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恵下埋立地(仮称)整備事業に係る環境影響評価書 要約書(その4)

ページ番号:0000013498 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

目次

第11章調査結果の概要並びに予測及び評価の結果

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3 振動

3.1 現況調査結果

 工事関係車両及び廃棄物搬入車両等が通過する走行ルート沿道における道路交通振動等の調査を実施しました。(調査地点は,大気質と同様の4地点。)
 道路交通振動の調査結果は,図3-1に示すとおりです。
 道路交通振動は,全ての地点,時間帯(昼間,夜間)において,振動感覚閾(しきい)値である55dB(人が振動を感じ始めるレベル)を下回りました。なお,振動感覚閾値は,「公害の防止と法規-振動編-」(平成12年5月,(社)産業環境管理協会)に基づいて設定しました。

図3-1 道路交通振動調査結果では、道路交通振動は,全ての地点,時間帯(昼間,夜間)において,振動感覚閾値である55dBを下回りました。

注1)振動レベルは,1時間毎に80%レンジの上端値を測定し,各時間帯(昼間は7時~19時,夜間は19時~翌朝7時)での最大値を示しています。
 2)点線枠は振動計の計量下限値を示します。

図3-1 道路交通振動調査結果

 また,事業計画地内における環境振動調査を実施しました。(調査地点は,大気質の図1-2と同様の地点です。)
 環境振動の調査結果は,図3-2に示すとおりです。
 環境振動は,各時間帯(昼間,夜間)において,振動感覚閾値を下回りました。

図3-2 事業計画地内における環境振動調査結果では、環境振動は,各時間帯(昼間,夜間)において,振動感覚閾値を下回りました。

図3-2 事業計画地内における環境振動調査結果

3.2 予測・評価

振動の予測手法の概要は,表3-1に示すとおりです。

表3-1 振動の予測手法の概要

内容

予測事項

予測方法

予測地域

予測時期

工事の実施 建設機械の稼動 建設作業振動 距離減衰式 事業計画地及びその周辺 工事の実施に伴う影響が最大になる時期
資材及び機械の運搬に用いる車両の運行 道路交通振動 旧建設省土木研究所提案式 走行ルート沿道4地点 工事の実施に伴う影響が最大になる時期
存在・供用 廃棄物の搬入 道路交通振動 旧建設省土木研究所提案式 走行ルート沿道4地点 存在・供用に伴う影響が最大になる時期

(1) 工事の実施

ア 建設作業騒音
予測結果

建設機械の稼動に伴い発生する振動(以下,「建設作業振動」という。)について,その影響の程度を予測しました。
 予測時期は,建設機械の月別稼動台数,作業配置等を勘案した上で,多くの建設機械が敷地境界に近接して稼動する時期として,平成27年(2015年)11月頃,建設作業中の振動発生源単位の合成値が最大になる時期として,平成28年(2016年)9月頃を設定しました。
 予測の結果,敷地境界における建設作業振動は,想定した建設機械が全て同時に稼働した場合,平成27年(2015年)11月頃が70dB,平成28年(2016年)9月頃が52dBと予測されました。

環境保全措置

予測結果では,建設機械の稼動に伴う建設作業振動は,敷地境界の最大地点で特定建設作業の規制に関する基準値(=75dB)を下回っているものの,周辺環境への影響を回避又は低減することを目的として,表3-2に示す環境保全措置を実施します。

表3-2 環境保全措置

環境保全措置

環境保全措置の効果

工事工程の調整 建設機械の集中稼働を避けることにより,振動の発生が抑制されます。
建設機械の運転管理の徹底 建設機械の定期的な点検整備の実施,高負荷・空ぶかし運転等の回避を徹底することにより,振動の発生が抑制されます。
低振動型建設機械の積極的な採用 最新の技術動向を踏まえ,より振動の発生の小さい低振動型建設機械を積極的に採用することにより,振動の発生が抑制されます。
評価
回避又は低減に係る評価

 事業の実施にあたっては,環境保全措置を実施し,建設機械の稼動に伴う建設作業振動の影響を低減する計画としており,周辺の環境振動への影響を回避又は低減した計画であると評価します。

基準又は目標との整合性の検討

建設作業振動が最大となる時期の予測結果は,平成27年(2015年)11月頃が70dB,平成28年(2016年)9月頃が52dBであり,いずれの時期においても,特定建設作業の規制に関する基準値(=75dB)を満たしており,基準との整合は図られていると評価します。

