ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 環境局 > 環境局 環境保全課 > 恵下埋立地(仮称)整備事業に係る環境影響評価書 要約書(その6)

本文

恵下埋立地(仮称)整備事業に係る環境影響評価書 要約書(その6)

ページ番号:0000013519 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

目次


印刷する場合はページ下のダウンロードファイルをご利用ください。

元のページへ戻る

9土壌汚染

9.1 現況調査結果

 土壌の調査は、図9-1に示すとおり、事業計画地内の表層土壌の状況を把握するため、環境基準項目等及びダイオキシン類について土壌調査を4地点で実施しました。なお、掘削により発生した掘削土壌は盛土や覆土として利用されることから、この深層土壌の状況を把握するため、ボーリングコア試料を利用し、環境基準項目等(揮発性有機化合物を除く)について土壌調査を6地点で実施しました。また、環境基準項目には該当しないマンガン及び鉄についても、赤水、黒水の原因となることから、測定項目に追加しました。

図9-1 土壌の調査は、事業計画地内の表層土壌の状況を把握するため、環境基準項目等及びダイオキシン類について土壌調査を4地点で実施しました。

図9-1 土壌調査地点

(1) 表層土壌調査結果

 表層土壌の調査結果は、表9-1に示すとおりです。
 環境基準項目及びダイオキシン類については、全地点で環境基準値を下回りました。
 また、鉄はSt.2とSt.4で、マンガンはSt.3とSt.4で検出されました。

表9-1 表層土壌調査結果

表9-1 表層土壌の調査結果は環境基準項目及びダイオキシン類については、全地点で環境基準値を下回りました。また、鉄はSt.2とSt.4で、マンガンはSt.3とSt.4で検出されました。

 注)ND:定量下限値未満
 PCB:ポリ塩化ビフェニル
 銅の環境基準値:「農用地(田に限る。)において、土壌1kgにつき125mg未満であること」を示します。

(2) 深層土壌調査結果(揮発性有機化合物を除く)

ア土壌環境基準等

 土壌環境基準等の調査結果は、表9-2に示すとおりです。
 環境基準項目については、全地点で環境基準値を下回りました。
 また、マンガンはNo.8でのみ検出されました。

表9-2 深層土壌調査結果(土壌環境基準等の方法(弱酸性))

表9-1 土壌環境基準等の調査結果は環境基準項目については、全地点で環境基準値を下回りました。また、マンガンはNo.8でのみ検出されました。

 注)ND:定量下限値未満
 PCB:ポリ塩化ビフェニル
 銅の環境基準値:「農用地(田に限る。)において、土壌1kgにつき125mg未満であること」を示します。

イ.酸(1N-塩酸)による溶出

 酸(1N-塩酸)による土壌の溶出試験の調査結果は、表9-3に示すとおりです。
 検出された測定項目は、六価クロム、砒素、銅、ふっ素、鉄、マンガンでした。

表9-3 深層土壌調査結果(酸(1N-塩酸))

表9-3 酸(1N-塩酸)による土壌の溶出試験の調査結果は、六価クロム、砒素、銅、ふっ素、鉄、マンガンが検出されました。

 注)ND:定量下限値未満。全地点の結果が定量下限値未満の測定項目は、記載していません。

ウアルカリ(0.1N-水酸化ナトリウム)による溶出

 アルカリ(0.1N-水酸化ナトリウム)による土壌の溶出試験の調査結果は、表9-4に示すとおりです。検出された測定項目は、砒素、銅、セレン、ふっ素、ほう素、鉄でした。

表9-4 深層土壌調査結果(アルカリ(0.1N-水酸化ナトリウム))

表9-4 アルカリ(0.1N-水酸化ナトリウム)による土壌の溶出試験の調査で検出された測定項目は、砒素、銅、セレン、ふっ素、ほう素、鉄でした。

 注)ND:定量下限値未満。全地点の結果が定量下限値未満の測定項目は、記載していません。

エ含有量試験

 土壌の含有量試験による調査結果は、表9-5に示すとおりです。
 検出された測定項目は、鉛、砒素、総水銀、銅、鉄、マンガンでした。

表9-5 深層土壌調査結果(含有量試験)

