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各環境事業所指導係所属の技術員への特殊勤務手当支給について

ページ番号:0000287274 更新日:2022年7月19日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第30号

令和4年7月7日

 令和4年5月16日付け第247号で受け付けた広島市職員に関する措置請求について、その監査結果を地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第5項の規定により、別紙のとおり公表する。

広島市監査委員 政氏 昭夫

同       井戸 陽子

同       山路 英男

同       山内 正晃

別紙

広監第73号

令和4年7月7日

請求人

(略)

広島市監査委員 政氏 昭夫

同       井戸 陽子

同       山路 英男

同       山内 正晃

   広島市職員に関する措置請求に係る監査結果について(通知)

 令和4年5月16日付け第247号で受け付けた広島市職員に関する措置請求(以下「本件措置請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第5項の規定により監査を行ったので、その結果を同項の規定により次のとおり通知する。

 

第1 請求の要旨

 請求の要旨は、請求書の記載内容から抜粋引用すると、大要は次のとおり。

 各環境事業所指導係所属の技術員への特殊勤務手当支給に関する措置請求

(1) 監査請求の概要

 特殊勤務手当は、著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務、その他著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮を必要とし、かつ、その特殊性を給料で考慮することが適当でないと認められるものに対して支給することとされており、広島市では、「職員の特殊勤務手当に関する条例」(以下、「条例」という。)によって19種類の特殊勤務手当が定められています。

 広島市の特殊勤務手当については、条例やその施行規則の規定自体に対する疑義もありますが、運用についても大きな問題があると思います。

 環境局に勤務する職員の行うごみの収集作業に関する特殊勤務手当は「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」として月額(7,900円)の手当、正規の勤務時間を基準として割り当てられた作業区域におけるその日のごみ及びがれきの全排出量以上の清掃作業に従事したときには、「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」が日額(1,590円)の手当として支給されることとなっています。

 環境局の各環境事業所の指導係には、それぞれ「技術員」が配置されています。

 指導係の技術員の職務は、安芸環境事業所を例にとって調べたところ、過去の資料ではありますが、平成30年度に所属されていた方の業務分担と現在でも差異がないとして、当時の業務分担表から推定しますと、業務内容には、ごみの収集作業という、直接現地でごみを収集する「作業」はありません。この業務内容であれば、現場作業ではなく、事務的な業務が主体といえるでしょう。

 しかし、安芸環境事業所の令和3年10月の特殊勤務手当支給実績からは、環境局に勤務する職員の行うごみの収集作業に16日以上従事したとして、満額の7,900円の月額手当と、正規の勤務時間を基準として割り当てられたその日の全排出量以上の清掃作業に従事したとして、一日につき1,590円の日額手当が全勤務日に支給されているようです。

 上記の業務内容であれば、ごみの収集作業に従事していないので、月額7,900円の「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」を支給してはならず、清掃作業に従事していないので、日額1,590円の「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」を支給してはならないと思われます。

 これは、「職員の特殊勤務手当に関する条例」及び「職員の特殊勤務手当の支給に関する規則」に反して支給していると考えられますので、財務会計上の違法・不当な行為に該当すると思料されることから、是正を求めて監査請求するものです。

(2) 請求の対象となる職員

 広島市長及び特殊勤務手当支給に関わる職員

(3) 損害の推定

 過去5年間で約1,700万円

 月に21日勤務した場合、月額7,900円と日額1,590円×21日=33,390円の合わせて41,290円の支給となり、そのすべてが違法・不当な支給と考えられます。7環境事業所にそれぞれ1名の指導係所属技術員がいるので、5年間では41,290×7名×12か月×5年=17,341,800円となります。

(4) 請求する措置

 違法・不当に支給した特殊勤務手当を返還すること。

(事実を証する事実証明書として次の書類が提出されているが、添付を省略する。)

【事実証明書1】該当部分の条例及び規則

【事実証明書2】環境事業所指導係への技術員の配置(安芸環境事業所の事例)

【事実証明書3】平成30年度に安芸環境事業所に所属されていた方の業務分担表

【事実証明書4】令和3年10月の安芸環境事業所での特殊勤務手当の支給状況

【事実証明書5】参考として、令和2年度の佐伯環境事業所指導係所属の技術員の方の職務分担表

(この方には、「町内清掃ごみの収集」という業務が20%の割合であるものの、町内会等から連絡を受けて、勤務時間の一部で収集を行うものであって、「正規の勤務時間を基準として割り当てられたその日の全作業量等」ではないことから、特殊勤務手当の支給に該当しない。)

