特集/ひろしまLMO(エルモ) ふくだ地区に見るLMOのまちづくり

 持続可能な地域コミュニティの実現に向け、多様な団体などが連携して地域課題の解決に取り組む「ひろしまLMO」。「福田まちづくり協議会」(ふくだLMO)(東区)の設立までの経緯や現在の取り組みなどについて聞きました。

◆問い合わせ先:コミュニティ再生課(電話504-2867、ファクス504-2029)

画像

東区福田地区


画像

古民家を改装したふくだLMOの事務局


画像

にぎわいづくりのために新たに始めた「ふくだまつり」


画像

親子で土に触れる農業体験


LMO設立まで

 山陽自動車道広島東インターがあり、広島のベッドタウンとして約7,000人が住む福田地区。森林公園や明治期に銅剣などが発掘された木ノ宗山(きのむねやま)など、豊かな自然や伝統文化が息づく地域です。

こんな地域課題がありました

【コミュニティの希薄化】【イベントの縮小】【独居高齢者の増加】【老々介護の増加】【災害への対応】など

画像

 ふくだLMOの会長・岡平裕次(おかひら ゆうじ)さん(74・上写真)は、福田地区社会福祉協議会(以下「地区社協」)の会長を長年務めています。「2023年末ごろ、課題解決のため地域団体の連携を図る中で、ひろしまLMOについての情報が入ってきました。メリットを共有した上で、設立に向けて準備委員会を設置することにしたんです」と振り返ります。

LMO設立に向け、合意形成を図ることに

画像

 各団体への説明会・ワークショップを4回、準備委員会を8回開催。どんな取り組みにより地域課題を解決していけるか話し合いました。
 高齢者やこどもたちなど多世代が地域の魅力を感じ、参加しやすい取り組みなど、各団体から提案されたさまざまな内容を基に、中長期的な目標、事業計画を立案。また、予算計画についても多くの時間を割き、話し合いを進めました。

2024年7月、ふくだLMO設立

 23の団体やグループ、企業などが連携し、「将来にわたって住みやすいまちを残したい」との思いで、2024年7月、ふくだLMOを設立しました。

【構成・連携団体】
社会福祉協議会、連合町内会、体育協会、青少年健全育成連絡協議会、防災士会、女性会、企業(銀行、郵便局、農協 など)、社会福祉法人 など

地域活性化への取り組み

構成団体が古民家を無償提供。事務局開設へ

画像

 ひろしまLMOには、活動拠点の運営費や事務局員の人件費などに対して、市社会福祉協議会から助成金が支払われます。
 副会長の一人、柿木田健(かきだ けん)さん(52・上写真)が理事長を務める社会福祉法人・広島常光(じょうこう)福祉会は、構成団体として同LMOに参画し、地域の活性化に取り組んでいます。
 「法人として所有している古民家を、ふくだLMOに活動拠点として無償貸与しています」と柿木田さん。築100年以上の古民家です。【1】ひろしまLMO設立時助成金(下記事参照)を活用して建物の一部を改装。趣のある外観を残した事務局で、地域団結の第一歩を踏み出しました。

「まずはここに連絡」――常駐スタッフのいる安心感

画像

 事務局長の阿部美鶴さん(54・上写真)は、3人のこどもを育てながら中学校のPTA会長を務め、福木地区青少年健全育成連絡協議会や地区社協など複数の団体で活動してきた経験の持ち主。【2】ひろしまLMO運営助成金を活用して雇用しました。
 「拠点があることで、住民が気軽に相談できる場、とりあえずまずはここに連絡する、という窓口になります」と阿部さん。長年培った人脈を生かし、「この件はこの団体へ、この件はこの人へ」と、てきぱきとつないでいきます。
 岡平会長は「LMOになる前、ほとんどの場合、各団体の拠点は会長の自宅。自宅だと住民が気軽に立ち寄ることができず、大人数での会議もできないですよね。LMOの大きなメリットは、拠点があり、常駐の事務局員がいること」と強調します。

「イベントがない」――だから自分たちで

画像

 LMO設立後、最初に取り組んだのは新たなイベントづくりでした。設立前に挙がった「みんなが参加できるイベントがない」という課題に対し、「ふくだまつり」を新たに開催することに決めました。
 祭りの会場は構成団体が所有する広大な駐車場。LMOのPRのため、祭り限定の通貨「エルモ券」(上写真)を発行。他にも、LMOのロゴが入ったTシャツやのぼり旗で周知を図りました。飲食やゲームコーナー、ステージ発表など多彩な催しに約800人が来場し、大いに盛り上がりました。
 にぎわいに触発され、「ステージに出たい」と事務局に連絡してきた中学生グループは、翌年度の同祭りでダンスを発表。祭りは、若者が地域を盛り上げる側としての意識を醸成できる場にもなっています。

