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広島市いじめ防止等のための基本方針(平成31年4月改定)/第3

ページ番号:0000106744 更新日:2020年2月7日更新 印刷ページ表示

第3 いじめの防止等のために学校が実施する施策

1 学校のいじめの防止等に向けた基本的考え方

各学校においては、次の基本的な考え方のもと、いじめの防止等に取り組む。

  • 教職員は、鋭い人権感覚をもち、児童生徒の不安や悩みのサインを見逃さず、いじめの兆候に対して、「いじめは人間として絶対に許さない。」との強い認識を持って、毅然とした態度で迅速かつ適切な対応をする。
  • 道徳を含む各教科、特別活動等、全教育活動を通じて、児童生徒に命の大切さや思いやりの心を育むとともに、児童生徒の主体的ないじめ防止に向けた取組の充実を図る。
  • 児童生徒一人一人について理解を深め、児童生徒との信頼関係づくりに努め、児童生徒が教職員にいつでも相談できる関係づくりを進める。
  • 児童生徒のいじめについての現状、背景及び課題を適切に把握・分析し、いじめの未然防止や早期発見に生かす。
  • いじめを把握した場合は、学校全体が一致協力のもとで早期対応を行う。また、必要に応じ、教育委員会が迅速に支援できるよう、速やかに教育委員会に報告する。
  • 児童生徒の実態やいじめ等問題行動の状況、学校の対応等について、保護者や地域に積極的に情報を提供し、連携を図る。

2 学校のいじめ防止等のための基本方針の策定

学校は、「国の基本方針」や「広島市基本方針」を参考にするとともに、自校の児童生徒の実態や地域の実情を踏まえて、「学校のいじめ防止等のための基本方針」(以下「学校基本方針」という。)を定める。
なお、策定及び運用に当たっては次の点に留意する。

  • 児童生徒が主体的にいじめの防止等に関わるよう、児童生徒の意見を取り入れる機会を確保すること。
  • 保護者や地域住民などの意見を取り入れるなど、家庭、地域の参画を促進すること。
  • いじめの防止等に係る年間活動計画等を明確にするとともに、アンケートの実施、いじめの通報、情報共有、適切な対処等について具体的なマニュアルを定め、計画性、実行性のあるものとすること。
  • 学校の取組を円滑に進めていくため、必ず、入学時、各年度の開始時に児童生徒、保護者などに説明するとともに、学校のホームページで公開すること。
  • 学校基本方針に基づく取組の実施状況を学校評価の評価項目に位置付けるなどして、策定した基本方針が学校の実情に即して機能しているかどうか、PDCAサイクルの下で、検証及び見直しを行うこと。
    教職員に対し、いじめの有無、その多寡だけではなく、日常の児童生徒理解、未然防止や早期発見、いじめが発生した際の迅速・適切な情報共有や組織的な対応等も評価されること(「学校評価における留意事項」法第34条参照)を周知徹底する。

3 いじめの防止等のための体制の構築

(1)「学校いじめ防止委員会」の設置

学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、法第22条の規定に基づき、複数の教職員、スクールカウンセラー等により構成される常設の組織(学校いじめ防止委員会)を置く。この組織は校務運営組織として位置付けるものとする。

(2)教育相談体制等の強化

「生徒指導主事」と「教育相談・支援主任」との次のような役割分担と、的確な実態把握・情報共有・引継ぎ等を連携して行うことより、校内組織体制の充実を図る。

ア 生徒指導主事

被害側の思いを尊重した対応と加害側への効果的な指導を組織的に行うに当たって、中心的な役割を果たす。
「学校いじめ防止委員会」を中心とする校内組織の実効性を高めることや、管理職等からの指示・伝達や職員間の情報共有を確実に行う。

イ 教育相談・支援主任

支持的風土の醸成された学級づくりによる未然防止の取組を学校全体で進める中心的な役割を果たす。
「ふれあい相談窓口」の開設、児童生徒の希望を踏まえて相談相手の教職員を決定するなど、相談窓口を広げる工夫等を行い、児童生徒が少しでも相談しやすくなる環境を整える。
定期的な教育相談、状況に応じた随時の教育相談を組織的に実施する。相談は、学級担任だけでなく、相談内容に応じて教育相談・支援主任等が担当するなど段階的に行い、更に必要に応じてスクールカウンセラーや医療機関等につなぐ。

4 いじめの防止等に向けて学校が実施する取組

(1)いじめの未然防止

ア 生命を尊重する態度や思いやりの心の育成

道徳を含む各教科等において、生命の尊さや思いやりの心について学ぶとともに、ペアやグループによる協同学習・ロール(役割)プレイを取り入れた授業づくりを行う。
加えて、道徳等において、いじめは被害側の生命又は心身に大きな傷を残す重大な人権侵害となり得ること、それゆえ加害側に刑事罰が科されたり、高額の損害賠償責任を負ったりする、といった実例に学ぶ取組を取り入れる。

イ 自ら善悪を判断し行動する力の育成

いじめのない「楽しい学校づくり」に向けて、児童生徒が日常の問題を主体的に解決する児童会、生徒会活動の充実を図る。
総合的な学習の時間や特別活動等の時間に、ロールプレイを取り入れたライフスキル教育(コミュニケーションスキル、相手に配慮した自己主張のスキルなどを習得)を実施し、児童生徒のコミュニケーション能力の育成や情報モラルの向上を図る。

