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資料編/5 用語解説
- バックビルディング現象
- 都市計画マスタープラン
- 地域防災計画
- 基本構想
- 基本計画
- 世界に誇れる『まち』の実現に向けて
- 砂防堰堤(さぼうえんてい)
- 治山堰堤(ちさんえんてい)
- 避難路
- 土砂災害危険箇所
- 自主防災組織
- 土砂災害ハザードマップ
- 山腹(さんぷく)整備(山腹工(さんぷくこう))
- 事前復興
- 危機管理室
バックビルディング現象
次々と発生した積乱雲が一列に並び、集中的に雨が降ることを「バックビルディング現象」と呼んでいます。一般的に積乱雲は、雨を降らせて1時間ほどで消滅すると言われています。今回は、太平洋上にある高気圧のへりに沿って、南から暖かく湿った空気が豊後水道や瀬戸内海を通って広島市付近に大量に流れ込み、さらに安佐北区、安佐南区の山地にぶつかって上昇し、同じ場所で新しい積乱雲が発生することが繰り返され、大雨が狭い範囲に集中して、継続的に降ったと考えられています。
気温が高い西日本ほど多く、山地の南東斜面で起こりやすい傾向があるようですが、全国どこででも発生しうると考えられます。
バックビルディング現象による大雨の発生が増えているか現段階で不明ですが、1時間当たりの雨量が50ミリ以上の大雨の発生回数は、明らかな増加傾向が見られることから注意が必要な気象現象です。
図 資5-1 バックビルディング現象の仕組み
暖かく湿った空気が上昇し、積乱雲が一列に並んで発生することで、豪雨が降り続きます。
(出典:「平成26年8月20日豪雨広島土砂災害」国土交通省中国地方整備局太田川河川事務所)
都市計画マスタープラン
都市計画法第18条の2に規定される「市町村の都市計画に関する基本的な方針」として、上位計画である基本構想などに即して定めるもので、長期的な視点に立った都市づくりの目標やその実現に向けた方向性を明らかにすることを目的としています。
本市は、昭和24年(1949年)8月6日に公布・施行された広島平和記念都市建設法に基づき、戦後一貫して平和都市の建設に努力してきました。こうした歴史を踏まえ、「広島市基本構想」では、「国際平和文化都市」を都市像として掲げています。
都市計画マスタープランは、「広島市基本構想」などの上位計画の都市像などを実現するため、都市計画分野に関する都市づくりの基本方針を定めたものです。
地域防災計画
災害対策基本法第42条の規定に基づき、市町村防災会議が作成する、当該市町村の地域に係る防災のために処理すべき業務の大綱等を定めるものです。
「広島市地域防災計画」は、広島市防災会議(会長:広島市長)が作成する市域に係る防災計画で、総合的で計画的な防災行政の推進を図り、市民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的としています。
基本構想
地方自治法の規定に基づき、市町村が、議会の議決を経て、地域における将来の目標及び目標達成のための基本的施策を定めるものです。
広島市では、将来の都市像とそれを実現するための施策の構想などを定める「広島市基本構想」を策定しています。
平成21年(2009年)10月16日に策定した現行の「広島市基本構想」では、私たちを取り巻くすべての存在との間に「パートナーシップ・モデル」を導入することが必要であること、21世紀は、世界の都市間のパートナーシップが国際関係のモデルとなる時代であり、国の思惑などで世界を動かすという枠組みからの「パラダイム(一時代を通して支配的な物の見方や時代に共通する思考の枠組み)の転換」が必要であることなどを掲げています。
さらに、都市づくりの方向として、パートナーシップの構築とパラダイムの転換を図りつつ、広島で実現されていることや街のたたずまいがそのまま「平和」の意味であり、具現化であることを実感することのできる都市づくりに取り組み、「世界のモデル都市」を目指す必要があることなどを掲げています。
基本計画
基本構想を達成するための施策の大綱を総合的・体系的に定める長期計画であり、議会の議決を経て策定するものです。
平成21年(2009年)10月16日に策定した「第5次広島市基本計画」では、計画期間を平成21年度(2009年度)から平成32年度(2020年度)までとしています。
この第5次広島市基本計画は、分野別計画において、「子どもの未来の創造」、「Ict先端都市の実現」を新たに章として掲げるとともに、「地球温暖化・エネルギー対策の推進」、「豊かで魅力的な里ライフの創造」、「観光の振興」を新たに節として掲げたことや、区の計画において、市内32か所で400人以上の市民の参加を得て開催した「地区別まちづくりワークショップ」の成果を踏まえ「住民に身近な地区別まちづくりビジョン」を掲げたことなどが主な特徴です。