各団体の活動を「見える化」

 日々の取り組みとして行っているのは、各団体の活動の「見える化」。「住民の皆さんからは、地区社協など各団体がどんな活動をしているか分からない、という声をよく聞きます。分からないと行事参加はおろか、活動自体への関心も湧いてきませんよね」と阿部さん。そこで、町内会・自治会などの地域団体が自分たちのホームページを簡単に作成できる市のシステム「こむねっとひろしま」を活用し、ホームページ「ふくだNet(ネット)」を作成。カレンダー(下写真)に各団体の活動をまとめて公開することで、住民に地域のイベント情報を分かりやすく伝えるとともに、各団体の事業内容が重複しないよう調整しています。
画像
 各団体の活動を「見える化」することで団体のことを知ってもらい、活動への参加を促進。団体間の連携にもつながっています。

公式LINE(ライン)を創設、YouTube(ユーチューブ)の活用も

画像

 LMOの公式LINE(上写真)も地域活性化に役立つツールの一つ。イベントなどさまざまな機会を捉えて登録を促し、毎月6の付く日にプッシュ通知で行事開催の告知などの情報発信を行っています。
 また、神社仏閣などの歴史や魅力を紹介する動画を制作しYouTubeで公開。現地に設置した二次元コードを読み取ると関連する動画を視聴できます。史跡巡り(下写真)などのイベントでも活用しています。
 全世帯に配布している防災グッズの使用法を解説する動画も作成。「いざというときに慌てず使えそう」との声も届いています。
 【3】地域団体を対象としたICT活用実務研修では、こうしたICT技術を学ぶことができます。

画像

各団体の強みを生かした取り組み

 各団体の強みを生かしたさまざまな取り組みを行っています。
 銀行による高齢者向けの特殊詐欺対策講座、保育園で高齢者とこどもが一緒に過ごす催し、農協の協力による親子で土に触れる農業体験など、いずれもすぐに定員が埋まる人気ぶりです。

地域の未来へ向けて

この指とまれ! みんなで地域を盛り上げよう

 持続可能なLMOとなるよう、現在、【4】LMOを対象としたふるさと納税事業を活用し、返礼品に登録する地域の特産品について検討中。山林があり田畑もある地域性を生かし、ジビエや地域の野菜作りなどの案が挙がっています。
 また、【5】若い世代を対象としたワークショップの視察先として活動を案内した実績があり、新たな担い手確保にもつなげていきたいと考えています。
 岡平会長は「ふくだLMOのキャッチフレーズは、『この指とまれ!』。既存の団体だけでなく賛同する仲間を集め、みんなで地域を盛り上げていきたい」と未来を見つめます。


ひろしまLMOを紹介したPR動画を市ホームページで公開中

画像 市ホームページ

 地域コミュニティの活性化に向けて、さまざまな支援を行っています。

画像

市社会福祉協議会からのLMOを対象とした助成金

【1】ひろしまLMO設立時助成金 上限50万円

【助成内容】事務所費や拠点改修費など設立当初の運営に必要な経費(補助率10分の10。申請は1回のみ)

【2】ひろしまLMO運営助成金 上限600万円

【助成内容】下表のとおり(毎年度申請可)

種別 助成額
(年度上限額)
助成内容
1.人件費 300万円
※補助率10分の10
活動拠点に配置する事務局員の雇用などに必要な経費(給料、交通費など)
2.活動拠点維持管理・運営費 2.3.合わせて300万円
※補助率10分の10
活動拠点を継続的に運営するために必要な経費(借上料、光熱水費など)
3.地域課題を解決するための事業への支援 2.3.合わせて300万円
※補助率10分の10
LMOが作成する事業計画に基づく地域の実情に応じた課題解決のための事業に必要な経費

>>表は横にスクロールできます>>

「広島市指定地域共同活動団体の指定等に関する条例」(下記リンク)を令和7年7月に施行し、支援の継続性を担保しました

ホームページ

【3】地域団体を対象とした ICT活用実務研修

画像

 公式LINEのつくり方やZOOM(ズーム)などを利用したリモート会議、SNSの活用法などを実践的に学べる研修です。
 あらかじめ設定された研修メニューから、学びたいメニューを選択。ICTの専門家による研修を1年度当たり3回まで受講できます。

ホームページ

【4】LMOを対象とした ふるさと納税事業

 自主財源の確保や地域の魅力発信のために、ふるさと納税事業を活用できます。
 地域の特産品などがふるさと納税の返礼品に設定されると、集まった寄付金(諸経費は除く)がLMOに還元されます。

画像 画像

エルモ上水内(佐伯区)の返礼品「きもかわこんにゃく詰合せ」
その他の返礼品についてはこちら

ホームページ

返礼品の募集についてはこちら
※令和7年度の募集は終了。令和8年度の募集については詳細が決まり次第、同ページを更新します

ホームページ

【5】若い世代を対象とした ワークショップ

画像

 将来の地域活動の担い手確保につなげるための「地域づくりのリアルな現場を学ぶスタディツアー」です。
 若い世代が実際に地域などへ出向き、LMOなどの地域団体と交流。地域の現状などを知り、これからの地域コミュニティとの関わり方を話し合います。

令和7年度の実績はこちら

ホームページ

多くのまちでLMOの活動が始まっています

 市は、全140小学校区でのLMO設立を目指しています。現在、85の地域でLMOが設立され、12の地域で設立を目指して取り組んでいます(1月末時点)。各地域のLMOの活動は市ホームページで。

市ホームページ

   \お住まいの地域のLMOを知って活動に参加してみませんか/

画像

index