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包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表(令和5年3月10日公表)

ページ番号:0000322366 更新日:2023年3月15日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第6号
令和5年3月10日

 広島市監査委員 政氏 昭夫
同 井戸 陽子
同 山路 英男
同 山内 正晃

包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表

 地方自治法第252条の38第6項の規定により、広島市長から監査の結果に基づき措置を講じた旨の通知があったので、当該通知に係る事項を別紙のとおり公表する。
 なお、併せて、広島市長及び広島市水道事業管理者から通知のあった監査の意見に対する対応結果についても、当該通知に係る事項を公表する。

(別紙)

平成29年度包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(市民局)

1  監査意見公表年月日
  平成30年2月2日(広島市監査公表第2号)
2  包括外部監査人
    福田 浩
3  監査意見に対する対応結果通知年月日
    令和5年3月2日(広市生第149号)
4  監査のテーマ
  文化活動及び生涯学習に係る施設の管理運営等について
5  監査の意見及び対応の内容
(1) (広島市古市公民館)給水タンク等の設置の状況等について
  (所管課:市民局生涯学習課)

 
監査の意見
対応の内容

 広島市古市公民館の建築物の建築設備を対象とした定期点検結果報告書において、「給水タンク等の設置の状況」の調査項目に対し、「外周 受水槽電極保護カバー蓋なし」と指摘され、「蓋の設置が必要」との改善策を示されているほか、要是正として指摘された多数の修繕箇所について、改善されていない事案が見受けられた。

 広島市公民館条例第15条は、指定管理者が行う業務のひとつとして、公民館の建物並びに附属物及び備付物品の維持管理に関することを掲げ、広島市公民館の管理に関する基本協定書第4条第2項は、指定管理者は、善良なる管理者の注意をもって管理施設及びその附帯設備等並びに管理物品を管理しなければならないと定め、同基本協定書第13条第2項は、本施設の修繕について、1件につき100万円(消費税及び地方消費税を含む。)以上のものについては広島市が必要と認めた場合において自己の費用と責任において実施するものとし、1件につき100万円(同)未満のものについては指定管理者が自己の費用と責任において実施するものとすると定めている。本件修繕は、いずれも1件につき100万円(同)未満のものであり、指定管理者が自己の費用と責任において実施しなければならないが、これが実施されていない原因は、長期的な観点からの建物設備の修繕については、指定管理者による優先順位付けの判断のみに委ねていると速やかな実施が難しい側面があるにもかかわらず、この判断の適否が、広島市によって検証されていないところにある。広島市においては、定期点検結果報告書において要是正と指摘された事項への対応状況等、指定管理者が行う施設の管理状況の確認、モニタリングの実施を適切に行うよう努められたい。 

 監査の実施を受けて、広島市古市公民館については、指定管理者が平成29年9月に受水槽電極保護カバー蓋を設置するほか、受水槽点検タラップの取替えなどを行い、指摘された箇所について全て修繕を終えた。

 また、指定管理者が行う公民館の管理状況の確認及びモニタリングをより適切に行うため、次の方法により進行管理するよう改善した。

 1 平成30年1月に、本市がモニタリングを実施する際に使用している「実地調査チェックリスト兼記録簿」について、要是正項目の対応状況を確認できるよう様式を見直した。

 2 平成30年2月に、本市と指定管理者との間で要是正項目を共有するための対応フローを作成するとともに、指定管理者が本市へ毎月提出する業務実施報告書に施設管理の実施状況に係る項目を追加することで、本市が指定管理者における100万円未満の修繕の実施状況を把握し、助言等を行うことができるようにした。

(2) (広島市高陽公民館)外壁躯体の劣化及び損傷の状況等について
  (所管課:市民局生涯学習課)

 
監査の意見
対応の内容

 広島市高陽公民館の建築物を対象とした定期点検結果報告書において、外壁躯体の劣化及び損傷の状況について、「爆裂、クラックが発生」と指摘され、「詳細調査の上、対応」との改善策が示され、外装仕上げ材等の劣化及び損傷の状況について、「タイル、モルタル面にクラック、割れ、浮き発生」と指摘され、「詳細調査の上、対応」との改善策が示されているにもかかわらず、いずれも改善されていない事案が見受けられた。

 広島市公民館条例第15条は、指定管理者が行う業務のひとつとして、公民館の建物並びに附属物及び備付物品の維持管理に関することを掲げ、広島市公民館の管理に関する基本協定書第4条第2項は、指定管理者は、善良なる管理者の注意をもって管理施設及びその附帯設備等並びに管理物品を管理しなければならないと定め、同基本協定書第13条第2項は、本施設の修繕について、1件につき100万円(消費税及び地方消費税を含む。)以上のものについては広島市が必要と認めた場合において自己の費用と責任において実施するものとし、1件につき100万円(同)未満のものについては指定管理者が自己の費用と責任において実施するものとすると定めている。本件修繕は、1件につき100万円(同)以上のものであり、公民館の施設及び設備に係る補修等計画調書に挙げられているものであって、広島市は、必要と認めた場合には、自己の費用と責任において実施しなければならない。本件の外壁の爆裂とクラックは、万が一躯体への透水ということであれば、建物の劣化を進行させ、その耐用年数を短縮してしまうのみならず、修繕費用が増大してしまうおそれがある。また、広島市公民館の管理に関する基本協定書第6条は、本業務の範囲、管理の基準又は配置人員等の細目は、別添仕様書に定めるとおりとすると定め、広島市公民館指定管理者業務仕様書第5項⑴アは、「施設の管理に関する業務」の「公民館の保守管理」の項において、指定管理者は、本施設を適切に管理運営するため、日常的に点検を行い、建築物について、仕上げ材等の浮き、ひび割れ、はがれ、かび等の発生がない状態を維持し、かつ美観を維持すると定めているところ、本件の外壁の爆裂とクラックは、地域のシンボルとしての公民館のイメージを損ねているのに加え、防犯や防災の管理面にも影響がないとはいえない。広島市においては、本件修繕の必要性を認め、速やかに修繕を進められたい。

 また、同報告書において、「敷地内の通路の確保の状況」の調査項目に対し、「正面玄関前スロープタイル浮き、割れ(沈下の可能性あり)」と指摘され、「詳細調査の上、対応」との改善策が示されているほか、要是正として指摘された多数の修繕箇所について、改善されていない事案が見受けられた。

