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本文

包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表(令和5年12月20日公表)

ページ番号:0000364331 更新日:2023年12月20日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第33号
令和5年12月20日

 広島市監査委員 古川 智之
同 井戸 陽子
同 山本 昌宏
同 平野 太祐

包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表

 地方自治法第252条の38第6項の規定により、広島市長から監査の結果に基づき措置を講じた旨の通知があったので、当該通知に係る事項を別紙のとおり公表する。
 なお、併せて、広島市長及び広島市水道事業管理者から通知のあった監査の意見に対する対応結果についても、当該通知に係る事項を公表する。

令和4年度包括外部監査の結果に基づいて講じた措置等の公表(環境局)

1  監査結果及び監査意見公表年月日
  令和5年2月2日(広島市監査公表第3号)
2  包括外部監査人
    松本 京子
3  監査結果に基づいて講じた措置及び監査意見に対する対応結果通知年月日
    令和5年12月13日(広施埋第75号)及び同月18日(広施埋第78号)
4  監査のテーマ
  財産に関する事務の執行及び管理について
5  監査の結果(指摘事項)及び措置の内容
(1) 設置及び管理につき条例の定めがされていなかったことについて(大谷埋立地建設事務所及び揚湯施設建設用地上に建設されている志屋地区暫定ゲートボール場)
(所管課:環境局施設部埋立地整備管理課)

 
監査の結果
措置の内容

 広島市によれば、大谷埋立地建設事務所及び揚湯施設建設用地上に建設されている志屋地区暫定ゲートボール場(以下「本物件」という。)につき、全施設完成後、条例を定めることとしていたようである。しかし、公の施設の設置とは、住民の利用に供する施設の利用を開始することをいう(新版逐条地方自治法第9次改訂版1105頁)ところ、全施設完成を待って条例制定するとすれば、当該完成期間が長期にわたる場合、全施設のうち一部を先行して住民の利用に供された公の施設につき、その設置及び管理に関する条例の根拠がないことになり、条例制定により公の施設の設置及び適切な管理を確保しようとした法の趣旨に反する。本物件においても、約10年以上にわたり、設置管理条例の定めがされていなかった。
 今後は、公の施設の設置管理の際、長期にわたって条例制定がされていない事態を未然に防止する対策を講じるべきである。

 本物件のうち、志屋地区暫定ゲートボール場は、当時計画されていた大谷埋立地の建設を前提として整備することが決まっていた福祉センターの施設整備に先立ち、地元住民からの強い要望を受けて平成11年3月に暫定的に整備したものであり、福祉センターが建設された後に、その施設と一体の公の施設として設置及び管理に関する条例を制定する予定としていた。
 その後、大谷埋立地建設計画の中止に伴い、福祉センターの整備計画も廃止され、同ゲートボール場については、平成24年4月に地元団体と管理協定を締結し、住民の一般的な共同利用に供する施設ではなくなったが、それまでの間は、公の施設として条例の制定が必要であった。
 監査結果の公表後、再発防止に向け、条例の制定等を要するかどうかの問題が生じ得る施設の設置を予定する場合は、速やかに関係課と協議を行うよう、注意喚起を行った。


(2) 行政財産の用途廃止をせず普通財産に分類変更していないことについて(大谷埋立地建設事務所及び揚湯施設建設用地上に建設されている志屋地区暫定ゲートボール場並びに笹利スポーツ広場)
(所管課:環境局施設部施設課及び環境局施設部埋立地整備管理課)

 
監査の結果
措置の内容

 行政財産と普通財産とでは、その管理方法や手続が異なる(地方自治法第238条の4及び第238条の5、広島市財産条例第2条から第5条まで及び第9条、広島市財産規則第3章第4節及び第5節)。
 そのため、行政財産・普通財産を適切に分類しているかは当該財産の管理方法・手続に直接影響を及ぼす点で極めて重要である。
 たとえば、地元団体に当該財産の管理を委託する場合でいえば、前者は指定管理者制度、後者は管理協定によることが考えられる。<中略>大谷埋立地建設事務所及び揚湯施設建設用地上に建設されている志屋地区暫定ゲートボール場(以下「本物件」という。)についても、行政財産に分類したままであった以上、地元団体に包括的な管理を委託することは適当ではない。
 なぜなら、「清掃、警備などといった個々の具体的な業務を業務委託契約によって民間業者に個々に委託することはともかく、これらの業務を一の民間事業者に包括的に行わせることは、平成十五年改正の趣旨に鑑みれば原則として適当ではなく、当該民間事業者を指定管理者として指定すべきである」(逐条地方自治法1111頁、地方自治法質疑応答集三〇二七の三頁)からである。
 本物件については、本来の行政目的を失った平成23年頃の時点で、行政財産の用途廃止を行い、普通財産への分類変更を検討すべきであった。しかし、広島市はその検討を怠り、漫然と本物件を行政財産としたまま、地元団体と包括的管理協定を締結した。
 本物件以外にも、本物件と類似状況の他物件(笹利スポーツ広場)が存在する。
 同広場は、昭和60年の五日市町合併に伴い引継・取得したもので、公有財産台帳上、行政財産として登録しているが、当初から地元団体に加入する特定の者の利用に供することを目的とし住民の一般的な共同利用に供していなかった。
 同広場については、昭和60年の時点で、行政財産とするか普通財産とするかを検討すべきであったが、その検討を怠り、漫然と行政財産として分類登録した。
 したがって本物件及び同広場について、速やかに行政財産の用途廃止を行い、普通財産に分類変更すべきである。

