包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表(令和6年1月25日公表)
広島市監査公表第1号
令和6年1月25日
広島市監査委員 古川 智之
同 井戸 陽子
同 山本 昌宏
同 平野 太祐
地方自治法第252条の38第6項の規定により、広島市水道事業管理者から監査の結果に基づき措置を講じた旨の通知があったので、当該通知に係る事項を別紙のとおり公表する。
なお、併せて、広島市長及び広島市水道事業管理者から通知のあった監査の意見に対する対応結果についても、当該通知に係る事項を公表する。
平成30年度包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(こども未来局)
1 監査意見公表年月日
平成31年2月5日(広島市監査公表第1号)
2 包括外部監査人
大濱 香織
3 監査意見に対する対応結果通知年月日
令和6年1月12日(広こ指第1564号)
4 監査のテーマ
子ども・子育て支援事業の事務の執行について
5 監査の意見及び対応の内容
(1) 「広島市子ども・子育て支援事業計画」に掲げる確保方策の未達成について(所管課:こども未来局保育指導課)
監査の意見
平成27年3月に策定し、平成30年3月に改訂した「広島市子ども・子育て支援事業計画」において、病児・病後児保育事業を実施する施設について、平成27年度13か所に対して、平成28年度に1か所増設し14か所とし、さらに平成31年度にはもう1か所増設して15か所とする確保方策を掲げ、「確保の考え方」として「医療機関に付設される保育施設を増やして対応する。」としている。
しかし、病児・病後児保育事業を実施する医療機関付設施設は平成28年度以降増設されておらず、「広島市子ども・子育て支援事業計画」に掲げる確保方策は実現できていない。
看護師等の人材確保、病児・病後児保育の施設基準、収支に対する懸念等、どのような理由で病児・病後児保育に新規参入する医療機関が不足しているのか、要因の分析を行い、可能な限りの対策を取ることが必要である。
対応の内容
監査の意見を受けて、病児・病後児保育事業(以下「事業」という。)を実施する医療機関付設施設が増設されていないことについて、既存の事業者から聞き取りを行った結果、事業の実施希望者が少ないのは、収入不足により安定的な経営が難しいとの認識が定着していることが大きな要因であることが判明した。
全国的にも同様の状況であることから、国は、市町村に交付する交付金について、延べ利用児童数に応じた加算額を、従来は2,000人以上は一律としていたところ、平成30年度以降は2,200人以上の場合に200人刻みで加算額を設定したほか、基本分の単価も順次大幅に増額し、より安定的な経営ができるよう改善を図った。これを受けて、本市においても拡充された国の交付金を活用し、事業者に支払う委託料を増額した。
一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、事業の利用者数が大幅に減少したため、この減少が一過性のものであるかも含め、今後の利用者数の見込みについて慎重に判断する必要が生じている。
こうした中、新たに開設を検討している事業者からの相談に応じるとともに、状況の把握に努めるために既存の事業者からの情報収集を継続している。
これらを踏まえ、増設の必要性については、今後の事業の利用者数の見込み等を精査した上で、慎重に検討することとする。
(2) 利用料の減免を受けるために必要な証明書類についての説明の未実施について(所管課:こども未来局保育指導課)
監査の意見
病児・病後児保育を利用した児童の保護者は、施設に対して、施設が定めた利用料を支払う必要があるが、生活保護世帯、市町村民税非課税世帯、保護者が里親である世帯、所得税非課税世帯は、証明書類を提出することにより、利用料の減免を受けることができる。
ところが、利用料の減免を受けるために必要な証明書類について、広島市の病児・病後児保育に関するホームページやチラシには「証明書類が必要ですので、詳しくは、各施設にお問い合わせください」と記載しているのみで、具体的な記載がない。
一方、広島市の14の病児・病後児保育実施施設のうちホームページを有している13の実施施設全てのホームページにおいて、利用料の減免を受けるために必要な証明書類についての具体的な説明はない。多くが「具体的にはスタッフにご相談ください」と記載するのみである。
減免に必要となる具体的な書類を広く公表せず、曖昧にすることは、書類を入手し利用料を減免するかどうかの判断を行っている実施施設及び広島市に、仮に保護者から提出された証明書類に不足があっても減免を認める、という裁量の余地を与えることにつながるおそれがある。
全20政令指定都市の病児・病後児保育事業を紹介しているホームページを閲覧し、減免を受けるために利用児童の保護者が提出するべき書類について、各政令指定都市がどのような記載をしているのか調査した結果、全20政令指定都市のうち市のホームページ上で書類の名称等を明らかにしていない市は、広島市を含めて5市のみであり、他の15市は、市のホームページで証明書類の名称等について明示していた。
減免要件を判定するために必要となる書類は一律であり、施設ごとに減免要件を判定するために必要な書類が異なるわけではない。広島市が主体となり、減免に必要な書類を明示にすることが望ましい。
