ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 監査 > 外部監査の結果に対する措置事項等 > 令和5年度公表分 > 包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表(令和5年4月11日公表)

本文

包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表(令和5年4月11日公表)

ページ番号:0000328770 更新日:2023年4月11日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第10号
令和5年4月11日

 広島市監査委員 政氏 昭夫
同 井戸 陽子
同 山路 英男
同 山内 正晃

包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表

 地方自治法第252条の38第6項の規定により、広島市長から監査の結果に基づき措置を講じた旨の通知があったので、当該通知に係る事項を別紙のとおり公表する。
 なお、併せて通知のあった監査の意見に対する対応結果についても、当該通知に係る事項を公表する。

(別紙)

平成31年度包括外部監査の結果に基づいて講じた措置等の公表(市民局)

1  監査結果及び監査意見公表年月日
  令和2年2月6日(広島市監査公表第3号)
2  包括外部監査人
    大濱 香織
3  監査結果に基づいて講じた措置及び監査意見に対する対応結果通知年月日
    令和5年3月29日(広文振第969号及び第971号)
4  監査のテーマ
  広島市が出資している法人の「ヒト・モノ・カネ」に関する財務事務の執行について
5  監査の結果(指摘事項)及び措置の内容
(1) 交通科学館の入場者総数について
  (所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)

 
監査の結果
措置の内容

ア 現在の施設入場者総数の測定方法と平成30年度の施設入場者総数について

  交通科学館は、担当課に対して、平成30年度の入場者数について、「観覧合計」65,339人、「観覧以外合計」192,938人、「施設入場者総数」258,277人と報告した。

  「観覧合計」として報告される有料観覧エリアの人数は、個人の有料の入場者はチケットの発行枚数で人数を把握し、個人の無料の入場者は有料観覧エリア入口で接遇担当者が人数を数えて把握し、団体については、利用人数を記載した「見学申込書」の提出を受けて人数を把握している。

  一方、「観覧以外合計」として報告される人数は、おもしろ自転車利用人数、バッテリーカート利用人数、企画展関連事業参加者数、1階無料スペースで実施するパネル展示観覧者数、被爆電車公開事業参加者数、工作教室・サイエンスショー等教育普及事業参加者数、学校団体向け教育プログラム参加者数、ライブラリー利用者数の合計である。

イ 重複カウントの実態

  上記アの入場者総数の測定方法では、1人の入場者が「観覧合計」と「観覧以外合計」で重複することもあり、「観覧以外合計」の中でも重複して何人分にも数えられる可能性がある。

  交通科学館の現在の利用人数の測定方法及び過去と平成30年度の入場者総数の比較分析結果を踏まえると、交通科学館の平成30年度の「観覧以外合計」192千人及び「施設総入場者数」258千人にはかなりの重複分が含まれていると考えられる。

  令和元年9月13日に交通科学館の現地往査を実施したが、その日の入場者総数について、交通科学館にヒアリングした結果、担当課に報告される入場者総数は1,004人(内訳は、「観覧合計」434人、「観覧以外合計」570人)であるが、このうち477人が重複カウントされており、実際の入場者の人数は527人であった。担当課には実数の約2倍の人数が入場者総数として過大報告されていることになる。

ウ 「観覧者以外合計」の内訳の把握

  交通科学館が担当課に提出する事業報告書に添付された観覧利用者集計表には、「観覧合計」は全28に内訳を設定してそれぞれに人数を記載し、担当課が確認している一方で、「観覧以外合計」はその内訳が一切記載されておらず、合計人数が記載されているに過ぎない。これでは担当課は、「観覧以外合計」を構成する各エリアの利用状況を把握することができない。担当課は「観覧以外合計」に含まれる利用人数の実態を内訳ごとに把握するべきである。

エ 現状の測定方法の問題点

  担当課は、交通科学館への入場者が通過する出入口は計6か所あり、屋外広場へは館内を通ることなく、車でも入れる構造となっており、施設の特性上、カウンター機器のみでは正確な入場者数を測ることができないため、現在のような職員がエリアごとに正確な入場者数を計測し、合計する方法を採用している、という。

  エリアごとに正確な入場者数を計測していたとしても、担当課はエリアごとの内訳を承知していない。また、エリアごとの入場者数は正確でも、それを合計した入場者総数は、交通科学館の利用状況を示す指標として、第三者がそれを見て、確からしいと納得できる数字になっているとは言い難く、説得力がない。

  現状の測定方法による入場者総数は交通科学館に関する経済性、効率性、有効性の評価を誤らせるおそれがあり、入場者数の測定方法を再考すべきであると考える。

オ 今後の方向性

  担当課は、当該施設では平成18年度からこの測定方法を採用しており、利用状況について十分傾向を示す数値になっているものと考えているというが、現状の測定方法で明らかなのは、有料観覧エリアの入場者数が減少し続けているという点のみである。観覧以外合計の合計人数が年々増加していることから読み取れる傾向とは何を指しているのか不明である。観覧以外合計の内訳は担当課への報告対象となっておらず、内訳間で重複している人数が把握できるわけでもない。1人の人が、エリアを横断的に回るようになり、1人当たりの滞在時間が伸びている可能性もあり、交通科学館を訪れて有料観覧エリア以外を利用する人の実人数が増えている可能性もあるが、どれも明確ではない。

  1人の入場者が重複して何人分にも数えられ、しかも重複している人数を概数でも把握することができない入場者数の測定方法は、公共施設の利用状況を表す指標の測定方法としては不適当であり、採用されるべきではない。