表9-5 土壌の含有量試験による調査で検出された測定項目は、鉛、砒素、総水銀、銅、鉄、マンガンでした。

 注)ND:定量下限値未満。全地点の結果が定量下限値未満の測定項目は、記載していません。
 出典)「建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版)」(平成22年3月、建設工事における自然由来重金属等含有土砂への対応マニュアル委員会)

9.2 予測・結果

 土壌汚染の予測手法の概要は、表9-6のとおりです。

表9-6 土壌汚染の予測手法の概要
内容 予測事項 予測方法 予測地域 予測時期
存在・供用 廃棄物の埋立て 有害物質 現地調査結果及び事業計画を踏まえた定性予測 事業計画地周辺 埋立期間中

(1) 存在・供用

ア土壌汚染

予測結果

 予測は、現地調査結果及び事業計画を踏まえ、「廃棄物や覆土の性状」、「埋立作業による影響」の2つの視点から定性的な予測を行いました。

廃棄物や覆土の性状

廃棄物
  • 廃棄物のうち、強風時等に飛散が考えられる焼却灰(廃棄物全体の43%)については、埋立作業中に粉じんが舞い上がること等を防ぐため、広島市のごみ焼却施設からの搬出時に十分に加湿を行います。
  • このことにより、埋立作業中において廃棄物の飛散による土壌汚染の可能性は低いと予測されます。
  • また、ダイオキシン類の発生防止対策をとるとともに、焼却灰等の固定化処理(キレート剤処理等)により、重金属の溶出を回避する措置をとっています。
  • さらに、受入れる廃棄物は、受入基準に適合したものに限定します。
覆土
  • 埋立地内の廃棄物の飛散・流出等を防止するため、ならした廃棄物の上に覆土を行います。覆土は、事業計画地内の第1期工事及び第2期工事において、掘削により発生した残土を利用します。覆土に利用する残土は、本項で土壌調査を実施した「表層土壌」や「深層土壌(花崗岩)」であり、現況の土壌調査結果において環境基準値を下回りました。
  • 場外から覆土材を搬入する場合も、受入基準に適合したものに限定します。

埋立作業による影響

埋立方法
  • 埋立作業中においては、強風時等の風の影響により、廃棄物の飛散が考えられます。埋立作業時には、強風時等の風の影響を避けるため、土堰堤の背後から埋立て作業を行います。
  • 廃棄物が露出した状態を回避するため、即日覆土を十分に行います。
気象条件
  • 事業計画地において、砂ぼこりが立つ程度の風速である5.5m/s以上の風速が出現するのは、季節ごとに5~14%、通年で8%程度となりました。

以上より、埋立作業中の廃棄物や覆土の飛散による土壌汚染の可能性は低いと予測されます。

環境保全措置

 予測結果からは、廃棄物の埋立期間中における、廃棄物の飛散による土壌汚染の影響は小さいと考えられるものの、環境への影響を回避又は低減することを目的として、表9-7に示す環境保全措置を実施します。

表9-7 環境保全措置
環境保全措置 環境保全措置の効果
強風時の作業の一時中断又は中止 強風時には焼却灰等廃棄物の飛散のおそれがある作業を一時中断又は中止することにより、廃棄物の飛散が抑制されます。
受入廃棄物の確認 受入廃棄物の確認を徹底し、有害物質の混入を防止しすることにより、埋立地周辺の土壌汚染の可能性が抑制されます。
適正な埋立管理 廃棄物の転圧作業や即日覆土を十分に行い、適正な埋立管理を行うことにより、廃棄物の飛散が抑制されます。
廃棄物への散水 廃棄物への散水を十分に行うことにより、廃棄物の飛散が抑制されます。
廃棄物搬入車両の洗浄 廃棄物搬入車両のタイヤ等を洗浄することにより、埋立地外に対する土壌汚染の可能性が抑制されます。