 

第2 請求の受理

 本件措置請求は、地方自治法第242条第1項の所定の要件を具備するものと認め、令和4年5月27日に、同月16日付けでこれを受理することを決定した。

 

第3 監査の実施

1 請求人による証拠の提出及び陳述

(1) 地方自治法第242条第7項の規定に基づき、請求人に対し、証拠の提出及び陳述の機会を設けた。

(2) これを受けて、請求人のうち1名は、次のとおり、書類を提出するとともに、令和4年6月24日、本件措置請求の要旨に沿って陳述を行い、残る2名は書類の提出もなく陳述も行わなかった。

ア 提出された書類

・ 「各環境事業所指導係所属の技術員への特殊勤務手当支給に関する措置請求に係る新たな証拠の提出」

【事実証明書追加1】各環境事業所指導係配属技術員の業務分担の記載された令和3年度の職務分担表

【事実証明書追加2】清掃作業の指導監督業務に係る特殊勤務手当についての中環境事業所長及び給与課長の回答

【事実証明書追加3】平成21年3月10日付けで奈良市監査委員に提出された「収集課の職員が行う電話受付作業等の業務に対する大型ごみ業務手当の支給」に関する住民監査請求に対する監査結果(平成21年5月8日勧告)(平成21年6月1日発行奈良市公報)(ウエブ上から)

(添付を省略する。)

イ 主な陳述の内容

・ 指導係の技術員の業務内容は、直接現地でごみを収集する作業ではなく、事務的な業務が主体であるのに、清掃作業に従事したとして特殊勤務手当が支給されているのは不当であること。

2 広島市長(環境局業務部業務第一課)の意見書の提出及び陳述

 広島市長に対し、意見書及び関係書類等の提出を求めたところ、令和4年6月10日付け広業一第16号により意見書が提出された。なお、陳述は行われなかった。

 意見書の主な内容は、以下のとおりである。

(1) 事実

 各環境事業所指導係所属の技術員への特殊勤務手当は、職員の特殊勤務手当に関する条例及び職員の特殊勤務手当の支給に関する規則に基づき支給している。

(2) 本市の意見の趣旨

 本件措置請求は、理由がないものである。

(3) 本市の意見の理由

 環境事業所指導係の技術員は、町内清掃やボランティア清掃等により排出されたごみの収集作業や不法投棄ごみの回収、家庭ごみ収集の取り残しがあった際の対応、家庭ごみの収集車の乗組みに欠員が生じた際の対応など、都度、所属長により指示される作業に従事している。

 月額支給の「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」は、前述した作業を行っている技術員の職に着目して支給することとしており、勤務日数が16日以上であれば月額で、勤務日数が16日未満であれば日割で支給している。

 また、日額支給の「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」は、ごみ及びがれきの収集作業やその他の清掃作業に対して支給するものであり、技術員が前述した作業に従事した場合に支給している。

 以上のとおり、特殊勤務手当は、職員の特殊勤務手当に関する条例及び職員の特殊勤務手当の支給に関する規則に基づき支給しており、適正なものである。

3 広島市長(制度所管課である企画総務局人事部給与課)の見解

 広島市長に対し、職員の特殊勤務手当に関する条例を所管する観点から見解等を求めたところ、令和4年6月9日付け広人給第21号により以下のとおり回答があった。

(1) 制度所管課としての見解

 月額の「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」は継続して対象業務を行う点に着目し、その職に対して支給することとしている一方、日額の「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」は業務内容に着目し、対象業務に従事した場合に支給することとしており、それぞれ手当の性質を異にしたものとなっている。

 なお、勤務実態を手当額に反映させるため、月額の「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」については勤務日数が16日未満であれば日割で、日額の「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」については正規の勤務時間が勤務が通常行われる日の勤務時間の2分の1に相当する時間である日である場合はおよそ2分の1の額を、それぞれ支給することとしている。

(2) 特殊勤務手当支給に関する各課等への指導状況

 各所属において行う支給事務については、職員向けのネットワーク内に給与の手引及び給与等支給事務の手引を掲載し、職員が閲覧できるようにするとともに、毎年度、職員向けに説明会を実施し、周知徹底を図っている。