イ 道路交通騒音
予測結果

 工事関係車両等の走行に伴い発生する振動について,その影響の程度を予測しました。走行ルート沿道における予測対象交通量は,「1.大気質」(表1-5参照)と同様の考え方で設定しています。
 道路交通騒音の予測結果は,図3-3のとおりです。
 予測結果によると,敷地境界で33~43dBの範囲内となりました。また,平成27年(2015年)予測の値は,昼間の時間帯のうち,振動レベルが最大となる時間帯(No.1,2,4は17時台,No.3は8時台)の予測結果を表示しています。
(なお,平成21年(2009年)現況の値は,平成27年(2015年)予測の結果が最大になる時間帯と同じ時間帯の平成21年(2009年)の現地調査結果です。現地調査結果が30dB未満の場合は,「30dB未満」=「30dB」として表示しています。)

図3-3 道路交通騒音の予測結果は敷地境界で33~43dBの範囲内となりました。また,平成27年予測の値は,昼間の時間帯のうち,振動レベルが最大となる時間帯の予測結果を表示しています。

図3-3 現況及び予測結果

環境保全措置

予測結果より,工事関係車両等の走行に伴う道路交通振動は,いずれの地点も『人が振動を感じ始めるレベルの振動感覚閾値(=55dB)』を十分に下回っており,環境への影響は極めて小さいと考えられますが,道路交通騒音で実施する環境保全措置(工事関係車両の運転管理の徹底,工事関係者の乗合い通勤,工事工程の調整)を行うことにより,道路交通振動の影響も回避又は低減できるものと考えます。

評価
回避又は低減に係る評価

本事業の実施にあたっては,道路交通騒音で実施する環境保全措置(工事関係車両の運転管理の徹底,工事関係者の乗合い通勤,工事工程の調整)により,道路交通振動の影響も低減されることから,沿道環境への影響を回避又は低減した計画であると評価します。

基準又は目標との整合性の検討

図3-3のとおり,工事の実施中の昼間の時間帯(7時~19時)の振動レベルは,いずれの地点においても,設定した振動感覚閾値との整合は図られていると評価します。

(2) 存在・供用

ア 道路交通騒音
予測結果

 廃棄物搬入車両等及び工事関係車両(第2期)の走行に伴い発生する振動について,その影響の程度を予測しました。走行ルート沿道における予測対象交通量は,「1.大気質」(表1-8参照)と同様の考え方で設定しています。道路交通振動の予測結果は,図3-4のとおりです。
 予測結果によると,敷地境界で34~45dBの範囲内となりました。
 また,平成37年(2025年)予測の値は,昼間の時間帯のうち,振動レベルが最大となる時間帯(No.1,2,3は8時台,No.4は9時台)の予測結果を表示しています。
(なお,平成21年(2009年)現況の値は,平成37年(2025年)予測の結果が最大になる時間帯と同じ時間帯の平成21年(2009年)の現地調査結果です。現地調査結果が30dB未満の場合は,「30dB未満」=「30dB」として表示しています。)

図3-4 廃棄物搬入車両等及び工事関係車両(第2期)の走行に伴い発生する振動の影響を予測した結果によると,敷地境界で34~45dBの範囲内となりました。

図3-4 現況及び予測結果

環境保全措置

予測結果より,廃棄物搬入車両等及び工事関係車両の走行に伴う道路交通振動は,いずれの地点も『人が振動を感じ始めるレベルの振動感覚閾値(=55dB)』を十分に下回っており,環境への影響は極めて小さいと考えられますが,道路交通騒音で実施する環境保全措置を行うことにより,道路交通振動の影響も回避又は低減できるものと考えます。

評価
回避又は低減に係る評価

本事業の実施にあたっては,道路交通騒音で実施する環境保全措置(工事工程の調整,廃棄物搬入車両等及び工事関係車両の運転管理の徹底,工事関係者の乗合い通勤)により,道路交通振動の影響も低減されることから,沿道環境への影響を回避又は低減した計画であると評価します。

基準又は目標との整合性の検討

図3-4のとおり,存在・供用時の昼間の時間帯(7時~19時)の振動レベルは,いずれの地点においても,設定した振動感覚閾値との整合は図られていると評価します。

4 悪臭

4.1 現況調査結果

 悪臭の調査は,事業計画地内の1地点において臭気指数の調査を実施しました。(調査地点は,大気質の図1-2と同様の地点です。)
 悪臭の調査結果は,表4-1に示すとおりです。
 臭気指数※は,10未満(定量下限値未満)であり,悪臭防止法に基づく広島市における規制基準値の15(第3種区域)を下回りました。

表4-1 臭気指数の調査結果
項目名 事業計画地の調査結果 規制基準値
臭気指数 10未満(定量下限値未満) 15
(第3種区域)