対応の内容
監査の意見を受けて、本市のホームページに病児・病後児保育の利用料の減免に必要な書類を種別(生活保護世帯・市民税非課税世帯・保護者が里親である世帯・所得税非課税世帯)ごとに明示した。
(3) 前払土地賃借料の取扱いについて(所管課:こども未来局保育指導課)
監査の意見
補助金の交付を受ける事業者が「前払土地賃借料」を貸主に支払えば、補助金の限度額の範囲内で将来の土地賃借料を制限なく補助金の対象にできるというのが現在の補助金の交付額算定の仕組みである。
前払する期間は補助金の交付を受ける事業者と土地の貸主が合意さえすれば任意に設定できるため、「前払土地賃借料」の額は、より多くの補助金の交付を受けるために、事業者自らが、事後的に本来は必要のない計画変更を行うことが可能な項目である。
実際に、入札の結果、本体工事費等が補助金交付決定時よりも低い金額で収まり、補助金交付額が減額されることが明らかになったタイミングで、当初の事業計画書では想定していなかった前払土地賃借料を4年分支払うという事業計画の変更を行い、結果として補助金額は交付決定額と同額となった、という必要性に疑義がある事例が見受けられた。
補助金の交付額の決定に当たり明瞭性を確保するために、前払土地賃借料については、計画変更の申請があった段階で、理由や経緯を含め必要性を精査するとともに、それが通常の商慣行や前例に照らして疑義のないものであることを確認した上で、変更を承認する必要がある。
対応の内容
施設整備に係る事業者負担の軽減の観点から、補助上限額の範囲内で事業者が事業計画の内容を変更すること自体は、必ずしも不適切とは考えていないが、監査の意見を受けて、前払土地賃借料の変更を含む事業計画変更の承認に当たり、申請前に事業者と事前協議を行い、計画変更の内容についてより慎重に確認を行うこととした。
(4) 転貸借契約に係る確認手続について(所管課:こども未来局保育指導課)
監査の意見
事業者Aが使用する借地については、保育園の園舎建物敷地部分につき「事業用定期借地権設定契約」が締結され、園庭及び駐車場部分につき「普通借地権設定契約」が締結されているが、これらの契約における貸主は、本来の土地所有者ではなく、いわゆる転貸借による借地権設定契約となっている事例があった。しかし、担当課はこの件について、当該土地所有者と上記各契約における貸主との「転貸借契約書」の確認を行っていなかった。
一般に土地転貸借契約は、土地所有者の承諾を得なければ、土地所有者との賃貸借契約における解除原因となることがある。
借地に係る予測不能の事態により、将来の事業継続に影響がないよう、担当課は借地に係る契約関係を慎重に確認した上で、補助金の交付決定を行う必要がある。
対応の内容
監査の意見を受けて、当該事業者が使用する借地に関する転貸借契約書が取り交わされていることを確認した。
また、今後は補助金の交付決定に当たり、申請前に事業者と事前協議を行い、将来の事業継続に影響がないよう借地に係る契約状況等について慎重に確認を行うこととした。
令和3年度包括外部監査の結果に基づいて講じた措置等の公表(水道局)
1 監査結果及び監査意見公表年月日
令和4年1月27日(広島市監査公表第2号)
2 包括外部監査人
中川 和之
3 監査結果に基づいて講じた措置及び監査意見に対する対応結果通知年月日
令和6年1月12日(広水財第96号)
4 監査のテーマ
水道事業に関する経営管理について
5 監査の結果(指摘事項)及び措置の内容
(1) 検針員の奨励金について(所管課:水道局営業部営業課)
監査の結果
現状(会計処理、問題点)
計量事務委託契約書で取り決められている検針員の奨励金について、引当計上されていない。
監査人の指摘
地方公営企業法施行規則において、引当金の取り扱いに関して以下のとおり規定されている。
第二十二条 将来の特定の費用又は損失(収益の控除を含む。)であつて、その発生が当該事業年度以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができると認められるものは、当該金額を引当金として予定貸借対照表等(令第十七条の二第一項第六号に掲げる予定貸借対照表及び法第三十条第九項に規定する貸借対照表をいう。以下同じ。)に計上し、当該事業年度の負担に帰すべき引当額を費用に計上しなければならない。
つまり、以下4要件に当てはまる場合は、引当金として負債計上及び引当額を費用計上しなければならない。
- 将来の特定の費用又は損失であること
- その発生が当該事業年度以前の事象に起因すること
- 発生の可能性が高いこと
- その金額を合理的に見積もることができること
当該規定に照らし、令和2年度末時点で検針員の奨励金については以下のとおり引当金を計上する要件を満たしているため、負債として認識する必要がある。
- 検針員に将来支払う特定の費用であること
- 発生原因が、計量事務の役務提供という当事業年度以前の事象に起因していること
- 計量事務委託契約書で取り決められていることから、発生の可能性は高いこと
- 計量事務委託契約書に奨励金の算出方法について取り決められていることから、合理的に奨励金を見積もることができること
措置の内容
経営の効率化を図るため、水道使用量の計量事務については、令和5年度から実施の水道料金等徴収業務委託契約に含めることとし、私人検針員との計量事務委託契約は令和4年度末をもって廃止した。