評価

回避又は低減に係る評価

 本事業の実施にあたっては、環境保全措置を実施し、埋立作業に伴う廃棄物や覆土の飛散を低減する計画としており、土壌汚染に対する影響を回避又は低減した計画であると評価します。

10動物

10.1 現況調査結果

表10-1 確認された動物の重要種
確認された動物の重要種 種数
哺乳類 1:アズマモグラ 1種
鳥類 1:ミサゴ、2:ハチクマ、3:オオタカ、4:ハイタカ、5:サシバ、6:クマタカ、7:ハヤブサ、8:ヤマドリ、9:アカゲラ、10:オオアカゲラ、11:コノハズク、12:アカショウビン、13:コマドリ、14:サンコウチョウ 14種
爬虫類 1:ニホントカゲ 1種
両生類 1:ブチサンショウウオ、2:イモリ、3:ニホンヒキガエル、4:トノサマガエル 4種
魚類 1:アカザ、2:オヤニラミ 2種
昆虫類・クモ類 1:ツマグロキチョウ、2:キノボリトタテグモ 2種
陸産貝類 確認されず -
底生動物 1:ナベブタムシ、2:サワダマメゲンゴロウ 2種

 事業計画地及びその周辺における動物の生息状況や重要種の分布状況を確認するため、哺乳類(4季)、一般鳥類(4季)、猛禽類(1~2回)、爬虫類(3季)、両生類(4季)、魚類(3季)、昆虫類・クモ類(3季)、陸産貝類(3季)、底生動物(3季)の現況調査を実施しました。
調査により確認された動物について、環境省レッドリスト等に基づき選定した結果、動物の重要種として表10-1に示す種が確認されました。

10.2 予測・評価

 動物の予測手法の概要は、表10-2に示すとおりです。

表10-2 動物の予測手法の概要
内容 予測事項 予測地域 予測時期 予測方法
工事の実施 造成等の施工による一時的な影響 重要種及びその分布環境の消滅・改変の程度 事業計画地周辺及び下流河川 工事期間中 現地調査結果、類似事例等による定性予測
存在・供用 最終処分場の存在 埋立期間中

(1) 工事の実施及び存在・供用

予測結果

 工事の実施及び存在・供用が動物の重要種お呼びその生息環境に及ぼす影響について予測し、保全対象種を抽出しました。その結果は、表10-3に示すとおりです。

表10-3(1) 保全対象の抽出結果
区分 種名 確認状況注1) 予測結果注2) 保全対象注3)
哺乳類 アズマモグラ
鳥類 ミサゴ
ハチクマ
オオタカ
ハイタカ
サシバ
クマタカ
ハヤブサ
ヤマドリ
アカゲラ
オオアカゲラ
コノハズク
アカショウビン
コマドリ
サンコウチョウ

 注1)確認状況■:改変区域のみで確認された。□:改変区域以外で確認された。
 ◇:改変区域を含む事業計画地及びその周辺で広く確認された。
 注2)予測結果△:生息環境の一部が改変される。
 注3)保全対象●:予測結果を踏まえた環境保全措置が必要な保全対象種

表10-3(2) 保全対象の抽出結果
区分 種名 確認状況注1) 予測結果注2) 保全対象注3)
爬虫類 ニホントカゲ
両生類 ブチサンショウウオ
イモリ
ニホンヒキガエル
トノサマガエル
魚類 アカザ  
オヤニラミ  
昆虫類・クモ類 ツマグロキチョウ  
キノボリトタテグモ  
底生動物 ナベブタムシ  
サワダマメゲンゴロウ
合計
(表10-3(1)含む)
26種 - - 21種

 注1)確認状況□:改変区域以外で確認された。
 ◇:改変区域を含む事業計画地及びその周辺で広く確認された。
 注2)予測結果◎:生息環境は改変されない。
 △:生息環境の一部が改変される。
 注3)保全対象●:予測結果を踏まえた環境保全措置が必要な保全対象種