 本件修繕は、1件につき100万円(同)未満のものであり、指定管理者が自己の費用と責任において実施しなければならないが、これが実施されていない原因は、長期的な観点からの建物設備の修繕については、指定管理者による優先順位付けの判断のみに委ねていると速やかな実施が難しい側面があるにもかかわらず、この判断の適否が、広島市によって検証されていないところにある。

 広島市においては、指定管理者に対し、改善を指導するとともに、定期点検結果報告書において要是正と指摘された事項への対応状況等、指定管理者が行う施設の管理状況の確認、モニタリングの実施を適切に行うよう努められたい。

 監査の実施を受けて、広島市高陽公民館については、指定管理者が平成29年10月に正面玄関前スロープを始め、2階男女トイレのタイル及び非常階段のモルタル破損部の修繕を行った。また、本市が令和4年6月に外壁の修繕を行った。

 なお、指定管理者が行う公民館の管理状況の確認及びモニタリングをより適切に行うため、次の方法により進行管理するよう改善した。

 1 平成30年1月に、本市がモニタリングを実施する際に使用している「実地調査チェックリスト兼記録簿」について、要是正項目の対応状況を確認できるよう様式を見直した。

 2 平成30年2月に、本市と指定管理者との間で要是正項目を共有するための対応フローを作成するとともに、指定管理者が本市へ毎月提出する業務実施報告書に施設管理の実施状況に係る項目を追加することで、本市が指定管理者における100万円未満の修繕の実施状況を把握し、助言等を行うことができるようにした。

(3) (広島市五日市公民館)防火シャッターの危害防止機構等の装着について
  (所管課:市民局生涯学習課)

 
監査の意見
対応の内容

 広島市五日市公民館の建築物を対象とした定期点検結果報告書において、同公民館に設置されている防火シャッターについて、「防火シャッターに危害防止機構が装着されていない(既存不適格)」と指摘され、「計画的に改善する」との改善策が示されているにもかかわらず、改善に向けた検討が行われていない事案が見受けられた。

 本件は、既存不適格であり、直ちに違法性を帯びるものではないが、防火シャッターに児童が挟まれるという重大事故が発生したことを受けて、閉鎖作動時の危害防止機構等の設置が義務付けられた経緯を踏まえ、施設設置者である広島市においては、万が一の人身事故の発生を未然に防止することを通じて、同公民館を利用する者のさらなる安全確保を図るため、改善に向けて検討されたい。

 監査の意見を受けて、広島市五日市公民館については、施設利用者の安全確保を図るため、応急的な対応として平成30年2月に指定管理者と協力して防火シャッター付近に注意喚起のポスターを掲示し、ソフト面での安全対策を講じた。

 その後、令和3年11月から実施している当該公民館の耐震改修工事の中で、当該防火シャッターの設置箇所に耐震壁を設置する必要があったことから、令和4年10月に当該防火シャッターを撤去した。

平成31年度包括外部監査の結果に基づいて講じた措置等の公表(市民局)

1  監査結果公表年月日
  令和2年2月6日(広島市監査公表第3号)
2  包括外部監査人
    大濱 香織
3  監査結果に基づいて講じた措置及び監査意見に対する対応結果通知年月日
    令和5年2月21日(広文振第789号)及び同月24日(広文振第790号)
4  監査のテーマ
  広島市が出資している法人の「ヒト・モノ・カネ」に関する財務事務の執行について
5  監査の結果(指摘事項)及び措置の内容
(1) 補助金が広島市文化財団を経由して実行委員会に支払われていることについて(広島国際アニメーションフェスティバルの開催に対する補助(補助金))
  (所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)

 
監査の結果
措置の内容

ア 補助金の交付申請・交付決定の事務手続について

 本補助金平成の交付(平成30年度予算額75,471千円、決算額75,414千円。)については、広島市から広島市文化財団を経由して、全額が広島国際アニメーションフェスティバル実行委員会(以下「実行委員会」という。)に交付されている。

 実行委員会への補助金の支払という形だけであれば、広島市が広島市文化財団に本補助金を交付する理由は乏しいと言わざるを得ず、本来は、本補助金の補助事業者である広島市文化財団自らが、補助事業に係る対象経費の執行を行うべきであると監査人は考える。しかし、実際には、広島市文化財団は、実行委員会に広島市から受けた本補助金と同額の補助金を支払い、実行委員会が補助事業に係る経費の執行をしているのが現状である。

 担当課によれば、広島国際アニメーションフェスティバルの運営資金として、民間からの補助金が活用されており、その民間補助金の交付条件との兼ね合いがあり、広島市から実行委員会が補助金を受ける形ではなく、広島市文化財団を経由する形をとっているとのことである。

 広島市文化財団が補助事業に係る対象経費の執行を自ら行わず、実行委員会に対して補助金を交付するという例外的な運用を認めるにしても、担当課は、実行委員会が補助事業者として適正であることを確認した上で、本補助金の交付決定を行うべきである。

 具体的には、補助金交付申請書に、広島市から広島市文化財団が受け取った本補助金の全額は、実行委員会に対して補助金として支払う旨及び事業計画を実施するのは実行委員会であることが明記されるべきであり、担当課は広島市文化財団に対してその旨を指導する必要がある。

 また、担当課は、補助金の交付決定に際し、実行委員会の事業計画書、収支予算書、資金収支計画書の内容を確認する必要がある。これまで、担当課は、実行委員会の資金収支計画を補助金交付申請書上からは把握できない状態で、広島市文化財団への本補助金の概算払時期と金額を決定しており、経済性、効率性の観点からこのような運用はするべきではない。実行委員会の資金収支計画書を精査した上で、本補助金の概算払の時期、金額等を決定するべきである。

 

イ 補助金の確定に関する事務手続について

 広島市文化財団が担当課に提出した本補助金に関する事業実施報告書には、実行委員会についての言及がなく、第17回広島国際アニメーションフェスティバルの開催という補助対象事業は、広島市文化財団が単独で実施したかのように読み取れる記載内容になっている。事業実施報告書には、実行委員会が補助対象事業を実施した旨が明記されるべきである。