世界に誇れる『まち』の実現に向けて
広島市が目指すべきまちの姿と、その実現に向けた基本的な考え方を示すために平成23年12月に策定された「世界に誇れる『まち』の実現に向けて-市政推進に当たっての基本コンセプト-」のこと。
広島市が目指すべき「まち」の姿として、(1)世界中の人々が一生のうち、一度は訪れてみたいと思う「まち」、(2)そこに暮らす人々の生き生きとした営みがある「まち」、(3)「平和の尊さ」を体現する「まち」、の三つを掲げています。またその実現に向けた日々のまちづくりの取り組みの柱として、「活力とにぎわい」、「ワーク・ライフ・バランス」、「平和への思いの共有」の三つを据えています。
毎年度の予算編成の基礎となるとともに、年度明けには「世界に誇れる『まち』の実現にむけた取組状況」として、成果が総括されています。平成26年度の対象事業数は172事業となっています。
砂防堰堤(さぼうえんてい)
土砂災害防止のために、渓流の谷出口付近に設置し、土石流を食い止めるほか、土砂を溜めて渓流の勾配を緩やかにすることで、一度に大量の土砂が下流に流れ出ることを防ぎ、人家や公共施設等を保全するための施設です。
[設置箇所:一定規模の人家や公共施設のある土石流危険渓流等]
(出典:国土交通省中国地方整備局太田川河川事務所ホームページ)
写真 資5-1 砂防堰堤
国の広島西部山系直轄砂防事業で整備された広島県廿日市市 宮園3号砂防堰堤
治山堰堤(ちさんえんてい)
浸食により荒廃した渓流や山腹崩壊箇所下流に設置し、渓流の縦・横浸食及び土砂流出を抑止して、森林の維持・造成を図るための施設です。
[設置箇所:国有林、保安林内]
写真 資5-2 治山堰堤
避難路
避難路とは、災害時に避難者が避難場所に避難するための道路等をいいます。
広島市地域防災計画では、避難路を「生活避難路」と「広域避難路」に区分しています。
(1) 生活避難路
生活避難路は、近隣避難場所や生活避難場所へ至る日常生活に密着した身近な道路で、消防活動や避難行動などに支障のない幅員(6m以上)を有する道路等のことです。
(2) 広域避難路
広域避難路は、延焼拡大のおそれのある市街地から広域避難場所へ至る避難路で、広域避難上支障のない幅員(原則として15m以上)を有する道路等のことです。
土砂災害危険箇所
土石流、急傾斜地崩壊(がけ崩れ)、地すべりによる被害のおそれのある箇所で、国の定めた要領の基準に従い決定され、「土砂災害危険箇所図」として、広島県のホームページ「土砂災害ポータルひろしま」に掲載されています。県内には全国で最も多い32,000か所余りあり、具体的な箇所や基準詳細等については同サイトをご参照ください。
自主防災組織
自主防災組織は、昭和34年の伊勢湾台風による甚大な被害を教訓として「災害対策基本法」が制定され、この法律によって生まれた隣保協同の精神に基づく地域住民による自発的な防災組織であり、地域の安全を確保するため、住民の一人ひとりが「自分たちのまちは自分たちで守る」という固い信念と連帯意識のもとに、既設の町内会・自治会又はこれらの連合会を主体として組織されるものです。
土砂災害ハザードマップ
土砂災害防止法第8条に基づき、土砂災害に関する情報の伝達方法など土砂災害警戒区域における円滑な警戒避難を確保する上で必要な事項を住民に周知させるため、市町村が配布する印刷物です。本市では、土砂災害警戒区域等が指定され、住民と協働で策定した土砂災害警戒避難マニュアルによる検証訓練を行った地区から順次、作成・配布しています。
当該マップには、住民が自宅付近などの状況を確認し、災害時にいち早く円滑な避難が行えるよう、土砂災害警戒区域等の範囲、避難場所、避難ルート、気象情報、避難情報の伝達方法などを掲載しています。
山腹(さんぷく)整備(山腹工(さんぷくこう))
自然災害等によって山肌が露出した崩壊地において、斜面の安定化のために植生を回復、維持、増進させる目的で設置される施設です。土砂崩れを防ぎ植物が生育できるようにするための法面工や土留工、のり枠工などがあります。
写真 資5-3 土留工の例
写真 資5-4 のり枠工の例
(写真出典:関東森林管理局)
事前復興
市町村の主要な防災事業である減災や防災まちづくりの一環として行われる取組のひとつであり、「災害が発生した際のことを想定し、被害の最小化につながる都市計画やまちづくりを推進すること」というハード面と「復興対策の手順の明確化や復興に関する基礎データの収集・確認などを事前に進めておくこと」というソフト面の両方の意味を有するとされています。
危機管理室
平成27年4月1日から市長事務部局に設置される危機管理室は、内部組織として危機管理課、災害予防課及び災害対策課を配置し、危機管理に係る全庁的な指導・調整等を担当します。