 監査の実施を受けて本物件は令和5年1月31日付けで、監査の結果を受けて笹利スポーツ広場は同年3月8日付けでそれぞれ行政財産の用途廃止の上、普通財産へ分類変更を行った。


6  監査の意見及び対応の内容
    固定資産台帳上の名称・面積について(筒瀬グリーンバンク広場(仮称)事業用地)
 (所管課:環境局施設部埋立地整備管理課)

 
監査の意見
対応の内容

 本物件の固定資産台帳に記載されている「玖谷埋立地(筒瀬グリーンバンク広場)(インフラ資産/土地:一般会計:行政財産:面積なし:取得金額262,627,480円)」「グリーンバンク用地買戻し(インフラ資産/土地:一般会計:行政財産:面積なし:取得金額701,056,230円)」が、土地にもかかわらず面積の記載がないこと、公有財産管理システムに記載がないことについて確認した結果、「玖谷埋立地(筒瀬グリーンバンク広場)」は「筒瀬グリーンバンク広場(仮称)事業用地」に係る造成工事費用であり、「グリーンバンク用地買戻し」は「筒瀬グリーンバンク広場(仮称)事業用地」を用地先行取得特別会計から一般会計に買戻しした際の会計区分変更に伴い、固定資産台帳に記載されていた。
 このことから、固定資産台帳に記載された「玖谷埋立地(筒瀬グリーンバンク広場)」は土地の造成工事費、「グリーンバンク用地買戻し」は会計区分変更に伴う変更であるため、固定資産台帳上それぞれ土地として一の資産とするものではなく、「筒瀬グリーンバンク広場(仮称)事業用地」として同一の資産とわかるよう公有財産管理システムと同様の名称に一致させることが望ましい。
 また、本物件を精査したところ、面積は76,407平方メートルであるため、固定資産台帳についても正しい面積に修正することが望ましい。

 監査の意見を受けて、令和5年6月に、固定資産台帳に記載されている「玖谷埋立地(筒瀬グリーンバンク広場)」を「筒瀬グリーンバンク広場(仮称)事業用地(造成工事費用)」に、また「グリーンバンク用地買戻し」を「筒瀬グリーンバンク広場(仮称)事業用地(会計区分変更)」にそれぞれ修正した。
 また、登録が漏れていた2筆の地番を固定資産台帳へ追加し、面積を76,407平方メートルに修正した。

 

令和3年度包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(水道局)

1  監査意見公表年月日
  令和4年1月27日(広島市監査公表第2号)
2  包括外部監査人
    中川 和之
3  監査意見に対する対応結果通知年月日
    令和5年12月12日(広水財第89号及び第90号)
4  監査のテーマ
  水道事業に関する経営管理について
5  監査の意見及び対応の内容
(1) 幹部会議での審議事項について
 (所管課:水道局企画総務課)

 
監査の意見
対応の内容
​現状(問題点)

 広島市水道局幹部会議規程で開催が求められる幹部会議での議事録の保存期限3年に該当する令和2年度幹部会議、令和元年度幹部会議、平成30年度幹部会議において、審議実績がゼロである。審議すべき事項が十分に審議されていない可能性がある。
 広島市水道局幹部会議規程で開催が求められる幹部会議は、令和2年度幹部会議、令和元年度幹部会議、平成30年度幹部会議の議事録を通査した結果、以下のとおり開催されていることを確認した。しかしながら、保存されている議事録は全て報告事項のものであり、審議事項については、議事録では確認することができなかった。

 

 

平成30年度

令和元年度

令和2年度

課長会議

10回(面談)

12回(面談)

1回(面談)
※開催に代えて2回書面で報告

部長会議

35回(面談)