4 監査対象事項

 請求人は、市が環境事業所の指導係に属する技術員(以下「指導係技術員」という。)に対し「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」(月額7,900円)及び「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」(日額1,590円)を支給していることについて、これらの手当の支給対象業務に従事していないのに当該手当を支給していると考えられることから、違法に支給した手当を返還させるよう主張していると認められる。

 このため、職員措置請求書に添付された事実証明書にあった広島市安芸環境事業所における令和3年10月分を例として、環境事業所の指導係技術員に対する「廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当」及び「清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当」の支給について違法又は不当な点はないか監査する。

5 監査の実施内容

 請求人から提出された広島市職員措置請求書及び事実を証する書類、請求人の陳述の内容、広島市長から提出された意見書のほか関係書類を確認するとともに、関係職員への聴取りを行うなどして監査した。

 

第4 監査の結果

1 事実の確認

(1) 特殊勤務手当に係る本市の条例等の規定について

 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第24条第5項において、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は条例で定めることとされ、本市では一般職の職員の給与に関する条例(昭和26年3月30日広島市条例第62号。以下「給与条例」という。)第12条第2項の規定に基づき、職員の特殊勤務手当に関する条例(昭和26年8月11日広島市条例第21号。以下「特勤条例」という。)により特殊勤務手当の支給に関し必要な事項を定めるとともに、特勤条例第29条の規定に基づき、必要な事項を職員の特殊勤務手当の支給に関する規則(昭和57年広島市規則第22号。以下「特勤規則」という。)において定めている。

 本件請求にある廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当(以下「廃棄物特勤手当」という。)及び清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当(以下「清掃特勤手当」という。)はそれぞれ特勤条例第12条及び第13条に規定され、それぞれの手当の支給に関し必要な事項は特勤規則第11条及び第12条に規定されるとともに、廃棄物特勤手当については、特勤規則第26条において、日額の手当と月額の手当との併給ができないこととされるほか、特勤規則第27条の規定では、月額の手当について日数が足らない場合の減額が定められ、また、月額の手当を除く手当については、特勤規則第29条の規定により所定の実績簿の記録に基づき支給されることとされている。

 給与条例、特勤条例及び特勤規則における廃棄物特勤手当及び清掃特勤手当の規定を抜粋すると、次のとおりである(指導係技術員に適用される主な部分に下線を付している。(※注))。

ア 廃棄物特勤手当

 

条文

給与条例

(特殊勤務手当)

第12条 著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮を必要とし、かつ、その特殊性を給料で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員には、その勤務の特殊性に応じて特殊勤務手当を支給する

2 特殊勤務手当の種類、支給される職員の範囲、支給額その他特殊勤務手当の支給に関し必要な事項は、別に条例で定める。

特勤条例

(廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当)

第12条 廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当は、職員が次に掲げる作業に従事したときに支給する

(1) 廃棄物の処理作業、し尿浄化槽の検査作業、と畜場内における作業等で市長の定めるもの

(2) (略)

2 前項の手当の額は、次の各号に掲げる作業の区分に応じ、当該各号に掲げる額とする。

(1) 前項第1号の作業 作業に従事した日1日につき730円の範囲内又は勤務1か月につき9,150円の範囲内で市長が定める額

(2) (略)

特勤規則

(廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当)

第11条 条例第12条第1項第1号に規定する市長の定める作業は、別表第3の(1)の表及び(2)の表の支給対象となる作業欄に掲げる作業とし、同条第2項第1号に規定する市長が定める額は、別表第3の(1)の表の支給日額欄及び別表第3の(2)の表の支給月額欄に掲げる額とする。

(併給禁止)

第26条 廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当(別表第3の(1)の表第2種の項第3号に掲げる運転業務又は収集作業に従事したときに支給されるものを除く。)については、月額の特殊勤務手当と日額をもつて定められている特殊勤務手当(以下「日額の特殊勤務手当」という。)を重複して支給しない。

2~4 (略)

(手当の減額)

第27条 月額の特殊勤務手当(夜間学級担当教育職員の特殊勤務手当を除く。)を支給する場合において、職員が、次の各号のいずれかに該当する場合の当該手当の額は、当該各号の規定により算出した額とする

(1) 月額の特殊勤務手当の支給される職員の勤務した日数がその月について16日に満たない場合 16日と現に勤務した日数とを基礎とする日割計算により算出した額

(2)~(3) (略)

