本文
本市では、「脱炭素社会の構築に向けて取り組み、2050年までに温室効果ガス排出量の
実質ゼロを目指す」ことを表明し、省エネルギー対策の推進や再生可能エネルギーの導入
促進などに取り組んでいます。
本スタジアムにおいても、この取組における実効性をより一層高めるため、次のことに
取り組んでいます。
エコスタジアム『環境にやさしいサッカースタジアム』の実現に向けた取組
〇 省エネルギー性能
本スタジアムでは、施設の省エネルギー性能において『ZEB Ready』※1を達成
しました。
また、建築物省エネルギー性能評価制度(BELS)において、スタジアムでは国内初
となる最高ランクの『BELS★★★★★』※2及び『ZEB Ready』※1の評価
を取得しました。
また、本事業は環境省の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(建築物等の脱炭素化・
レジリエンス強化促進事業のうち、新築建築物のZEB化支援事業(レジリエンス強化型の
新築建築物ZEB実証事業))の採択を受け、補助金の交付決定を受けました。
※1 「ZEB Ready」とは、建物で通常想定される年間のエネルギー消費量が、再生可能エネルギーを除く省エネの取組により、
50%以上削減した建築物の省エネルギー指標です。
※2 「BELS」とは、「Building-housing Energy-efficiency Labeling System」の略称で、建築物の省エネルギー性能に関する
第三者認証による評価で、星の数で5段階評価され、星5つが最高ランクとなります。
〇 環境性能
本スタジアムの環境性能の評価として、『CASBEE広島』※3において、最高ランク
である『Sランク』を達成しました。
※3 「CASBEE広島」(広島市建築環境総合性能評価システム)とは、省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった
環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建築物の品質を、本市の地域特性等を加味して、総合的に評価
するシステムです。
〇 エコスタジアムの実現に向けた設備の整備等の状況
本スタジアムでは、再生可能エネルギーを積極的に活用する計画としており、その活用策
の一つとして太陽光発電設備を設置します。
8月10日に、スタジアム屋根部分に設置する、太陽光を電気に変換するパネルが現場に
搬入されました。
上の写真は、ドローンでスタジアムを上空から撮影した写真です(9月12日撮影)。
スタジアムの屋根の南西及び南東部分に、全体で480枚のパネルを設置しました。
こちらは、屋根に設置された太陽光パネルを撮影した写真です。
太陽光から得られた電気は、スタジアムの内部で使用する照明などに利用します。
発電電力は約200kWで、施設全体の使用電力量の約12%となる予定です。
発電により電力会社から購入する電力が削減でき、年間約146tの二酸化炭素の
削減効果が見込まれます。
この削減量は、本スタジアムのフィールド(105m×68m)の約23.2面分に
あたる、16.6haのスギ人工林が吸収する二酸化炭素の量と同程度です。
また、一部の電気をスタジアム内に設置した蓄電池に充電しておくことで、災害等
による停電発生時に、一部の照明を点灯させることができます。
本スタジアムでは、エコスタジアムの実現に向け、高効率の空調機器を導入して使用
エネルギーの削減を図っています。
この写真は、先日公開したイメージパースにもありました、1階の西側にある「トンネル
ラウンジ」(入退場する選手をガラス越しに見ることができる、特別感のある空間)から
撮影した写真です。
選手入場口や、「トンネルラウンジ」の天井内にも、上の写真のように高効率の空調機器
を設置しています。
選手はこのトンネルラウンジの向こうの入場口を通り抜け、奥に見えるフィールドに入場
します。
これから試合に向かう選手の姿を、快適な空間から見送っていただくことができます。
1階トンネルラウンジ(イメージパース)
本スタジアムでは、省エネルギー効果の高いLED照明器具を採用しています。
こちらは、メインスタンドの屋根下に配置した競技用の照明器具です。
試合・イベント開催時に十分な明るさを確保するための設備で、LED照明器具を
採用しています。
競技用の照明の他、観客用・演出用のLED照明器具も設置しています。
こちらは、フィールド北側のスタンド上部に設置したメインの大型映像装置です。
幅32m×高さ9mの大きさは、サッカー専用スタジアムでは国内最大級となります。
国立競技場に設置されているものと同サイズで、この大きなスタジアムにおいても、
ひときわ存在感を放っています。
また、フィールド南側のスタンド上部には、サブの大型映像装置(幅16m×高さ9m)
を設置します。