  確かに、カウンター機器のみでは、正確な入場者数を測定することはできないが、特定の混雑日においては車の台数を基に試算を行う方法などを組み合わせて集計すれば、利用者の実人数により近い人数を求めることが可能である。年間で約3億円もの市税を投入して運営している交通科学館の利用状況をより正確に把握し、今後の運営方針を決める参考にするために、実人数の数倍に膨れ上がっていると推定される現状の測定方法を是認することは不適当であり、交通科学館の利用実態をより正しく示す測定方法を担当課と交通科学館は検討されたい。

カ 入場者総数の測定方法に関する各種資料への注記について

  交通科学館の入場者総数は、「広島市統計書」等の統計データとして使用されているが、交通科学館の入場者総数の測定方法は、過去に2回変更され、測定結果の連続性が失われている。そのため、このままでは時系列分析を行うことができない。入場者総数の測定方法を変更する場合には、いつからどのように変更したのかという点について、注記をする必要がある。

  統計データ利用者に対して誤解を与えることのないよう、交通科学館の入場者数の測定方法は他の博物館等と異なっており、入場者の人数には重複があり、重複している人数は不明である旨を注記すべきである。

 監査の結果を受け、入場者総数を重複カウントなく把握できる測定方法について、施設の管理運営や利用者の利便性の確保の観点も踏まえながら、指定管理者と検討を行った。その結果、施設の出入口を正面出入口に限定し、令和4年4月から、施設の出入口に設置した高精度の入館者カウンターを用いて入場者数を測定することとし、重複カウントを解消した。また、事業報告書に添付される観覧利用者集計表について、「観覧以外合計」の内訳を記載することとした。

 なお、「広島市統計書」等の統計データとして使用されている入場者総数について、統計データ利用者に対して誤解を与えることのないよう、令和5年度版から必要な注記を付すこととし、関係局と協議している。

(2) 防火シャッターの危害防止装置の未設置について
  (所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)

 
監査の結果
措置の内容

 平成17年12月、改正建築基準法施行令等が施行され、防火シャッター等の閉鎖作動時の危害防止措置が義務付けられたが、交通科学館の防火シャッターは、平成29年度及び平成30年度の建築設備定期点検において、危害防止装置の未設置が指摘されている。

 交通科学館によれば、危害防止装置を設置するべき防火シャッターは合計9枚あり、見積りでは、合計で6,440千円(税抜)の費用がかかるとのことであった。

 基本協定書によれば、交通科学館の施設の修繕については、1件につき原則として100万円以上のものについては、広島市が必要と認めた場合には、広島市の費用と責任において実施するものと定められており、本件についても、広島市が行うべき修繕である。

 交通科学館の施設の機能を適正に維持するとともに利用者の安全を確保するため、担当課は、早急に防火シャッターの危害防止装置を設置するべきである。

 担当課における予算措置が不可能であるならば、担当課と交通科学館で協議の上、 交通科学館が指定管理料から修繕費を負担することができないか、検討されたい。

 監査の結果を受け、本市において予算措置し、令和4年3月に9枚ある防火シャッターの全てに危害防止装置を設置した。

 今後も、利用者の安全を確保するため、より適切な施設の機能維持に努める。

(3) エレベーター機器の劣化について
  (所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)

 
監査の結果
措置の内容

 交通科学館の館内外に設置されたエレベーター機器は、設置から23年が経過し全体的に機器の経年劣化が進み、一部の部品については製造中止となっているため、万一、故障が起こった場合は代替品や改造での対応となり、多大な時間を要する可能性がある。

 平成28年9月からの半年間に7回の故障(かごの停止位置のズレ5回、閉じ込め事故1回、その他1回)が起こって以降は、エレベーターの故障は発生していなかったが、令和元年7月に2件の故障が発生し、部品取替え等の処置を行っている。

 交通科学館の施設の機能を適正に維持するとともに利用者の安全を確保するため、担当課はエレベーターの修繕を優先的に行う必要がある。

 監査の結果を受け、本市において予算措置し、現在エレベーターの更新工事を行っており、令和5年3月末までに完了する見込みである。

 今後も、利用者の安全を確保するため、より適切な施設の機能維持に努める。

6  監査の意見及び対応の内容
  レストラン閉店後の対応について
  (所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)

 
監査の意見
対応の内容

 交通科学館1階には、以前、民間業者が出店し市が目的外使用の許可を行ったレストランがあったが、運営業者が撤退し、平成29年3月にレストランは閉店した。

 レストラン閉店後は、飲食エリアは団体客の昼食休憩スペースとして利用されている。厨房エリアはレストラン閉店後、2年半以上使われない状態が続いている。

 レストラン閉店を知らせる貼り紙が貼ってある状態は、交通科学館に対する利用者の印象を損ねるものである。また、厨房スペースや、厨房機器等の備品について、長期間遊休状態にあることは、有効性の観点から問題がある。

 担当課は、新しい運営業者を探して、レストランを再開するのか、レストラン以外の形態に変更するのか、これ以上対応を先延ばしすることなく、方針を決定し実行に移すべきである。

 監査の意見を受け、レストランについては、新しい運営業者の出店が見込めないことから再開せず、レストラン以外の形態に変更することで方針を決定した。飲食エリアについては平成30年4月から団体利用者向けの休憩スペースとして活用している。また、厨房エリアについては、設置している厨房機器等の備品の一部を他施設へ移設して活用しているが、残る備品についても処分等を引き続き検討し、処分等が完了するめどが立った時点で同エリアの活用を改めて検討する。