注)臭気指数の規制基準値は,「悪臭防止法による規制地域の指定及び規制基準の設定」(平成15年9月1日,広島市告示第314号)による。

※「臭気指数」とは
 人の嗅覚を用いて悪臭の程度を判定する方法により算出される指数です。また,臭気指数15は臭気強度でみると「やや弱いにおい」となります。
「臭気指数」を表すイメージ
(広島県ホームページ「eco ひろしま」より引用・編集)

4.2 予測・評価

悪臭の予測手法の概要は,表4-2に示すとおりです。

表4-2 悪臭の予測手法の概要

内容

予測事項

予測方法

予測地域

予測時期

存在・供用 廃棄物の埋立て 悪臭 現地調査結果,事業計画及び類似事例等を踏まえ定性予測 事業計画地周辺 埋立期間中

(1) 存在・供用

ア 悪臭
予測結果

 悪臭の予測については,現地調査結果等を踏まえ定性的に予測しました。
 事業計画地内の1年間の平均風向・風速の調査結果は,図4-1のとおりです。
 風向は,特に卓越した向きはなく,風速は0.4m/s以下のCalmが年間を通じて50.7%を占めており,年間の風向別平均風速は,煙がなびく程度の約0.7~1.3m/sでした。

図4-1 悪臭の予測については,風向は,特に卓越した向きはなく,風速は0.4m/s以下のCalmが年間を通じて50.7%を占めており,年間の風向別平均風速は,煙がなびく程度の約0.7~1.3m/sでした。

 この地図は,国土地理院長の承認を得て,同院発行の1:25,000(地形図)を複製したものです。(承認番号平22中複第33号)

図4-1 風向・風速調査結果

環境保全措置

 予測結果より,臭気が広く周辺へ拡散することはないと考えられますが,埋立作業等の適正な管理を確実に実施し,環境への影響を回避又は低減することを目的として,表4-3に示す環境保全措置を実施します。

表4-3 環境保全措置

環境保全措置

環境保全措置の効果

悪臭の原因となる廃棄物の混入防止 悪臭の原因となる廃棄物の混入を防止することにより,悪臭の発生が抑制されます。
即日覆土等の実施 即日覆土や転圧作業を十分に実施することにより,悪臭の発生が抑制されます。
埋立区域内への散水 必要に応じて,散水を行うことにより埋立区域内からの悪臭の発生が抑制されます。
廃棄物のダンピング時の散水 廃棄物を荷台からダンピングする時に散水することにより,悪臭の発生が抑制されます。
評価
回避又は低減に係る評価

本事業の実施にあたっては,環境保全措置を実施し,埋立区域からの悪臭の発生を低減する計画としており,埋立地周辺環境への悪臭の影響を回避又は低減した計画であると評価します。

5 水質

5.1 現況調査結果

 水質の調査は,事業計画地及びその周辺の河川水質の現況を把握するため,生活環境項目,健康項目等の水質調査を4地点(恵下谷川2地点(No.1,No.2)と水内川2地点(No.3,No.4))で実施しました。
 また,降雨時における河川水の濁りや流量の状況を把握するため,濁度,SS(浮遊物質量),河川流量について,濁水調査を7地点(No.1~No.7)で実施しました。

図5-1 水質の調査は生活環境項目,健康項目等の水質調査を4地点と水内川2地点で実施し、また,降雨時における濁度,浮遊物質量,河川流量について,濁水調査を7地点で実施しました。

図5-1 水質調査地点

(1) 水質調査結果

ア 生活環境項目

 生活環境項目の調査結果は,表5-1のとおりです。
 調査結果は,恵下谷川においても水内川と同じ環境基準(A類型)をあてはめたところ,pH,DO,BOD,SSの項目は,全地点で環境基準値(A類型)を達成していましたが,大腸菌群数については全地点において,4季の調査のうち環境基準値を超過したときがありました。

表5-1 生活環境項目の調査結果

表5-1 生活環境項目の調査結果は,pH,DO,BOD,SSの項目は,全地点で環境基準値を達成していましたが,大腸菌群数については全地点において,4季の調査のうち環境基準値を超過したときがありました。

注1)pH:水素イオン濃度,DO:溶存酸素量,BOD:生物化学的酸素要求量,COD:化学的酸素要求量,SS:浮遊物質量
 2)年4回の調査結果の平均及び最大を記載しています。
 3)ND:定量下限値未満を示します。