これらの大型映像装置は、試合時には出場メンバーや得点の表示だけでなく、様々な
演出映像を映し出すことができ、LED素子を使用したフルハイビジョンの迫力ある演出を
視覚的に届けることができます。
スタンドの上層部と下層部の間に設置した帯状映像装置(リボンビジョン)についても、
LED素子を使用した装置を採用しています。
リボンビジョンは全長が380mあり、スタンドの西・北・東面にフィールドを囲むよう
に連続して設置しています。
試合・イベント開催時の出場メンバーや得点を表示するとともに、照明設備・音響設備と
連携して演出映像を映し出したり、広告を表示することができます。
次表の通り、照明設備や音響設備等の動作試験を予定しております。
※1 上表の赤字以外の動作試験は、通常作業時間(8:30~19:00)で断続的に行う試験です。
また、赤字の動作試験は、昼間に実施しますが機器が鳴動するものや、通常作業時間を
超えて実施する試験となります。
※2 11月下旬から実施を予定している競技用照明設備及び競技用音響設備の動作試験に
ついては、各機器の性能を確認する必要があるため、実際の運用より出力を上げて試験を
行うことがあります。
○ 競技用照明設備の一斉点灯について
スタジアムの競技用照明について、10月2日(月)の18:00から10分間、
一斉点灯を行いました。
今後様々なチェックを行い、それぞれの照明器具が正常に作動することを確認します。
その後、音響機器や大型映像装置との連動試験や、照度測定を行う予定です。
南サイドスタンド(ホームゴール裏)から北サイドスタンド方向を撮影
バックスタンド上部の競技照明がフィールドを照らします。
メインスタンド上部の競技照明です。
南サイドスタンド
3階西側のVVIP観覧席より
大型映像装置のメインビジョンについて、10月23日(月)の18:30から30分間、
点灯試験を行いました。
今回の点灯試験では、コントローラーの操作により、テストパターン「(1) 白 → (2) 赤 →
(3) 緑 → (4) 青」を順次表示させました。
提供:大成建設KK
暗闇の中でLEDの光に照らされるスタジアムは、まるで映画のワンシーンの様です。
大型映像装置の設置工事に携わった工事施工者は、初めてビジョンが点灯する様子を
感慨深い表情でしっかりと確認していました。
大型映像装置のサブビジョンについて、11月6日(月)に点灯試験を行いました。
今回の点灯試験もメインビジョン同様、コントローラーの操作により、テストパタ
ーン「(1) 白 → (2) 青 → (3) 緑 → (4) 赤」を順次表示させました。
提供:大成建設KK
南側サイドスタンド(ホームスタンド)やフィールドに自然光を取り込むための透明な
ETFE膜をサブビジョンと一緒に臨める光景となっています。
サブビジョンは引き続き竣工に向けて順次試験を進めていく予定です。
統合演出設備の試験運転について、11月13日(月)16時30分ごろから約2
時間程度実施しました。
今回は映像送出装置の動作確認も行っており、メインビジョンとサブビジョンに
「建設中の作業風景」や「県・市の観光PR」の動画を映し出しました。
また、試験運転はビジョンのみのパターンとビジョンと競技用照明を点けたパターン
とで再生し、それぞれの観え方について確認を行いました。
大型映像操作室からの観え方
上層スタンドから観たメインビジョン
上層スタンドから観たサブビジョン
上層スタンドから観たサブビジョン(拡大)
フィールド全体(パノラマ写真)
下層スタンドから観たメインビジョン(撮影:大成建設KK)
メインビジョンとフィールド散水
VVIPから観たメインビジョン
メインスタンドから観たメインビジョンとサブビジョンから各映像は、鮮やかに
映し出され、特にメインビジョンの映像は最も遠い席となる南スタンドからでも
しっかりと文字が視認できました。
下層スタンドから観たメインビジョンと照明(撮影:大成建設KK)
フィールドから観たメインビジョンと照明(南西ゲート付近)
フィールドから観たサブビジョンと照明(南西ゲート付近)
競技用照明を点灯した状態でフィールドから見上げたメインビジョンとサブ
ビジョンは、非常に迫力があり、薄暮のスタジアム内部を鮮やかに彩っていま
した。
日没後のメインビジョンと競技用照明(撮影:大成建設KK)
日没後のメインビジョンとコンコース照明
日没後に照明を消した状態のビジョンは、暗がりの中明るく浮き上がる様が非常に
印象的でした。また、コンコースの照明も一部点灯しており、スタジアムの雰囲気づ
くりに一翼担っていると感じます。
迫力のある映像をメインビジョンとサブビジョンに映し出すなど、実際の運用に近
い形で試運転を行うことができました。
統合演出設備に関しては引き続き試験調整を進めていく予定です。
11月29日(水)の15時から、芝と大型ビジョン、リボンビジョンを報道
関係者に初めて公開しました。
今回は、サンフレッチェ広島やサンフレッチェ広島レジーナの選手をはじめと
