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令和5年度第3回広島市社会福祉審議会全体会議 要旨
1 開催日時
令和5年9月29日(金曜日)13時15分~15時00分
2 開催場所
広島市役所本庁舎 14階 第7会議室
3 出席委員(五十音順)
- 天方委員
- 上野委員
- 川口委員
- 杉原委員
- 高橋委員
- 永野委員
- 西村委員
- 野々川委員
- 檜谷委員
- 満田委員
- 宮本委員
- 村上委員
- 森井委員
- 山田(春男)委員
- 久保田臨時委員
4 事務局
- 松嶋健康福祉局長
- 細谷健康福祉局次長
- 浜井保健部参与(事)健康推進課長 ※「浜」はまゆはま
- 森危機管理課長
- 澄川コミュニティ再生課長
- 片桐市民活動推進課長
- 斎藤健康福祉企画課長
- 木原地域共生社会推進課長
- 荒井保護自立支援課長
- 高橋高齢福祉課長
- 谷田介護保険課長
- 深崎障害福祉課長
- 山井障害自立支援課長
- 村戸精神保健福祉課長
- 久保田こども・家庭支援課主査
5 議事
⑴ 第2次広島市地域共生社会実現計画の策定について
6 公開状況
公開
7 傍聴人
なし
8 会議資料
- 資料1 第2次広島市地域共生社会実現計画の骨子(案)について
- 参考資料1 重層的支援体制整備事業による包括的な支援体制について
- 参考資料2 令和5年度第2回広島市社会福祉審議会全体会議議題⑴配布資料に対する意見への対応
- 参考資料3 広島市社会福祉審議会委員名簿
9 会議要旨
事務局
「令和5年度第3回広島市社会福祉審議会全体会議」を開会する。
議事⑴ 第2次広島市地域共生社会実現計画の策定について
永野委員長
議事⑴「第2次広島市地域共生社会実現計画の策定について」事務局から説明をお願いする。
地域共生社会推進課長
(配布資料により説明)
永野委員長
事務局から説明があったが、この資料の内容に関して意見などはあるか。
森井委員
基本理念の語句について、「それぞれに役割を果たしながら」ではなく「それぞれの役割を果たしながら」でも趣旨には沿う内容だと思うが、あえて前者にしている理由があるのか。あまりこだわるところではないが、前回の議論の中で、それぞれの住民が何かをしないといけないという負担感があるのではないかという意見があり今回の変更案となっているが、それぞれの人たちが負担なくできる範囲で役割を果たすというニュアンスで考えると、「それぞれが」や「それぞれに」だと平準化された役割のように捉えられるため、「それぞれの」であればその人の役割というのがより強く出るのではないかと感じている。
もう一点は、成年後見制度の利用促進について、高齢者施策推進プランの策定に向けた審議の中で対応を検討していくとのことだが、検討のスピード感が気になる。成年後見制度は国の議論等、常々進展があり、少し時間が経てば制度改正が行われる分野であるため、後追いの対応になってしまうことを懸念している。
地域共生社会推進課長
基本理念の語句について、皆様からの意見を踏まえて再検討させていただき、最終的な表現についてはお任せいただきたい。
二点目の成年後見制度の利用促進について、今年度、本計画の検討と同時並行で高齢者施策推進プランの検討も進んでおり、今年度中にプラン策定の中で検討が行われることとなっている。
健康福祉局次長
基本理念の語句について、本市の上位計画や市長の所信表明との整合を図っているという点と、市民の誰もが一人ひとり主体的にその役割を果たしていくという趣旨から、「それぞれに」の方が役割を自ら果たすという主体性が出ているのではないかと感じている。
高齢福祉課長
成年後見制度の関係について、高齢者施策推進プランの策定に向けた審議の中で検討していくのはもちろんだが、国の第二期成年後見制度利用促進基本計画の中で優先的に取り組むこととされている事項は、令和6年度までに市町村で検討を進め、令和7年度には実施するよう示されている。
本市でも現時点で様々な検討を行っており、可能な取組については来年度から実施できるよう、専門職団体等とも協議を行っているため、機会を捉えて御提示させていただければと考えている。
久保田委員
共生社会という言葉について、人と人とのつながりは有縁社会でありそれを共生社会と言っているのだと思うが、もう時代は有縁社会ではなく無縁社会となっている。それにもかかわらず、共生社会という言葉を言い続けるのは、これが、地域社会として目指すべき一つの方向であって、これは譲れないという一つの目標・理念として表現しているのだと思うが、その点いかがか。