 また、事業実施報告書における「4事業の実施効果」については、「市民に芸術文化に係る鑑賞の場を積極的に提供することにより、市民の芸術文化に対する関心と理解を深めることができ、広島市の文化の振興と向上に寄与することができた。」という記載にとどまっているが、これは、平成28年度及び平成29年度の広島国際アニメーションフェスティバルの開催補助金の事業実施報告書と一字一句違わず、同じ記載となっていた。

 補助金は市長が公益上必要があると認める事務又は事業を行う者に対して交付するものであり、最少の経費で最大の効果を挙げるようにする必要がある。しかし、事業実施報告書の記載を見る限り、事業の経済性、効率性及び有効性について、その費用対効果を検証することはできない。事業の経済性、効率性及び有効性について、その費用対効果を検証することができないにもかかわらず、担当課は補助金額を確定しており、このような運用はするべきではない。

 広島市文化財団が担当課に提出した本補助金に関する収支決算書において、本補助金がどのような費目にいくら使われたかという点については、「文化行事開催費・負担金及び補助金、決算額84,211千円(うち、本補助金の決算額は75,414千円)」という1つの勘定科目で表示されているが、この収支決算書の記載では、補助事業に係る経費について、単価、数量等が適正であったか、本補助金は有効に使われたのかという視点から検証することは不可能である。

 今後は、本補助金に関する事業実施報告書、収支決算書においては、補助事業を実施したのは実行委員会であることを明記し、実行委員会から広島市文化財団に提出された「事業終了報告書」に記載された収支の詳細等についての内容を反映させ、具体的な事業の成果や事業費の説明等を記載するよう、担当課は広島市文化財団に対して指導し、補助金の額を確定する必要がある。

 

ウ 帳簿等の整備について

 広島市補助金等交付規則第11条により、補助事業等に係る経費の収支を明らかにした書類及び帳票の備え付けと5年間の保存が義務づけられており、これに従い、広島市文化財団は、実行委員会に対して2回行った補助金の支払に関する書類及び帳票を備え、平成30年度終了後、5年間保存する必要がある。

 一方、広島市文化財団が実行委員会に交付した平成30年4月1日付けの補助金の交付決定に関する書類においては、証拠書類及び帳簿の保存期間に関する定めがない。

 補助事業の経費の収支については、実行委員会が作成した会計帳簿に記録され、見積書・納品書・領収書等と併せて実行委員会が保管しているが、これらについても、広島市補助金等交付規則第11条の適用を受けるべきものであり、担当課又は広島市文化財団は実行委員会に対して、平成30年度終了後、5年間保存するよう指導する必要がある。

 監査の結果を受けて、本補助金に係る令和2年度の交付申請書及び事業実施報告書について、本市から広島市文化財団が受け取った本補助金の全額は実行委員会に対して補助金として支払う旨及び本補助事業の実施主体は実行委員会である旨を明記し、事業実施報告書における「4事業の実施効果」の記載について、実行委員会から広島市文化財団に提出された「事業終了報告書」に基づき具体的に記載するよう、広島市文化財団に指導した。

 その結果、補助金交付申請書及び事業実施報告書において、指導内容が反映されていることを確認した。

 また、本市は、実行委員会の事業計画書、収支予算書、資金収支計画書の内容を確認した上で広島市文化財団に対する補助金の交付決定を行うとともに、補助金の交付決定通知書に広島市文化財団が実行委員会に対し、実行委員会においても帳簿等を5年間保存しておかなければならない旨指導することを明記した。

 なお、実行委員会への支払について、令和3年度からは、民間からの補助金を活用するため広島市文化財団を経由して交付する補助金以外は、本市から負担金として直接交付することとした。

6  監査の意見及び対応の内容
(1) 補助金の概算払額の適正化について(広島市文化財団文化事業部の管理運営事業等に対する補助(補助金)) 
  (所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)

 
監査の意見
対応の内容

 広島市文化財団文化事業部の管理運営事業等に対する補助金(以下「本補助金」という。)は、担当課から広島市文化財団に対して、毎月、概算払が行われ、年度末に精算額を決定し、翌年度5月末までに広島市文化財団が広島市に対して返納するという流れになっている。

 平成30年4月1日付けで担当課から広島市文化財団に交付された本補助金に係る「補助金交付決定通知書」には、月次の概算払額(以下「交付予定額」という。)が記載されているが、「なお、第2回目以降は、資金収支計画書を提出し、それに基づいて交付する。」旨が記載されていた。

 広島市文化財団が月次で作成し担当課に提出した「資金収支計画書」は、実際には当月に支出見込みがないにもかかわらず、前月までに概算払を受けた補助金の未執行額を全額当月に執行するという算定方法に基づいた支出見込額が計上されていた。これは、当月以降の補助金の概算払額を交付予定額どおりとするために、実態と乖離した支出見込額を記載したものである。

 担当課は、「資金収支計画」に基づいて、交付予定額どおりの補助金の概算払を行い、平成30年度においては、本補助金のうち文化事業部管理運営事業で、合計79,727千円の概算払の戻入が発生しており、概算払の金額算定が結果として相当ではなかったと認められる。本補助金の文化事業部管理運営事業については、平成30年度のみならず、平成28年度で24,158千円、平成29年度で35,720千円の概算払の戻入が生じており、資金管理、事務処理の効率性の観点から、問題がある。

 広島市文化財団が月次で提出する資金収支計画書は、担当課が補助金の執行状況を把握する唯一の重要な書類であるといえる。

 担当課は、広島市文化財団に対して、補助事業の進捗状況の実態を正しく反映し、より精度の高い支出見込額を記載した資金収支計画書を提出するよう指導し、概算払の金額が過大にならないように努めるべきである。

 監査の意見を受けて、補助金の概算払の金額をより適正にするため、本市は広島市文化財団に対し、毎月提出する資金収支計画書の内容を前月までの補助事業の執行状況を反映させたものにするよう指導した。

 その結果、令和2年度の本補助金に係る戻入額は26,647千円で、その戻入額の決算額に対する割合は約5.9%となり、平成31年度の約18.9%、平成30年度の約18.5%と比較して改善が見られた。

 引き続き、広島市文化財団に対して必要な指導を行い、概算払の金額が過大にならないよう努める。

平成29年度包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(市民局及び経済観光局)