42回(面談)

9回(面談)
※開催に代えて15回書面で報告

 次に、「令和2年度末までに審議された最新の審議事項は何か」という質問を実施した。この質問に対し、保存が求められる3年間の議事録には審議事項がなく、それより以前は議事録の保存期限を経過しているため、最新の審議事項が不明との回答を得た。
 以下に広島市水道局幹部会議規程を抜粋する。

 

(構成員)
第2条 幹部会議は、部長会議及び課長会議とする。
(付議事項)
第6条 幹部会議に付議する事案は、審議事項及び報告事項とする。
2 審議事項は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 市の水道事業運営の基本方針に関する事項
(2) 重要な新規事業その他重要施策の策定に関する事項
(3) 重要な行事に関する事項
(4) 各部課の事業計画で、部課相互の調整を必要とする事項
(5) 前各号に掲げる事項のほか、管理者が必要と認める事項
3 報告事項は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 幹部会議で審議決定した事項の執行状況
(2) 条例案、予算案その他市議会提出議案
(3) 市の水道事業の業務の状況を説明する書類に関する事項
(4) 法令の制定、改廃その他により市の水道事業運営に重要な影響を与える事項
(5) 前各号に掲げる事項のほか、管理者が必要と認める事項
(審議決定事項の実施)
第7条 幹部会議において審議決定した事項の実施については、管理者が決定する。
(付議手続)
第8条 部課長は、所管事務のうち、幹部会議に付議すべき事案があるときは、速やかに付議を要求しなければならない。
2 部課長は、前項の規定により付議を要求するときは、その要旨及び資料を開催日の3日前までに企画総務課長に送付しなければならない。ただし、緊急を要するものについては、この限りでない。
(議事の記録)
第9条 企画総務課長は、幹部会議の議事を記録し、かつ、保存しなければならない。

 つまり、幹部会議に付議する事案は、当該事項が同規程の審議事項又は報告事項に当たり、部課長が付議すべきと判断したものとなる。
 同規程第6条で規定される審議事項に該当するか否かは、以下のような評価(解釈)が含まれ、何を審議事項とするか不明確である。
(例)
・(1) 市の水道事業運営の基本方針に関する事項の基本方針とは何か。
・(2) 重要な新規事業その他重要施策の策定に関する事項の重要とはどの程度か。
・(3) 重要な行事に関する事項の重要とはどの程度か。
・(4) 各部課の事業計画で、部課相互の調整を必要とする事項の部課相互の調整とは何か。
・(5) 前各号に掲げる事項のほか、管理者が必要と認める事項の管理者が必要と認める事項とは何か。
 つまり、部課長が、基本方針や重要施策等と評価(解釈)し、部課長が付議すべきと判断した場合は審議事項となり、幹部会議で審議されることとなる。
 広島市水道局幹部会議規程で開催が求められる幹部会議の議事録の保存期限は3年である。該当する3年間である令和2年度幹部会議、令和元年度幹部会議、平成30年度幹部会議において審議実績がゼロであるということは、以下のことが言える。
 当3年間(令和2年度、令和元年度、平成30年度)については、
(1) 市の水道事業運営の基本方針に関する事項
(2) 重要な新規事業その他重要施策の策定に関する事項
(3) 重要な行事に関する事項
(4) 各部課の事業計画で、部課相互の調整を必要とする事項
(5) 前各号に掲げる事項のほか、管理者が必要と認める事項
 について、該当がなかったということになる。
 何をもって重要とするか、何が基本方針かというような評価(解釈)はここでは問題としないが、審議実績がゼロであることは事実である。
 幹部会議の審議事項である、(1)市の水道事業運営の基本方針に関する事項、(2)重要な新規事業その他重要施策の策定に関する事項又は(5)前各号に掲げる事項のほか、管理者が必要と認める事項、として監査人が審議事項とも考えられる事項について以下(1)(2)(3)の質問を実施した。
(1) 審議の有無、
(2) 議事録の有無
(3) 実施していない場合はその理由
 以下に質問及び広島市水道局の回答の一部を記載する。​

 

 

 

(1)審議の有無

(2)議事録の有無

(3)実施していない場合はその理由

1

広島市水道ビジョンの策定

 「広島市水道ビジョン」の策定は、関係課と長期に渡って協議・調整を重ねながら作成するものであり、また、広島市水道局職務権限規程に則って適切に意思決定を行っている。こうしたことから、幹部会議で審議することはなじまない。なお、作成過程において、局内での情報共有は図られており、最終的な成果物も幹部会議へ報告している。

