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広報紙「ひろしま市民と市政」

広島市ホームページ令和2年12月1日号トップページトピックス音楽が広げた私の世界

音楽が広げた私の世界

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 障害の有無にかかわらず、全ての人が社会のさまざまな分野で活動して能力を最大限に発揮すること、互いに人格と個性を尊重して支え合うことが大事です。今回は、市内を中心に活動する視覚に障害のあるピアニスト三浦裕美(みうらゆみ)さんを紹介します。
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 棚に整然と並べられた点字楽譜。グランドピアノの横には箏(こと)と三線(さんしん)とビオラ、隣の部屋には電子ピアノと、三浦さんは自宅でいろいろな種類の楽器に囲まれて暮らしています。歌やクラシック音楽が好きな両親の下、音楽が身近にある家庭で育った三浦さんは、物心ついた時には自然とピアノを触る生活を送っていました。生まれつき色と光が分かる程度の視力だったため、曲を耳で覚えてピアノを弾いていたそうです。
 小学校1年生の時から本格的にレッスンを受け、先生がカセットテープに録音した演奏で、新しい曲を覚えました。曲が難しくなってからは点字楽譜を使うようになりましたが、最初はとても苦労したそうです。「小学校4年生の時から教えてくださっているピアノの先生が一緒に点字楽譜の勉強をしてくれました。それがなければ、一人では無理でした」。先生と二人三脚でピアノの技術を高めていった三浦さんでしたが、「このまま将来にわたってピアノを続けていけるだろうか」と高校を普通科に行くか音楽科に行くかで悩んだといいます。結果、「ピアノから離れたくない」と東京の音楽科を選択。その後、地元広島の音楽大学に進みました。「学生時代は点字楽譜を読み、音を聞き、とにかく繰り返しピアノを弾いて練習しました」と、苦しかった時代を振り返る三浦さん。視力は、大学に入る前に完全に失われましたが、それでも諦めることはありませんでした。困難を乗り越えて大学を卒業した今は、ピアニストとして、平和の夕べコンサートや学校・公民館での演奏会などさまざまな場で活動しています。

困難ばかりは続かないその先にはきっといいことが

 「辛いことも苦しいこともたくさんありました。でもその先には、きっといいことがあると、前を向いてきました。現在コロナ禍で思うような活動ができませんが、9月に半年ぶりにあった演奏会では、ずっと応援してくださっている方たちに会うことができ、変わらぬ声援をいただきました。困難があっても夢を諦めずここまでこれたのは、ピアノの先生をはじめ多くの方たちの応援や支援のおかげです。その一つ一つの出会いを大切に、感謝の気持ちで演奏を続けていきたいです」と三浦さんは、ほほ笑みます。

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▲点字楽譜は、言葉などと同じく点字の6つの点を組み合わせることによって、音符や記号の全てを表します。世界共通です。

12月3日〜9日は障害者週間です

 障害の有無にかかわらずみんなで支え合う共生社会は、一人一人のちょっとした配慮や工夫から始まります。この機会に、障害について知り、身近なこととして考えてみませんか。

■心身障害者福祉センター文化祭


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昨年の作品展示

 「心は『密』に with(ウィズ) 笑顔」をテーマに、同センターで活動するグループの作品展示を行います。
◆日時:12月5日土曜日、6日日曜日の午前10時〜午後4時
◆会場:同センター(東区光町二丁目1-5) ※広島駅新幹線口から、車いす対応の無料送迎バスあり
◆問い合わせ先:同センター(電話261-2333、ファクス261-7789)

■セルプフェア

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昨年のセルプフェア

 県内の障害者福祉施設による手作りの自主製品(食品、木工品、日用雑貨など)の展示と対面の販売会です。
◆日時:12月2日水曜日〜8日火曜日
●展示販売:午前10時〜午後6時(最終日は午後5時まで)
●対面販売:午前9時〜午後5時
◆会場:ひろしま夢プラザ(中区本通8-28)
◆問い合わせ先:市就労支援センター(電話537-1331、ファクス537-1332)


◆問い合わせ先:障害福祉課(電話504-2147、ファクス504-2256)

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