イ 健康項目

健康項目の調査結果は,表5-2のとおりです。調査結果は,全地点において全項目とも環境基準値を下回りました。

表5-2 健康項目の調査結果

表5-2 健康項目の調査結果は,全地点において全項目とも環境基準値を下回りました。

(2) 河川流量調査結果

 平常時の河川流量の調査結果は,表5-3のとおりです。
 恵下谷川上流(No.1),恵下谷川下流(No.2)の流量は,0.01m3/s~0.27m3/sであり,水内川上流(ア)(No.3),水内川上流(イ)(No.4)は,0.97m3/s~4.07m3/s程度の流量が確認されました。

(単位:m3/s)

表5-3 河川流量調査結果
調査時期 恵下谷川上流
(No.1)
恵下谷川下流
(No.2)
恵下谷川下流(ア)
(No.3)
恵下谷川下流(イ)
(No.4)
夏季 0.08m3/s 0.27m3/s 3.44m3/s 4.07m3/s
秋季 0.01m3/s 0.06m3/s 0.97m3/s 1.04m3/s
冬季 0.03m3/s 0.07m3/s 2.06m3/s 2.21m3/s
春季 0.11m3/s 0.24m3/s 3.57m3/s 3.87m3/s

(3) 濁水調査結果

 降雨時の濁水調査結果は,表5-4のとおりです。
 最大降雨時からどれぐらいの時間差で,河川の濁り(SS濃度)と流量が最大になるかを計測し,その相関を調べました。
 恵下谷川上流(No.1)では,降雨が最大となった約40分後にSS濃度が最大となり,16mg/Lを示しました。
 恵下谷川下流(No.2)では,恵下谷川下流(No.1)から約50分遅れてSS濃度が最大となり,11mg/Lを示しました。
 不明谷川上流(No.5)では,降雨が最大となった約30分後にSS濃度が最大となり,7mg/Lを示しました。
 不明谷川下流(No.6)では,不明谷川上流(No.5)から約1時間遅れてSS濃度が最大となり,3mg/Lを示しました。
 水内川上流(ア)(No.3)では,降雨が最大となった約4時間後にSS濃度が最大となり,14mg/Lを示しました。
 水内川上流(ア)(No.3)よりも下流に位置する水内川上流(イ)(No.4)では,水内川上流(ア)(No.3)とほぼ同時期にSS濃度が最大となり,14mg/Lを示しました。
 水内川下流(No.7)は,水内川上流(イ)(No.4)から約30分遅れてSS濃度が最大となり,19mg/Lを示しました。
 また,流量の増加もSS濃度とほぼ同様な傾向を示しました。

表5-4 降雨時の濁水調査結果(SS濃度,流量)

表5-4 降雨時の濁水調査結果(SS 濃度,流量)のイメージ

5.2 予測・評価

水質の予測手法の概要は,表5-5のとおりです。

表5-5 水質の予測手法の概要

内容

予測事項

予測方法

予測地域

予測時期

工事の実施

造成等の施工による一時的な影響

コンクリート打設時の水の汚れ 完全混合モデルによる予測注) 事業計画地の下流河川 工事による影響が最大となる時期
降雨による水の濁り 完全混合モデルによる予測 事業計画地の下流河川 工事期間中における降雨時

存在・供用

最終処分場の存在

河川水温 現地調査結果及び事業計画を踏まえた定性予測 事業計画地の下流河川 埋立期間中

注)コンクリート打設時の水の汚れについては,実施計画書では,定性予測を行うこととなっていましたが,事業計画により,pH処理設備を導入することとしたため,定量予測が可能となったことから,恵下谷川上流の結果を参考に完全混合モデルで予測を行うことにしました。

(1) 工事の実施

ア コンクリート打設時の水の汚れ
予測結果

 工事期間中のコンクリート打設時に発生する,アルカリ性の排水による影響について予測しました。
 最終処分場の予測地点は,工事により発生した排水が流入する恵下谷川上流(No.1),恵下谷川下流(No.2)の2地点,さらに,恵下谷川が水内川と合流した直後の水内川上流(No.4)の計3地点としました。
 また,取付道路工事の予測地点は不明谷川上流(No.5)としました。
 予測には,平成21年(2009年)8月~平成22年(2010年)5月の間に計4回実施した調査から得られた水質と流量調査結果を用いました。(表5-1,表5-3参照)

事業計画では,pH処理設備から排水される水のpHを,河川の環境基準(A類型)の上限値であるpH8.5以下になるように薬剤による調整を行い放流する計画としていることから,pH処理設備の上限値であるpH8.5を予測に用いました。(図5-2参照)

図5-2 事業計画では,pH処理設備から排水される水のpHを,河川の環境基準の上限値であるpH8.5以下になるように薬剤による調整を行い放流する計画としていることから,pH処理設備の上限値であるpH8.5を予測に用いました。

