「令和8年度広島市農政に関する意見書」を広島市長へ提出しました。

農業委員会では、令和7年10月31日、福島会長ほか7名の農業委員・農地利用最適化推進委員が、農業委員会等に関する法律に基づき松井市長に「令和8年度広島市農政に関する意見書」を提出しました。
また、同日、八條広島市議会議長に対して、支援要請も行いました。この意見書は、農地等の利用の最適化の推進(担い手への農地利用の集積・集約化、耕作放棄地の発生防止・解消、新規参入の促進)に関する施策について、具体的な意見を提出するもので、その内容は次のとおりです。
1 農地の利活用について
地域の農地の適切な利用を推進するため、活用すべき農地の利活用の取組に対する支援の強化を行うこと。
説明
農業者の高齢化や減少が急速に進み、農地の保全等を含む集落活動が衰退しており、荒廃農地の増加等が問題となっている。
こうした背景の中、市は、令和7年3月末に地域の将来の農地利用の姿を明確化した地域計画を策定した。農業委員会は地域や関係者と協力しながら、農地調査による守るべき農地の把握や、就農者への農地あっせん及び就農後の支援などに取り組んでいるところであるが、地域計画の実現に向けて、市にはより一層、農地の利活用につながる対策を促進させることが求められている。
地域の現状として、農地の利活用は、今や個々の農業者の活動だけでは困難となってきている。そのため、農業者はもとより、非農家を含む協同労働団体などの地域団体等が、農地として保全・管理するための耕作放棄地対策や、農地の利活用に関する補助事業を積極的に活用し、活動できるよう支援の強化を図っていく必要がある。
2 多様な担い手の育成・支援について
営農が継続できる支援を行うとともに、農業に対する市民理解の醸成を図ること。
説明
昨年の秋以降、米の販売価格が高騰するなど、農産物価格への消費者の関心が高まる中、国においては、合理的な費用を考慮した価格形成に向けた食料システム法を創設するなど、コストの把握や見える化を促進しているところである。
農業者が営農を継続するためには、自らの努力によるコスト削減に取り組むことが必要であるとともに生産に係るコスト等を適切に価格へ転嫁し、尚且つ、消費者である市民も納得する合理的な価格を形成することが大切である。
そのため農業委員会においても、先進地視察による農業者のコスト削減につながる取組の事例紹介や、食農活動、広報誌「農業委員会だより」を通して農業者の情報を市民に伝えることにより、地産地消の大切さを広く周知し市民の農業に対する理解を促進してきたところである。
今後さらに、作業の効率化や省力化が図れるスマート農業等新技術の導入を推進するなど農業コストの削減に資する取組への支援と地産地消の大切さや生産現場の実情等を知ることができる場の提供、消費者の理解が得られる様々な場面をとらえたより効果的な情報を発信し、市民の農業への理解の醸成を図ることの両方を進めることが重要である。
3 有害鳥獣対策の強化について
深刻化している鳥獣被害の軽減のため、有害鳥獣対策の強化を図ること。特に、シカの捕獲の強化を図ること。
説明
市は、防除、駆除、環境整備の3手法で有害鳥獣対策に取り組んでおり、特に近年は、捕獲した有害鳥獣の焼却施設までの運搬等を民間事業者へ委託する「有害鳥獣駆除捕獲物処理事業」や、地域住民が主体的に取り組む対策を支援する「地域で取り組む有害鳥獣対策事業」など、市独自の取組により成果を挙げているものの、依然として農作物の鳥獣被害は深刻である。
特に、安佐北区を中心に生息頭数が増加しているシカについて、国では、シカの生息頭数を半減することを目標として取組を進めており、農業委員会においても、農業委員や農地利用最適化推進員の活動の中で、有害鳥獣対策に係る制度の普及啓発を図っているところであるが、被害を減少させるまでには至っていない。
そこで、今後、更に捕獲を進めていくために、例えば、森林環境譲与税を活用してシカの捕獲に対して報償金を増額することが考えられる。また、捕獲の増加を図るために、「有害鳥獣駆除捕獲物処理事業」により止めさしや運搬と併せて、ジビエへの利活用を積極的に進めていくことが必要である。
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