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1 平成26年8月20日豪雨災害の概要(2) 豪雨
平成26年8月は、2つの台風(第11号と第12号)が日本に接近・上陸したことに加えて、前線の位置や湿った気流の影響を受け、全国で大雨の降りやすい天候が続き、北海道から九州まで多くの地域で記録的な大雨が発生しました。これらの一連の大雨について、気象庁は「平成26年8月豪雨」と命名しています。
広島県地方でも、8月19日夜から20日明け方にかけて、日本海に停滞する前線に暖かく湿った空気が流れ込んで、大気の状態が非常に不安定となり、大雨が降りやすい状況となっていました。
広島市では、8月19日16時03分に大雨・洪水注意報、同日21時26分に大雨・洪水警報が発表されましたが、その後23時33分に洪水警報が解除されました。
しかしながら、次々と発生した積乱雲が一列に並び、集中的に雨が降る「バックビルディング現象」によるものと推測される局所的な豪雨が20日未明から続き、安佐北区においては、1時間最大121mm、24時間累積最大287mmという観測史上最大の集中豪雨が発生しました。また、安佐南区においても、1時間最大87mm、24時間累積最大247mmという集中豪雨が観測されました。
[「バックビルディング現象」については、ページ下部の「関連情報」を参照してください。]
図1-2 平成26年8月19日21時の天気図
前線に向かって南から温かく湿った空気が流れ込んだことにより大気の状態が不安定となった影響で、集中豪雨が発生しました。
雨量観測局 | 最大時間雨量 | 24時間累積最大雨量 (8月19日9時~20日9時) |
---|---|---|
三入東雨量観測局 (安佐北区) |
121mm (8月20日3時~20日4時) |
284mm |
上原雨量観測局 (安佐北区) |
115mm (8月20日3時~20日4時) |
287mm |
高瀬雨量観測局 (安佐南区) |
87mm (8月20日2時~20日3時) |
247mm |
三入東、上原両観測局では、8月20日3時~4時の1時間に、広島の8月1か月分の平均降水量(111mm)を上回る雨を観測しました。
安佐南区山本地区から安佐北区大林地区に至る帯状の範囲においては、8月20日1時から4時までの3時間の累積雨量が200mmを超えた地域もあり、土石流や急傾斜地崩壊(がけ崩れ)の発生しやすい地形的・地質的特性と相まって多数の災害が発生しました。
この図は、国土地理院発行の20万分の1地勢図「広島」を使用して広島県土木局砂防課が作成した資料に加筆したものです。
(国):国土交通省が管理する雨量観測局 (気):気象庁が管理する雨量観測局 その他は広島県が管理する雨量観測局です。
図1-3 雨量観測局の雨量データと災害発生箇所
被災地に近接した3地点の観測局では、24時間累積最大雨量の75%以上を占める雨量がわずか3時間の間に記録されています。
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