2

中期経営計画の策定

 中期経営計画の策定は、各部門から提出される資料(財政収支等要求資料)を基に作成するものであり、広島市水道局職務権限規程に則って適切に意思決定を行っている。このため、幹部会議で審議することはなじまない。なお、作成過程においては、必要に応じて各部門に対してヒアリング等を行うことで調整を図っており、最終的な成果物は幹部会議へ報告している。

3

広島市水道施設〔浄水場等〕維持保全計画

 維持保全計画策定の過程で、方針について関係課と協議・調整を重ねて決定しているため、幹部会議で審議することはなじまない。

4

広島市水道管路維持保全計画

 維持保全計画策定の過程で、方針について関係課と協議・調整を重ねて決定しているため、幹部会議で審議することはなじまない。

5

徴収業務の外部委託(外部委託すること自体の検討)

 徴収業務の外部委託については、組織及び人員に関わることであるため、幹部会議で広く審議する案件にはなじまないと考える。このため、管理者以下関係部課長(局次長、営業部長、人事課長、営業課長、業務管理担当課長)で審議し、意思決定を行った。なお、当該外部委託は、広島市行政経営改革推進プランの取組項目としているため、市長へも報告している。

6

施設の統廃合計画

 「広島市水道ビジョン」策定の過程で、各施策について関係課と協議・調整を重ねて決定しているため、幹部会議で審議することはなじまない。

7

府中浄水場の廃止決定について

 「広島市水道ビジョン」策定の過程で、各施策について関係課と協議・調整を重ねて決定しているため、幹部会議で審議することはなじまない。

8

広域連携の「統合以外の連携」を選択することについて

 広域連携の「統合以外の連携」の選択については、広島県水道広域連携協議会における検討を局内関係課と長期に渡って協議・調整を重ねながら行ったものであり、局内での情報共有は図られている。また、市長まで説明を行うとともに、市議会へ報告した上で意思決定を図ったものである。こうしたことから、幹部会議で審議することはなじまず、報告案件としたものである。

 このように、上記のいずれについても「幹部会議で審議することはなじまない」ことを、審議しない理由の一つと回答している。
 これについて他の結果(指摘)、意見と関連する内容について監査人の見解を記載する。
 水道料金の徴収業務という基幹業務の一部を委託することは、幹部会議の審議事項の(1)市の水道事業運営の基本方針に関する事項又は、(2)重要な新規事業その他重要施策の策定に関する事項であると考えられる。「ア.組織及び人員に関わることであるため、幹部会議で広く審議する案件にはなじまないと考える。」とあるが、組織及び人員に関わることは広島市水道局の全体に横断的にかかわることでもあり、幹部会議で報告事項として取り扱っているが、むしろ、広く審議したほうが良い案件とも考えられる。また、幹部会議で審議することがなじまないことを理由に幹部会議で審議しなくてよいのであれば、それを理由に審議されないことが慣例となり、幹部会議の審議事項が形骸化してしまうのではないか。
 次に広域連携の「統合以外の連携」を選択することについて、令和3年度包括外部監査意見交換会にて、以下の質問を実施した。

 

 

質問内容

回答

1

 広域連携の「統合以外の連携」を選択することについては、市の水道事業運営の基本方針に関する事項か。

 広域連携の「統合以外の連携」を選択することについては、市の水道事業運営の基本方針に関する事項である。

2

 広域連携の「統合以外の連携」を選択することについては、市の水道事業運営の基本方針に関する事項にもかかわらず、審議事項としない理由は何か。

(1) 水道局の幹部会議は、付議すること自体が目的ではなく、統一のある水道事業を能率的に遂行することを目的としている。
(2) 幹部会議で審議することはなじまず、報告案件としたものである。

 これらを踏まえて監査人の見解を記載する。
 広域連携の「統合以外の連携」が市の水道事業運営の基本方針に関する事項であるに該当するのであれば、幹部会議にて審議し、議事録を残した方が良いのではないか。
 上記の広島市の回答「(1)水道局の幹部会議は、付議すること自体が目的ではなく、統一のある水道事業を能率的に遂行することを目的としている。」とあるが、広島市水道局幹部会議規程に定める手順を経て、目的を達成できるとも考えられる。また、他の手段を利用することで目的を達成していると思っても、実は目的が達成されていない可能性もある。
 次に、「(2)幹部会議で審議することはなじまず」とあるが、幹部会議で審議することがなじまないことを理由に幹部会議で審議しなくてよいのであれば、それを理由に審議されないことが慣例となり、幹部会議の審議事項が形骸化してしまうのではないか。実際に、令和2年度幹部会議、令和元年度幹部会議、平成30年度幹部会議において、審議実績がゼロであり、幹部会議の審議事項について形骸化していると考えられる。
 全体的な広島市水道局の考えや主張を以下に記載する。