したサッカー関係者も併せて来場しました。
来場者による芝と映像の確認
メインビジョンにはスタジアムの建設中の動画から始まり、ドローンによるスタジ
アム周辺の空撮映像、広島県・市の観光PR動画やサンフレッチェ広島のゴールシーン
集などの動画を、32m×9mの画面いっぱいに映し出しました。
メインビジョンの画面を最大限活用した映像はとても鮮やかで迫力があり、スタジ
アム内を大きく盛り上げてくれることを実感しました。
建設工事中の映像(メインビジョン)
建設工事中の映像(サブビジョン)
また、メインビジョン・サブビジョン上部に設置しているリモートカメラ
の映像を各ビジョンに映し出し、その映像にメッセージを重ねるテロップ機
能を活用したウェルカム映像を披露しました。
ウェルカム映像(リモートカメラ映像へのテロップ挿入)
選手拡大映像(リモートカメラ映像へのテロップ挿入)
今回初めて公開したリボンビジョンには「ようこそ 広島サッカースタジアムへ
!!」と表示する動画を再生しました。
リボンビジョンの映像は非常に滑らかで視認性も良く、試合時等には大型ビジョ
ンや競技用照明・競技用音響などと連動させた統合的な演出に期待が膨らみます。
「ようこそ広島サッカースタジアムへ!!」の文字
「ようこそ広島サッカースタジアムへ!!」の文字(英語版)
大型ビジョンとリボンビジョンを同時に映し出すことができ、徐々に完成形に近
づいていることを実感した報道関係者への公開となりました。
スタジアム完成まで残り1か月を切り、引き続き実際の運用に近い形で試験を行
っていく予定です。
12月13日(水)に19時30分から20時までの30分間、スタジアム内の
案内や音楽、DJ音声等の実際の運用を想定した試験を実施しました。
当日は、サッカーの試合開催日を想定し、実際のDJによる選手の入場アナウンス
と入場曲の再生やホームチーム得点アナウンス及び効果音などを音圧を変えながら
、基町町内会長様方や指定管理者(サンフレッチェ広島)をはじめ、広島市環境保
全課や工事受注者(大成建設JV)、スタジアム建設部職員など様々な関係者が集ま
って基町アパート1コア18号棟の屋上でどのように音が届くかを確認しました。
今回の試験時の参加者の意見等を踏まえて、スタジアム内の競技用音響設備の
最終調整を行っていく予定です。
○ 12月15日(金)の17時からパークビジョン(スタジアム東壁面1階にあるビ
ジョン)の試験点灯を実施しました。
横長のビジョン(約15m×3m)には現場の作業風景動画やドローン映像などを
写し出しました。
スタジアム東側1階のスパイラル広場付近の壁面に、来られた方をスタジアムへ誘
導し、広場エリアとの一体感を生み出す役割を担うビジョンを設置しています。
通常の16:9のサイズの映像であれば3画面分の映像を映し出すことが可能です。
また、それぞれ別々の動画・静止画も映し出せます。
こちらはメインビジョンの試験点灯時に使用した32:9(16:9の2画面分)の映
像です。画面の両端の映像が映っていない部分も合わせると最大で48:9の横長の映
像を映し出すこともできるシステムとなっています。
32:9の両端の映像が映っていない部分も、お知らせや広告等の静止画や動画コン
テンツを映し出すことができ、いろいろな使い方ができるポテンシャルを感じる試験
点灯でした。
○ 12月18日(月)の17時30分から演出照明設備の試験点灯を実施しました。
演出照明設備はスタジアム西面、南面、東面の観客席の裏側や四方の屋根裏を照射
するよう約200台のLED照明を設置しており、点灯状況や変色・点滅等の制御状況
を確認しました。
当日は以下の内容で構成したプログラムで正常に点灯されるかを確認しました。
・ 紫色
・ 動きのある虹色
・ 動きのある白色
・ クリスマスをイメージした配色
紫色(南東のペデストリアンデッキ上より)
虹色(南東のペデストリアンデッキ上より)
白色(南東のペデストリアンデッキ上より)
クリスマスカラー(南東のペデストリアンデッキ上より)
虹色(南西の空鞘橋上より)
クリスマスカラー(南西の空鞘橋上より)
今回の試験点灯で、点灯等に問題ないことが確認でき、どの色も鮮やかにスタジ
アムを演出していました。
クリスマスカラー(スタジアム内部より)
南西吹き抜け部の鉄骨柱
観客席の裏側や屋根裏の他に、南西と南東にある吹き抜け部の鉄骨柱(2本の大き
な柱)にも演出照明を設置しており、特徴的な三角形を形作った柱を強調することで、
外から見るスタジアムをより印象的に演出できると感じました。
演出照明設備も稼働が確認でき、新しい広島のシンボルとしてのサッカースタジア
ムの完成がいよいよ間近に迫ってくるのを感じます。
また継続的な試験点灯を、12月22日~12月24日の17時30分~18時3
0分で実施する予定です。
〇 今後も、エコスタジアムの実現に向けた設備の整備等の状況について、 工事の進捗に
合わせ、紹介していきます。