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広島市いじめ防止等のための基本方針(平成31年4月改定)/第1

ページ番号:0000106736 更新日:2020年2月7日更新 印刷ページ表示

第1 いじめの防止等のための対策の基本的な方向に関する事項

1 いじめの定義

「いじめ」をいじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)第2条に基づき、次のとおり定義する。

「いじめ」とは、児童等(学校に在籍する児童又は生徒)に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

※ いじめの定義に係る用語の解釈及び留意点については「国の基本方針」を参照

特に、児童生徒が「心身の苦痛を感じている」か否かの判断は、表面的・形式的にすることなく、いじめを受けた児童生徒(被害側)の立場に立つことが必要である。
「好意」や「無意識」による行為でも心身の苦痛を与えれば法律上の「いじめ」となる。
これは、「いじめ」の定義を社会通念より大幅に広く定め、対応を徹底させることにより、「いじめ見逃しゼロ」を実現しようとするものである。いじめの防止等に向けた取組に当たっては、この法の趣旨についての共通認識を児童生徒、教職員のみならず地域住民、家庭、その他の関係者が持つことが重要である。

2 いじめの特性

いじめには、次表のような特性があり、これを十分に理解した対応が求められる。
いじめは、日々、学校現場で発生する人間関係のトラブルに紛れ、当初は、いじめかどうか判断できない段階で対応を迫られたり、対応の中で新たな事実が判明したりすることも多い。このため、「正確な情報を速やかに集め、事実に基づき、機を逸することなく、児童生徒に適切な指導・支援をする」という生徒指導の基本が重要となる。

いじめの特性と求められる対応
いじめの特性 求められる対応【広島市基本方針中の記載箇所】

(1)大人が気付きにくく、判断しにくい形で行われる。
例)

  • 大人の目に付きにくい時間や場所
  • 遊びやふざけあいを装う

加害側のみならず、被害側もいじめ被害を認めないことがある。((2)参照)
 児童生徒は「同世代の問題」への大人の介入に抵抗感を持つ傾向

認知は、他の問題行動より格段に困難

  • 複数の教員の目(見守り)、見立て(事実の評価・方針検討)による組織的対応
    【第3の4(5)エ】
  • 情報の記録、共有、引継ぎ
    【第1の3(4)】
  • (これらを支える)学校組織体制等の構築
     【第2の1】【第3の3 】
  • 教員の資質能力の向上(兆候、心身の苦痛を見逃さない「鋭い感性」と「人権感覚」、「カウンセリングマインド」等)
    【第1の3(5)】
  • 教育相談体制等の強化
    【第2の1(3)】【第3の3(2)】

(2) 被害側にとって、いじめの告白自体、屈辱で自尊心を傷つけるもの
他の児童生徒にとって、情報提供、仲裁等で関与することは、次のいじめの対象にされる危険を高める。
大人が対応を怠れば黙認されたとして深刻化し、大人が介入に失敗すれば隠然化し、報復によりエスカレートする。

子どもがいじめを大人に告げること自体、「多大な勇気」と、「大人への信頼」を要する。

  • 児童生徒の「思いやりの心」と「行動する力(勇気)」の育成
    【第1の3(1)】
  • 学校は、信頼に応えるため、被害側・情報提供者・仲裁者に「全力で守る」ことを伝えるとともに、その決意を行動・結果で示す。
    【第3の4(5)イ】

(3) 多くの児童生徒が入れ替わり被害・加害を経験する。
 被害側に加害経験、加害側に被害経験があると人間関係が複雑化し、解決が困難となる。

 ↓

対応も、他の問題行動より格段に困難

  • 全ての児童生徒に対する未然防止の取組
    いじめを許容しない雰囲気、「一人ひとりが存在感を実感でき、安心して過ごせる支持的風土」の醸成
    【第1の3(1) 】
  • 学校としての対応力を高めるため、段階的な手段を事前に準備
    【第3の4(3)イ】
(4)繰り返し行われ、再発することも多い。
  • 指導結果の追跡確認、慎重ないじめ解消の判断
    【第3の4(3)ウ】
  • いじめの原因(※)の分析、解消
    【第3の4(3)イ】
  • 家庭・関係機関との連携
    【第2の2(1)ウ】 【第3の4(6)】
(5)「暴力を伴わないいじめ」であっても、人間の尊厳を奪い、生命又は身体に重大な危険を生じさせ得る。