 確認された重要種のうち、改変区域のみで確認されたアカゲラは、春季に改変区域で飛翔する個体を目視により確認しました。現地調査で確認された個体は1個体のみですが、周辺には本種の生息環境である落葉広葉樹林が点在しているため、周辺も含めて生息環境となっていると考えられ、事業計画地及びその周辺に広く分布しているものと推定されます。
 改変区域を含む事業計画地及びその周辺で広く確認された種のうち、ブチサンショウウオに関しては、本種の繁殖場所である渓流部を一部改変することとなるため、事業実施により本種の生息に影響が生じるものと予測されます。
 クマタカ・オオタカ等の猛禽類に関しては、改変区域を含む事業計画地及びその周辺で飛翔が確認されており、行動圏の一部として利用されているものと考えられますが、事業計画地内では、採餌行動や繁殖に関わる行動(巣材運び、交尾、餌運び等)は確認されず、営巣中心域や営巣期高利用域として利用している可能性は低いと考えられます。

環境保全措置

 予測の結果、事業の実施により動物の重要種及びその生息環境に及ぼす影響があると予測されるものについて、環境への影響を回避又は低減することを目的として、表10-4に示す環境保全措置を実施します。

表10-4 環境保全措置
環境保全措置 環境保全措置の効果
残地森林の間伐 現在スギ・ヒノキの植林地として放置されている残地森林部を間伐等により適切に維持することにより、動植物の多様性が確保されます。
工事工程の調整 今後生息状況が変化する可能性が考えられる猛禽類に対して、営巣地が改変区域に近づいた場合は、繁殖期を避けて施工することにより、繁殖への影響が低減されます。
個体の移動 工事着手前に事業計画地及びその周辺のブチサンショウウオの生息状況と移動適地を調査し、専門家の助言を受けながら、改変区域外の適切な場所へ移動させることにより、事業計画地及びその周辺における個体群が維持されます。
雨水側溝の工夫 小型動物(哺乳類、爬虫類、両生類等)が脱出可能な構造(スロープ等)をもつ雨水側溝を採用することにより、転落した小型動物が脱出できる経路が確保されます。
低騒音・低振動型建設機械の積極的な採用 低騒音・低振動型建設機械を積極的に採用することにより、工事に伴う動物全般の生息環境への騒音・振動の影響が低減されます。
濁水発生の低減 工事期間中に濁水処理施設等を設置する等、「降雨による水の濁り」で実施する環境保全措置を行うことにより、工事に伴う濁水の発生が低減され、水域を主な生息域とする種の生息環境が保全されます。
照明の工夫 照明の位置、点灯時期、光源(LED 照明等)、形状等を工夫することにより、照明による動物への影響が抑制されます。
在来種による法面緑化 工事で出現する切土・盛土箇所については、在来種による緑化を行うことで改変区域と周辺の植生を調和させることにより、改変区域に隣接する動物の生息への影響が抑制されます。

評価

回避又は低減に係る評価

 本事業の計画・設計にあたっては、埋立てによる谷部の改変を必要最小限とする計画としています。
 動物の現地調査結果より、重要種等の保全対象に係る環境保全措置としては、残地森林の間伐により適切に維持管理することで、動物の多様性を確保することとしています。また、工事工程の調整や、雨水側溝の工夫等の環境保全措置により影響の低減を図ります。
 改変区域に生息する移動の措置が必要な保全対象種に対しては、工事着手前に事業計画地及びその周辺の生息状況を調査し、必要に応じて専門家の助言を受けながら、代償措置として適切な場所へ移動させることとしています。
 さらに、事業実施段階での環境保全措置として、騒音・震動影響の低減や濁水発生の低減、照明の工夫や在来種による法面緑化などを併せて実施する計画にしています。
 以上のことから、動物への影響をできる限り回避又は低減した計画であると評価します。

事後調査

 予測結果を踏まえた環境保全措置の効果に不確実性が伴うものについて、環境保全措置の効果を検証するために事後調査を実施します。事後調査の概要は、表10-5のとおりです。