これに伴い、検針員の奨励金に係る引当金計上は不要となった。
(2) 検針員の慰労金について(所管課:水道局営業部営業課)
監査の結果
現状(会計処理、問題点)
計量事務委託契約書で取り決められている検針員の慰労金について、引当計上されていない。
監査人の指摘
結果11と同様に、地方公営企業法施行規則において、引当金の取り扱いに関して以下のとおり規定されている。
第二十二条 将来の特定の費用又は損失(収益の控除を含む。)であつて、その発生が当該事業年度以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができると認められるものは、当該金額を引当金として予定貸借対照表等(令第十七条の二第一項第六号に掲げる予定貸借対照表及び法第三十条第九項に規定する貸借対照表をいう。以下同じ。)に計上し、当該事業年度の負担に帰すべき引当額を費用に計上しなければならない。
つまり、以下4要件に当てはまる場合は、引当金として負債計上及び引当額を費用計上しなければならない。
- 将来の特定の費用又は損失であること
- その発生が当該事業年度以前の事象に起因すること
- 発生の可能性が高いこと
- その金額を合理的に見積もることができること
当該規定に照らし、令和2年度末時点で検針員の慰労金については以下のとおり引当金を計上する要件を満たしているため、負債として認識する必要がある。
- 検針員に将来支払う特定の費用であること
- 発生原因が、計量事務の役務提供という当事業年度以前の事象に起因していること
- 計量事務委託契約書で取り決められていることから、発生の可能性は高いこと
- 計量事務委託契約書に慰労金の算出方法について取り決められていることから、合理的に慰労金を見積もることができること
6 監査の意見及び対応の内容
計量事務委託契約について(所管課:水道局営業部営業課)
監査の意見
現状(問題点)
現在、広島市水道局は、水道使用量の計量事務については、一般私人との間で計量事務委託契約書を締結し、業務を委託している。委託期間は1年間で、更新が可能である。
委託手数料は計量したメーターの件数に応じて検針実績手数料が支払われることとなっている。それ以外に、検針実績手数料と契約年数に応じて求められる奨励金が年に2度支給され、委託契約終了時には、検針実績手数料と契約年数に応じて求められる慰労金が支給される。
詳細情報
【現在の契約内容】
計量事務委託契約書
第3条(委託期間)
委託期間は令和N年4月1日から令和N+1年3月31日までとする。ただし、委託期間満了の日の1か月前までに委託者から何らの意思表示がないときは、引き続き1年間更新する。
第8条(奨励金)
委託者は、6月1日及び12月1日(以下「基準日」という。)に計量事務を受託している受託者に対して、奨励金を支払うものとする。
2 奨励金は、基準日以前6か月の検針実績手数料の総額を実際に従事した月数で除した額に、別表第4に定める契約年数による割合を乗じて得た額とする。ただし、前基準日から当該基準日までの従事月数が5か月以下の場合は、当該乗じて得た額に別表第5に定める割合を乗じて得た額とする。
第9条(慰労金)
委託者は、委託期間満了後引き続き契約を締結しないとき、又は契約の解除があったときは、受託者に慰労金を支払うものとする。ただし、第17条第2項第1号から第3号までの規定により契約を解除したときは、この限りではない。
2 慰労金は、委託期間満了後引き続き契約を締結しないとき、又は契約の解除があったときは、満了日又は解除日以前実際に従事した6か月の検針実績手数料の総額を6で除した額(以下「基本月額」という。)に受託者の契約期間1年につき100分の20を乗じて得た額とする。ただし、財団法人広島市水道サービス公社と計量事務委託契約を締結していた場合及び督促集金事務委託契約を締結していた場合の受託者の契約期間は、これを通算する。
所管課 | 件名 | 業務内容 | 契約額(総額) | 委託先 |
---|---|---|---|---|
営業部(営業課) | 計量事務 | 水道メーターの検針 |
単価契約 309,012,664円 |
私人86名 |
監査人の意見
契約内容を見ると、委託期間は1年間となっており契約更新をしないことも委託者である広島市水道局で判断可能であり、更新せずに新たな契約をする検針員については、従前の契約に含まれる委託手数料の内容を変更した上で新たな委託契約書を取り交わすことも検討する余地がある。
検針員の安定的な確保による業務の継続、新旧の検針員の公平性の問題など、様々な視点からも検討が必要な点ではあるが、経済的合理性の検討も必要であるため、経済的合理性の視点も持ちつつ、将来的には他自治体と同様に一括での外部委託契約も選択肢に入れて、内容の修正、変更の可否について検討してはどうか。
対応の内容
経営の効率化を図るため、水道使用量の計量事務については、令和5年度から実施の水道料金等徴収業務委託契約に含めることとし、私人検針員との計量事務委託契約は令和4年度末をもって廃止した。
このページに関するお問い合わせ
監査事務局監査第二課
〒730-8586 広島市中区国泰寺町一丁目6番34号 中区役所7階
電話:082-504-2535(直通) ファクス:082-504-2338
[email protected]