いじめ対応は、学校の最重要課題の一つとして迅速に対応
【はじめに 】

※ いじめの原因
主に「ストレス・疎外感」、「同調圧力」、「ねたみ・嫉妬」、「もてあそび等の娯楽感覚」のほか、「仲間意識の強さ、対抗意識」等が作用することもある。

3 いじめの防止等の対策に関する基本的考え方

いじめの防止等の取組を推進していくには、教職員と児童生徒との信頼関係の構築が不可欠である。
このため、日頃の教育活動全体を通じて、この信頼関係を築いていくことに意を用いるとともに、以下のことに学校・教育委員会が、一体となって取り組むことにより、児童生徒、保護者及び地域から信頼される学校づくりを行う。

(1)いじめの未然防止

いじめの未然防止に向けて、「生命を尊重する態度や思いやりの心の育成」、「自ら善悪を判断し行動する力の育成」、「家庭、地域、学校が連携した『いじめを生まない支持的風土』の醸成」を目指し、学校教育活動全体を通じ、全ての児童生徒に自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重し合える態度を養う必要がある。
また、社会全体で児童生徒を見守り、健やかな成長を促すため、家庭、地域、学校がそれぞれの役割を果たすとともに、その三者が連携した取組を推進することが必要である。

(2)いじめの早期発見

いじめの早期発見は、いじめへの迅速な対処の前提であり、いじめは、どの子どもにも、どの学校でも起こり得るものであることを踏まえ、児童生徒に関わる全ての大人が連携し、児童生徒のささいな変化に気付く力を高めることが必要である。いじめは、大人が気付きにくく判断しにくい形で行われるものも多いことを認識し、ささいな兆候であっても、いじめではないかとの疑いを持って、早い段階から的確に関わりを持ち、早期発見に努める必要がある。
また、近年深刻化しているインターネットを通じて行われるいじめは、匿名性が高く加害行為に加わりやすいこと、内容がエスカレートしやすいことなどから、多大な被害を与える可能性があり、早期発見に向けた体制を整備する必要がある。
なお、いじめの認知・対応件数の増加は、学校が真摯にいじめに向き合った結果であるから、教育委員会・学校において適正に評価するとともに、その旨を保護者・地域に対して周知する(「学校評価における留意事項」法第34条参照)。

(3)認知したいじめへの適切な対応

いじめを認知した場合、学校は直ちに、いじめを受けた児童生徒(被害側)やいじめを知らせてきた児童生徒(情報提供者)、いじめを止めようとした児童生徒(仲裁者)の安全を確保し詳細を確認した上で、いじめを行ったとされる児童生徒(加害側)に対して事情を確認し適切に指導する等、教職員が一致協力して組織的な対応を行う必要がある。また、事案に応じて専門家や関係機関との連携を行うことも必要である。
被害側のみならず情報提供者・仲裁者を徹底して守り通すことは、「自ら善悪を判断し行動する力の育成」において極めて重要である。

(4)情報引継ぎの強化

いじめの認知は、他の問題行動より格段に困難である一方、軽微な情報でも集約することで隠れていた重大な事実が明らかになることもある。
また、正確な関連情報は、的確な現状分析(アセスメント)、対応方針の決定に不可欠である。
このことから、個々の教職員の努力・力量に左右されない、組織的な情報の記録、共有、引継ぎが必要となる。

(5)教職員の資質能力の向上

児童生徒のささいな兆候を感知して心身の苦痛を見抜く「鋭い感性」と「人権感覚」、児童生徒に寄り添って心情を受け止める「カウンセリングマインド」(受容の姿勢)、「カウンセリング技法」(つながる言葉かけ、傾聴)等、いじめの防止等に係る教職員の資質能力の向上や専門的知識・技能の習得のため研修の充実を図る必要がある。
教員の無意識の言動や価値観が児童生徒を感化したり、配慮を欠く対応がいじめを助長したりすることもあることから、教員は、「児童生徒はどう感じているか」、「公平・公正な判断ができたか」、「児童生徒への接し方は適切だったか」等、常に自身を客観的に顧みて、謙虚に見つめ直すことを通じ、自身の「感性」や「人権感覚」を更に磨いていく必要がある。

(6)関係機関との連携

社会の変容により、心理・福祉・法律など教育以外の高い専門性が求められるような事案も増えており、いじめの防止等の取組に当たっては、平素から、学校や教育委員会が異なる専門性を持つ関係機関と組織的・継続的に連携して取組を推進する必要がある。
また、いじめを認知した場合は、必要に応じていじめの防止等に関係する機関と適切に連携を図りながら対応することが必要である。

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