表10-5 事後調査の概要
調査項目 調査内容 実施主体
猛禽類(タカ類・コノハズク等)の生息状況 猛禽類(タカ類・コノハズク等)については、生息状況が変化する可能性が考えられるため、専門家の助言を受けながら、定期的に出現状況、繁殖状況等を把握し、必要に応じて適切な対応をとります。
 調査時期:工事着手当初、供用後
 調査地域:事業計画地及びその周辺
 調査手法:現地調査による確認
事業者
ブチサンショウウオの移動個体の定着状況 改変区域から周辺の渓流部に移動させたブチサンショウウオの定着状況を、専門家の助言を受けながら追跡調査し、必要に応じて適切な対応をとります。
 調査時期:工事着手当初、供用後
 調査地域:個体の移動先の渓流部周辺
 調査手法:現地調査による確認
事業者

クマタカの画像
クマタカ

ブチサンショウウオの画像 
ブチサンショウウオ

11植物

11.1 現況調査結果

表11-1 確認された植物の重要種

確認された動物の重要種 種数
維管束植物 1:クラガリシダ、2:マルミノヤマゴボウ、3:トウゴクサバノオ、4:ケナシベニバナヤマシャクヤク、5:ナツアサドリ、6:ヒガンマムシグサ、7:エビネ、8:ナツエビネ、9:ユウシュンラン、10:エビネ属の一種 10種
蘚苔類 1:オオミズゴケ、2:クマノゴケ、3:ヒロハシノブイトゴケ、4:コウヤトゲハイゴケ、5:ハシボソゴケ、6:サワクサリゴケ、7:カビゴケ、8:シロクサリゴケ 8種
地衣類 1:トゲトコブシゴケ 1種
菌類 1:シロマツタケモドキ、2:ナスコンイッポンシメジ、3:コンイロイッポンシメジ 3種
付着藻類 確認されず -

 植物の調査は、事業計画地及びその周辺において、維管束(いかんそく)植物(3季)、蘚苔類(せんたいるい)・地衣類(ちいるい)・藻類(1回)、菌類(1~12月)、付着藻類(4季)の現況調査を実施しました。
 調査により確認された植物について、環境省レッドリスト等に基づき選定した結果、植物の重要種として表11-1に示す種が確認されました。

11.2 予測・評価

 植物の予測手法の概要は、表11-2に示すとおりです。

表11-2 植物の予測手法の概要
内容 予測事項 予測地域 予測時期 予測方法
工事の実施 造成等の施工による一時的な影響 重要種及びその分布環境の消滅・改変の程度 事業計画地周辺及び下流河川 工事期間中 現地調査結果、類似事例等による定性予測
存在・供用 最終処分場の存在 埋立期間中

 

(1) 工事の実施及び存在・供用

予測結果

工事の実施及び存在・供用が植物の重要種及びその生息環境に及ぼす影響について予測し、保全対象種を抽出しました。その結果は、表11-3に示すとおりです。

表11-3(1) 保全対象の抽出結果
区分 種名 確認状況注1) 予測結果注2) 保全対象注3)
維管束植物 クラガリシダ  
マルミノヤマゴボウ  
トウゴクサバノオ ×
ケナシベニバナヤマシャクヤク  
ナツアサドリ  
ヒガンマムシグサ
エビネ
ナツエビネ
ユウシュンラン ×
エビネ属の一種

注1)確認状況■:改変区域のみで確認された。□:改変区域以外で確認された。
◇:改変区域を含む事業計画地及びその周辺で広く確認された。
注2)予測結果◎:生育環境は改変されない。△:生育環境の一部が改変される。
×:生育環境は改変される。
注3)保全対象●:予測結果を踏まえた環境保全措置が必要な保全対象種

表11-3(2) 保全対象の抽出結果
区分 種名 確認状況注1) 予測結果注2) 保全対象注3)
蘚苔類 オオミズゴケ
クマノゴケ
ヒロハシノブイトゴケ
コウヤトゲハイゴケ  
ハシボソゴケ  
サワクサリゴケ
カビゴケ
シロクサリゴケ  
地衣類 トゲトコブシゴケ
菌類 シロマツタケモドキ  
ナスコンイッポンシメジ ×  
コンイロイッポンシメジ  
合計
(表11-3(1)含む)
22種 - - 12種