1  監査意見公表年月日
  平成30年2月2日(広島市監査公表第2号)
2  包括外部監査人
    福田 浩
3  監査意見に対する対応結果通知年月日
    令和5年2月24日(広経雇第55号)
4  監査のテーマ
  文化活動及び生涯学習に係る施設の管理運営等について
5  監査の意見及び対応の内容
 (広島市五日市公民館及び広島市佐伯勤労青少年ホーム)合築施設における管理運営等について
  (所管課:市民局生涯学習課及び経済観光局雇用推進課)

 
監査の意見
対応の内容

 同一の建物内において、広島市五日市公民館と広島市佐伯勤労青少年ホームは、それぞれの所管区域の諸室を受け持ち、独立して管理運営等を行っている事案が見受けられた。

 広島市においては、同一の建物に設置されている広島市五日市公民館及び広島市佐伯勤労青少年ホームを管理運営するに当たり、広島市五日市公民館の利用者数に比して広島市佐伯勤労青少年ホームの会員利用者数が少ないことを踏まえ、それぞれ独立して行われている所管施設の使用受付事務を一体的に行うなどして、経営管理事務の効率化、経費の節減を図るとともに、利用者の利便性を高める方策を検討されたい。

 監査の意見を受けて、広島市五日市公民館及び広島市佐伯勤労青少年ホームの管理事務の効率化等について検討を行ってきた中で、広島市佐伯勤労青少年ホームについては、「広島市公共施設等総合管理計画」に基づき、そのあり方に係る検討も併せて進めてきたところ、本市に3館ある勤労青少年ホームの全てを令和4年3月31日をもって閉館した。

 そして、監査の意見にあった広島市佐伯勤労青少年ホームであった施設については、令和4年4月1日以降、広島市五日市公民館の一部として一体的に管理している。

令和2年度包括外部監査の結果に基づいて講じた措置等の公表(健康福祉局)

1  監査結果及び監査意見公表年月日
  令和3年2月4日(広島市監査公表第4号)
2  包括外部監査人
    中川 和之
3  監査結果に基づいて講じた措置及び監査意見に対する対応結果通知年月日
    令和5年2月8日(広障福第234号)、同年3月3日(広健保第505号)及び同月7日(広健保第508号)
4  監査のテーマ
  扶助費に係る財務事務の執行について
5  監査の結果(指摘事項)及び措置の内容
  自動車の保有が否認されている生活保護受給者に対する指導(その1)
 (所管課:健康福祉局保護自立支援課)

 
監査の結果
措置の内容

<内容>

 自動車の処分指導に従う生活保護受給者が大部分である一方、自動車の保有について処分指導しているにもかかわらず、複数年にわたり従わないケースが散見される。現在は、生活保護法第27条に基づく文書指導は行っておらず、同条に基づかない口頭指導にとどまっているものが多い。

<とるべき対応>

 指導の実効性を確保するため、生活保護法第27条に基づく口頭指導及び文書指導を行うようにすべきである。

 監査の結果を受けて、令和3年2月の生活課長会議及び保護係長会議において、自動車の保有について福祉事務所の口頭指導等により具体的な処分方法を提示してもなお、自動車を保有し続ける被保護者については、当該被保護者の能力や健康状態等を鑑みたとしても、長期にわたり指導に従っていないものと判断される場合は、生活保護法第27条に基づく文書による指導指示を検討するよう周知を図った。 

 

6  監査の意見及び対応の内容

(1) 障害者福祉に係る支援事業(広島市障害福祉計画の評価)
 (所管課:健康福祉局障害福祉部障害福祉課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 障害者総合支援法第88条の2において、「市町村障害福祉計画」について、「市町村は定期的に(省略)調査、分析及び評価を行い、必要があると認められるときは、(省略)変更すること、又はその他の適切な措置を講ずるものとする。」と規定されている。また、国が示す「障害福祉計画策定に係る実態調査及びPDCAサイクルに関するマニュアル」では、例として庁外組織である障害自立支援協議会と連携した評価方法が記載されているが、広島市では障害者施策推進協議会で計画進捗を調査審議する体制となっている。

 しかしながら、広島市障害者施策推進協議会の開催状況は、平成31年度は開催実績がゼロとなっていることから、障害者総合支援法第88条の2にある評価の手続が完了していないと考えられる。

 担当者へのヒアリングによれば、市が作成した障害福祉計画の評価についての意見聴取は、平成31年度は令和2年3月に開催予定として委員等の日程調整をしていたが、新型コロナウイルス感染状況を踏まえ、一堂に会しての協議会の開催を断念したところ、その際リモートや文書会議による開催は検討しなかったという趣旨の回答であった。

<とるべき対応>

 市町村障害福祉計画の評価、更新及びその後の措置は扶助費の執行に少なからず影響を及ぼすものであり、コロナ禍であってもリモート会議等の方法で、「障害福祉計画策定に係る実態調査及びPDCAサイクルに関するマニュアル」を参考にした上で、障害者施策推進協議会から意見を聴く場を設け、適切な評価が行われるよう努める必要があると考えられる。

 市町村障害福祉計画・障害児福祉計画(以下「計画」という。)の評価は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」及び「児童福祉法」により、市町村が行うことになっているところ、毎年度、本市において計画の評価を行った上で、その結果について広島市障害者施策推進協議会(以下「協議会」という。)に報告している。

 平成31年度については、本市において計画の評価は行ったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のためリモート等も含めて協議会は開催しなかった。

 しかし、令和2年度については、令和2年11月及び12月、令和3年3月に協議会を開催し、そのうち、令和2年12月の第2回協議会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため書面開催とした。

 監査の意見を受けて、引き続き、状況に応じた協議会の開催手法を検討し、意見聴取に努める。

(2) 障害者福祉に係る支援事業(自立支援医療(更生医療)における事後申請)
 (所管課:健康福祉局障害福祉部障害福祉課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 更生相談所によるマニュアルでは、新規手続において「心臓機能障害など、医療の緊急性が求められる場合は事後申請でも認めているが、それ以外の障害については計画的な医療が可能であることから、原則事後申請は認めていません。」と明記されており、例外事例が列挙されている。

 一方でこの新規手続と異なり更新手続においては、事後申請を認める例外事例の基準がないなか、自立支援医療の適用が途切れることがないよう実務の運用において事後申請を認めている事例が見受けられた。