二点目として、取組体系「地域で支え合う『共助』の仕組みづくりの促進」について、地域の基盤組織である町内会が元気にならない地域はどうにもならないため、この項目で大切なのは町内会の加入促進だと考える。昔のような高い加入率に戻るのは難しいと思うが、このまま加入率が50%を切る状況となると地域では共助による活動ができなくなってしまうため、町内会の加入促進を取組項目として盛り込めないか。
三点目として、参考資料1のイメージ図の中に生活困窮分野の地域活動として子ども食堂がある。活動当初は生活困窮支援の視点が強かったかもしれないが、現在は高齢者も参加し、また、活動の視点も食堂を通じた見守り活動となっているなど、現状との乖離があるように感じる。貧困のイメージを出しすぎると子どもへのいじめにつながるなども考えられるため、記載方法を再考してもらいたい。
地域共生社会推進課長
一点目として、地域共生社会の考え方は市として目指すべき社会の姿を表現したものであり、そういった視点を市民の皆さんにも浸透させていきながら、各種施策にしっかり取り組んでいきたい。
二点目として、町内会の加入促進について、本日の議事資料中には記載等がないが、当然に必要な事項として理解しているため、今後、計画の素案を検討していく中で町内会の加入促進に関する取組についても位置付けていきたい。
三点目として、御指摘のような活動の多属性化・多分野化が重層的支援体制整備事業の目的であり、そうした方向性を表記しようとしてものであるが、子ども食堂の資料での表記については、御指摘の点も踏まえてどういった表記が適切か検討させていただく。
健康福祉局次長
本計画は地域共生社会を目指し実現するための計画であるため、将来的な方向性として地域共生社会という言葉を用いている。
また、町内会・自治会の加入促進について、内容は薄いかもしれないが現行計画においても取り組みの一つとして掲げており、次期計画ではそれをさらに発展させ、地域コミュニティの活性化を目指していくということを位置付けることとしているため、その中で、自治会・町内会の加入促進についても、引き続き取組として設けることを検討したい。
高橋委員
いくつか提案と質問をさせていただく。
先ほどの久保田委員からの意見は地域に携わる方の切実な意見だと感じており、自治会・町内会を始めとした各種地域コミュニティは会員が減少し弱体化している。自治会・町内会を始めこうした団体は任意団体であり、団体運営のために行政の補助金といった支援もあるが、主には会員から会費を徴収して活動しているため、会員か非会員かで地域が分断されてしまう。会員・非会員の区分を無くせば良いが、財源の問題もあるため容易ではない。現実的な話として、自治会・町内会あるいは地区社協に入ってない各種団体をいかにして地域社会の課題解決に向けた協議の場に参加してもらうか、今の会員制だけでは解決できない課題をいかにして地域社会全体で解決していくか、個別団体への支援も必要だが、そうした仕組みを考える方が現実的な方向性ではないかと感じている。
質問の一点目として、資料1の10頁に拡充要素として、多様な生活支援を提供する地域活動への参画の促進とあり、内容として、介護を中心とした福祉サービス現場の負担軽減に資する取組への参加を促進するとあるが、具体的な内容を教えてもらいたい。
二点目として、地域コミュニティ活性化推進条例の制定に向けた取組について、今回初めて聞く話であり、市も本気で地域コミュニティの活性化に取り組もうとされているのだと推測でき、地域団体の一員として嬉しく思うが、この条例制定に向けた今後のスケジュールを教えてもらいたい。
三点目として、ひろしまLMOの設立・運営支援について、これまでになかった取組であり、新しい組織を運営するためには事務作業を行うスタッフが必要となるため、助成金の多くは地域活動の事業費ではなく、スタッフの人件費に充てられるようになっている。現在、町内会や地区社協でこういった役割を担っているスタッフは地域住民がボランティアとして行っているが、新たな組織のキーマンともなるスタッフについて、例えば市OBに担ってもらうなど何か対応を考えているか。
四点目として、空き家を活用した地域拠点の整備について、団地内に数件空き家があるならそこを集会所として利用してといった話にもなるが、団地造成から40年、50年経過した団地では、団地全体が高齢化し空き家が増えている状況になるため、そこをどうしていくのかという視点が必要だと考える。例えば、空き地で大きな区画であれば企業へ貸すとか、農業を行うとか、産業が興って新たな人が入ってくることで地域が活性化することも考えられるため、様々な取組を検討してはどうか。