2 日額の特殊勤務手当のうち、次に掲げる特殊勤務手当の支給される作業に従事した時間が1日について4時間に満たない場合における当該手当の額は、条例又はこの規則の規定により受けるべき額の100分の60に相当する額とする。

(1)~(4) (略)

(5) 廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当

(6)~(7) (略)

3 (略)

(特殊勤務実績簿)

第29条 特殊勤務手当(月額の特殊勤務手当を除く。)の支給に関しては、所定の実績簿(略)に所要事項を記録し、これに基づいて支給するものとする。

別表第3(第11条関係)

廃棄物の処理作業等に従事する職員の特殊勤務手当

(1)

種別

支給対象となる作業

支給日額

第1種

 (略)

(略)

第2種

1~2 (略)

3 環境局に勤務する職員の行うじんかい車(ごみの収集作業に従事するため同乗する職員の数が1のものに限る。)の運転業務又は当該じんかい車への同乗によるごみの収集作業

4~5 (略)

550円

第3種

 (略)

(略)

(2)

種別

支給対象となる作業

支給月額

第1種

1 環境局に勤務する職員の行うごみの収集作業(次号に掲げる収集作業を除く。)及びごみの処分作業

2 別表第3の(1)の表第2種の項第3号に掲げる運転業務及び収集作業

7,900円

第2種

1 環境局に勤務する職員の行うごみ運搬車の運転業務(第1種の項第2号に掲げる運転業務を除く。)及び清掃作業の指導監督業務

2 (略)

5,500円

イ 清掃特勤手当

 

条文

給与条例

(特殊勤務手当)

第12条 著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮を必要とし、かつ、その特殊性を給料で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員には、その勤務の特殊性に応じて特殊勤務手当を支給する

2 特殊勤務手当の種類、支給される職員の範囲、支給額その他特殊勤務手当の支給に関し必要な事項は、別に条例で定める。

特勤条例

(清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当)

第13条 清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当は、清掃作業に従事する職員が市長の定める作業の基準を超えて清掃作業に従事したとき、又は清掃作業の指導監督を行う職員が市長の定める業務に従事したときに支給する

2 前項の手当の額は、作業又は業務に従事した日1日につき1,590円(12月29日から翌年の1月3日までの間については、2,390円)の範囲内で市長が定める

特勤規則

(清掃作業等に従事する職員の特殊勤務手当)

第12条 条例第13条第1項前段に規定する市長の定める作業の基準を超えて清掃作業に従事したときは、次の各号に掲げる作業の区分に応じ、当該各号に掲げる基準量以上の作業を実施したときとする。

(1) ごみ及びがれきの収集作業 正規の勤務時間(職員の勤務時間、休暇等に関する条例(昭和26年8月11日広島市条例第23号。以下「勤務時間条例」という。)第8条第1項に規定する正規の勤務時間をいう。以下同じ。)を基準として割り当てられた作業区域におけるその日のごみ及びがれきの全排出量

(2) その他の清掃作業 正規の勤務時間を基準として割り当てられたその日の全作業量

2 (略)

3 条例第13条第2項の規定により市長が定める額は、作業又は業務に従事した日1日につき、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に掲げる額とする。

(1) 第1項各号に掲げる作業の基準量以上の作業を実施したとき 1,590円(正規の勤務時間が勤務が通常行われる日の勤務時間の2分の1に相当する時間である日及びこれに相当する日については、800円)

(2) (略)

4 (略)

(特殊勤務実績簿)

第29条 特殊勤務手当(月額の特殊勤務手当を除く。)の支給に関しては、所定の実績簿(略)に所要事項を記録し、これに基づいて支給するものとする

(2) 技能業務職員に対する給与等の支給に係る制度について

 地方公務員法第57条に規定する単純な労働に雇用される職員、すなわち本市の清掃に携わる職員の多くが該当する技能業務職員の給与については、地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和27年法律第289号)附則第5項において準用する地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第39条において地方公務員法第24条の規定が適用除外されるとともに、同項において準用する地方公営企業法第38条第4項の規定により定められた給与条例附則第4項では、給与条例の給料表の適用を受ける職員の給与を基準とし、その職務と責任の特殊性を考慮して、別に定めるとされ、これを受け、技能業務職員の給与に関する規則(昭和32年広島市規則第75号)において技能業務職給料表を定めるとともに、技能業務職員に対する給与の種類、額、支給条件及び支給方法については、同規則に定めるものを除くほか、給与条例の適用を受ける職員の例によるとされている。