 また、南福祉事務所における申請書のサンプルでは受付印が押印されていないものが1件あった。

<とるべき対応>

 このため、新規手続と同様に更新手続においても、公平性の観点からマニュアル等で例外事例の基準を設けることが望ましい。

  申請書への受付印の押印について、当該申請書は継続して支給認定を受けたいとの意思を表明するものであり、その受理に当たっては適切に運用されることが望ましい。

 自立支援医療(更生医療)の更新手続については、同医療の受給対象者がやむを得ない理由により有効期間の終期までに申請ができなかった場合において、更生相談所の判定により、病状の変化及び治療方針の変更がないことが確認できるときは、例外的に事後申請を認める運用を行っている。

 監査の意見を受けて、より適切な事務を執行するため、更新手続においても例外的に事後申請を認める場合の基準を令和4年2月16日付けで事務手順書に明記した。

 また、申請書の受理について、適切に運用するよう南福祉事務所に対して指導した。

 今後とも、事務手順書等に基づき、適切な事務処理に努める。

(3) 障害者福祉に係る支援事業(広島市障害者施策推進協議会の運営体制)
 (所管課:健康福祉局障害福祉部障害福祉課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 広島市障害者施策推進協議会において委員名簿(任期:2年間 平成30年6月1日~令和2年5月31日)によれば、委員が23名選任されている。また、広島市障害者施策推進協議会の下位組織として、専門部会や運営会議の設置はされていない。

 他の自治体の障害者施策推進協議会の委員数は以下のとおりである。

 

政令指定都市

人口(百万人)

委員数(人)

下位部会

部会兼務委員(人)

横浜市

3.7

24

7

12

名古屋市

2.2

20

1

10

札幌市

1.9

18

1

2

広島市

1.1

23

0

0

 他の自治体では部会の設置を行っているところもあり、委員23名の数をみると人口の割に多いと考えられる。また、障害者施策推進協議会のみで同一の議題について協議・議論するよりも、専門部会で検討した結果を報告・協議することが、効果的及び効率的な協議会の運営になるのではないかと考えられる。

 市の回答としては、障害福祉サービスや地域生活支援事業等、障害児通所支援等について、障害当事者のニーズや地域の支援団体の状況等を踏まえた施策の計画的な推進や支援体制の整備を図るため、広島市障害者自立支援協議会を設置、開催しており、協議された広島市障害者計画等に基づく施策に関する進行管理や調査審議事項は、適宜、広島市障害者施策推進協議会にも報告の上、意見聴取や合議を受けているところであるとのことであった。

 また、障害者施策推進協議会と障害者自立支援協議会は別委員が就任しているが、その所属団体等の大半は同じ属性の機関となっているとのことである。

<とるべき対応>

 広島市障害者自立支援協議会は、あくまで別委員により構成される広島市障害者施策推進協議会とは異なる組織であり、専門部会の役割とは別であると考えられる。必要に応じて障害者施策推進協議会に専門委員を追加して相当の知見・経験を有する者で検討を行う等の工夫を検討することが望ましいと考える。

 広島市障害者施策推進協議会では、様々な分野の専門家や障害当事者など多業種の機関・団体の構成員が組織横断的な議論を交わしながら各種施策の検討等を行っている。

 監査の意見を受けて、議題等に応じて専門委員の活用に努めていく。

 

(4) 障害者福祉に係る支援事業(障害福祉等に関するアンケート調査結果)
 (所管課:健康福祉局障害福祉部障害福祉課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 平成29年にアンケートが実施され、「障害福祉等に関するアンケート調査結果」にあるとおり、第5期広島市障害福祉計画の策定の基礎として、障害福祉サービスに対するニーズ等を把握することが目的で行われたものである。

 調査の規模としても5,600通を発送して、2,916通の回答を得ており、その内容はアンケート調査結果報告書【概要版】として取りまとめられ、結論部分では、今後の取組や検討の必要性が簡便的に記載されるとともに、計画策定時の意見聴取を行う広島市障害者施策推進協議会に提出されている。ところが、障害福祉計画には障害福祉サービス等の量の見込みは記載されているが、実績値等を考慮したものはあるものの、アンケート調査結果を踏まえたものにはなっていないとみられる。

 市の回答としては、一時点の対象者抽出による調査結果のみでは、偏った目標数値となる可能性があることから、障害福祉サービス見込量には直接反映させてはいないとのことであった。

<とるべき対応>

 国は、平成26年度に「障害福祉計画策定に係る実態調査及びPDCAサイクルに関するマニュアル」を策定し、地方自治体による障害福祉計画策定において障害者等のニーズを把握した状況をサービス見込量の推計に反映するための例を示しているが、その具体的な対応は各自治体に委ねられているとともに、調査結果を反映する方法も、自治体により違いがある状況となっている。

 このため、国は同マニュアルを令和2年に改訂し、サービス見込量の推計に当たり調査結果を具体的に反映するための手順例を示し、障害者等のニーズに応じた推計を行うよう各自治体に求めているところである。

 こうした国の動きを踏まえ、市民ニーズに応じたより効果的な施策を展開するために、サービス見込量の推計が行えるようなアンケート調査の実施方法や分析手法などを検討することが望ましい。

 平成29年に実施した「障害者福祉に関するアンケート調査」に基づく障害福祉サービスに対するニーズ等については、「広島市障害者計画〔2018-2023〕」や第5期広島市障害福祉計画・第1期広島市障害児福祉計画の策定に際して参考としている。

 監査の意見を受けて、できるだけ精緻な障害福祉サービス量の見込みが立てられるよう、アンケート調査については令和4年度に実施内容・方法等を検討した上で実施し、その結果を令和5年度の障害福祉計画・障害児福祉計画の改定に反映させることとしている。

(5) 生活保護法第29条の規定に基づく資産調査の未回収
 (所管課:健康福祉局保護自立支援課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 「関係先調査伺い(に代わる書類を含む:押印あり)」について、生命保険会社及び金融機関からの回答について、数か月経過していても未回収であるものが存在した。

 「関係先調査伺い」により行った資産調査の回答を、生命保険会社及び金融機関から回収する手続は、資産調査としては重要な手続であり、網羅性の観点から送付先からは適時に全てを回収することが望ましい。しかし、民間企業の回答義務や法的強制力がないため、全件回収は困難であることも理解できる。この点、担当者の違いにより、金融機関への確認状況が異なる。民間企業には回答義務や法的強制力がないとしても、未回収のまま放置せず回答できるか否かの確認程度は行い、その結果を記録に残しておくことがより適切である。

