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平成28年 広島市食中毒発生状況
目次
1 概要
2 病因物質別にみた発生状況
3 月別にみた発生状況
4 原因施設別にみた発生状況
5 原因食品別にみた発生状況
6 患者数2名以上の食中毒事件
7 広域散発食中毒事件
1 概要
平成28年に市内で発生した食中毒の総事件数は17件、総患者数は86名であった。平成27年と比較すると、事件数は30件(前年比63.8%減)減少し、患者数は361名(前年比80.8%減)減少した(図1)。
図1 年次別にみた食中毒の総事件数・総患者数
総事件数17件のうち、患者数2名以上の事例は7件であり、患者50名以上の集団事例は発生していない(表1)。
年 | 総事件数 | (再掲) | ||
---|---|---|---|---|
患者1名の事例 | 患者2名以上の事例 | 患者50名以上の事例 | ||
平成24年 | 92件 | 71名(71名) | 21名(2,342名) | 3名(2,182名) |
平成25年 | 63件 | 50名(50名) | 13名(153名) | 1名(61名) |
平成26年 | 81件 | 54名(54名) | 27名(634名) | 1名(301名) |
平成27年 | 47件 | 36名(36名) | 11名(411名) | 2名(344名) |
平成28年 | 17件 | 10名(10名) | 7名(76名) | 0名(0名) |
2 病因物質別にみた発症状況
- 総事件数17件のうち、カンピロバクターによるものが11件(64.7%)と6割以上を占め、次いでノロウイルスおよび動物性自然毒がそれぞれ2件(11.8%)であった。
- 総患者数86名のうち、ノロウイルスによるものが45名(52.3%)と約5割を占め、次いでカンピロバクターが19名(22.1%)であった(図2)。
図2 病因物質別にみた総事件数・総患者数
3 月別にみた発生状況
月別の事件数は6月(3件)が最も多かった。また、患者数はノロウイルス食中毒の発生により、12月(31名)次いで5月(17名)が多くなった(図3)。
図3 月別発生状況(平成28年 総数)
病因物質別に月次推移をみると、カンピロバクターによる事件は年間を通してみられ、6月が3件と最も多く発生した。また、ノロウイルスによる事件はウイルスが流行する12月に1件発生しているが、5月にも1件発生している(表2)。
病因物質 | 総数 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
総数 | 17 | 1 | - | 2 | 1 | 2 | 3 | 2 | - | 2 | 2 | - | 2 | |
細菌(総数) | 12 | 1 | - | 2 | - | - | 3 | 2 | - | 2 | 2 | - | - | |
(内訳) | カンピロバクター | 11 | 1 | - | 2 | - | - | 3 | 1 | - | 2 | 2 | - | - |
セレウス菌 | 1 | - | - | - | - | - | - | 1 | - | - | - | - | - | |
ウイルス(総数) | 2 | - | - | - | - | 1 | - | - | - | - | - | - | 1 | |
(内訳) | ノロウイルス | 2 | - | - | - | - | 1 | - | - | - | - | - | - | 1 |
その他(総数) | 3 | - | - | - | 1 | 1 | - | - | - | - | - | - | 1 | |
(内訳) | 動物性自然毒※1 | 2 | - | - | - | - | 1 | - | - | - | - | - | - | 1 |
不明※2 | 1 | - | - | - | 1 | - | - | - | - | - | - | - | - |
※1 動物性自然毒はフグ毒による食中毒
※2 不明は患者数10名の集団食中毒であったが、患者便の検査結果はウェルシュ菌1検体のみ陽性でクドア属は陰性。食品の検査では、患者が喫食した
ものとは別ロットのサワラからクドア・セプテンプンクタータとは異なるクドア属の遺伝子が検出されたが、原因物質の特定には至らなかった。
4 原因施設別にみた発生状況
総事件数17件のうち、原因施設が判明したものは8件(47.1%)、不明だったものは9件(52.9%)であった。事件数、患者数ともに、飲食店6件(74名)が多かった(表3)。
原因施設 | 事件数(件) | 割合(%) | 患者数(名) | 割合(%) |
---|---|---|---|---|
飲食店 | 6件 | 35.3% | 74名 | 86.0% |
家庭 | 2件 | 11.8% | 3名 | 3.5% |
不明 | 9件 | 52.9% | 9名 | 10.5% |
計 | 17件 | 100.0% | 86名 | 100.0% |
5 原因食品別にみた発生状況
総事件数17件のうち、原因食品が判明したものは8件(47.1%)、不明であったものは9件(52.9%)であった。また、原因食品が判明したもののうち、魚介類(フグ)によるものが2件、食事を特定したものは6件であった(表4)。
原因食品 | 事件数(件) | 割合(%) | 患者数(名) | 割合(%) | |
---|---|---|---|---|---|
魚介類(フグ) | 2件 | 11.8% | 3名 | 3.5% | |
食事特定 | 6件 | 35.3% | 74名 | 86.0% | |
不明 | 9件 | 52.9% | 9名 | 10.5% | |
計 | 17件 | 100.0% | 86名 | 100.0% |
6 患者数2名以上の食中毒事件
平成28年に発生した患者数2名以上の食中毒事件は7件であった。原因施設別にみると、飲食店6件(85.7%)、家庭1件(14.3%)であった。病因物質別でみると、カンピロバクターおよびノロウイルスがそれぞれ2件(28.6%)と多かった(表5)。
表5 患者数2名以上の食中毒事件
月別事件数でみると、12月が最も多く2件(28.6%)となった。カンピロバクターは3月、9月、ノロウイルスは5月、12月と特定の月に偏りはみられない(図4)。
図4 患者2名以上の食中毒における病因物質別事件数の月次推移
7 広域散発食中毒事件
10月に、飲食店で提供された「冷凍メンチカツ」の調理品を原因とする腸管出血性大腸菌O157(VT2)による食中毒が発生した。調理に使用した「冷凍メンチカツ」がO157に汚染されており、飲食店での調理工程における加熱が不十分であったことが要因と考えられる。さらに、飲食店で提供された冷凍メンチカツと同じ製造所で作られた家庭向けの「そうざい半製品」である「冷凍メンチカツ」が原因となった食中毒が神奈川県を中心に10自治体で発生しており、それらの関連商品が原因となった食中毒の患者は、本市の1名を含め合計で67名となった。国立感染症研究所の検査(MLVA)の結果、患者由来菌株、メンチカツ由来菌株及び他自治体の患者由来菌株のそれぞれの遺伝子パターンが一致したことから、広域散発食中毒として、「冷凍メンチカツ」の製造所を管轄する静岡県が、本市の患者1名も含め全患者の状況をとりまとめて厚生労働省に報告した(表6)。
表6 広域散発食中毒事件
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