及び特勤規則における廃棄物特勤手当及び清掃特勤手当の規定を抜粋すると、次のとおりである(清掃作業の指導監督業務に従事する職員に適用される主な部分に下線を付している。(※注))。

ア 廃棄物特勤手当

 

条文

給与条例

(特殊勤務手当)

第12条 著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮を必要とし、かつ、その特殊性を給料で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員には、その勤務の特殊性に応じて特殊勤務手当を支給する

2 特殊勤務手当の種類、支給される職員の範囲、支給額その他特殊勤務手当の支給に関し必要な事項は、別に条例で定める。

特勤条例

(廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当)

第12条 廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当は、職員が次に掲げる作業に従事したときに支給する

(1) 廃棄物の処理作業、し尿浄化槽の検査作業、と畜場内における作業等で市長の定めるもの

(2) (略)

2 前項の手当の額は、次の各号に掲げる作業の区分に応じ、当該各号に掲げる額とする。

(1) 前項第1号の作業 作業に従事した日1日につき730円の範囲内又は勤務1か月につき9,150円の範囲内で市長が定める額

(2) (略)

特勤規則

(廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当)

第11条 条例第12条第1項第1号に規定する市長の定める作業は、別表第3の(1)の表及び(2)の表の支給対象となる作業欄に掲げる作業とし、同条第2項第1号に規定する市長が定める額は、別表第3の(1)の表の支給日額欄及び別表第3の(2)の表の支給月額欄に掲げる額とする。

(併給禁止)

第26条 廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当(別表第3の(1)の表第2種の項第3号に掲げる運転業務又は収集作業に従事したときに支給されるものを除く。)については、月額の特殊勤務手当と日額をもつて定められている特殊勤務手当(以下「日額の特殊勤務手当」という。)を重複して支給しない。

2~4 (略)

(手当の減額)

第27条 月額の特殊勤務手当(夜間学級担当教育職員の特殊勤務手当を除く。)を支給する場合において、職員が、次の各号のいずれかに該当する場合の当該手当の額は、当該各号の規定により算出した額とする

(1) 月額の特殊勤務手当の支給される職員の勤務した日数がその月について16日に満たない場合 16日と現に勤務した日数とを基礎とする日割計算により算出した額

(2)~(3) (略)

2 日額の特殊勤務手当のうち、次に掲げる特殊勤務手当の支給される作業に従事した時間が1日について4時間に満たない場合における当該手当の額は、条例又はこの規則の規定により受けるべき額の100分の60に相当する額とする。

(1)~(4) (略)

(5) 廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当

(6)~(7) (略)

3 (略)

(特殊勤務実績簿)

第29条 特殊勤務手当(月額の特殊勤務手当を除く。)の支給に関しては、所定の実績簿(略)に所要事項を記録し、これに基づいて支給するものとする。

 別表第3(第11条関係)

 廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当

(1)

種別

支給対象となる作業

支給日額

第1種

 (略)

(略)

第2種

1~2 (略)

3 環境局に勤務する職員の行うじんかい車(ごみの収集作業に従事するため同乗する職員の数が1のものに限る。)の運転業務又は当該じんかい車への同乗によるごみの収集作業

4~5 (略)

 

550円

第3種

 (略)

(略)

(2)

種別

支給対象となる作業

支給月額

第1種

1 環境局に勤務する職員の行うごみの収集作業(次号に掲げる収集作業を除く。)及びごみの処分作業

2 別表第3の(1)の表第2種の項第3号に掲げる運転業務及び収集作業

7,900円

第2種

1 環境局に勤務する職員の行うごみ運搬車の運転業務(第1種の項第2号に掲げる運転業務を除く。)及び清掃作業の指導監督業務

2 (略)

5,500円

イ 清掃特勤手当

 

条文

給与条例

(特殊勤務手当)

第12条 著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮を必要とし、かつ、その特殊性を給料で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員には、その勤務の特殊性に応じて特殊勤務手当を支給する