<とるべき対応>

 期間の基準を設けるなどし、未回収先に回答の再依頼や回答できるか否かの確認程度は実施し、その結果を記録しておくべきである。

 監査の意見を受けて、令和3年2月の生活課長会議及び保護係長会議において、生活保護法第29条に基づく資産調査の回答に未回収のものがある場合は、調査先に対し回答の再依頼や回答の可否についての確認を行い、回答が未回収となった経緯をケース記録に記載するなど、適切に対応するよう周知を図った。

(6) 自動車の保有状況の記載漏れ
 (所管課:健康福祉局保護自立支援課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 当資料を試査した結果、自動車の処分指導に従わず保有を継続している被保護世帯について、当資料への令和元年度分の記載が漏れているものが存在した。

<とるべき対応>

 当資料は、外部報告のための資料ではなく、記載が漏れているからといって何らかの法規範に反するものではないが、内部管理に関する資料として重要なものであるため、適切な記載が求められる。

 監査の意見を受けて、令和3年2月の生活課長会議及び保護係長会議において、自動車の保有状況に係る資料に、前年度登載されている自動車に漏れがないか、登載されていない場合は処分等の異動があるかを確認し、適切な資料を作成するよう周知を図った。

(7) ケース記録票記載について
 (所管課:健康福祉局保護自立支援課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 ケース記録票が承認後に修正や更新がなされる場合は、改ざん防止の観点から基本的に二重線が引かれて訂正印を押印するという運用を行っている。

 しかしながら、サンプルの中には、訂正印が押印されていないもの、修正液やテープによる修正で訂正印が押印されていないものが散見された。また、別紙に印字したものを切り貼りする場合に、一部に割印がされていないものが存在した。さらに、修正液を使用しているが訂正印がない記録や一部に鉛筆書き(保護台帳も鉛筆書き散見)で記載されている書面があった。

 現在は、ケース記録票に二重線を引いた上で手書きをする、パソコンでタイプしたものを印字、別紙を切り取って貼付けをするなどして修正や更新をしている。貼り付け、二重線による修正、修正液を使用する場合は、訂正印の押印を徹底されることが望ましい。また、改ざん防止の観点から、鉛筆ではなくボールペンを利用するべきであると考えられる。

<とるべき対応>

 ケース記録票など重要な行政書類については、全職員に対し適切な修正方法の周知及び指導を徹底する。

 監査の意見を受けて、令和3年2月及び5月の生活課長会議及び保護係長会議において、本市の「文書事務の手引」に従って、文書を修正する方法については、別紙の貼付けや二重線により訂正する際には訂正印を押印するなど、適切に対応するよう周知を図った。

(8) 生活保護申請書、収入申告書及び資産申告書の日付
 (所管課:健康福祉局保護自立支援課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 生活保護申請書、収入申告書及び資産申告書の日付が未記載で受付印のみ押印(日付あり)されているものが散見される。

 生活保護申請書について、日付のある受付印だけでも生活保護の開始日は明確であるが、生活保護申請書等の日付は、これらの書類を作成した日付を明確にすることができるので、記載の指導を徹底するべきである。

<とるべき対応>

 申請者又は生活保護受給者が、生活保護申請書、収入申告書及び資産申告書の日付を記載するように、現場職員に指導を実施する。

 監査の意見を受けて、令和3年2月及び5月の生活課長会議及び保護係長会議において、申請者等による日付の記載を徹底させるよう周知を図った。

(9) 生活保護法第29条の規定に基づく資産調査の修正
 (所管課:健康福祉局保護自立支援課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 生活保護法第29条の規定に基づく関係先調査伺い調査について、回答に修正テープが貼られ、割印がないものがあった。

 担当者によると金融機関が修正テープを使用しているとのことであり、誰がどのような修正を加えたか不明となっており、修正事項は明確にすべきであると考えられる。さらに、金融機関が修正テープで修正しているならば再発送手続をすべきであると考えられる。

<とるべき対応>

 金融機関の回答に義務や法的拘束力がないため、再発送が難しいならば、電話などで事実確認の上、当該事実について記録し、責任の所在を明確にしておくべきである。

 監査の意見を受けて、令和3年2月の生活課長会議及び保護係長会議において、生活保護法第29条に基づく資産調査の回答に金融機関等による修正テープでの内容の訂正がある場合は、当該金融機関等へ事実確認を行った上で、ケース記録に当該事実の結果を記載するなど、適切に対応するよう周知を図った。

(10) 相談・面接票の配布資料チェック欄の利用
 (所管課:健康福祉局保護自立支援課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 申請意思のあるものに対し各種書類を配布しているにもかかわらず、配付書類にチェックのないものがある。適切に配布資料を把握するためにもチェックリストの徹底した記録が求められる。

<とるべき対応>

 ケースワーカーに、相談・面接票の配布資料チェック欄の利用指導を徹底する。

 監査の意見を受けて、令和3年2月及び5月の生活課長会議及び保護係長会議において、申請意思のある者に対して各種書類を交付した場合は、相談・面接票の交付資料チェック欄に必ずチェックを入れるよう周知を図った。

(11) 自動車の保有が否認されている生活保護受給者に対する指導(その2)
 (所管課:健康福祉局保護自立支援課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 生活保護受給者について、自動車の保有が認められなかったために知人に売却したが、売却価格の妥当性が検証されておらず、サンプルの中には5千円で売却されたため収入認定されていないものも見られた。

<とるべき対応>

 生活保護受給者に対しては、自動車の売却時に買取り業者に見積りを取ることを指導すること及びインターネット上での販売価格等を調査することによって販売価格の妥当性を検証した上で、記録を残すべきであると考えられる。

 監査の意見を受けて、令和3年2月の生活課長会議及び保護係長会議において、被保護者に対して自動車の売却時に買取業者から見積りを取るよう指導すること及び各区生活課においてインターネット上での販売価格等を調査することにより、売却額の妥当性を検証した上で収入認定を検討し、ケース記録に検討結果を記載するよう周知を図った。あわせて、本市が平成19年4月に作成した「自動車処分マニュアル」について、売却価格の具体的な検証手順を追加するなどの改訂を行い、令和4年3月から運用している。