注1)確認状況■:改変区域のみで確認された。□:改変区域以外で確認された。
◇:改変区域を含む事業計画地及びその周辺で広く確認された
注2)予測結果◎:生育環境は改変されない。△:生育環境の一部が改変される。
×:生育環境は改変される。
注3)保全対象●:予測結果を踏まえた環境保全措置が必要な保全対象種

環境保全措置

予測の結果、事業の実施により植物の重要種及びその生息環境に及ぼす影響があると予測されるものについて、環境への影響を回避又は低減することを目的として、表11-4に示す環境保全措置を実施します。

表11-4 環境保全措置
環境保全措置 環境保全措置の効果
廃棄物搬入車両等及び工事関係車両の搬入経路の検討 モミの大木やカビゴケが分布する自然度の高い恵下谷川沿いの植物の多様性を確保するために、廃棄物搬入車両等及び工事関係車両の搬入経路として恵下谷川沿いを利用しないこと等、土地の改変を減らすことことで、植物への影響が回避・低減されます。
個体の移植 工事着手前に、改変区域内のみで確認された保全対象種注)(トウゴクサバノオ、ユウシュンラン)の事業計画地及びその周辺における生育状況と移植適地を調査し、専門家の助言を受けながら、改変区域外の適切な場所へ移植させることにより、事業計画地及びその周辺における個体群が維持されます。
残地森林の間伐 現在スギ・ヒノキの植林地として放置されている残地森林部を間伐等により適切に維持することで、植物の多様性が確保されます。
在来種による法面緑化 工事で出現する切土・盛土箇所については、在来種による緑化を行うことで改変区域と周辺の植生を調和させることにより、改変区域に隣接する植物の生育への影響が低減されます。
粉じん等の発生抑制 粉じんが植物の葉に付着することにより、光合成や蒸散等に影響が生じることが考えられるため、「大気質」の項目で記載した散水や、埋立地の外周部に飛散防止用のフェンスを設置すること等により、粉じん等の飛散が抑制されます。
踏圧等による影響の回避 施工区間外の林内等へ立ち入らないよう、作業員に周知・徹底することにより、踏圧等による影響が回避されます。
濁水発生の低減 工事期間中に濁水処理施設等を設置する等、「降雨による水の濁り」で実施する環境保全措置を行うことにより、工事に伴う濁水の発生が低減され、アユの餌となる付着藻類が保全されます。

注)菌類であるナスコンイッポンシメジについては、移植技術が確立されておらず、別の場所へ移動させる等の保護措置をとることができないため、生育の確認を記録するにとどめます。

評価

回避又は低減に係る評価

本事業の計画・設計にあたっては、埋立てによる谷部の改変を必要最小限とする計画としています。
植物の現地調査結果より、重要種等の保全対象に係る環境保全措置としては、事業計画の検討時に、自然度の高い恵下谷川沿いの植物の多様性を保全するために、廃棄物搬入車両等及び工事関係車両の搬入経路として恵下谷川沿いを利用しないこと等により、土地の改変を減らすことで植物への影響の回避・低減を図ります。また、改変区域に生育する保全の措置が必要な保全対象種に対しては、工事着手前に事業計画地及びその周辺の生育状況を調査し、専門家の助言を受けながら、代償措置として適切な場所へ移植させることとしています。
さらに、事業実施段階での環境保全措置として、残地森林の間伐により適切に維持管理することで、植物の多様性を確保し、在来種による法面緑化、粉じん等の発生抑制、踏圧等による影響の回避、濁水発生の低減などを併せて実施する計画にしています。
以上のことから、植物への影響を回避又は低減した計画であると評価します。

事後調査

予測結果を踏まえた環境保全措置の効果に不確実性が伴うものについて、環境保全措置の効果を検証するために事後調査を実施します。事後調査の概要は、表11-5のとおりです。

