ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 総合トップページ > 平和宣言・平和への誓い > 平成4年(1992年)

本文

ページ番号:0000009425更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

平成4年(1992年)

平和宣言

広島が一発の原子爆弾で壊滅し、数知れぬ市民が犠牲となったあの日から、47年の歳月が流れた。きのこ雲の下、目を覆う惨状を呈した広島を、私たちは決して忘れることができない。

以来、その記憶を胸に、私たちは、世界がヒロシマを二度と繰り返さないよう、核兵器の廃絶と世界恒久平和の確立を訴え続けてきた。

しかし、核実験は今なお続いている。国家の安全保障を核兵器という力に依存する核抑止論を、ヒロシマは絶対に容認することができない。核兵器だけでなく、生物化学兵器などの大量破壊兵器は、長年にわたって多量に蓄積され、人類の未来に暗い影を落としている。

ソ連邦の消滅を軸に激動する世界は、いま歴史的な転換期に立たされている。東西の冷戦構造が崩れ、米国とロシアが核兵器の大幅削減に合意したとはいえ、人類は融和への道を歩むか、対立・抗争を繰り返すか、選択の岐路にある。

核兵器の拡散、核開発技術の流出は断じて防がなければならない。核査察制度の確立、核弾頭の解体に伴う放射性物質の安全な処理も緊急の課題である。

今年6月、念願であった国連軍縮広島会議の開催が実現した。ヒロシマは、核兵器を廃絶する手だてとして、核実験の即時全面禁止、核兵器の実態の公表、被爆50周年にちなむ第4回国連軍縮特別総会の開催、そして、アジア・太平洋地域での信頼醸成と核軍縮の討議の場を広島に常設すること——などを提案した。これらの考え方が国連の内外で真剣に討議され、一日も早く実現するよう期待する。

今日、核兵器による人類絶滅の危機に加えて、地球環境の破壊も人類の生存を脅かしつつある。私たちは、安全で快適な生存の条件を守るために、人種や民族を超えた「人間」としての自覚を強め、平和を創造してゆきたい。

そのために、ヒロシマは世界の平和都市連帯を一層推進し、幅広い友好と協力関係を築き上げる。さらに、世界の核被害者救済を一段と充実させたい。

過去の戦争や植民地支配で、わが国はアジア・太平洋地域の人々に大きな苦しみと深い悲しみを与えた。私たちは、その痛みを自らの痛みとすることによって、未来へ向けて相互の絆をより強めなければならない。道義こそ信頼の源となるからである。

きょう被爆47周年にあたり、謹んで原爆犠牲者の御霊に哀悼の誠を捧げるとともに「過ちは繰り返さない」ことをお誓いする。同時に、平和の礎となった原爆死没者と、高齢化し、今なお放射能障害に苦しむ被爆者のために、政府はその責任において被爆者援護法を制定するとともに、外国に住む原爆被爆者の援護に乗り出すよう強く求める。

核兵器を廃絶し、新しい平和秩序を生み出す道は険しく、なお遠い。今こそ、一人ひとりが偏見や憎悪を棄て、平和を担う力を身につけなくてはならない。私たちは日本国憲法が掲げる不戦の理念を守り、若い世代に原点・ヒロシマを伝え続けたい。ここに、改めてその決意を表明する。

1992年(平成4年)8月6日

広島市長 平岡 敬