ウ 家庭、地域、学校が連携した「いじめを生まない支持的風土」の醸成

家庭、地域、学校が連携し、多様な体験活動を充実させることや、いじめの防止に向けた市民参加の取組を推進する。

(2)いじめの早期発見

日頃から児童生徒の観察やアセス(学校環境適応感尺度)などの実施により児童生徒を深く理解し、児童生徒が示す変化や危険信号を見逃さない。あわせて、定期的なアンケート調査や教育相談の実施等により、児童生徒がいじめを相談しやすい体制を整え、いじめの実態把握に取り組む。
被害側が自らSOSを発信することや、周囲の児童生徒がいじめの情報を教職員に報告することは、「多大な勇気」、「教職員への信頼」を要するものであることを理解するとともに(第1の2参照)、当該児童生徒からの相談に対しては、必ず迅速に対応することを徹底する。

(3)認知したいじめへの適切な対応

 教職員は、いじめ(その疑いを含む。)を認知した場合、特定の教職員で抱え込むことなく、速やかに、「学校いじめ防止委員会」に報告して情報共有を行い、組織的に、事実関係の確認、対応方針の決定、具体的な対処を行う。

イ 教職員は、対応方針に基づき、被害側や情報提供者・仲裁者を徹底して守り通す。
また、加害側に対しては、その人格の成長を旨として、教育的配慮の下、以下の法的対応を含む段階的な手段を事前に準備し、毅然とした態度で指導する。
加害側への指導の効果が上がらない事案については、専門家の知見を活用して加害行為の原因・動機を分析し、対応方針に反映させる。当該指導にもかかわらず、他の児童生徒の教育を受ける権利の保障に支障をきたすような場合は、学校は、その旨を加害側の保護者に十分説明し、教育委員会との連携の下、「別室での指導」や警察への被害届等の「関係機関との連携」、場合によっては教育委員会による「出席停止」(学校教育法第35条、第49条等)も視野に入れ、実効的な対応を行う。

 いじめの解消の判断は、謝罪行為のみをもって行うのではなく、少なくとも「加害行為が3か月止んでいること」、「被害側が心身の苦痛を感じていないこと」を確認した上で行う。
なお、加害側の反省・被害側の許しを伴わない形式的な謝罪の場の設定は、問題解決につながらないばかりか、いじめの隠然化・報復・人間関係の複雑化を招き、事態を一層深刻化させるおそれがあることに留意する。
また、いじめの解消後も、再発の可能性を踏まえ、教職員は加害側・被害側について、日常的に注意深く観察する。

(4)情報引継ぎの強化

教育委員会の引継ぎに係る指針に沿って、「特別な教育的支援を必要とする児童生徒」(生徒指導上の課題がある児童生徒、発達上の課題がある児童生徒、生活環境や生育歴に留意が必要な児童生徒)について、「引継シート」、「個別の指導計画」等を活用し、確実な引継ぎを行う。
この引継資料を日常の指導に活用し、指導結果を踏まえて、必要な更新を行う。

(5)教職員の資質能力の向上

いじめの防止等に向けた生徒指導体制の充実のためには、当該校の全ての教職員が問題意識や生徒指導の方針を共有することが不可欠であることから、具体的ないじめ事案を活用し、対応を模擬検討することで、現行の方針や指導方法の不備を点検できるような校内研修の充実を図る。
いじめの防止等に係る研修は、個々の教職員が次のような姿勢を身に付けることを目標として行う。

 児童生徒一人一人の状況を的確に把握し、全ての教育活動において、全ての児童生徒が自他を尊重し、積極的に参加して活躍することができる望ましい集団をつくる。

 いじめを受けている児童生徒・情報提供者・仲裁者を徹底して守り通すことを言葉・行動・結果で示す。また、それに必要な、知識・技術を習得する。

 いじめを受けている児童生徒を学校全体で守るため、当該児童生徒が発するどんな小さなサインも見逃さない。

 いじめの特性を十分に理解し、いじめ事案を一人で抱え込むことなく、学校全体で情報を共有し、複数の教員の目(見守り)、見立て(事実の評価・方針検討)による組織的対応を行う。

(6)関係機関との連携

加害側への指導の効果が上がらない事案などには、警察、児童相談所、医療機関等の関係機関との適切な連携が必要であり、平素から、担当者の窓口交換や連絡会議の開催などにより、情報共有・行動連携を可能とするネットワークを構築する。
いじめのうち、暴行、傷害、強要、恐喝、窃盗、器物損壊、強制わいせつ等の犯罪行為として取り扱われるべきものは、教育的な配慮や被害者の意向を踏まえた上で、早期に警察に相談する。特に、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるものは、直ちに警察に通報し、連携する。
加害側又は被害側が、虐待を受けている・非行がある・家庭環境上の理由で生活指導を要するといった「要保護児童」、保護者への養育支援を要する「要支援児童」(児童福祉法第6条の3)に当たる場合、児童相談所と連携する。
加害側又は被害側に、自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)等の「発達上の課題」や、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症等の「精神疾患」、それらの兆候が認められる場合、いじめの原因の解明、児童生徒への支援等のため、保護者の意向を踏まえた上で、広島市こども療育センター等の医療機関と連携する。

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