(3) 指導係技術員に対する廃棄物特勤手当及び清掃特勤手当の支給の趣旨及び要件について

 条例及び規則の規定の内容や関係課等からの聴取りなどを踏まえ、次のことが認められる。

ア 廃棄物特勤手当は、その作業の不快性、不健康性等を考慮して、特勤条例において、その作業に従事した職員に月額又は日額で支給するよう設けられたもので、支給について、特に、日額のほか、月額が設けられたのは、その作業を日々継続して行うことを通例とするという点に着目して設けられたものと解することができる。

 次に、月額の廃棄物特勤手当の支給対象となる「廃棄物の処理作業」は、ごみの収集作業(特勤条例第12条第1項第1号並びに特勤規則第11条及び別表第3の(2)の表第1種第1号)などである。

イ 清掃作業に係る日額の清掃特勤手当(特勤条例第13条第1項並びに特勤規則第12条第1項及び第3項第1号)は、計画どおりの作業を迅速に完了させなければならず、より高い効率性が求められるという特殊性を考慮して、特勤条例において、その作業に従事した職員に日額で支給するよう設けられたものである。

 なお、この手当については、「市長の定める作業の基準を超えて清掃作業に従事したとき」(特勤条例第13条第1項)に支給することとされているが、この「市長の定める作業の基準を超えて」とは、その作業を割り当てて効率的に行うという清掃作業の性格を踏まえると、その基準を充足するという程度の意味と解するほかなく、現に、特勤規則では「基準量以上の作業を実施したとき」(第12条第1項)とされ、具体的には、ごみ及びがれきの収集作業にあっては正規の勤務時間を基準として割り当てられた作業区域におけるその日のごみ及びがれきの全排出量以上の、その他の清掃作業(河川のごみ収集や街路、公園等に投棄されたごみ及びがれきを収集する作業等)にあっては正規の勤務時間を基準として割り当てられたその日の作業量以上の作業を実施したときに支給するとされているほか、所定の実績簿に所要事項を記録し、それに基づいて支給されることになっている。

 また、この清掃特勤手当とアの廃棄物特勤手当とは、それぞれの手当の支給趣旨が異なることから、併給は禁じられていない。

ウ 指導係技術員が行う業務は、町内清掃やボランティア清掃等により排出されたごみの収集作業や不法投棄ごみの回収、家庭ごみ収集の取り残しがあった際の対応、家庭ごみの収集車の乗組員に欠員が生じた際の対応など、都度、所属長により指示される作業であるとされており、こうした業務は「廃棄物の処理作業」及び「清掃作業」に該当する作業であり、よって、廃棄物特勤手当と清掃特勤手当の支給対象であると認められる。

(4) 環境事業所における廃棄物特勤手当及び清掃特勤手当の支給について

 広島市安芸環境事業所における令和3年10月分の支給事務について確認したところ、毎日、作業の内容・場所等をホワイトボードに記入し作業に着手しており、日々の詳細な業務内容についての日誌等は作成されていなかったが、職員への聴取りなどから、指導係技術員が、ごみ及びがれきの収集作業又はその他の清掃作業に従事したと確認できた日を基礎としてこれらの手当が支給されていた。

2 判断

 指導係技術員が行う業務に対する特殊勤務手当については、月額の廃棄物特勤手当及び日額の清掃特勤手当の2つの手当がそれぞれ支給要件を満たせば支給されることとなっている。

 月額の廃棄物特勤手当の支給については、その業務を日々継続して行うことを通例とするという点に着目して特勤条例において月額として設けられたものであり、指導係技術員が実際に行った業務について監査したところ、それらの業務は日々継続的に行われていると認められた。

 また、日額の清掃特勤手当についても、監査した限りにおいて、指導係技術員が行ったごみの収集作業や不法投棄ごみの回収等の作業への従事を対象として支給されていた。加えて、支給手続についても適正に行われていた。

 以上のとおり、環境事業所の指導係技術員に対する廃棄物特勤手当及び清掃特勤手当の支給について、監査した限りにおいて、違法又は不当な点が認められない。

3 結論

 請求人の行った本件措置請求については、理由がないものであり、請求を棄却する。

 

(※注)ホームページでは、原文において下線を付している部分を太字で表示しています。