広島仏壇・仏具の製造・販売を手掛ける株式会社高山清。塗師(ぬし)※高山清さんが初代で、その名前を社名にし、今年で創業110年を迎えます。 ※仏壇に漆を塗る職人
4代目となる高山尚也さん(42)が平成30(2018)年に立ち上げたブランドが、『広島漆芸』。仏壇作りの技術を生かして作った漆器を販売しています。
「漆を塗れるなら、ついでに古くなったお椀にも漆を塗ってくれないか」。高山さんが漆器を作り始めたきっかけは、その一言だったと言います。
仏壇修復のために出入りしていた寺の住職に、そんなふうに頼まれた高山さん。「そんな経験ないし、僕にはできない」と思い、断り続けていたそうです。「何度も頼まれるうちに断れなくなってね。仕方なく器に漆を塗ってみたら、すごくきれいなツヤが出て。その時初めて、自分の技術を漆器製作に生かせることに気付いたんです」と当時を振り返ります。
「牡蠣の殻を粉末にした原材料が会社にたくさんあってね。それを漆の下地に混ぜ、試行錯誤を繰り返した結果、丈夫な下地を作ることができたんですよ」と、独自の配合を見つけ出した喜びを話します。
1.下地を練る
2.塗り
3.磨き
そういった積み重ねもあって、広島漆芸を立ち上げる決断をした高山さん。漆器は、しっとりとした手触りと、ソフトで優しい口当たり、カラフルな色合いが素晴らしいと評判を集めています。
高山さんは、自分が作り始めた広島漆芸を次の世代に継承したいと語ります。「せっかくの技術が継承されず、文化が失われつつあるのが伝統工芸業界の現状です。広島漆芸を次の世代に継承していくためには、より多くの人に使っていただかなければなりません。生活の中に気軽にこの漆器を取り入れてもらえるよう、こちらもアピールしていくことが必要ですね」。
漆器は長年使っていくことで色や風合いの変化が楽しめ、自分だけの器に育てることができるのが魅力とのこと。「漆器そのものの口当たりがいいため、食事や酒がいっそうおいしく味わえます。一度、試してみてください」高山さんは笑顔でそう締めくくりました。
柔らかい流線型の形状で、奥行きのある溜色(ためいろ)で仕上げています。2022年に「ザ・広島ブランド 匠の銘品」に認定されました。(写真は酒器セット)
市は、広島の特産品で特に優れたものを「ザ・広島ブランド」として認定しています。詳しくは、市ホームページかザ・広島ブランド公式インスタグラム(下二次元コード)で
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