注)予測時期においては,防災調整池は完成していません。

図5-2 pH処理フロー

最終処分場工事によるpHの予測結果は,表5-6のとおりです。
  恵下谷川上流(No.1)でpH0.3~0.8,恵下谷川下流(No.2)でpH0.1~0.4のpHの上昇が予測され,水内川上流(イ)(No.4)ではpHの上昇はないと予測されました。

表5-6 予測結果(pH)
予測地点 現地調査結果 予測結果
調査時期 実測値
恵下谷川上流(No.1) 夏季 7.2pH 7.5pH
秋季 7.4pH 8.2pH
冬季 7.4pH 7.9pH
春季 7.1pH 7.4pH
恵下谷川下流(No.2) 夏季 7.3pH 7.4pH
秋季 7.6pH 7.9pH
冬季 7.3pH 7.7pH
春季 7.5pH 7.6pH
水内川上流(イ)(No.4) 夏季 7.6pH 7.6pH
秋季 7.7pH 7.7pH
冬季 7.7pH 7.7pH
春季 7.8pH 7.8pH

 また,取付道路工事による河川水質(pH)への影響は,以下のとおりです。

  • アルカリ性の排水が発生するトンネル工事のコンクリート打設時には,pH調整機能を持つ濁水処理設備(30m3/h程度)を設置して,適正な水質に処理して排水することから,取付道路工事による排水が現況河川へ与える影響は小さいものと考えられます。
  • 不明谷川上流(No.5)への全流域面積(約200ha)に対する取付道路工事の改変区域面積(約3ha)の割合は,約1.5%と極めて小さいことから,取付道路工事による排水が現況河川へ与える影響は小さいものと考えられます。
  • 取付道路工事の施工は,段階的に施工が実施されることから,一度に発生する排水量は少ないものと考えられます。

 以上より,取付道路の工事から発生するコンクリート打設時におけるアルカリ性の排水の影響は小さいと考えられます。

環境保全措置

 予測結果より,最終処分場工事のコンクリート打設時において,アルカリ性の排水によって生じる影響は,最も影響が大きい恵下谷川上流(No.1)でpH0.3~0.8上昇すると考えられることから,環境への影響を回避又は低減することを目的として,表5-7に示す環境保全措置を実施します。

表5-7 環境保全措置

環境保全措置

環境保全措置の効果

工事工程の調整 集中的なコンクリートの打設を抑えるため工事工程を調整することにより,排水量が低減されることから,コンクリート打設時の水の汚れの影響が抑制されます。
施工エリアの分割 コンクリート打設を行う施工エリアを分割することにより,排水量が低減されることから,コンクリート打設時の水の汚れの影響が抑制されます。
pH処理設備の設置 pH処理設備を設置することにより,排水のpHを調整することが可能であることから,コンクリート打設時の水の汚れの影響が抑制されます。
コンクリートミキサー車の現場内洗車の禁止 コンクリートミキサー車の洗車を現場内で行わないことにより,アルカリ性の排水が抑制されます。
評価
回避又は低減に係る評価

本事業の実施にあたっては,環境保全措置を実施し,コンクリート打設時のアルカリ性の排水の影響を低減する計画としており,周辺の河川水質(pH)への影響を回避又は低減した計画であると評価します。

基準又は目標との整合性の検討

コンクリート打設時の排水が事業計画地周辺の河川水質(pH)に与える予測結果は,pH7.4~8.2であり,環境基準(A類型:pH8.5)を達成していることから,環境基準との整合は図られていると評価します。

事後調査

現時点では工事の詳細工程等が未定で,予測の不確実性が大きいことから,環境保全措置の効果を検証するために事後調査を実施します。事後調査の概要は,表5-8のとおりです。

表5-8 事後調査の概要

調査項目

調査内容

実施主体

コンクリート打設時の河川水質(pH) 工事の進捗状況に併せて,河川水質(pH)の調査を行います。
  • 調査時期:工事中
  • 調査地点:水内川,恵下谷川,不明谷川
事業者
イ 降雨による水の濁り
予測結果

 工事期間中の切土工事及び盛土工事時期において,日常的な降雨に伴い発生する濁りによる,河川への影響について予測しました。
 最終処分場工事の予測地点は,図5-3に示す,恵下谷川上流(No.1),恵下谷川下流(No.2),水内川上流(イ)(No.4),水内川下流(No.7)の計4地点とし,取付道路工事の予測地点は不明谷川上流(No.5)としました。