 

 幹部会議は、(1)付議すること自体が目的ではなく、統一のある水道事業を能率的に遂行することを目的としています。
 こうした中、業務の遂行に当たっては、(3)広島市水道局職務権限規程に基づき、事前協議や合議により、関係職位と協議・調整を行うことで、幹部会議に付議することなく当該目的を達成するものもあり、また、(2)案件によっては幹部会議に付議することがなじまない性質のものもあります。
 こうしたことを踏まえて、審議事項については、部課長が案件ごとに状況等を勘案の上、幹部会議に付議するか否かを判断しています。
 なお、上記のとおり、広島市水道局職務権限規程に基づく事前協議や合議によるものも含め、統一のある水道事業の能率的な遂行は確保しています。

※ 審議事項になじまない性質としているもののうち、報告事項として取り扱っている案件もある。
 上記(1)及び(2)については、前述したとおりである。(3)については、以下のように考える。
 「(3)広島市水道局職務権限規程に基づき、事前協議や合議により、関係職位と協議・調整を行うことで、幹部会議に付議することなく当該目的を達成するものもあり」とある。以下のとおり、広島市水道局幹部会議規程と広島市水道局職務権限規程の目的は類似している。

 

規程

目的

広島市水道局幹部会議規程

統一のある水道事業を能率的に遂行するため(左記規程第1条)

広島市水道局職務権限規程

事務の遂行の責任体制の確立と事務の組織的かつ能率的な処理を図ること(左記規程第1条)

 広島市水道局職務権限規程の目的は、「事務の遂行の責任体制の確立と事務の組織的かつ能率的な処理を図ること」であり、「広島市水道局職務権限規程に基づき、事前協議や合議により、関係職位と協議・調整を行うこと」で、広島市水道局幹部会議規程が掲げる目的の「統一のある水道事業を能率的に遂行すること」を達成できるとも考えられる。この点、広島市水道局職務権限規程があるにもかかわらず、広島市水道局幹部会議規程が存在する趣旨は、特に重要な事項については、合議体で慎重に審議されるべきということであると考えられる。この特に重要な事項が以下のとおり審議事項として規定されているものであると考える。
(1) 市の水道事業運営の基本方針に関する事項
(2) 重要な新規事業その他重要施策の策定に関する事項
(3) 重要な行事に関する事項
(4) 各部課の事業計画で、部課相互の調整を必要とする事項
(5) 前各号に掲げる事項のほか、管理者が必要と認める事項
 また、これらの審議の過程は議事録として残すこととなる。
 広島市水道局によると民間企業では、会社法の規定で、重要な業務執行は代表取締役等にその意思決定を任せることができず、取締役会が決しなければならないとされているが、水道局の幹部会議にはそうした規定はなく、取締役会とは性格を異にするものであるとのことであり、この点については理解し得るところである。
 しかし、幹部会議は業務の執行に関して決裁(決定)権限はないものの、事業に関わる高い見識を有する幹部が集まり業務に関して審議(討議・検討)を行う場であると理解する。そのため最終的な決裁は行わないものの、審議の内容が決裁に少なからず影響を及ぼすものと思われ、水道事業の経営管理にとって非常に重要な位置付けにあると考える。

監査人の意見

 幹部会議で審議すべき事項は審議されるべきである。しかし、その判断は部課長の評価(解釈)が介入するため、審議事項とされるべき事項も審議事項として付議されないおそれがある。審議事項とするかの判断に部課長の評価(解釈)を極力排除するため、審議事項を整理し、リストアップするなどして把握・周知していただきたい。また事前にリストアップできない事項については、適宜幹部会議の庶務である企画総務課に相談することが望ましく、審議事項としないと判断した事項は、審議事項としないとした旨及びその理由程度は記録に残すことが望ましい。

 幹部会議は、広島市水道局幹部会議規程第1条に基づき、統一のある水道事業を能率的に遂行するために設置しており、市の水道事業運営の基本方針及び重要施策に関する事項を審議することとしていた。
 しかしながら、当該規程を制定した当時(昭和38年)と比べると、事務事業が高度化、専門化していることから、幹部会議の審議事項を含め業務の遂行に当たっては、広島市水道局職務権限規程に基づく合議及び事前協議により、関係職位との協議・調整を行っている。
 このため、近年は、幹部会議の審議事項として付議された事案がなかったものであるが、監査の意見を受けて、また、上記の実態も踏まえ幹部会議に付議する事案について整理した結果、審議事項を廃止するとともに、報告事項を改めることとし、令和5年4月1日付けで広島市水道局幹部会議規程を改正した。
 なお、改正内容については、広島市水道局幹部会議の構成員に周知した。

