ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

ページ番号:0000354340更新日:2023年10月10日更新印刷ページ表示

請願第17号

広島市立中央図書館等の基本設計及びエールエールA館への移転を撤回し、再検討を求めることについて

(要旨)​

 広島市立中央図書館等のエールエールA館への移転問題については、6月の請願において次のとおり本移転計画の問題点を指摘し、移転の撤回と再検討を求めたところである。
 広島市立中央図書館等の移転・再整備については、議会での議論と異なる発言が繰り返されたほか、真摯な議論が専門家を交えて行われていないために、図書館をめぐる新しい動きが反映されていない。自動車図書館、配本のネットワークや資器材の貸し借りが確実に実施できる担保も不十分な上、閉架書庫の浸水や災害時の避難、リスク回避の検討も不十分である。
 本計画は、中央図書館等の機能維持が前提であり、ここに確証の得られないままの移転は直ちに撤回するとともに、「成長する図書館」へ向けて、専門家や市民の声を聴く場を設け再検討を行っていただくよう請願する。
 その際、次のような理由を記載し、検討の実施方法、検討内容の不十分さについても指摘したところである。
 広島市は、2023年1月24日、中央図書館等をエールエールA館に移転し再整備することの基本計画を策定した。また、広島市議会は、3月14日、この移転再整備に係る基本計画策定、基本設計・実施設計費を含む令和4年度補正予算及び令和5年度一般会計予算を議決した。
 しかしながら、この議決は、前年の予算に対しての付帯決議の「3案の比較検討」が「2案」になったことのほか、多くの議員からの質疑、市民からの要請に対して十分な説明がなされないものであった。また、この間の議会答弁とは異なる発言、例えば、「中央公園内の公共施設の再整備を順次行うためにはまず中央図書館等を公園外に移転する必要」などに対し「跡地に音楽ホールを建設する」などのほか、何度も図書館の在り方について「図書館協議会でしっかり議論する」としながら、この1年間、このような観点での議論はなされていない。
 さらに、洪水、津波、高潮も浸水想定やハザードマップでは、エールエールA館が海抜3.3メートルに位置しているため浸水が“あったとしても軽微”としており、広島駅前全域にわたる地下通路網の最深部にあたる場所に過半の蔵書を収納するリスクを正当に評価しきれていないし、以前から指摘のあった災害発生時の高層階からの避難の困難性への担保も確実な資料の提示はない。
 しかしながら、広島市は7月24日に総務委員会に対し基本設計案を策定したことの報告を行い、7月31日にはホームページで公開した。関係する機関である図書館協議会へは8月3日、社会教育委員会議へは8月21日に報告を行っている。
 その際に提出された参考資料「中央図書館等のレイアウトに関する主な意見について」の根拠資料について文書開示請求を行ったところ、意見の検討経過に係る文書は「請求に係る文書は作成又は所有していないため。」とした文書の不存在の通知があった。議会等へ提出されているにもかかわらず、行政として真摯に検討を行っているのかが疑われる状況である。
 今回公表された基本設計は、あえて言えば「夢を語る」設計コンペのようなものにとどまっており、全く別の設計思想の下に設計・建築された建物を公共図書館として転用するに当たっての基本条件すら明らかにされていない。そのため、これに基づいて実施設計が行われた場合、どのような図書館の環境が実現できるのか、それを実現するためにはどれだけの改修が必要になるのかも不明のままである。
 具体的には、(1)中央部の巨大な吹き抜けの存在を、図書館機能とどのように整合させるのか、(2)エスカレーターの駆動音が図書館機能を阻害するおそれがないかの検討と、実測値等も踏まえた必要な対策の検討、(3)照明の要求水準の明示と、これを実現するための、現在の実測値等を踏まえた必要な対策の検討。また、「窓」の新設の効果の検証と、必要となる「西日」対策の現状を踏まえた必要な対策の検討、(4)換気の要求水準の明示と、これを実現するための、現状を踏まえた必要な対策の検討。書棚の配列や高さが換気の阻害要素になることを考慮すべきなのはもちろんであるが、それ以外にも、特に、音の遮断が求められる場所(映像文化ライブラリーの上映ホールや対面朗読室など)での必要となる対策の検討などである。
 災害への対応についても、法的な充足だけでなく「設置者責任」が厳しく問われる状況の下、移転後の図書館等の稼働期間には確実にその発生が危惧されている南海トラフ巨大地震への対応問題がある。また、「地球沸騰」との表現まで出るような異常気象に伴う災害の被害を未然に防ぐ措置を講じることも求められている。
 また、現場(特に、映像文化ライブラリー)の声を十分把握しないまま、あるいは確認が不十分なままに設計作業を進めてきたために発生している問題があるが、これらについても議会への資料も含めて明らかにされていない。
 具体的には、(1)基本方針では「視聴覚ブースの廃止」としたが、貸出先での視聴が再生機器の現状からは困難になっており、収蔵品の活用が著しく阻害されることになる、(2)柱の存在から、映写ホールにおいてスクリーンまでの距離が十分取れないことから、既に新たに入手することが困難になっている35ミリフィルムの映写機、レンズの現況を踏まえると、適正な映写が実現できなくなることが想定される。そうなると、施設の「核」である35ミリフィルムのコレクションが「死蔵」されることになるなどである。
 さらに、「電子図書館・電子書籍サービス」については、公共図書館への導入が始まってから10年以上経過し、全国では436館に達している。県内でも、コロナ対策での助成策もあって導入が進み、県立図書館以外にも、呉、竹原、三原、福山、尾道、府中、庄原、東広島の各市で既に導入されているのに対し、広島市は着手していない。また、導入方法によってはレイアウトに影響するにもかかわらず、基本設計でも全く触れられていない。
 障害のある利用者(手帳を有するものに限定されない)に対する「合理的な配慮」が新たに法制化された下で、利用者に対する施設(トイレや書架の間隔や高さなど)、書籍等の範囲(点字、音訳、映像化)、配本先など、意見を踏まえた対応とその拡充が必要である。
 これらのことから、今回の基本設計の撤回を求めるとともに、エールエールA館への移転の撤回、再検討を行っていただくよう請願する。
 なお、一旦候補地が決定し実施設計まで行われたものの、再考することで、幅広い市民の利用する図書館をつくり上げた事例も存在していることを申し添える。

お問い合わせ先一覧

本会議の傍聴、議員の資産等の公開などに関するお問い合わせ先

総務課
Tel:(082)504-2434
Fax:(082)504-2449


総務課へメールする<外部リンク>

議長、副議長の秘書、議会広報などに関するお問い合わせ先

秘書広報室
Tel:(082)504-2433(秘書担当)
Tel:(082)504-2439(広報担当)
Fax:(082)504-2448

秘書広報室へメールする<外部リンク>

本会議、予算・決算特別委員会の運営などに関するお問い合わせ先

議事課
Tel:(082)504-2436
Fax:(082)504-2449


議事課へメールする<外部リンク>

常任委員会の運営、請願・陳情・要望の受付などに関するお問い合わせ先

市政調査課
Tel:(082)504-2438
Fax:(082)504-2449


市政調査課へメールする<外部リンク>