(12) スマートフォン等タブレット端末の導入
 (所管課:健康福祉局保護自立支援課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 個人情報漏洩防止の観点から、ケースワーカーが家庭訪問する際に、生活保護帳簿から必要箇所をメモ書きした上で、訪問を行っている。膨大な情報から一部のみをピックアップして行われるコミュニケーションは非効率であり、メモ書きの紛失も生じると考えられる。担当者によれば訪問調査の際に、挙証資料の取得や緊急時の連絡などにスマートフォンの需要があるものの、公用のスマートフォンは配備されていないとのことである。

<とるべき対応>

 職員の位置情報の把握、情報の漏洩防止という安全性の観点及び業務の効率化の観点から、調査訪問の際には、公用のスマートフォンやタブレット端末の利用を検討することが望ましい。

 国は、令和2年12月25日に閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」に基づき、地方公共団体における業務プロセス・情報システムの標準化を推進している。このうち生活保護業務については、令和4年度に標準仕様を定め、令和7年度中の標準システムへの移行を目指している。

 この標準仕様には、タブレット端末等を活用するシステムも組み込まれる予定であることから、標準システムへの移行作業において、タブレット端末等の導入についても併せて検討していくこととしている。

(13) ケース診断会議議事録の起案日
 (所管課:健康福祉局保護自立支援課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

 ケース診断会議議事録の起案日、会議日、決裁日等、日付が空欄のものが散見された。

 また、ケース診断会議の開催日より議事録の作成日が前となっているものも散見された。

<とるべき対応>

 ケース診断会議は市としての判断を決定する際に開催される重要な会議であり、日付は正確に記録すべきである。また、ケース診断会議の議事録は会議後に判断の正当性を検証する必要が生じた際の資料となるものであり、日付の記入については正確性を確保すべきである。

 監査の意見を受けて、ケース診断会議の議事録について、決裁日を記載するように様式を変更した上で、令和3年2月の生活課長会議及び保護係長会議において、変更後の様式を使用し、日付は必ず記載することについて周知を図った。

(14) 生活保護法第63条の返還を求める可能性がある場合の通知
 (所管課:健康福祉局保護自立支援課)

 
監査の意見
対応の内容

<内容>

  広島市においては、国が文書による通知をすべきとしている場合以外に、文書で通知すべき場合を追加する運用をしているが、監査を実施したところ、これらの場合以外でも年金を遡及して数十万円受領した結果、返還義務の認識が不十分なためか、返還をする前に費消してしまい、一括返還ができなくなり、分割納付となっている事例が散見された。

<とるべき対応>

 事前に文書を被保護者に示していれば、返還義務を強く意識づけることができ、費消されなかった場合、一括返還が可能になることから、文書により通知すべき場合の対象範囲を更に拡大することについて検討すべきであると考える。

 監査の意見を受けて、令和3年2月の生活課長会議及び保護係長会議において、被保護者に対して文書による指導指示を行う場合に「年金を受給することが確実な場合」を追加することについて説明した上で、その解釈を「一括返還が困難となる可能性が高いおおむね6か月以上遡及して年金を受給することが確実な場合」とし、同年11月に各区の生活課長及び保護担当課長に対し通知した。

 

令和3年度包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(水道局)

1  監査意見公表年月日
  令和4年1月27日(広島市監査公表第2号)
2  包括外部監査人
    中川 和之
3  監査意見に対する対応結果通知年月日
    令和5年3月1日(広水財第127号)
4  監査のテーマ
  水道事業に関する経営管理について
5  監査の意見及び対応の内容
(1) 決算報告書等の決裁について
 (所管課:水道局財務課)

 
監査の意見
対応の内容

現状(問題点)

 広島市水道局会計規程第112条に、「財務課長は、毎事業年度5月20日までに次に掲げる書類を作成し、証拠書類を添えて管理者の決裁を受けなければならない。」とあるが、令和2年度の決算報告書等の決裁日は令和3年5月28日であり、決裁に遅れが生じている。

 

監査人の意見

 広島市水道局会計規程第112条に、決算報告書等の提出について以下のとおり規定されている。

 第112条 財務課長は、毎事業年度5月20日までに次に掲げる書類を作成し、証拠書類を添えて管理者の決裁を受けなければならない。

(1) 決算報告書

(2) 損益計算書

(3) 貸借対照表

(4) 剰余金計算書又は欠損金計算書

(5) 剰余金処分計算書又は欠損金処理計算書

(6) 事業報告書

(7) キャッシュ・フロー計算書

(8)  収益費用明細書

(9) 固定資産明細書

(10) 企業債明細書

(11) 継続費精算報告書

(12) 基金運用状況調書

 したがって、令和2年度の決算報告書等は令和3年5月20日までに決裁を受けなければならない。

 しかしながら、令和2年度の決算報告書等の決裁日を確認したところ、決算報告書等の決裁日は令和3年5月28日であり、決裁に遅れが生じていた。

 この点、平成30年度及び令和元年度の決裁日は5月20日であり期日内に決裁されているが、平成30年度、令和元年度及び令和2年度全ての広島市水道事業決算報告書等の提出についての起案書の起案日が決裁期限の5月20日である。

 

年度

起案日

決裁日

平成30年度

令和元年5月20日

令和元年5月20日

令和元年度

令和2年5月20日

令和2年5月20日

令和2年度

令和3年5月20日

令和3年5月28日

 

 広島市水道事業決算報告書等の提出について、以下の理由等から起案日から決裁まで余裕をもてる対応が望ましい。

・ 決裁の過程で何らかの誤謬や不備が判明した場合にそれらの対応に時間がかかる。

・ 決裁権限者が決裁期日に不在である可能性がある。

 監査の意見を受けて、決裁の過程で誤謬・不備が判明した場合や決裁権限者が不在である場合に対応できるようにするため、令和4年3月に市長への提出期限のみ定めるよう広島市水道局会計規程を改正した。

 令和3年度決算報告書等については、この改正後の規程により、令和4年5月20日に起案し、同月31日に管理者の決裁を受け、同日に市長に提出した。

(2) 「広島市水道ビジョン」のフォローアップについて
 (所管課:水道局財務課)

 
監査の意見
対応の内容

現状(問題点)