 

(2) 幹部会議での報告事項について
 (所管課:水道局企画総務課)

 
監査の意見
対応の内容
​現状(問題点)

 令和2年度について部長会9回、課長会1回の開催実績であり、幹部会議の報告事項が網羅的に審議及び報告されない可能性があるのではないか。(審議事項については「意見1」参照)
 広島市水道局幹部会議規程の第4条に以下のとおり規定されている。
 「部長会議は、毎週1回開催する。ただし、都合により中止することがある。2項に、課長会議は、毎月1回開催する。ただし、都合により中止することがある。」
 コロナ禍等が理由で、幹部会議の開催が中止され、原則として求められる開催頻度で開催できないことは致し方ない。しかし、報告されるべきものが報告されなくても良いということではない。
 幹部会議の開催実績は以下のとおりである。(全て報告事項で審議実績はゼロである。「意見1」参照))

 

幹部会議

平成30年度

令和元年度

令和2年度

課長会議

10回(面談)

12回(面談)

1回(面談)
※開催に代えて2回書面で報告

部長会議

35回(面談)

42回(面談)

9回(面談)
※開催に代えて15回書面で報告

 令和2年度において、課長会議2回及び部長会議15回の合計17回を開催に代えて書面で報告したとしている。この点、広島市水道局が書面で報告したと主張する部長会議15回分に関しては、15回のうち、12回に「部長会議を開催しないこととする事務連絡」が記載されている。(ただし、5月11日分を除いて市議会の市長コメントがメールに添付されている。)
 つまり、令和2年度の課長会議1回(面談)、2回(書面)、部長会議9回(面談)、15回(書面:内12回は面談で部長会議を「対面で」開催しない旨の事務連絡)で網羅的に報告事項が報告されていない可能性がある。

監査人の意見

広島市水道局幹部会議規程に以下のとおり報告事項が規定されている。
(付議事項)
第6条 幹部会議に付議する事案は、審議事項及び報告事項とする。
(中略)
3 報告事項は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 幹部会議で審議決定した事項の執行状況
(2) 条例案、予算案その他市議会提出議案
(3) 市の水道事業の業務の状況を説明する書類に関する事項
(4) 法令の制定、改廃その他により市の水道事業運営に重要な影響を与える事項
(5) 前各号に掲げる事項のほか、管理者が必要と認める事項
 これらの報告事項に該当するとして、平成30年度及び令和元年度の幹部会議は以下のとおり、平成30年度は合計45回(面談)、令和元年度は合計54回(面談)開催されている。

 

幹部会議

平成30年度

令和元年度

令和2年度

課長会議

10回(面談)

12回(面談)

1回(面談)
※開催に代えて2回書面で報告

部長会議

35回(面談)

42回(面談)

9回(面談)
※開催に代えて15回書面で報告

合計

45回

54回

27回
※開催に代えて書面で報告したものを含む

 一方で、令和2年度は合計27回(面談10回、書面による報告17回)に過ぎない。これは、平成30年度及び令和元年度に不要な報告事項まで報告していたか、令和2年度に報告すべきものが報告されていない可能性がある。幹部の貴重な時間を割いてまで報告する必要がない事項も報告していたのならば時間と労力の無駄であるし、令和2年度が報告事項を網羅的に報告できなかったとすると、書面報告の内容の充実やWeb会議を早期導入する等をして、網羅的な報告がされるべきである。
 次に「意見1」の審議事項と同様に、幹部会議で報告すべき事項は報告されるべきである。しかし、その判断は部課長の評価(解釈)が介入するため、報告事項とされるべき事項も報告事項として付議されないおそれがある。報告事項とするかの判断に部課長の評価(解釈)を極力排除するため、報告事項を整理し、リストアップするなどして把握・周知することが望まれる。

 幹部会議は、広島市水道局幹部会議規程第1条に基づき、統一のある水道事業を能率的に遂行するために設置しており、幹部会議に付議する事案は審議事項及び報告事項としていた。
 審議事項は、市の水道事業運営の基本方針や重要施策の策定に関する事項等としていたが、当該規程を制定した当時(昭和38年)と比べると、事務事業が高度化、専門化していることから、こうした業務の遂行に当たっては、広島市水道局職務権限規程に基づく合議及び事前協議により、関係職位との協議・調整を行っており、近年は、幹部会議に付議された事案がなかったものである。
 報告事項は、新規事業や重要施策の執行状況等であったが、コロナ禍の影響等により、令和2年度においては付議すべき事案が減少していたものの、必要な事案は適切に付議していた。
 このため、監査の意見を受けて、また、上記の実態を踏まえて、幹部会議に付議する事案について整理した結果、審議事項を廃止するとともに、報告事項を改めることとし、令和5年4月1日付けで広島市水道局幹部会議規程を改正した。
 なお、改正内容については、広島市水道局幹部会議の構成員に周知した。
 また、会議の開催方法については、参集を基本とし、必要に応じてWebを活用することとした。

