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5 地区別の方向性(3) 安佐北区可部東地区
ア 被災状況
高松山等の山麓や根谷川左岸の平地部に位置する可部東地区は、高度経済成長期の昭和40年代からの団地開発等により宅地化が進み、近年は都市計画道路可部大毛寺線や寺山公園の整備により地区の生活利便性や生活環境が向上しています。
この地区内では、8月20日未明からの豪雨により、可部町上原に設置された上原観測局(県)のデータによると3時から4時までの1時間で最大時間雨量115mmを記録し、その前後の3時間累積雨量は236mm、24時間累積雨量は287mmに達しました。
この豪雨により、地区内の渓流などにおいて土石流等が発生し、死者が可部東二丁目で1人、可部東六丁目で3人の人的被害が生じました。また、一級河川根谷川の河岸の一部が崩壊したほか、可部東一丁目付近の砂防河川上原川周辺では床上浸水等の建物被害が生じました。
写真5-6 可部東六丁目付近
高松山の南斜面で発生した土石流が山麓の住宅地を襲いました。
写真5-7 可部東二丁目付近
斜面の崩壊により住宅が破壊されました。
写真5-8 可部三丁目付近
根谷川右岸の河岸及び市道が崩れ市道が通行止めになりました。
写真5-9 可部東一丁目付近
上原川の溢水により周辺の住宅や施設が浸水被害を受けました。
イ 地区の課題
(ア) 土石流等からの安全確保
今回の豪雨により、高松山や新建団地周辺などに存在する渓流の多くで土石流が発生しており、地域の安全確保のため緊急な対策が必要です。
(イ) 避難路の確保
地区内の幹線道路はネットワークが不十分であり、広域避難場所である寺山公園へのアクセスや災害時等に多方面からの大型車両の進入を確保するため避難路の整備が必要です。新建団地周辺地域では、可部大毛寺線に接続する生活道路の拡幅や待避所等の整備も必要です。
(ウ) 雨水排水の処理
普通河川の流路断面が小さい区間があるため対策が必要です。また、砂防河川上原川周辺地域では床上浸水等の被害が発生しており、浸水対策が必要です。
ウ 復興まちづくりの方向性
土砂災害対策については、新建団地周辺等で土石流から市街地を守る砂防堰堤等の整備を国、県の事業として緊急に実施することで、早期に地域の基本的な安全性を確保します。
また、本市の事業として、広域避難路となる都市計画道路(可部大毛寺線及び高陽可部線)の延伸整備をすることで、安全性をさらに向上させます。
その他に、生活道路の整備や河川の浸水対策などに取り組むことで、地域拠点である可部、高陽両地区へのアクセスを活かした、住みやすいまちづくりを進めます。
(ア) 集中復興期間に取り組む施設整備等
- 土砂災害対策・治山事業
- 砂防堰堤整備[国]:5渓流(国に早期事業着手を要望している1渓流を含む。)
- 砂防堰堤整備[県]:2渓流
- 治山堰堤整備[国]:2渓流
- 治山堰堤整備[県]:5渓流(県に早期事業着手を要望している3渓流を含む。)
- 山腹整備:1か所
- 寺山公園法面防災対策:2か所
[「山腹整備」については、ページ下部の「関連情報」を参照してください。]
- 避難路の整備
- 広域避難路[可部大毛寺線]整備:延長500m、幅員12m
※ 可部東四丁目の寺山公園入口から可部東二丁目の高陽可部線との接続部まで延伸整備します。これにより可部大毛寺線全線が完成します。 - 広域避難路[高陽可部線]整備:延長700m、幅員16m
※ 可部南二丁目の整備済区間から根谷川を越えて可部東二丁目の可部大毛寺線との接続部まで延伸整備します。 - 市道[安佐北3区82号線]待避所整備、交差点改良
- 市道[安佐北3区98号線]拡幅:延長200m、幅員6m程度
- 市道[安佐北3区554号線]拡幅:延長100m、幅員6m程度
- 市道新設(可部東五丁目):延長650m、幅員5m程度
- 東原橋拡幅架替、吉田橋架替
- 広域避難路[可部大毛寺線]整備:延長500m、幅員12m
- 雨水排水施設等の整備
- 雨水排水施設整備
※ 砂防施設又は治山施設より下流部分を整備します。 - 一級河川根谷川改修[国]
- 砂防河川上原川周辺地域浸水対策
※ 支川の普通河川迫田川を含めた流域を対象として洪水の流下機能を向上させるための対策を実施します。 - 普通河川[台川など]局部改良 ※ 流下能力が不足している箇所などを改良します。
- 雨水排水施設整備
- その他
水道管整備:延長3,100m
※ 災害時等に長時間の断水が生じることなく、安定的に給水できるよう、耐震性の高い水道管を可部大毛寺線、高陽可部線等に整備します。
(イ) 継続復興期間に取り組む施設整備等
a 雨水排水施設等の整備
一級河川根谷川改修[国](集中復興期間からの継続)
可部東地区 被災状況概要図
- 土石流などにより、地区内で4人の方が亡くなり、89棟の建物被害が生じました。
- 上原川周辺地域では床上浸水等の建物被害が生じました。
- 注1)被災状況は、広島市災害対策本部「平成26年8月20日の豪雨災害への対応について」から抜粋したものです。
- 注2)土砂流出範囲は、8月28・30・31日国土地理院が撮影の空中写真のうち雲の影響のない部分を判読されたものです。
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人的被害 (死亡) |
建物被害 (全壊、半壊、一部損壊) |
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可部東一丁目 | - | 2棟 |
可部東二丁目 | 1人 | 9棟 |
可部東三丁目 | - | 1棟 |
可部東四丁目 | - | 1棟 |
可部東五丁目 | - | 20棟 |
可部東六丁目 | 3人 | 56棟 |
合計 | 4人 | 89棟 |
可部東地区 復興まちづくり概要図
- 砂防堰堤等の整備を緊急に実施することで、早期に地域の基本的な安全性を確保します。
- 広域避難路となる都市計画道路の延伸整備をすることで、安全性をさらに向上させます。
- 地域拠点である可部、高陽両地区へのアクセスを活かした、住みやすいまちづくりを進めます。
- 注1)実線の砂防堰堤、治山堰堤マークは、今後整備を行う施設の概略の位置を示しています。
- 注2)点線の砂防堰堤、治山堰堤マークは、市より国、県に早期事業着手を要望している渓流を示しています。
- 注3)雨水排水施設は、概略のルートを示しており、今後変更となる場合もあります。
- 注4)整備、改良される施設の多くは、用地の確保が必要となりますが、現時点で土地所有者等の御了解を得ているものではありません。
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