 現行の「広島市水道ビジョン」は平成30年2月に改定され、向こう10年間(平成39年度)までの事業運営の指針を定めている。「広島市水道ビジョン」ではまず基本理念を掲げ、その理念に沿って施策目標が定められ、施策目標達成のために主要事業を定め、主要事業遂行のための具体的な取組が示されている。

 「具体的な取組」はいずれも水道事業にとって今後の事業継続・発展に欠かせない必要な施策であると認められ、途切れることなく取組まなければならないものである。そのため「広島市水道ビジョン」で明らかにした取組の全てについて水道事業に関わる関係者に報告する必要があると考えられる。具体的には取組実施の有無、取組実施済であればその達成の状況、未達成であればその原因及び進捗状況、達成時期の見通し等についてである。これらの取組について一部中期経営計画や広島市水道局ホームページなどで周知をしているものの、一定様式に沿った一覧形式で水道事業関係者が確認できるものが見当たらない。

 

詳細情報

 「広島市水道ビジョン」作成の際の指針の一つである厚生労働省『「水道事業ビジョン」作成の手引き』の、6作成要領、6.5検討の進め方とフォローアップ、(4)フォローアップでは、「水道事業者等は、水道事業ビジョンに掲げる実現方策等を着実に推進する体制の構築に努める。また、目標の達成状況、実現方策の実施状況について、定期的に評価し、関係者の意見を聴取しつつ、必要に応じて改定することが望ましい。」と記載されている。

 厚生労働省『「水道事業ビジョン」作成の手引き』にもあるとおり、具体的な取組を公表したのであれば、一定期間経過後にその達成状況、未達成であればその理由(原因分析)と進捗状況、達成の見通しについて水道料金を負担する水道利用者へ報告・説明するべきである。この点を水道利用者(あるいは市議会)に報告・説明しなければ毎回毎年同じ施策や取組の記載の繰り返しに終始し、取組の進捗がないと受けとめられるのではないかと危惧される。

 他の自治体を見ると、中期経営計画の中で、過去に掲げた施策について一つ一つ具体的な実績数値を示してその達成状況を説明している例がある(福岡市など)。また、未達成となった場合は、その原因を記述し、進捗状況も数字を用いて説明し、さらに今後の達成が見込まれる時期も明示している。

 

監査人の意見

 当然各施策(具体的な取組)には重要度や優先度が中期経営計画期間や年度によっても異なるので、全てについて詳細に説明することは難しいとしても、例えば重要施策や重要な取組については中期経営計画を公表するごとに、その他の取組についても一定期間ごとに具体的かつ分かりやすい報告が必要であると考える。

 この点について広島市水道局は、「広島市水道ビジョン」の実行計画である中期経営計画では、「広島市水道ビジョン」の五つの施策目標に対し、特に注力していくものや計画的に取り組んでいく必要がある事業について、目標管理の項目として10項目を設定し、その達成状況や未達成の原因等について、中期経営計画やホームページへ掲載を行っていることから、「広島市水道ビジョン」の一定のフォローアップはなされていると考えているとのことである。

 確かに中期経営計画や水道局ホームページ、パンフレットにより水道局の施策の実施状況について触れ、報告は行われている。しかし、中期経営計画では目標値に対する実績値と未達成の場合の原因の記載が具体性に欠け、状況を詳細に把握しにくいのではないかと思われる。一定の様式で各取組について一覧でき、詳細にその状況を把握できる報告を行うことが水道利用者をはじめ、各関係者の水道事業に対する理解に資すると考える。

 「広島市水道ビジョン」の実行計画である中期経営計画の実績等の報告については、これまでも水道局ホームページにおいて、毎年度、主要施策の取組状況、経営の効率化の進捗、財政収支計画の計画と実績の比較及び目標管理の達成状況を一定様式に沿って掲載している。さらに、計画期間の終了後には、4か年を総括した詳細な実績報告を行っている。

 また、令和4年2月に策定した中期経営計画(令和4年度~令和7年度)では、水道の安全性・安定性を確保するための取組である主要施策などについて、具体的かつ分かりやすい記載となるよう見直しを行った。

 今後とも、本市水道事業に対する理解を深めていただけるよう、中期経営計画及び毎年度の実績等の報告を通じて、「広島市水道ビジョン」に掲げた目標の進捗・達成状況の情報発信に取り組む。

(3) 寄贈品の資産計上について
 (所管課:水道局財務課)

 
監査の意見
対応の内容

現状(会計処理、問題点)

 寄贈品の管理状況について質問したところ、寄贈品の管理表は作成されていないとのことであった。固定資産台帳及び備品台帳を調査した結果、固定資産台帳には寄贈品は計上されておらず、備品台帳に絵画10件、冷暖房機1件、物置3件、花瓶1件が計上されていることが確認されたが、寄贈を受けた際の財務課への文書の報告、保存の手続が不明瞭であった。

 

監査人の意見

 広島市水道局固定資産規程には、資産の取得に際して、以下のように規定されている。

 

(取得前の処置)

第9条 各課長は、固定資産を買い入れ、交換し、譲り受け、又は寄附その他により取得しようとするときは、当該固定資産について必要な調査を行ない、権利の設定又は特殊の義務の負担があるときは、その消滅その他必要な処置を講じ、支障なく取得の目的に供し得るようにしなければならない。

(取得の手続)

第10条 各課長は、固定資産を取得しようとするときは、次に掲げる事項を記載した文書により、決裁を受けなければならない。

(1) 取得しようとする理由

(2) 用途又はその利用計画

(3) 種類及びその明細

(4) 相手方の住所、氏名及び所在地

(5) 予定価額又は見積価額

(6) 支出科目

 

 寄贈品については、寄贈者からの金額の聞き取りなどが出来ず、適切な会計処理のために、価格の見積が発生することも想定される。資産受贈時に適切な処理がされたことを記録しておくためにも、固定資産の取得に準じて文書の作成を行い、決裁を受け、文書が保存されるように、資産受贈時の手続を職員に周知徹底することが望ましい。

 現在、水道局が備品として整理している寄贈品は、主に五日市町合併の際に引き継いだものであるが、一部の寄贈品については、寄贈を受けた際に評価することなく備品として整理していた。

 監査の意見を受けて、今後、寄贈を受けた際には、必要な調査等を行った上で、資産計上するときは広島市水道局固定資産規程等に則った手続を行うよう令和4年3月に職員に対して改めて周知を図った。