 

(3) 中期経営計画のローリングについて
 (所管課:水道局財務課)

 
監査の意見
対応の内容
​現状(問題点)

 平成30年度~平成33年度の中期経営計画を開示したのちに、平成30年度の西日本豪雨災害の影響で、主要施策に加わっているが見直し後の中期経営計画が開示されていない。この点について質問をしたところ、中期経営計画の大きな目的として中心となる財政収支計画を基に水道料金改定の要否について示すことにあるとの回答であった。平成30年7月豪雨災害復旧についてはその事業費が当初の財政収支計画に大きな影響を与えるものではないと判断し、中期経営計画の見直しは行わず、年度の予算実績へ反映させるとのことである。

詳細情報

 広島市水道局では中期経営計画における財政収支計画で計画期間である4年間の財政収支の見通しを立て、資金残高の推移を推計する。資金残高を十分確保できるようであれば、現行水道料金の水準を維持することとしている。つまり中期経営計画の作成は水道料金を改定するか否かを判断するための根拠とすることを一つの大きな目的としている。
 しかし、いわゆる中期経営計画の主な役割の一つとして、対象期間における事業が予定どおり進行しているか否かを確かめ、乖離していると認められる場合にはその原因を把握・分析し、事業遂行の軌道修正を行えるようにするというものがある。例えて言えば、航海に出る際の海図のような役割を有するものである。経営環境の大きな変化により中期経営計画対象期間の業績数値が予定数値と乖離する見込みがある場合、多くの民間事業会社では経営計画の見直し(ローリング)を実施する。平成30年度から平成33年度の中期経営計画の初年度に西日本豪雨災害が発生した。当災害は確かに水道料金改定をもたらすほどの影響はなかったかもしれないが、対象期間末の財政収支計画の当初見込業績から一定程度乖離する可能性がある場合は、補正を行い、公表する財政収支計画や中期経営計画にも反映させることが無理なく将来をも見据えた業務遂行を可能にし、経営の効率化にも繋がるのではないかと思われる。
 この点について広島市水道局では前出の豪雨災害など大きな事象が発生し、財政収支に影響が見込まれる場合は、一旦財政収支計画にどの程度影響するかの試算、検討は実施しているとのことである。検討の結果、水道料金水準を変更する程度の影響がないものと判断した場合は特に公表済の財政収支計画、中期経営計画の改定は実施せず、年度予算で調整するとのことである。
 年度予算は単年度ごとに策定し執行されるが、中期経営計画期間中に比較的影響の少ない災害や経済情勢の変化などの事象が起きたということであれば年度予算で吸収し、取り込むことは可能であるかもしれない。しかし、近年見られるように毎年のように何らかの災害が発生し、新型コロナウイルス感染症感染拡大のように社会的・経済的影響が極めて大きい事象が年度を跨ぐような形で起きた場合、果たして中期経営計画期間中の単年度予算で業務に過大な負担を課さずに吸収しきれるのかという点である。また、事象の発生により影響があると見込まれる場合は財政収支計画の検討を行うということであるが、その際に事象発生の都度その事象のみの影響について検討し計画からの乖離を見ているのか、もしくはその事象発生も含め、計画期間中にそれまで発生した事象も含めた累積値としての計画への影響を検討しているのかという点がある。現行の中期経営計画の見直しを行わなかったためにその積み残しが次期の中期経営計画に含められ無理が生じることや、積み残しが次期、次々期へと先延ばしされ、必要な施策がいつまでも実施されないこととなってしまうのではないかという懸念も生ずる。

監査人の意見

 毎年ローリングをするべきというのではなく、必要な時は一部修正する方針とし、検証は一定期間毎に行う方法でもよいと思われる。本来は水道局自ら検証を実施し、修正の要否を判断し、修正することが望ましいが、例えば当初の間は水道局と利害関係のない第三者である外部専門家による協議会を設置し、事業の遂行や財政収支の状況を踏まえて意見をもらうというのも一つの有効な方法と考える。例えば仙台市では「経営状況や基本計画・中期経営計画の実績評価等に、外部の有識者等から客観的な評価をいただくこと等を目的に、仙台市水道事業経営検討委員会を設置しています。」とあり大学教授等の外部専門家により仙台市水道事業経営検討委員会を設置している。現在の中期経営計画の役割を拡大し最大限経営に活用できるようにするための一つの方法として検討の余地はあると考える。