五点目として、民間企業等との協働による地域福祉活動の展開について、これまで企業等との連携はあまり多く行われてこなかったと思うが、企業等へどのような要望・要請を行っていくのか、具体性が重要である。
最後に六点目として、住宅・居住環境の整備について、例えば、建設事業者と連携して集合住宅の建設やリフォーム時に要配慮者の入居を促進できるような援助等があれば良いと考える。
地域共生社会推進課長
介護を中心とした福祉サービス現場の負担軽減に資する取組への参加の促進については、資料1の5頁に記載のある対応の方向性マル3に対応するものであり、専門職の負担軽減につながる取組として、日常の生活支援のような必ずしも専門職でなくても分担することができる業務を専門職以外の方に担っていただく仕組みを促進していくことで、専門職の負担軽減を目指すことを考えている。
次に、ひろしまLMOのスタッフについて、現状、町内会等の地域団体ではボランティアで事務をやられていると思うが、ひろしまLMOでは、地域コミュニティを持続可能なものとしていくという観点から、ボランティアに頼るのではなく業務として担ってもらうことを想定している。その際、御意見のあった市OBといった事務経験者に担ってもらえるような取組も必要だと考える。また、本市としては、現役職員についても、地域活動へしっかり入っていけるような休暇制度を構えた上で、人事評価で活動への取組を評価することで、参加を促すことに取り組んでいる。
次に、空き家対策について、実現計画の中でお示ししているのは空き家を活用した地域拠点の整備といった方向性での取組を位置付けており、そもそもの空き家対策といった総合的な施策については、この計画の中ではなく、個別の計画(広島市空家等対策計画)において取り組んでいく。
次に、民間企業等との協働について、民間企業等と包括連携協定を締結して地域福祉に資する取組を行うものや、企業等で社員が地域活動に参加しやすいような休暇制度を創設するなど、地域活動に対して積極的な企業を認定するといった、会社やそこで働く社員の方に地域活動へ参加していただく際の後押しとなる施策を実施している。
最後に、住宅・居住環境の整備について、現在も事業者と連携して住宅確保要配慮者への居住支援に取り組んでいるところであり、今後は御意見いただいた視点も参考にしながら取組を検討していきたいと考えている。
コミュニティ再生課長
地域コミュニティ活性化推進条例の制定に向けたスケジュールについて、理念を定めた内容とするのか、市民や事業者、行政の役割や責務といったものを定めた内容とするのか、他都市の条例内容も様々であり、今年度と来年度にかけてワークショップを開催して市民や事業者といった様々な方からの御意見を踏まえて条例案を検討し、令和8年度から条例施行できるよう取り組んでいきたいと考えている。
次に、ひろしまLMOの助成金について、市から地域へ制度説明する中で、御指摘のように地域活動の事業費にもう少し助成して欲しいといった意見もいただいている。ひろしまLMOに対する助成内容としては、人件費として300万円、活動拠点の維持管理費として200万円、事業費として100万円、合計で600万円の助成を用意している。事業費助成は100万円となっているが、この辺りは地域からも様々な意見をいただいているため、柔軟な運用ができないか今後検討していきたいと考えている。
次に、組織運営のための人件費について、ひろしまLMOは連合町内会・自治会や地区社協が中心となって、地域の各種団体等と連携する組織体制のため、例えば、助成金の申請・報告といった事務や各種団体との連絡調整といった、これまでにない様々な事務が発生することになり、これまでのようなボランティアではなく雇用という形態で事務局員にしっかりと事務を担っていいただく必要があることから、300万円という助成金を用意している。地域でどういった方に事務局員を担ってもらうのがいいのかといったことをしっかり話し合ってもらう形で進めていただきたいと考えている。
高橋委員
企業活力の導入に関して、人間というのは社会的存在であり一人では生きていけない、それと同様に企業も社会的存在であり企業だけでは成り立たない。企業の社員も地域社会の一員であるため、これまで導入されてこなかった企業の力を地域へ取り入れる、入ってきてもらって一緒にやっていくことを強化してもらいたいし、そういった志を持っている企業は多数あると思う。例えば、祭りといった地域のイベントにもっと企業に入ってきてもらい、スーパー等の企業であればその場でクーポン券を配るなど、参加者も企業もメリットを得られる仕組みも考えられるため、企業の地域貢献活動として様々な取組が地域の活性化に有効であると考えている。
山田(春)委員
