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日本紅斑熱リケッチア(Rickettsia japonica)に感染して起こる感染症で、野外でこの菌を持ったマダニに吸着されることによって感染します。
広島県内の患者発生地域で採集されたヤマアラシチマダニから病原リケッチアが検出されており、広島県ではこのダニが日本紅斑熱の媒介動物であると考えられています。
つつが虫病と同様に、発熱、ダニの刺し口、発しんの3つが主な特徴です。
頭痛、発熱、倦怠感を伴って発症します。潜伏期は2~8日と、つつが虫病の5~14日に比べてやや短くなります。症状の主要な3つの特徴はつつが虫病と同じであり、ほとんどの症例に見られます。
つつが虫病と臨床症状が似ているため識別は難しく、確定診断には間接蛍光抗体法による血清診断や、特に刺し口(かさぶた)の遺伝子検査が有効です。
広島県での日本紅斑熱の媒介ダニと考えられているヤマアラシチマダニの活動時期は3月下旬~10月下旬で、この時期に患者の発生が見られます。なお、すべてのヤマアラシチマダニが病原リケッチアを保有していて危険なのではなく、一部に保有しているダニがおり、それに吸着されることで感染します。
テトラサイクリン系の抗菌薬が有効です。またニューキノロン系抗菌薬が有効であるとの報告もあります。早期に日本紅斑熱を疑い適切な抗菌薬を投与することが重要です。
この病気は、リケッチアに感染したダニに吸着されることによって感染しますから、ダニに吸着されないようにすることが最も重要です。特にダニの活動時期である3月下旬~10月下旬にかけて注意しましょう。
なお、現時点では、日本紅斑熱の予防のためのワクチンはありません。