 中期経営計画の実施に当たって、計画と実績が乖離しているものについては、毎年度の予算編成過程の中でその原因を把握・分析し、その結果を予算へ反映させるとともに、財政収支への影響について試算を行った上で、必要に応じて当該計画の見直しを行うこととしている。
 また、当該計画は事業経営の根幹をなすものであることから、経営主体である水道局自らが検証を実施し修正の要否を判断しており、現時点では外部専門家による協議会等の設置は考えていない。

 

(4) 中期経営計画におけるPDCAについて
 (所管課:水道局財務課)

 
監査の意見
対応の内容
​現状(問題点)

 中期経営計画は「広島市水道ビジョン」に掲げられている基本理念、施策目標、主要事業、具体的取組を踏まえて中長期的視点に立って計画的に経営を行うため4年ごとに策定・公表されている。現在実施中の中期経営計画は平成30年2月に策定された平成30年度~平成33年度(令和3年度)を対象としている。計画の内容は4年間の財政収支計画、主要施策、経営の効率化等としている。また、計画期間中の各年度の実施に当たっては社会経済情勢等の変化を踏まえて各年度予算へ適切に反映させ事業運営を推進するとしている。
 上記の「広島市水道ビジョン」、「中期経営計画」、「年度予算」の構成の下、適切な業務執行が求められる。これに関して「広島市水道ビジョン」45頁にてPDCAサイクルによる執行管理に言及している。

「広島市水道ビジョン」で掲げた基本理念に沿って着実に施策目標を実現していくためには、計画の執行管理を適切に行い、必要に応じて計画の見直しをする必要があります。これらは計画(Plan)に基づいて事業を実施(Do)し、その結果を評価(Check)し、改善(Action)につなげていく、PDCAサイクルに基づいて行います。

(出典:「広島市水道ビジョン」P45より抜粋)

 中期経営計画においてPDCAサイクルを適用するのであれば、当該中期経営計画内でPDCAサイクルの状況を知り得るようにすることが望ましい。中期経営計画で計画を明らかにしたのであれば、その実施・遂行状況、結果の評価、改善予定を計画期間途中や次の中期経営計画の中で明らかにすることが必要である。さもなければ第三者は計画された事業内容がどのように実施され、それがどのように評価され、評価結果に基づく改善がどのように予定されているのか知り得ず、PDCAサイクルが適切に適用されているのかどうかも知り得ない。

監査人の意見

 中期経営計画にもPDCAサイクルを適用するのであれば、目標を達成したものについてはその内容を、未達成のものについてはその原因の分析を行い、具体的な改善策を同じ中期経営計画内で明らかにする必要があると考える。
 これに対して広島水道局は中期経営計画の実施に当たっては、社会経済情勢等の変化を踏まえて、各年度予算へ適切に反映させていることから、PDCAサイクルに基づいて行っていると考えているとの回答である。
 「現状」でも述べたとおり、広島市水道局は「広島市水道ビジョン」においてPDCAサイクルに基づいて施策目標の実現に向けて計画の執行管理を行っていくことを明らかにしている。このため、「広島市水道ビジョン」や「中期経営計画」を見る者にとってPDCAサイクルに基づく業務の執行を容易に理解できる情報提供方法を検討すべきと考える。
 この点については、広島市水道局も計画の進捗状況等をより分かりやすく説明していくため、施策ごとの具体的な取組について、広島市水道ビジョンや中期経営計画に数値でどう示していくか、他都市の状況等も参考にしながら検討していきたいと考えているとのことであり、是非検討を進めるよう求めたい。

 中期経営計画の実施に当たっては、「広島市水道ビジョン」に記載のとおりPDCAサイクルに基づき社会情勢等の変化を踏まえて各年度予算へ適切に反映させるとともに、その実績についてはこれまでも水道局ホームページにおいて情報提供しているところである。
 監査の意見を受けて、計画期間(平成30年度~令和3年度)の終了後に行う4か年を総括した詳細な実績報告において、他都市の状況も参考にしつつ、PDCAサイクルに基づく業務の執行を容易に理解できるよう記載を見直すとともに、各施策の具体的な取組の説明に写真や図表を活用するなど、水道利用者等にとって分かりやすいものとなるよう改善を図った。