地域で行う祭りの準備を現在行っているが、準備作業への参加者は高齢者ばかりであり、若い人たちが活躍する場面がなかなか見えてこない。準備作業を平日に行っている関係もあるとは思うが、当日はPTAや消防団、地域にある専門学校の学生など、若い人の参加も多くみられるため、若い人たちが地域で活躍できるような取組が考えられないか。その際、子育て世帯であれば親だけが参加するのではなく、親子で一緒に参加してもらうことが重要だと感じているため、そういった視点も盛り込んでもらいたい。
また、地域での活動や団体が減少している中で、一度無くなってしまった活動や団体を再開することは容易ではないため、そうした事態を防ぐためにも、先ほどのひろしまLMOの話でもあった地域活動を行うための事業費への援助をもう少し充実させてもらいたい。その際、これまで地域活動を行ってきた方々はボランティアで行ってきたため、いきなりお金を出すと言われてもなかなか受け取りづらいし、お金を受け取った人にばかり負担が行くようになるのも良くないし、仕事になってしまい地域コミュニティのための活動という視点が弱体化してしまうのではないかといった心配もしている。
以上の内容を要望として受けて止めてもらい、若者も参加するより良い地域共生社会を目指してもらいたい。
檜谷委員
子どものうちから地域へ携わることは重要であるが、子どもが子ども会に入りたくても親がダメと言えば入ることができず、子どもたちの活動は親の影響を大きく受けることとなる。
地域での実例として、私の地域には町内会への加入を入居条件としているアパートがあるが、そこに住む子育て世帯は町内清掃に子どもを連れて一緒に活動をしており、数年後、親が用事等で清掃活動に参加していなくても、ある程度大きくなった子どもは自分だけで清掃活動に参加し、地域活動の担い手となっている。こうした事例からも、親世代への働き掛けは子どもが幼少期から地域へ馴染んでいくための取組として重要だと考える。
川口委員
取組体系3「地域住民等と支援関係機関による包括的な支援体制の構築」と取組体系4「民間との連携・協働による地域福祉の推進」の言葉の使い分けについて、取組体系3の地域住民等には民間である社協や企業、NPOも含まれると理解しており、また、包括的な支援体制の構築は地域福祉の推進でもあるため、二つの取組体系を「地域住民等を含めた多様な機関の協働による地域福祉の推進」として一つの取組体系とすることもできるのではないかと思うが、あえて分けている理由や意図があるのか。
地域共生社会推進課長
取組体系3は包括的な支援体制の構築という取組を主眼に置いているため、地域福祉の推進とは別体系として定めているが、御指摘のとおり、地域住民等の中には社協等の民間企業も含んだものとして考えている。一方で、取組体系4は包括的な支援体制の構築以外に、総括的な観点からの民間との連携・協働による地域福祉の推進に向けた取組を位置付け、そうした取組を充実させていこうというものである。
西村委員
商工会議所の女性会の取組として、CSR、企業の社会貢献について考える機会を設けており、昔のように、お金を出すだけの寄附で終わるのではなく、企業活動の中で社会貢献がこれまでと違う形でできるのではないかと考えている。企業の成り立ちや企業の特性をいかしながら貢献していくということを、市の取組等も参考にしながら様々な会社の方と一緒に考えていきたいと感じた。
二点目として、市から地域活動に対して金銭面等の支援をされているのは良い取組であり、私共も社会福祉法人としての活動の中で地域に開放した図書館を作っているが、建物の建設や運営の初期段階で補助等を活用できるのであれば、様々な会社がそういった地域貢献活動に参加しやすくなる。ただし、いつまでも行政からの支援に頼るのではなく、持続可能な運営ができるよう、携わる従業員なり企業なりが自主的な運営に向けた取組を考えていくことも必要であり、例えば、起業や地域貢献に向けた勉強を行っている大学生にも活動へ参画してもらうことで新しい意見や視点も反映でき、持続可能な活動としていくことができるのではないかと考える。
三点目として、私共の運営している保育園ではイベント行事になるべく地域の高齢者等に参加してもらうよう取り組んでいるが、地域団体と連携・協働した取組を行うことも重要であると感じた。
村上委員
成年後見制度について、具体的には高齢者施策推進プランの策定に向けた審議の中で対応を検討していくとされているが、成年後見制度は高齢者のみでなく障害者であるとか支援が必要な様々な方が利用される制度であるため、各福祉分野の上位計画である本計画においても取組内容の位置付けが必要な事項であると考える。
永野委員長
以上で本日の審議を終了する。