表11-5 事後調査の概要
調査項目 調査内容 実施主体
トウゴクサバノオ
ユウシュンランの移植個体の活着状況
改変区域から移植した個体の移植先での活着状況を、専門家の助言を受けながら追跡調査し、必要に応じて適切な対応をとります。
調査時期:工事着手当初、供用後
調査地域:個体の移植先
調査手法:現地調査による確認
事業者

トウゴクサバノオの写真
トウゴクサバノオ

ユウシュンランの写真
ユウシュンラン

12生態系

12.1 現況調査結果

事業計画地及びその周辺の環境類型区分

「10.動物」と「11.植物」の現地調査結果を基に、事業計画地及びその周辺に成立している生態系を以下に示す陸域生態系と水域生態系の2つに区分しました。
それぞれの生態系について、「上位性」、「典型性」、「特殊性」のそれぞれの着目種を以下のように選定しました。なお、生態系の検討は、調査範囲(事業計画地及びその周辺200mの地域)のなかで成立しているものについて検討しました。

表12-1 環境類型区分ごとの注目種
項目 陸域生態系の
注目種
水域生態系の注目種
上位性 生態系を形成する生物群集において栄養段階の上位に位置する種を対象としました。 テン カワガラス
典型性 生態系の特徴を典型的に表す種を対象としました。具体的には、動植物調査範囲及びその周辺に優先する動植物種・群落、個体数が多い動物種等が該当します。 タゴガエル タカハヤ
特殊性 特殊な環境要素や特異な場に分布・生育が強く規定される種・群集を対象としました。 カビゴケ
(葉上に着生)
ブチサンショウウオ(渓流周辺の陸域と水域の両方が必要

12.2 予測・評価

生態系の予測手法の概要は、表12-2に示すとおりです。

表12-2 生態系の予測手法の概要
内容 予測事項 予測地域 予測時期 予測方法
工事の実施 造成等の施工による一時的な影響 地盤の掘削による生態系の構造や関連性 事業計画地周辺及び下流河川 工事期間中 現地調査結果、類似事例等による定性予測
存在・供用 最終処分場の存在 最終処分場の出現による生態系の構造や関連性 埋立期間中

予測結果

工事の実施及び存在・供用が生態系の注目種及びその生息環境に及ぼす影響について予測し、保全対象種を抽出しました。その結果は、表12-3に示すとおりです。

表12-3 保全対象の抽出結果
区分 項目 注目種 確認状況注1) 予測結果注2) 保全対象注3)
陸域生態系 上位性 テン
典型性 タゴガエル
特殊性 カビゴケ
水域生態系 上位性 カワガラス
典型性 タカハヤ
特殊性 ブチサンショウウオ
合計 6種 - - 6種

注1)確認状況◇:改変区域を含む事業計画地及びその周辺で広く確認された。
注2)予測結果△:生息・生育環境の一部が改変される。
注3)保全対象●:予測結果を踏まえた環境保全措置が必要な保全対象種

環境保全措置

予測の結果、事業の実施により動物・植物の重要種及びその生息環境に及ぼす影響があると予測されるものについて、生態系への影響を回避又は低減することを目的として、表12-4に示す環境保全措置を実施します。

