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細菌の一種であるリケッチアに感染して起こる感染症です。病原体は、つつが虫病リケッチア(Orientia tsutsugamushi)で、この菌を保有したツツガムシ(ダニの一種)の幼虫に刺されることで感染します。
患者の発生地域と時期は、媒介するツツガムシの種類とそれらの地理的分布および幼虫の活動時期によって異なります。国内でこの菌を媒介するツツガムシは主に、タテツツガムシ(東北南部から九州まで分布)、フトゲツツガムシ(全国に分布)アカツツガムシ(北日本の一部の限られた地域に分布)の3種です。タテツツガムシおよびフトゲツツガムシは秋〜初冬に孵化するので、この時期に多くの発生がみられます。また、フトゲツツガムシはその一部が越冬するため、春〜初夏にも発生がみられます。
つつが虫病は広く海外にも存在しており、輸入感染症としても重要です。
潜伏期間は5〜14日で、典型的な症例では高熱を伴って発症し、皮膚には特徴的なツツガムシの刺し口(黒色痂疲)がみられ、その後数日で体幹部を中心に発しんがみられるようになります。また、患者の多くは倦怠感、頭痛を訴え、リンパ節の腫れを伴うこともあります。治療が遅れると重症化することがあり、多臓器不全や死に至る場合もあるので、早期の診断と治療が重要です。
発熱、刺し口、発疹は「主要3徴候」とよばれ、多くの患者にみられます。
テトラサイクリン系などの抗菌薬による治療を行います。
ツツガムシに刺されないようにすることが最も重要です。
今年の報告はまだありません。
大部分が10月、11月に感染しており、秋〜初冬は注意が必要です。
※2019年~2023年に、つつが虫病と報告された届出40件のうち、感染時期の記載があった22件について感染月別に集計しています。
年齢別では、中高年の方に多く、70歳代が最も多くなっています。