予測結果の画像

図5-3 予測地点

 予測に用いた河川流量とSS濃度は,平成22年(2010年)5月18日~19日の濁水調査中に観測されたSS濃度が最も高い調査結果を用いました(表5-9の網掛け部分)。
 なお,SS濃度の最大値が,調査結果の中で2箇所以上存在した場合は,河川流量の多い結果を採用しました。

表5-9 予測に用いた流量とSS濃度

表5-9 予測に用いた河川流量とSS濃度は,平成22年5月18日~19日の濁水調査中に観測されたSS濃度が最も高い調査結果を用いました。なお,SS濃度の最大値が,調査結果の中で2箇所以上存在した場合は,河川流量の多い結果を採用しました。

注1)予測には,SS濃度が最大となる平成22年(2010年)5月19日の流量とSS 濃度の結果を用いました。
 2)各地点とも網掛け部分のSS濃度と流量を使用しました。

 また,事業計画では,濁水処理設備に凝集沈降方式を採用することにより,排水中のSS濃度を100mg/L以下とする計画であることから,予測には排水水質(SS濃度)の上限値である100mg/Lを用いました。(図5-4参照)

図5-4 事業計画では,濁水処理設備に凝集沈降方式を採用することにより,排水中のSS濃度を100mg/L以下とする計画であることから,予測には排水水質の上限値である100mg/Lを用いました。

図5-4 濁水の処理フロー

 最終処分場工事による河川水質(SS濃度)の予測結果は,表5-10のとおりです。
 現況河川流量の少ない恵下谷川上流(No.1)では,14.4mg/L,恵下谷川下流(No.2)では,6.0mg/L上昇すると見込まれました。
 水内川上流(イ)(No.4)と水内川下流(No.7)では,0.2mg/Lの上昇と,ほとんど現況と変わらない結果となりました。

表5-10 予測結果(SS濃度)
予測地点 現況のSS濃度
(mg/L)
予測されるSS濃度
(mg/L)
環境基準値
(参考)
恵下谷川上流(No.1) 16mg/L 30.4mg/L 25mg/L以下
恵下谷川下流(No.2) 11mg/L 17.0mg/L
水内川上流(イ)(No.4) 16mg/L 16.2mg/L
水内川下流(No.7) 19mg/L 19.2mg/L

注)環境基準値は,水質汚濁に係る環境基準(A類型)を用いています。
 なお,この基準は,河川の公共用水位が通常の状態にある場合に適用されます。

 また,取付道路工事による河川水質(SS濃度)への影響は,以下のとおりです。

  • 不明谷川上流(No.5)への集水域面積(約200ha)に対する取付道路工事の改変区域面積(約3ha)の割合は,約1.5%と極めて小さいことから,取付道路工事による排水が現況河川へ与える水質(SS濃度)の負荷は小さいものと考えられます。
  • 取付道路工事の施工は,段階的に施工が実施されることから,一度に発生する排水量は少ないものと考えられます。
  • トンネル部分の掘削時には,濁水処理設備(30m3/h程度)を設置することから,適正な水質に処理し排水されます。
  • トンネル部分以外については,濁水を土のうや素掘り側溝により集水し,可搬式の水槽等によって沈砂した後に排水します。

 以上より,取付道路の工事から発生する濁りの影響は小さくなるものと考えられます。

環境保全措置

予測結果では,日常的な降雨によって発生する濁水が事業計画地周辺の河川水質に与える影響として,河川水中のSS濃度が最大14.4mg/L上昇すると見込まれることから,この影響を回避又は低減することを目的として,表5-11に示す環境保全措置を実施します。

表5-11 環境保全措置

環境保全措置

環境保全措置の効果

裸地の発生の抑制 降雨の多い時期(梅雨時期など)には盛土工事,切土工事を集中させないように工事工程を調整することで,裸地の発生を抑えることにより,濁水の影響が抑制されます。
施工エリアの分割 広域な施工エリアを分割して裸地の発生を抑え,一度に大量の濁水が発生しないようにすることで,濁水の影響が抑制されます。
降雨時における工事の制限 強い降雨時に,濁水発生を伴う工事を行わないことにより,濁水の発生が抑制されます。
定期的な濁水処理設備の点検及び監視 濁水処理設備を定期的に点検するとともに,濁水処理設備出口のSS濃度を定期的に監視し,施設を適切に運転することにより,濁水の影響が抑制されます。
締切土のうの設置 掘削により発生する濁水を不用意に下流域へ流れ出さないように,工事範囲の下流域に締切土のうを設置することにより,濁水の影響が抑制されます。
法面保護 法面(裸地)の保護を行うことにより,濁水の流出量が減少し,濁水の影響が抑制されます。
評価
回避又は低減に係る評価

