市長コラム 忙中有閑/第45回

広島市長 松井一實
市長コラム 忙中有閑(ぼうちゅうゆうかん)
瀬戸内全体の周遊性向上へ、新たにスタートする春
草木を芽吹かせ、花の蕾を次々と開花させていく、自然の力強さを感じる春。新たな始まりの季節です。
さて、1・2ページでもお伝えしているとおり、広島駅南口広場の再整備が進み、いよいよ新駅ビルがオープンします。令和2年春に工事が始まって以来、楽しみにしていた人も多いのではないでしょうか。市民の皆さんはもちろん、世界中から訪れる人々にも、安全で快適なまちの顔として多くの人に利用してもらえたらと思っています。
再整備事業は半ばを迎えたばかりで、桜に例えると五分咲きといったところです。広島の新たな陸の玄関口が、単なる乗り換えの通過点としてではなく、中四国地方のにぎわいと交流を生み出すまちの拠点として、より一層魅力的なものとなるよう、令和10年度の完成に向けて、今後も着実に進めていきます。
そして、この春の新たな始まりとしてもう一つ、「広島広域都市圏」の話をしましょう。広島広域都市圏は、広島・山口・島根の3県にまたがる市町で構成する圏域で、人口減少・少子高齢社会にあっても、活力ある社会経済を維持できるよう、国の制度を活用しながら、さまざまな連携を行っています。圏域は年々拡大しており、4月から新たに、島根県の出雲市、益田市、吉賀町の3市町が加入し、全33市町となります。
さらには、愛媛県の松山市を中心に6市町で構成する「松山圏域」とも圏域同士の連携を深めていくこととしており、連携の輪はさらに広がりをみせています。
松山圏域とは、瀬戸内海を挟み、航路でつながっているという特性を生かして、両圏域の持続的な活力やにぎわいを創出できるよう、産業振興、観光振興、地域振興などのさまざまな分野においてつながりを密にしていきたいと考えています。こうした連携に基づいた取り組みを両圏域が一歩一歩進展させていくことで、より広域的なヒト・モノ・カネ・情報の循環を生み出し、両圏域の取り組みに相乗効果を発揮させることができると考えています。
また、とりわけ観光分野においては、本市と松山市に加え、同じく瀬戸内海を囲む岡山市、高松市とも、これまで10年にわたり連携を深める中で、瀬戸内全体での周遊観光を促進してきました。この度の広島駅ビルのリニューアルオープンは、陸の玄関口である広島駅の交通結節機能を向上させ、こうした他市町との連携した取り組みと相まって、瀬戸内全体の周遊性を高めることにつながると期待しています。
希望と期待を胸に新たなスタートを切る人も多いこの時季、皆さんにも、市域を越えて広がるこれからのまちづくりに、思いを巡らせていただきたいと思います。