2 特殊勤務手当の種類、支給される職員の範囲、支給額その他特殊勤務手当の支給に関し必要な事項は、別に条例で定める。

特勤条例

(清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当)

第13条 清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当は、清掃作業に従事する職員が市長の定める作業の基準を超えて清掃作業に従事したとき、又は清掃作業の指導監督を行う職員が市長の定める業務に従事したときに支給する

2 前項の手当の額は、作業又は業務に従事した日1日につき1,590円(12月29日から翌年の1月3日までの間については、2,390円)の範囲内で市長が定める

特勤規則

(清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当)

第12条 (略)

2 条例第13条第1項後段に規定する市長の定める業務に従事したときは、次に掲げる業務にあらかじめ定められた勤務時間以上従事したときとする。

(1) ごみ及びがれきの収集に関する指導業務

(2) ごみの焼却処分に関する指導業務

(3) ごみ及びがれきの埋立処分に関する指導業務

(4)~(5) (略)

3 条例第13条第2項の規定により市長が定める額は、作業又は業務に従事した日1日につき、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に掲げる額とする。

(1) (略)

(2) 前項各号に掲げる業務にあらかじめ定められた勤務時間以上従事したとき 1,310円(正規の勤務時間が勤務が通常行われる日の勤務時間の2分の1に相当する時間である日及びこれに相当する日については、660円)

4 (略)

(特殊勤務実績簿)

第29条 特殊勤務手当(月額の特殊勤務手当を除く。)の支給に関しては、所定の実績簿(略)に所要事項を記録し、これに基づいて支給するものとする

 

(2) 技能業務職員に対する給与等の支給に係る制度について

 地方公務員法第57条に規定する単純な労働に雇用される職員、すなわち本市の清掃に携わる職員の多くが該当する技能業務職員の給与については、地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和27年法律第289号)附則第5項において準用する地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第39条において地方公務員法第24条の規定が適用除外されるとともに、同項において準用する地方公営企業法第38条第4項の規定により定められた給与条例附則第4項では、給与条例の給料表の適用を受ける職員の給与を基準とし、その職務と責任の特殊性を考慮して、別に定めるとされ、これを受け、技能業務職員の給与に関する規則(昭和32年広島市規則第75号)において技能業務職給料表を定めるとともに、技能業務職員に対する給与の種類、額、支給条件及び支給方法については、同規則に定めるものを除くほか、給与条例の適用を受ける職員の例によるとされている。

(3) 清掃指導員の行う「清掃作業の指導監督業務」に係る廃棄物特勤手当及び清掃特勤手当の支給の趣旨及び要件について

 条例及び規則の規定の内容や関係課等からの聴取りなどを踏まえ、次のことが認められる。

ア 清掃作業の指導監督業務は、月額の廃棄物特勤手当の支給対象となっている(特勤条例第12条第1項第1号並びに特勤規則第11条及び別表第3の(2)の表第2種第1号)。

 廃棄物特勤手当は、その作業の不快性、不健康性等を考慮して、特勤条例において、その作業に従事した職員に月額又は日額で支給するよう設けられたもので、支給について、特に、日額のほか、月額が設けられたのは、その作業を日々継続して行うことを通例とするという点に着目して設けられたものと解することができる。

 次に、清掃作業の指導監督業務は、市民へのごみの分別や出し方に係る指導、事業者へのごみの排出指導、家庭ごみの収集運搬に係る指示等に係る業務であるとされるが、その際、個々具体の単位業務のみにとどまらず、指導監督の場所や方法を問わず、その準備や整理も含め、それぞれが相互に関連し合って一連の指導監督業務を成していると理解され、運用されている。

イ また、清掃作業の指導監督業務は、日額の清掃特勤手当(特勤条例第13条第1項並びに特勤規則第12条第2項及び第3項第2号)の支給対象にもなっている。なお、この清掃特勤手当とアの廃棄物特勤手当とは、それぞれの手当の支給趣旨が異なることから、併給は禁じられていない。