表12-4 環境保全措置
環境保全措置 環境保全措置の効果
廃棄物搬入車両等及び工事関係車両の搬入経路の検討 モミの大木やカビゴケが分布する自然度の高い恵下谷川沿いの植物の多様性を確保するために、廃棄物搬入車両等及び工事関係車両の搬入経路として恵下谷川沿いを利用しないこと等、土地の改変を減らすことにより、植物への影響が回避又は抑制されます。
個体の移動 工事着手前に改変区域内及びその周辺のブチサンショウウオの生息状況と移動適地を調査し、専門家の助言を受けながら、改変区域外の適切な場所へ移動させることにより、事業計画地及びその周辺における個体群が維持されます。
濁水発生の低減 工事期間中に濁水処理施設等を設置する等、「降雨による水の濁り」で実施する環境保全措置を行うことにより、工事に伴う濁水の発生が低減され、水域を主な生息域とするタカハヤや、カワガラスの餌となる水生昆虫類の生息環境への影響が抑制されます。
雨水側溝の工夫 小型動物(哺乳類、爬虫類、両生類等)が脱出可能な構造(スロープ等)をもつ雨水側溝を採用することにより、転落した小型動物が脱出できる経路が確保されます。
残地森林の間伐 現在スギ・ヒノキの植林地として放置されている残地森林部を間伐等により適切に維持管理することにより、動植物の多様性が確保されます。
在来種による法面緑化 工事で出現する切土・盛土箇所については、在来種による緑化を行い、改変区域と周辺の植生を調和させることにより、改変区域に隣接する動植物の生息・生育への影響が低減されます。
照明の工夫 照明の位置、点灯時期、光源(LED照明等)、形状等を工夫することにより、照明による動物への影響が抑制されます。
低騒音・低振動型建設機械の積極的な採用 低騒音・低振動型建設機械を積極的に採用することにより、工事に伴う動物全般の生息環境への騒音・振動の影響が低減されます。

評価

回避又は低減に係る評価

本事業の計画・設計にあたっては、埋立てによる谷部の改変を必要最小限とする計画としています。
生態系の注目種に対する環境保全措置としては、事業計画の検討時に、自然度の高い恵下谷川沿いの植物の多様性を確保するために、廃棄物搬入車両等及び工事関係車両の搬入経路として恵下谷川沿いを利用しないこと等により、土地の改変を減らすことで植物への影響の回避又は低減を図っています。
改変区域に生息するブチサンショウウオに対しては、回避・低減措置がとれないため、工事着手前に改変区域内及びその周辺の生息状況を調査し、専門家の助言を受けながら、代償措置として適切な場所へ移動させることとしています。
河川を主な生息環境とするタカハヤや、採餌環境が河川周辺であるカワガラスに対しては、工事中及び供用時の下流河川への濁水対策をおこなうことで、生息環境の維持を図ることとしており、雨水側溝の工夫により、転落した小動物の脱出対策を図ることとしています。渓流においてはこれらの環境保全措置により、水域生態系を構成する注目種の生息が維持されると見込まれることから、水域生態系への影響はできる限り回避又は低減されていると考えます。
また、残地森林の間伐により動植物の多様性を確保し、テンの生息環境やタゴガエルの繁殖環境等の維持を図ることとしています。森林においてはこのような環境保全措置により、陸域生態系を構成する注目種の生息が維持されると見込まれることから、陸域生態系への影響はできる限り回避又は低減されていると考えます。
さらに、事業実施段階での環境保全措置として、在来種による法面緑化、照明の工夫や騒音・震動影響の低減などを併せて実施する計画にしています。
以上のことから、本事業は生態系への影響を回避又は低減した計画であると評価します。

事後調査

予測結果を踏まえた環境保全措置の効果に不確実性が伴うものについて、環境保全措置の効果を検証するために事後調査を実施します。事後調査の概要は、表12-5のとおりです。

表12-5 事後調査の概要
調査項目 調査内容 実施主体
ブチサンショウウオの移動個体の定着状況 改変区域から周辺の渓流部に移動させたブチサンショウウオの定着状況を、専門家の助言を受けながら追跡調査し、必要に応じて適切な対応をとります。
調査時期:工事着手当初、供用後
調査地域:個体の移動先の渓流部周辺
調査手法:現地調査による確認
事業者

トウゴクサバノオの写真
ブチサンショウウオ

元のページへ戻る

関連情報

ダウンロード

第11章調査結果の概要並びに予測及び評価の結果
・9土壌汚染~・12生態系(690KB)(PDF文書)

このページに関するお問い合わせ先

環境局 環境保全課 環境管理係
電話:082-504-2097/Fax:082-504-2229
メールアドレス:ka-hozen@city.hiroshima.lg.jp

Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)