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百日咳は百日咳菌によって引き起こされる感染症で、特有のけいれん性の咳が長く続くことが特徴です。乳児から成人までいずれの年齢でもかかりますが、特に乳児の場合重症化することがあり注意が必要です。
なお、成人を含む百日咳患者の発生動向が適時かつ正確に把握できず、対応に遅延が生じる可能性があるとの理由から、2018年1月1日から「五類感染症定点把握疾患から五類感染症全数把握疾患」に変更となりました。
感染した人のせきやくしゃみによって、唾液などの飛まつとともに放出された百日咳菌を吸い込み、のどや鼻の粘膜から感染します(飛まつ感染)。
また、患者の手指や患者の触れたものを介して接触感染することも考えられます。
症状は主に次の3つの段階に分けられます。
なお、成人の百日咳の場合、咳は長期間続くものの、典型的なけいれん性の咳を示さないことも多く、百日咳と分からずに、周囲に感染を広げるおそれがありますので注意が必要です。
数日から10日程度の潜伏期間のあと、発熱(あっても微熱程度)、咳、くしゃみなど、かぜのような症状で始まり、次第に咳の回数が増えて、程度も激しくなります。
次第に、「コンコン」と激しく咳き込んだあと、息を吸い込むときに笛を吹くような「ヒュー」という音が出るという特徴のあるけいれん性の咳を繰り返すようになります。激しく咳き込んで嘔吐を伴う場合があります。
ただし、成人の場合は典型的なけいれん性の咳を示さない場合もめずらしくありません。
激しいけいれん性の咳は徐々に出なくなり、発症してから2~3か月程度で回復します。
1年を通じてみられますが、春から夏にかけてやや多くなります。
乳児から成人までいずれの年齢でもかかりますが、特に乳児の場合重症化することがあり注意が必要です。
エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬が有効です。特に早期に用いることが効果的です。
予防接種が最も有効な予防方法です。接種対象年齢のお子さんは予防接種法に基づく定期予防接種として、DPT三種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)の接種を無料で受けることができます。接種対象年齢になったら、なるべく早くワクチンを接種しましょう。
百日咳にかかっている人は、ほかの人に感染させないために、普通のかぜと同様にマスクを着用したり、咳・くしゃみの際は、口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけるなど<咳エチケット>を実行しましょう。
また、日ごろから手洗い・うがいを励行し、咳が長引く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
学校保健安全法では、学校で予防すべき感染症の第二種に指定されており、特有な咳がなくなるまで又は5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで出席停止となります。ただし、医師によって病状により感染のおそれがないと認められた場合はこの限りではありません。