 この清掃作業の指導監督業務に係る清掃特勤手当は、その業務の困難性を考慮して、特勤条例において、その業務に従事した職員に日額で支給するよう設けられたものである。

 次に、この手当の支給対象となる清掃作業の指導監督業務として、ごみ及びがれきの収集に関する指導業務などが特勤規則で掲げられ、その内容は、市民へのごみの分別や出し方に係る指導、事業者へのごみの排出指導、家庭ごみの収集運搬に係る指示等の業務であるとされるが、その際、アの廃棄物特勤手当の場合と同様に、個々具体の単位業務のみにとどまらず、それぞれが相互に関連し合って一連の指導監督業務を成していると理解され、運用されている。

 なお、この清掃特勤手当の支給に当たっては、指導業務にあらかじめ定められた勤務時間(すなわち7時間45分)に従事したときに支給するとされているほか、所定の実績簿に所要事項を記録し、それに基づいて支給されることになっている。

(4) 環境事業所における廃棄物特勤手当及び清掃特勤手当の支給について

 広島市西環境事業所における令和3年10月分の支給事務について確認したところ、休暇等により清掃指導員として従事していない日を除く全ての日について、清掃指導員業務日誌が作成されており、当該業務日誌には、一部に所内での作業内容について詳細な記載がないものも見受けられたが、業務日誌の記載内容や職員への聴取りなどから、清掃指導員が清掃作業の指導監督業務に従事したと確認できた日を基礎としてこれらの手当が支給されていた。

2 判断

 清掃指導員が行う指導監督業務に係る特殊勤務手当については、月額の廃棄物特勤手当及び日額の清掃特勤手当の2つの手当がそれぞれ支給要件を満たせば支給されることとなっている。

 月額の廃棄物特勤手当の支給については、その業務を日々継続して行うことを通例とするという点に着目して特勤条例において月額として設けられたものであり、清掃指導員が実際に行った指導監督業務について監査したところ、それらの指導監督業務に関わる業務は日々継続的に行われていると認められた。

 また、日額の清掃特勤手当の支給については、清掃作業の指導監督業務の内容として、直接的な場面での指導を核としつつも、その前後の業務を含む運用がなされている。こうした運用については、明確な基準はないものの指導業務の性格などを考慮すると、直ちに不合理であるとまではいえず、監査した限りにおいて、清掃業務といえないものが含まれているとは認められなかった。加えて、支給手続についても適正に行われていた。

 なお、このほか、請求人は、特勤規則で禁止されている月額と日額の特殊勤務手当の併給を行っていること及び現行の特勤条例は給与条例主義からすれば違法であると指摘しているが、これらの点についても監査した結果、前者については、規定上、月額の廃棄物特勤手当と日額の清掃特勤手当の併給は禁じられておらず、後者についても、一定の上限額を条例で定めて規則に委任している場合は給与条例主義に違反しないと解されており(同旨判決 大阪高裁平成19年10月31日)、本件においても特殊勤務手当の上限額を条例で定め、その範囲で同手当の額を定めても問題はないと考える。

 以上のとおり、環境事業所の清掃指導員に対する廃棄物特勤手当及び清掃特勤手当の支給について、監査した限りにおいて、違法又は不当な点があるとまでは認められない。

3 結論

 請求人の行った本件措置請求については、理由がないものであり、請求を棄却する。

 

第5 意見

 廃棄物特勤手当及び清掃特勤手当については、現状においては、その規定の内容が複雑であることに加え、前記のとおり基準となるものがない中で前後の業務を含んだ運用がなされている、業務日誌に詳細な記載がない事例があるといった状況が認められる。

 これらの手当を含む特殊勤務手当のあり方や運用については、一般に、市民の厳しい目が向けられているものであることから、市においては、このことを十分認識し、他の地方公共団体の状況も把握しながら、手当の支給対象業務の明確性の向上や支給対象となる業務の実施に係る記録の正確な作成などに意を用いて、市の特殊勤務手当に係る制度及びその運用について、市民に説明し理解を得られるよう努めていくことが望まれる。

 

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