 本事業の実施にあたっては,環境保全措置を実施し,工事期間中の日常的な降雨に伴い発生する濁水が,河川水質へ与える濁りの影響を低減する計画としており,周辺の河川水質への影響を回避又は低減した計画であると評価します。

基準又は目標との整合性の検討

 恵下谷川の予測地点においても,比較する基準として,水内川で適用される環境基準(A類型)のSS濃度25mg/L以下を用いました。
 表5-10の予測結果(SS濃度)のとおり,濁水による河川水質(SS濃度)への影響は,恵下谷川上流(No.1)では基準値の25mg/Lを超過していますが,その他の予測地点では基準を達成しています。
 恵下谷川上流(No.1)においても,この予測結果は,改変区域(開発面積:28ha)全体から一度に濁水が発生すると仮定して予測したものであり,裸地の発生の抑制や施工エリアの分割,降雨時における工事の制限等の環境保全措置を実施することにより,一度に大量の濁水が発生しないようにすることで,基準を達成することが可能であると判断されることから,環境基準との整合は図られていると評価します。

事後調査

 現時点では工事の詳細工程が未定で,予測の不確実性が大きいことから,環境保全措置の効果を検証するために事後調査を実施します。事後調査の概要は,表5-12のとおりです。

表5-12 事後調査の概要

調査項目

調査内容

実施主体

工事期間中における降雨時の河川水質(SS濃度) 工事の進捗状況に併せて,降雨時の河川水質(SS濃度)の調査を行います。
  • 調査時期:工事中
  • 調査地点:水内川,恵下谷川,不明谷川
事業者

(2) 存在・供用

ア 河川水温
予測結果

 最終処分場の存在・供用時に,埋立区域内に降った雨が浸出水として公共下水道へ放流するため,河川流量が減少する恐れがあることから,これによって生じる河川水温への影響について定性的に予測しました。
 予測は,恵下谷川上流(No.1)の現況流量に,恵下谷川上流(No.1)地点の集水面積(約242ha)と埋立区域面積(合計11ha)の面積按分より,供用後に公共下水道へ導水される埋立区域からの排水量を算定しました。算定した排水量を,各予測地点の流量から差し引き,将来の流量減少率について試算しました。
 予測地点は,図5-5に示す恵下谷川上流(No.1),恵下谷川下流(No.2),水内川上流(イ)(No.4)の3地点としました。

図5-5 予測地点は,恵下谷川上流,恵下谷川下流,水内川上流(イ)の3地点としました。

図5-5 予測地点

 周辺河川の流量減少率の予測結果は,表5-13のとおりです。
 表中に示した減少率は,調査結果の河川流量に対する予測結果の割合です。
 恵下谷川上流(No.1)の減少率は,4.5%でした。また,恵下谷川下流(No.2)の減少率は,0.8~2.1%となりました。水内川上流(イ)(No.4)の減少率は,0.04~0.13%となりました。
 河川流量への影響は,最も減少率の大きい恵下谷川上流(No.1)でも4.5%程度であり,河川水温に与える影響も,河川流量への影響と同程度に小さいものと予測されます。

表5-13 予測結果(河川流量)
予測地点 現地調査結果 埋立区域に起因する減少分
(m3/s)
予測結果(m3/s) 河川流量
減少率(%)
調査時期 実測値
(m3/s)
恵下谷川上流(No.1) 夏季 0.08m3/s 0.0036m3/s 0.0764m3/s 4.5%
秋季 0.01m3/s 0.0005m3/s 0.0095m3/s 4.5%
冬季 0.03m3/s 0.0014m3/s 0.0286m3/s 4.5%
春季 0.11m3/s 0.0050m3/s 0.1050m3/s 4.5%
恵下谷川下流(No.2) 夏季 0.27m3/s 0.0036m3/s 0.2664m3/s 1.3%
秋季 0.06m3/s 0.0005m3/s 0.0595m3/s 0.8%
冬季 0.07m3/s 0.0014m3/s 0.0686m3/s 1.9%
春季 0.24m3/s 0.0050m3/s 0.2350m3/s 2.1%
水内川上流(イ)(No.4) 夏季 4.07m3/s 0.0036m3/s 4.0664m3/s 0.09%
秋季 1.04m3/s 0.0005m3/s 1.0395m3/s 0.04%
冬季 2.21m3/s 0.0014m3/s 2.2086m3/s 0.06%
春季 3.87m3/s 0.0050m3/s 3.8650m3/s 0.13%
環境保全措置

