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広報紙「ひろしま市民と市政」

広島市ホームページ令和2年9月15日号トップページ特集認知症を正しく知りましょう

認知症を正しく知りましょう

 認知症は、脳の病気や脳に影響を及ぼす体の病気により、これまで培ってきた知識や技術が失われ、社会生活に支障を来すようになった状態を言います。
 市内各地域で、認知症について学び、本人の気持ちを大切にしながらそっと見守っている人や、自分のできる範囲でサポートしている人が少しずつ増えてきています。


主な認知症の種類と特徴

アルツハイマー型認知症
 一番多い認知症です。物忘れから始まる場合が多く、他の主な症状には、段取りが苦手になる、薬の管理ができないなどがあります。

脳血管性認知症
 脳出血や脳梗塞など脳血管疾患が原因で発症します。片麻痺や言語障害など身体症状が多く、脳梗塞を繰り返すことで段階的に進みます。

レビー小体型認知症
 手足の震え、筋肉の強張りなどの症状や、物忘れと共に幻視(その場にないものがあるように見える)が現れるのが特徴です。

前頭側頭型認知症
 脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することが原因で起こる認知症です。人と会話中に突然立ち去る、同じ行動を繰り返す、興奮しやすく性格変化が見られるなどの症状があります。

外出や交流をゆっくり楽しんでもらいたい

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認知症サポーター養成講座修了者の目印であるオレンジリングを着けてほほ笑む認知症サポーターの左から可児さん、桂さん、松谷さん

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東区にある認知症カフェ「よりみちカフェ」でくつろぐ参加者

 認知症の人や家族、地域で支える皆さんなど、誰もが気軽に集まって交流できる「認知症カフェ」(1)は、市内に約100カ所あります。
 東区にある「よりみちカフェ」は、認知症サポーターステップアップ講座(下記に詳細)を修了した認知症サポーター(2)の桂(かつら)裕子(ゆうこ)さんが運営していて、月に一度、20人近くが集まっておしゃべりや季節の行事などを楽しんでいます。桂さんの5人の子どもたちもおもてなしに参加し、家庭的な雰囲気で多世代が交流しています。「自分の子どもたちにも地域の方と関わる大切さを知ってほしかったので、認知症カフェを開設しました。地域の方に気軽に立ち寄ってもらい、ホッとできる居心地の良い場所になればと思っています」と笑顔で話します。

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歩行器を使って参加する高齢者(左から2人目)を迎えに行きカフェへと案内する桂さんの子どもたち

 「ここに来るのがいつも楽しみなの」とほほ笑むのは参加者の原田さん(仮名)。1人では外出が難しい原田さんの路線バスでの行き帰りをサポートしているのが、同じくステップアップ講座を修了した可児(かに)登志子さんと松谷(まつたに)育子さんです。

不安な気持ちに寄り添い やりたいことをそっとサポート

 「自分もいつか地域で支えられる側になるかもしれないので、その気持ちを知っておきたくて講座を受けました。地域のみんなと仲間として支え合えるような輪ができるといいなと思っています」と可児さん。松谷さんは「原田さんと、今日は雲がきれいねとかバスの中でいろいろ話をするんですよ。帰りに買い物に一緒に行くこともあります」と原田さんのやりたいことを応援しています。
 原田さんは現在、就労継続支援事業所に通いながら、趣味の講座などにも積極的に参加しています。目下の楽しみはパッチワークで「手芸や陶芸が大好き。昔から手作りするのが得意なんです」と笑顔で話します。日常生活を支援する姉は「多くの皆さんのご協力に感謝の気持ちでいっぱい。いろいろなことにチャレンジできる妹は幸せです」と温かく見守っています。

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原田さんが作成した陶芸作品(上)、現在取り組んでいるパッチワーク(下)

※1「認知症カフェ」の場所など詳しくは市ホームページで
市ホームページ ■ページ番号でさがす 843

※2「認知症サポーター」と養成講座についてはこちらに詳細

認知症サポーターステップアップ講座
理解を深め、より実践的なサポートを行う活動が広がっています

 認知症サポーター養成講座を修了した人は、知識をより深めて地域などでの活動に生かすための認知症サポーターステップアップ講座を受講できます。同講座修了者の中には、認知症カフェでボランティアをしたり、寸劇団をつくって認知症の人と話すときのポイントなどを地域のサロンなどで分かりやすく伝えたりしている人もいます。

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 瀬田(せた)政子(まさこ)さん(上写真)は同講座の施設見学で訪れた縁で、認知症の人が利用する施設などでサポート活動を行っています。瀬田さんは「ゲームの手伝いをしたり、季節の行事で踊りを披露したりして自分自身が楽しみながら活動しています。利用者の方が、ご近所さんと話すような感じで気軽に昔話などができればと思い、話をしっかり聞くことを心掛けています(下写真)」と笑顔で話します。
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