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感染症情報/鳥インフルエンザ

ページ番号:0000000264 更新日:2018年12月14日更新 印刷ページ表示

鳥インフルエンザとは

インフルエンザウイルスの型

 人に感染するインフルエンザウイルスはA型、B型、C型に大きく分類されますが、このうち通常人に大きな流行を起こすのはA型とB型です。

 A型のインフルエンザウイルスは、ウイルスの表面にある2つのタンパク質であるヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の組み合わせにより、多くの亜型に分類されます。HAは16種類(H1~H16)、NAは9種類(N1~N9)存在し、最大16×9=144種類の亜型に分類されます。
 多くの亜型を持つA型のインフルエンザの中で、毎年世界中で人に流行している亜型は、H1N1亜型(Aソ連型)とH3N2亜型(A香港型)です。また、H2N2亜型(アジアかぜ)はかつて世界的規模で流行しましたが、その後は流行することなく長期間が経過しています。

鳥インフルエンザとは

 鳥インフルエンザとは、鳥類がA型インフルエンザウイルスに感染して起こる病気です。B型とC型のインフルエンザウイルスは、人だけに感染しますが、A型インフルエンザウイルスは人を含む哺乳類や鳥類の間に広く分布しており、鳥類のほかブタ、ウマ、イヌ、アザラシ、クジラなどの感染事例があります。特に水鳥であるカモは、HA亜型のH1からH16までと、NA亜型のN1からN9までのすべての亜型のウイルスを保有しています。カモなどの水鳥は、通常ウイルスを持っていても病原性を示すことはほとんどありませんが、鶏などの家きんに感染すると病原性を発揮することがあります。

高病原性鳥インフルエンザと低病原性鳥インフルエンザ

 鳥に対して病原性を示すA型インフルエンザのうち、毒性が強いものを高病原性鳥インフルエンザ、毒性の弱いものを低病原性鳥インフルエンザといいます。これまでに判明している高病原性鳥インフルエンザウイルスは、すべてH5亜型とH7亜型のウイルスに限られています。

 高病原性鳥インフルエンザに感染した鶏などの家きんは、元気消失、食欲・飲水欲の減退、産卵率の低下、呼吸器症状、下痢、神経症状などが現れ、全身症状をおこして大量に死亡することもまれではありません。
 なお、高病原性鳥インフルエンザは家畜伝染病予防法の中で定められており、「高病原性」という言葉は、鳥に対する病原性のことで、人に対する病原性のことではありません。したがって、高病原性鳥インフルエンザが人に感染した場合に、必ずしも人に対しても高い病原性を示すとはかぎりません。(以下、「高病原性鳥インフルエンザ(H5N1亜型)」などは、鳥類の場合も人の場合も「鳥インフルエンザ(H5N1)など」と表記します。)

鳥インフルエンザの鳥から人への感染

 鳥と人は種が違うため、鳥インフルエンザは鳥から人へは容易に感染しないと考えられていますが、世界的にはいくつかの事例が報告されています。鳥から人への感染は、病気や死んだ鳥と濃厚な接触をすることにより、ウイルスが大量に体内に入った場合に、ごくまれに起きると考えられています。

 これまでにH5、H7、H9亜型について鳥インフルエンザウイルスの人への感染が確認されています。特に鳥インフルエンザ(H5N1)は、2003年以降アジアを中心に広がり、中東、ヨーロッパ、アフリカへと拡大しています。

鳥インフルエンザの人から人への感染

 これまでに海外で鳥インフルエンザの人から人への感染が、ごくわずかですが数例報告されています。これらは、家族内での看病など長期間の濃厚接触が原因と考えられ、現時点では人から人への効率的な感染は起きていないと考えられています。

 しかし、ウイルスが突然変異することによって、人から人へ感染しやすくなり、「新型インフルエンザ」として世界中で大流行することが懸念されています。1918年から1919年にかけて猛威を振い、世界で4,000万人もの命を奪ったといわれるスペイン風邪は、最近の研究によると、鳥インフルエンザが突然変異を起こしたものと考えられています。

感染症法における鳥インフルエンザ

 感染症法では、病気の重篤度、感染力の強さなどにより、一類から五類に分類されています。2008年5月の感染症法改正により、鳥インフルエンザ(H5N1)は二類感染症に分類されました。鳥インフルエンザの中でも鳥インフルエンザ(H5N1)は人に対してより重篤であるからです。鳥インフルエンザ(H5N1及びH7N9)を除く。)は、四類感染症に分類されています。

医療機関の皆様へのお願い

 38度以上の発熱と急性呼吸器症状を呈し、症状や所見、渡航歴、接触歴等から鳥インフルエンザを疑う患者を診察した場合は、最寄の保健センターへ連絡お願いいたします。

参考

厚生労働省等

その他

鳥インフルエンザ(H5N1)とは

 鳥インフルエンザの中でも鳥インフルエンザ(H5N1)は、家きんに対して非常に強い感染力と毒性を示しますが、病鳥や死んだ鳥の排泄物や内臓などと濃厚に接触した場合に、まれに人に感染することがあります。人に感染した場合、これまでの症例から、通常の人のインフルエンザよりも症状が多様で重症化しやすく、致死率も高いのが特徴です。

発生状況

症状

 初期症状は突然の高熱(ほとんどは38℃以上)、咳などの呼吸器症状、全身倦怠などを伴う通常の人のインフルエンザと似たような症状で、下痢、嘔吐、腹痛、胸痛なども初期症状として報告されています。

 しかし、鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の感染による特徴的な経過として、早期に下気道症状が出現し、急速に悪化する点があり、重篤な肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、多臓器不全、DIC(播種性血管内凝固症候群)、脳炎などを起こして死に至るものも少なくありません。致死率はこれまでのところ50%以上にものぼっています。

予防方法

 これまでの事例から、鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の人への感染力は弱く、病鳥や死んだ鳥の排泄物や内臓などと濃厚に接触した場合に、ごくまれに人への感染が起こると考えられています。したがって、予防方法は鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に感染した鳥やその排泄物等との濃厚な接触を避けることなどが重要です。

  • 死んだ鳥や動物は、様々な細菌や寄生虫、ウイルスを持っている可能性がありますので、処分するときは、素手でさわらずに、ビニール手袋や器具等を使用してください。処分した後は、石けんを用いて手を洗い、うがいをしましょう。
  • 鳥に限らず、動物を飼う場合は、動物に触った後、糞尿を処理した後は、石けんを用いて手を洗い、うがいをしましょう。また、糞尿は速やかに処理して動物のまわりを清潔にしましょう。
  • 野鳥がウイルスを運んで来る可能性があるので、家きんやペットの鳥と野鳥との接触をできるだけ避けるよう注意してください。
  • 鶏肉は十分加熱して食べて下さい。未加熱または加熱不十分なままで食べることは、食中毒予防の観点からおすすめできません。

治療方法

 治療薬としては、A型インフルエンザの治療に用いられている抗インフルエンザウイルス薬が有効であると考えられていますが、鳥インフルエンザの治療に使用した経験が限られているため、その効果の程度はまだよく分かっていません。肺炎や呼吸不全、多臓器不全に対しては、呼吸管理を含む支持療法が基本となります。

【参考】鳥インフルエンザ(H7N9)について