 予測結果から,最終処分場の存在・供用時における河川流量の減少によって生じる河川水温への環境への影響を回避又は低減することを目的として,表5-14に示す環境保全措置を実施します。

表5-14 環境保全措置

環境保全措置

環境保全措置の効果

埋立中の面積の最小化 埋立地の区画を分けて段階的に整備し,各時期における埋立中の面積を最小化することにより,浸出水量が少なくなり,河川水温への影響が抑制されます。
残地森林の適正な管理 残地森林の保水力向上を目的として定期的な間伐等を積極的に行うことで河川への維持水量が増加し,河川水温に与える影響が抑制されます。
評価
回避又は低減に係る評価

本事業の実施にあたっては,環境保全措置を実施し,河川流量の減少によって生じる河川水温への影響を低減する計画としており,周辺の河川水温への影響を回避又は低減した計画であると評価します。

6.底質

6.1 現況調査結果

 底質の調査は,事業計画地及びその周辺の河川底質の現況を把握するため,pH等4項目及び粒度組成の調査を7地点で実施しました。(調査地点は,水質と同様の7地点です。)
 底質のpH等4項目の調査結果は,表6-1のとおりです。
 調査結果によると,恵下谷川上流(No.1)においてpHが,不明谷川下流(No.6)においてCODとn-ヘキサン抽出物質が,それぞれ他の調査地点に比べて高い傾向が確認されました。

表6-1 調査結果

表6-1 底質のpH等4項目の調査結果は,恵下谷川上流においてpHが,不明谷川下流においてCODとn-ヘキサン抽出物質が,それぞれ他の調査地点に比べて高い傾向が確認されました。

注1)平成21年(2009年)8月18日の調査結果です。
注2)ND:定量下限値未満を示します。COD:化学的酸素要求量を示します。

 底質の粒度組成の調査結果は,表6-2のとおりです。
 調査結果によると,全ての調査地点において中礫分~中砂分が多くの割合を占めていました。

表6-2 調査結果(粒度組成)

(単位:m3/s)

表6-2 調査結果によると,全ての調査地点において中礫分~中砂分が多くの割合を占めていました。

6.2 現況調査結果

 底質の予測手法の概要は,表6-3のとおりです。

表6-3 底質の予測手法の概要

内容

予測事項

予測地域

予測時期

予測方法

工事の実施

造成等の施工による一時的な影響

降雨による底質への影響 現地調査結果及び事業計画を踏まえた定性予測 事業計画地の下流河川 工事期間中における降雨時

(1) 工事の実施

ア 降雨による底質への影響
予測結果

 降雨時に発生する濁水に起因して,その濁り成分である土砂が河床へと堆積し,底質の粒度組成が変化することが考えられることから,「5.水質」で行った水の濁りの予測結果を用いて,SS沈降の可能性について定性的な予測を行いました。
 工事の実施中には,降雨により一時的な濁水由来のSS分の沈降による影響が考えられますが,改変区域から流出する濁水については濁水処理を行うことから,礫などの粒径の大きい土粒子は取り除かれ,河川に流出するSS分のほとんどは細砂分以下の土粒子によるものであると考えられます。
 一方,表6-2のとおり,各調査地点の底質における粒度組成は,細粒分が0%~0.6%,細砂分が0.1%~4.1%と少なく,粒子の細かな土砂は堆積しにくい河川の状況になっていると考えられます。

環境保全措置

 予測結果から,最終処分場工事において日常的な降雨によって発生する濁水由来のSS分は,事業計画地周辺の河川に堆積しにくいと予測されることから,底質への影響は小さいと考えられますが,「5.水質」の降雨による水の濁りで実施する環境保全措置(裸地の発生の抑制,施工エリアの分割,降雨時における工事の制限,定期的な濁水処理設備の点検及び監視,締切土のうの設置,法面保護)を行うことにより,降雨による一時的な濁水由来のSS分による底質への影響をさらに低減できるものと考えます。

評価
回避又は低減に係る評価

 予測結果から,降雨による濁水由来のSSは河床に沈降して堆積しにくいと予測されますが,本事業の実施に当たっては,裸地の発生の抑制などの環境保全措置を実施して,降雨による一時的な濁水による河川底質への影響を低減する計画としています。
 このことから,周辺の河川底質への影響を回避又は低減した計画であると評価します。

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関連情報

ダウンロード

第11章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果
・3振動~・6底質(962KB)(PDF文書)

このページに関するお問い合わせ先

環境局 環境保全課 環境管理係
電話:082-504-2097/Fax:082-504-2229
メールアドレス:ka-hozen@city.hiroshima.lg.jp

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